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9 令和3年度決算に基づく健全化判断比率等の状況

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号。以下「地方公共団体財政健全化法」という。)に基づき、健全化判断比率(*)又は資金不足比率(*)が、早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上となった場合には、これらの健全化判断比率等を公表した年度の末日までに、財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならないこととされている。

令和3年度決算に基づく健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数の状況は、第37表のとおりである。団体区分別の合計(純計)は、前年度と同数の市区1団体で、当該団体は財政再生基準以上となっており、新たに早期健全化基準以上となった団体はない。このため、令和3年度に財政健全化計画等を策定した団体はなく、財政再生計画について実施状況報告を行った団体は、市区1団体である。

また、令和3年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は7会計である。

令和3年度決算に基づく健全化判断比率等のそれぞれの状況は、以下のとおりである。

(1)実質赤字比率

実質赤字比率における早期健全化基準については、市区町村は財政規模に応じ11.25%〜15%、道府県は3.75%となっている。また、財政再生基準については、市区町村は20%、道府県は5%となっている。

令和3年度決算において、実質赤字額がある(実質赤字比率が0%超である)団体はない(前年度市区1団体)。

(2)連結実質赤字比率

連結実質赤字比率における早期健全化基準については、市区町村は財政規模に応じ16.25%〜20%、道府県は8.75%となっている。また、財政再生基準については、市区町村は30%、道府県は15%となっている。

令和3年度決算において、連結実質赤字額がある(連結実質赤字比率が0%超である)団体はない(前年度町村1団体)。

(3)実質公債費比率

ア 実質公債費比率の段階別分布状況

実質公債費比率の段階別分布状況は、第74図のとおりである。

実質公債費比率における早期健全化基準については25%、財政再生基準については35%となっている。実質公債費比率が早期健全化基準以上財政再生基準未満である団体はなく、財政再生基準以上である団体数は、市区1団体(構成比0.1%)となっている。

なお、実質公債費比率が18%以上の場合、地方債の発行に総務大臣等の許可が必要となっており、これらの団体数は、財政再生基準以上である団体を含め、都道府県1団体(構成比2.1%)、市区1団体(同0.1%)の合計2団体(同0.1%)となっている。

イ 団体区分別実質公債費比率の状況

団体区分別の実質公債費比率の状況は、第38表のとおりであり、実質公債費比率の平均は、都道府県10.1%、政令指定都市7.1%、市区4.7%、町村7.5%となっている。

また実質公債費比率の推移は第75図のとおりである。

(4)将来負担比率

ア 将来負担比率の段階別分布状況

将来負担比率の段階別分布状況は、第76図のとおりである。

将来負担比率における早期健全化基準については、市区町村(政令指定都市を除く。)は350%、都道府県及び政令指定都市は400%となっており、財政再生基準の設定はない。

将来負担比率が早期健全化基準以上である団体はなく、都道府県においては100%以上200%未満の区分、政令指定都市、市区及び町村においては100%未満の区分における団体数が最も多くなっている。

イ 団体区分別将来負担比率の状況

団体区分別の将来負担比率の状況は、第39表のとおりであり、将来負担比率の平均は、都道府県160.3%、政令指定都市72.8%、市区0.6%となっている。なお、町村においては、充当可能財源等が将来負担額を上回っている。

また、将来負担比率の推移は、第77図のとおりである。

(5)資金不足比率

令和3年度決算において資金不足額がある公営企業会計数を事業種類別にみたものが第40表である。資金不足額がある公営企業会計数は44会計であり、前年度より6会計減少している。このうち資金不足比率が経営健全化基準(20%)以上である公営企業会計数は7会計であり、前年度より3会計減少している。その内訳は、令和3年度決算で新たに経営健全化基準以上となった会計が5会計あり、令和3年度決算で経営健全化基準未満となった会計が8会計ある。

(6)個別団体の財政健全化

令和3年度決算に基づく健全化判断比率が財政再生基準以上の団体は、北海道夕張市の1団体のみとなっている。夕張市では、令和11年度までの財政再生計画に基づき、市民生活に直結したサービスを維持しながら、早期の財政の再生に向けた最大限の取組を行っており、職員数の削減や職員給与の見直しなど、行政のスリム化等による歳出削減と、固定資産税・軽自動車税の超過課税や各種使用料・手数料の引上げなど、住民負担の増加を伴う取組等による歳入確保により、財政状況の改善を図っている。平成29年3月には、引き続き財政の再生を図りつつ、財政再生計画の終了後も持続的に存立・発展していけるよう、地域再生に資する事業の追加等の内容を盛り込んだ、同計画の大幅見直しを行い、同計画に基づき財政再生と地域再生の両立に向けた取組を行っている。

これにより、再生振替特例債の償還等の財政再生に向けた取組は着実に進み、令和2年度決算以降、将来負担比率は早期健全化基準(350%)を下回っている。

また、地域再生への取組として、令和2年3月に支所、図書館、多目的ホール等の機能を持った拠点複合施設が供用を開始し、令和3年4月に認定こども園が開園したほか、市立診療所の移転改築が進められている。

資金不足比率が経営健全化基準以上の公営企業会計について、平成29年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった1会計の公営企業は、平成30年度に経営健全化計画を策定し、資金不足額が減少するよう、収益の増加や経費の節減などの取組を行った結果、公営企業の経営の健全化が完了したため、地方公共団体財政健全化法に基づいて令和4年度中に完了報告を行った。

令和2年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となった10会計のうち、3会計(法適用企業であって繰越欠損金がない2会計及び資金不足比率が経営健全化基準以上の期間が令和2年度限りであった5会計については、経営健全化計画の策定を要しない。)については、経営健全化計画を策定し、同計画に基づいて、収益の増加や経費の節減などの取組を行っている。

令和3年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となったのは7会計であった。既に経営健全化計画を策定済みである2会計を除く5会計のうち、令和4年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となる見込みである会計については、同年度末までに同計画を策定し、経営健全化のための取組を行うこととしている。

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