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【ICT訪問記】ドローン事業からさらにはIoT・AIにも挑戦 !
ルーチェサーチ株式会社

渡辺社長

  ドローンを使った計測事業で注目されているベンチャー企業、ルーチェサーチ株式会社(広島市安佐南区)。代表取締役社長の渡辺 豊さんに、これまでの取組や将来展望についてお聞きしました。





 

会社設立と、これまでのトピックス

自作ドローン(ラボにて)

自作ドローン(ラボにて)

  調査計測会社で、有人ヘリで計測してデータ処理を行う仕事をしており、有人ヘリ以上のことをやりたいと思い、平成23年(2011年)にドローンを活用した会社を設立した。社員は現在19名。自社開発のドローンを用いた撮影、画像解析による橋梁やダムの構造物点検、写真測量による河川環境調査、砂防調査などの実務業務で年間数千フライトの業務を行っている。
  この機体整備や安全運行などの豊富な専門技術や経験を活かし、機体販売も既に40社以上に納入している。   現在、売り上げの6〜7割が計測事業で、残りは販売事業。新たな事業としてドローンから樹木の下の地形データが取得できるレーザ計測サービスを展開している。自社の強みはドローンからレーザで計測できることであり、この分野ではトップ企業だと自認している。
  記憶に新しい平成26年8月の広島土砂災害調査では、国土交通省の災害協定に基づき、土砂災害でのドローンの機動性・有効性を実証することができ、今後の災害時の情報取得手段として活用が具体的に進められている。この実績により9月には、首相官邸で安倍総理や主要閣僚出席により開催された「ロボット革命実現会議」の席上でのデモンストレーションを行うことができた。
  その他、平成28年(2016年)に第7回ロボット大賞では、災害時でのドローンによるレーザ計測の機動性、有効性を評価いただき、国土交通大臣賞を受賞することができた。受賞後には、レーザ計測の問合せ等かなりの反響があった。

目に見えない電波の難しさ

  平成28年4月の熊本地震では、地震で崩落した地滑り周辺の地割れ等の地表状況を降雨前・後で計測し、捜索活動の安全確認の判断データを提供することができた。しかし、災害現場では、自衛隊や報道ヘリ、国土交通省の通信パラボラアンテナが設置、復旧作業に投入された無人施工重機稼働などで色々な電波が出ていたと思われ、ドローンの送信電波やGPSの受信が不安定になることを経験した。
  また、広島県と東京都の国家戦略特区では、規制緩和による電波法の特例を利用して許可が必要な5GHz帯の周波数を使用した映像伝送装置の実証実験に活用した。利用できる映像伝送の5GHz帯周波数は、GPSや操作用の電波との混信も無く使いやすく、低遅延のため映像操作も問題なかった。
  電波の性質は、ドローンを飛ばす上でネックになることもある。例えば、ドローンを操作する2.4GHz帯や映像伝送の5GHz帯の電波は直進性が強いため、ドローンを目視外へ飛行させると、電波がドローンまで届かない可能性がある。
  今後期待されている目視外の長距離飛行は、セルラー(携帯電話)電波の利用が現実的。これが使えるようになれば、バッテリーの関係でどこまで飛べるかという問題はあるものの、ドローンの活用範囲はさらに広がる。

IoT・AI時代にも取り組む

  ドローンはIoTセンサーとの親和性が高い。ドローンに搭載する各種センサーにより取得できる3次元データからセンサーの位置とともにデータ化すれば、IoTに結びつけられるのではないか。
  AIについては、例えば、ドローンを飛ばしてダムの損傷箇所の調査では、撮影枚数が6000枚〜1万枚にも及ぶ画像データの不要な画像の選別にAIが活用できると思う。また、解析した画像からクラックがどこにあるかを、ある程度AIで自動的に見つけることができれば、さらに省力化できる。

無人走行ロボットの3D設計

無人走行ロボットの3D設計

  この様にドローンで計測・解析するデータの精細度が良くなる一方、取り扱うデータ量も莫大になったため、デジタル3Dデータを扱うのに高性能PCが必要になってきた。熊本地震の解析データは、災害対策本部が使用するPCマシンスペックの問題により、解析データが閲覧できない状況が発生した。そこで、3Dプリンタでジオラマを製作し、プロジェクションマッピングで等高線を投影するなど、今後はAR技術を使ってさらに解りやすい表現にも取り組みたい。
  その他、位置測位の技術を使って、東広島市で農薬散布の実証実験をしているが、GPSの精度がメートル級のため、より正確で高度な散布を行うことが難しい。昨年打ち上げられたみちびき(準天頂衛星)が利用できれば、位置精度の向上が可能になるので、今後期待している。
  ドローンのアプリケーションは、ホビー用と軍事用以外はまだまだ。IoTやAIに通信(電波)をからめながら色々なことに挑戦していきたい。

(平成29年12月21日取材)

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