パートタイム労働者の雇用環境の改善推進のために
―「短時間労働者の労働条件の確保等に関する行政評価・監視」結果―
公表資料
平成15年7月31日
総務省関東管区行政評価局
担当: 第一部第2評価監視官
大塚 重美
電話: 048-600-2320 (直通)
通知先: 埼玉労働局
埼玉社会保険事務局
通知予定日: 平成15年7月31日
実施時期: 平成15年4月〜7月
実施の背景事情
- ホテル、結婚式場等季節的に繁閑のある産業の増加、百貨店、スーパーマーケット等の営業時間の長時間化、若年層の就業意識の変化などによりパート・アルバイトが増加
埼玉県内のパート・アルバイト数
平成4年 520千人
平成14年 776千人(49%増)
雇用者に占めるパート・アルバイト割合(平成14年)
雇用者数 3,241千人 うちパート・アルバイト 776千人(23.9%)
- 国は、平成5年、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律を制定
法律に基づき、事業主が講ずべき措置について、適切かつ有効な実施を図るための指針を定め、事業主の自主的な取組みを促進
(注) 短時間労働者: 1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者
- 短時間労働者については、雇入れ時の労働条件の明示の不備、就業規則の未整備など労働条件の確保措置が不十分、労働保険や社会保険への未加入者が多く存在
- この行政評価・監視は、短時間労働者保護の観点から、短時間労働者の労働条件の確保、雇用管理の状況及び労働保険・社会保険の適用の実態を調査し、関係行政の改善に資するために実施
調査対象機関
調査結果の概要
1 雇用管理の改善に関する措置
(1) 労働条件の確保
調査した31事業所の中には、労働条件を文書で明示していない、短時間労働者用就業規則を作成していないなど、厚生労働省が示した指針に定める短時間労働者の労働条件を確保するための措置のいずれかを講じていないものが23事業所ある。
| 事項 |
事業所数 (割合) |
| ア 労働条件を文書で明示していない |
6 事業所 ( 19.4 %) |
| イ 短時間労働者用就業規則を作成していない |
6 事業所 ( 19.4 %) |
| ウ 年次有給休暇の付与実績がない |
6 事業所 ( 19.4 %) |
| エ 解雇予告制度を整備していない |
7 事業所 ( 22.6 %) |
| オ 健康診断を実施していない |
6 事業所 ( 19.4 %) |
| カ 産前及び産後の休業制度を規定していない |
10 事業所 ( 32.2 %) |
| キ 育児休業制度を規定していない |
17 事業所 ( 54.8 %) |
| ク 介護休業制度を規定していない |
19 事業所 ( 61.3 %) |
改善意見
埼玉労働局は、次の措置を講ずる必要がある。
- 法及び指針の内容について、講習会及び関係事業主団体等の会合の機会を積極的に活用し、事業主に対し、周知徹底すること。
- 労働条件に関する文書の交付、就業規則の整備、年次有給休暇の付与等について、定期監督及び集団指導等の機会を活用し、更に指導を徹底すること。
(2) 短時間雇用管理者の選任
事業主は、常時10人以上の短時間労働者を雇用する事業所ごとに短時間労働者の雇用管理の改善等に関する業務を担当する短時間雇用管理者を選任するよう努めることとされているが、該当する25事業所のうち、15事業所が選任していない。これら選任していない15事業所のうち12事業所は、労働条件に関する文書の交付等、指針に定める事項のいずれかを遵守していない。
改善意見
埼玉労働局は、短時間雇用管理者の選任要件に該当する事業所に対する個別指導、関係事業主団体の会合等の機会を積極的に活用し、選任を勧奨すること。
2 労働保険の適用促進
雇用保険の被保険者資格を有する可能性がある短時間労働者(1週間の所定労働時間が20時間以上で、1年以上引き続き雇用されることが見込まれる者)について、資格取得手続をとっていないものが13事業所において認められた。
(単位:人)
| 事業所 No. |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
| 該当者数 a |
480 |
56 |
620 |
6 |
35 |
17 |
19 |
6 |
5 |
12 |
9 |
25 |
9 |
| 適用者数 b |
101 |
33 |
270 |
4 |
7 |
4 |
4 |
0 |
3 |
9 |
5 |
5 |
1 |
| 未適用者数 a-b |
379 |
23 |
350 |
2 |
28 |
13 |
15 |
6 |
2 |
3 |
4 |
20 |
8 |
(注) 該当者は、短時間労働者のうち週所定労働時間が20時間以上の者とした。
改善意見
埼玉労働局は、短時間労働者が適正に雇用保険に加入できるよう、事業主に対し、指導・啓発を更に徹底すること。
3 社会保険の適用促進
社会保険の被保険者資格を有する可能性がある短時間労働者(所定労働時間又は日数が通常の労働者の概ね4分の3以上の者)について、資格取得手続をとっていないものが8事業所において認められた。
(単位:人)
| 事業所 No. |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
| 該当者数 a |
6 |
17 |
3 |
11 |
19 |
12 |
4 |
9 |
| 適用者数 b |
4 |
7 |
0 |
5 |
4 |
2 |
3 |
4 |
| 未適用者数 a-b |
2 |
10 |
3 |
6 |
15 |
10 |
1 |
5 |
(注) 該当者は、短時間労働者のうち週所定労働時間が30時間以上の者とした。
改善意見
埼玉社会保険事務局は、次の措置を講ずる必要がある。
- 算定説明会、事業所に対する調査等において短時間労働者への社会保険適用の励行指導を更に徹底すること。
- 事業所に配置された社会保険委員との連携を強化して、事業主及び従業員に対し、社会保険の必要性、制度の仕組み、資格取得手続等を周知徹底すること。
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