2 物価高騰への対応

ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇に加え、円安の影響などから、日常生活に密接なエネルギー・食料品等の価格が上昇しており、日本経済を取り巻く環境には厳しさが増している。こうした中、地方公共団体においては、物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施しており、国においても、そうした取組に補正予算の編成や予備費の使用により財政措置を講じてきた。また、地方公共団体の公共施設等における光熱費の高騰や建設事業費の上昇を踏まえた対応も必要となっている。

(1)令和4年度における予備費・補正予算等の対応

原油や穀物等の価格が高い水準で推移し、食料、飼料、肥料原料、化石燃料や半導体原材料等の物資の安定供給が滞り、コロナ禍からの経済社会活動の回復の足取りが大きく阻害されかねない状況を踏まえ、令和4年4月26日に「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和4年4月26日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)が取りまとめられた。これを踏まえ、地方公共団体が、コロナ禍において原油価格や電気・ガス料金を含む物価の高騰の影響を受けた生活者や事業者の負担の軽減を、地域の実情に応じ、きめ細やかに実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に、「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」(0.8兆円)が創設される等の対応がとられた。

また、令和4年9月には、地方公共団体の取組に、より重点的・効果的に活用される仕組みへと見直しを図りつつ、対策を一層強化するため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」(0.6兆円)が創設される等の対応がとられた。

さらに、令和4年10月28日に「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定され、令和4年度補正予算(第2号)において、電気料金及び都市ガス料金の値引き原資の支援を行うための「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(3.1兆円)、燃料油の小売価格急騰の抑制を図るための「燃料油価格激変緩和対策事業」(3.0兆円)等が計上された。

(2)公共施設等に関する対応

令和5年度の地方財政計画においては、学校、福祉施設、図書館、文化施設など地方公共団体の施設の光熱費の高騰を踏まえ、一般行政経費(単独)を700億円増額して計上している。

また、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、緊急防災・減災事業債の津波浸水想定区域からの庁舎移転事業と病院事業債の公立病院等の新設・建替等事業における建築単価の上限を引き上げることとし、いずれも令和4年度事業債から新単価を適用することとしている。

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