4 地域の脱炭素化の推進

「地球温暖化対策計画」(令和3年10月22日閣議決定)において、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、我が国の中期目標として、2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこととされたことを踏まえ、地域の脱炭素化を推進していく必要がある。

(1)公共施設等の脱炭素化の推進

「GX実現に向けた基本方針」(令和5年2月10日閣議決定)において、地域脱炭素の基盤となる重点対策(再生可能エネルギーや電動車の導入等)を率先して実施することとされるなど、地方公共団体の役割が拡大したことを踏まえ、公共施設等の脱炭素化の取組を計画的に実施できるよう、令和5年度の地方財政計画の歳出において、新たに「脱炭素化推進事業費」を1,000億円計上し、脱炭素化推進事業債を創設することとしている。対象事業は、公共施設及び公用施設における再生可能エネルギーの導入、ZEB(一定の省エネルギーを図った上で、再生可能エネルギー等の導入により、エネルギー消費量を更に削減した建築物)化、省エネルギー改修の実施及びLED照明の導入並びに電動車等の導入(EV、FCV、PHEV)としている。

あわせて、公営企業の脱炭素化の取組についても、上記の「脱炭素化推進事業費」と同様の事業のほか、新たに、公営企業の特有の取組として、水道事業及び工業用水道事業において実施する小水力発電の導入、下水道事業において実施するバイオガス発電、肥料化施設、リン回収施設、高温焼却施設等の導入並びに交通事業(バス事業)において実施する電動バス等の導入(EV、FCV、PHEV)を対象に、公営企業債(脱炭素化推進事業)を充当できることとしている。

なお、これらの事業期間については、「地球温暖化対策計画」において、令和7年度までを集中期間として、脱炭素を前提とした施策を総動員することとされたことを踏まえ、令和7年度までとしている。

(2)ESG投資の拡大への対応

カーボンニュートラルの達成や地球温暖化対策、持続可能な社会の実現といった世界的な課題への対応が急務となる中、金融市場においては、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)というESGの要素を投資方針上考慮する、いわゆる「ESG投資」が拡大しており、我が国においても、ESG投資に対する投資家の需要が高まっている。

地方公共団体は、地域の脱炭素化に向け一層の取組の実施が期待されていることに加え、風水害や土砂災害の頻発化・激甚化等、気候変動への適応に向けた対応も求められており、その資金調達手段として、SDGs地方債(ESG地方債)*1発行の重要性が高まっている。また、SDGs地方債(ESG地方債)には旺盛な需要が観測され、対国債スプレッドが通常の地方債よりも小さくなる条件での発行も行われており、安定的な資金調達の観点からも、発行が重要となっている。

このような状況を踏まえ、令和5年度から新たに、脱炭素化事業や気候変動への適応事業等に資金使途を限定した債券であるグリーンボンドを、共同発行形式で発行することとしている。共同発行形式とすることにより、単独では発行ロットを確保できない団体もグリーンボンドを発行することが可能となり、また、発行に当たっての事務負担や、外部評価の取得費用等の軽減も期待することができる。こうした取組により、SDGs地方債(ESG地方債)の更なる発行拡大が期待されている。



*1 ここでは、ICMA(国際資本市場協会)により定められた原則等に準拠して発行された地方債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド等)を指している。

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