昭和60年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

1 昭和59年度の通信の概況

(1)国内及び国際通信の動向

 (総じて安定した増加をみせた国内通信)
 国内通信については,内国郵便物数,電話加入数,放送受信契約数とも着実に増加し,電報通数は減少したものの,全体として安定した伸びを示した(第2-2-2図参照)。
 郵便については,内国郵便物数が対前年度比2.2%増の165億通(個)となった。このうち,小包郵便物は取扱個数が対前年度比6.O%増の1億4千万個となり,5年ぶりの増加となった。
 電気通信については,電報通数が対前年度比6.4%減の4,168万通となったが,電話加入数(加入電話等加入数)が,対前年度末比2.5%増の4,396万加入,ダイヤル通話総通話回数が,対前年度比11.8%増の570億回となった。
 また,近年,データ通信やファクシミリ通信は著しい進展を示しており,データ通信回線数が対前年度末比31.1%増の29万2千回線,電話網及びファクシミリ通信網利用のファクシミリ設置個数が,対前年度末比50.1%増の73万個と増加した。
 放送については,NHKの放送受信契約数が対前年度末比0.9%増の3,106万契約となった。民間放送においては,ラジオ単営社(FM)5社(1社は中波放送からの転換)が新たに設立され総計129社となった。
 なお,60年4月からは,放送大学学園が関東地方を対象に授業放送を開始した。
 (飛躍的増加を示す国際電話)
 国際通信については,外国郵便物数は横ばい,国際電話取扱数は大幅な増加を示した(第2-2-3図参照)。
 外国郵便については,外国あての物数が対前年度比0.5%増の1億1,666万通(個)となり,一方,外国来の物数が対前年度比3.8%増の1億2,268万通(個)となった。
 国際電気通信については,国際電報取扱数は対前年度比14.0%減の185万通となり,国際テレックス取扱数は,対前年度比5.0%増の5,210万度となった。また,近年,著しく増加している国際電話取扱数は,対前年度比38.5%増の6,890万度となった。
 国際放送については,59年4月から,放送時間が3時間延長され,1日延べ40時間となったほか,59年4月からガボン共和国のモヤビ送信所を利用して1日6時間の中継放送を開始した。

(2)家計と通信

 (4.5%増となった通信関係支出)
 家計における1世帯当たり年間の通信関係支出(郵便料,電報・電話料及び放送受信料)は,59年(1〜12月)において7万1,655円で,対前年比4.5%増となり,全消費支出の増加率2.6%を上回った。また,家計における通信関係支出が全消費支出に占める割合は,58年と同様2.2%となった(第2-2-4表参照)。
 通信関係支出の推移をみると,この10年間で2.9倍と増加している。この主な要因は,電報・電話支出の増加である(第2-2-5図参照)。
 また,第2-2-6図は,通信関係支出と全消費支出をそれぞれに対応する消費者物価指数で実質化し,その推移をみたものである。通信関係支出は全消費支出に比較して著しい増加を示している。

(3)情報流通の動向

我が国の情報化の進ちょく状況を正しく把握するためには,メディア自体の普及状況等とともに,これらメディアによって流通する情報の実態についても把握しておく必要がある。
 こうしたことから,郵政省では「情報流通センサス」を実施している。これは,各種のメディアによる情報流通の量を共通の尺度で計量し,情報流通の実態を定量的に把握しようとするものである。
 49年度を基準とした情報流通量等の推移は,第2-2-7図のとおりである。以下,59年度情報流通センサスの算出結果について概観することとする。
 ア.情報流通量
 供給側が受信側に対して消費可能な状態で提供した情報の総量である総供給情報量は,前年度に比べ7.4%増加し,49年度の1.7倍となった。
 メディアグループ別に対前年度比増加率をみると,電気通信系は7.5%,輸送系は1.6%,空間系は0.6%となっている。
 総供給情報量が7.4%という大きな増加率を示したのは,主としてテレビジョン放送の供給情報量の増加によるものである。
 59年度の総供給情報量の構成比については,電気通信系が97.9%,輸送系が1.4%,空間系が0.7%となっており,電気通信系が高い割合を示している。中でもテレビジョン放送の占める割合は高く,総供給情報量の76.4%を占めている。
 一方,実際に消費された情報の総量である総消費情報量は,前年度に比べ0.8%減少した。
 これをパーソナル・メディアとマス・メディアに分けてみると,パーソナル・メディアは対前年度比1.O%増,マス・メディアは同1.3%減となっている。
 59年度の総消費情報量の構成比については,電気通信系が60.8%,空間系が37.2%,輸送系が2.0%となっている。総供給情報量の構成比と比べて,空間系の占める割合が大きくなっている。
イ.情報消費率の推移
 供給された情報のうち,どの程度の情報が実際に消費されたかを示す情報消費率(総消費情報量÷総供給情報量)については,総供給情報量の増加率が総消費情報量の増加率より大きいことから,年々減少する傾向にある。59年度の情報消費率は,前年度に比べ0.5ポイント低下し,6.0%となった(第2-2-8図参照)。
 これは,総供給情報量及び総消費情報量に占める割合の大きいテレビジョン放送が比較的大きな供給情報量の伸びを示した一方,消費情報量を若干減少させたことが主な原因である。
 ウ.情報流通距離量
 総情報流通距離量(消費情報量×流通距離)は,前年度に比べ1.6%減少した。
 59年度の総情報流通距離量の構成比については,電気通信系が82.1%,輸送系が12.1%,空間系が5.8%となっている。
 エ.情報流通コスト
 情報を発信点から受信点まで伝達するために必要な経費の総量である総情報流通コストは,前年度に比べ6.5%増加し,49年度の3.2倍となった。
 59年度の総情報流通コストの構成比については,空間系が71.0%,電気通信系が23.5%,輸送系が5.5%となっている。
 また,1単位の情報量を1単位の距離だけ流通させるのに必要な経費を示す情報流通単位コスト(情報流通コスト÷情報流通距離量)は,前年度に比べ8.2%増加し,49年度の2.6倍となった。

第2-2-2図 国内通信の動向

第2-2-3図 国際通信の動向

第2-2-4表 家計における通信関係支出

第2-2-5図 1世帯当たり年間通信関係支出額の推移

第2-2-6図 1世帯当たり通信関係支出及び全消費支出の推移

第1-1-1図 情報流通量等の推移

第2-2-8図 情報消費率の推移

 

 

第2章第2節 通信サービスの充実 に戻る 2 ニーズにこたえる郵便 に進む