中国地域におけるIoT/ICT利活用事例 令和5年度下半期掲載分
IoT/ICT利活用は、地域住民サービスの向上や新たなビジネス・雇用の創出等による地域活性化や地域課題の解決を図るために非常に有効であり、近年、急速にあらゆる分野で、その取組が進められています。中国総合通信局では、中国地域におけるこうした取組を全国へ普及・展開することを目的として、中国地域の取組事例を当局HPにてご紹介しています。
地域課題解決のための取組の横展開や取組のヒントとしてご活用ください。
なお、概要資料は各事業主体から提供されているものであり、これらの資料の版権(文責)は、各事業主体にあります。
- 【主な実施主体】農研機構西日本農業研究センター
【実施場所】島根県大田市
【事業概要】
高齢化や人手不足による荒廃農地の増加、飼料価格の高騰等の課題に対し、農研機構西日本農業研究センターは、先端のデジタル・通信技術を取り入れたスマート放牧技術の研究と成果の普及に取り組む。三瓶山西の原共同牧場において、GPSガイダンスによる鶏ふん散布技術、牛の位置看視技術、電気牧柵電圧監視技術等のスマート放牧技術を実施した。その結果、無農薬無化学肥料での放牧期間の延長(182日→230日)や、放牧頭数の増頭(30頭→53頭)を、増員無く2名で管理を実施できた。
【活用技術】LoRa、ICT
※農林水産省「スマート農業実証プロジェクト(課題番号:畜4G2、課題名:荒廃農地の再生による環境保全効果と生産性の高いスマート放牧体系の実証)」(事業主体:農研機構)
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- 【主な実施主体】アイテック阪急阪神株式会社、島根県雲南市
【実施場所】島根県雲南市三刀屋町飯石地区
【事業概要】
アイテック阪急阪神株式会社や島根県雲南市等は、新たな無線通信技術とソリューションを効果的に組み合わせることで、野生鳥獣による人や農作物への被害の抑制に役立てることを目指し実証実験を実施した。
罠や檻等の近くに設置したカメラの画像を遠隔監視できるシステムを構築し、見回り作業の負荷を軽減する。また、予めカメラ画像によって捕獲した有害鳥獣の種別や数を確認できることから、適切な対応人員や捕獲用具の準備が可能となり、初動対応から捕獲までの一連の手順の簡素化が見込める。さらに、AI によるカメラ画像解析を用いて種別を判定し、出没場所等を専用のポータルサイトを通じて市職員や地域住民へ連携する仕組みを構築し、蓄積した情報から有害鳥獣が出没しやすい場所や生息範囲・行動範囲等を予測し、罠や檻等の種類や設置箇所・数量等の検討に利活用することで捕獲効果を高める。
【活用技術】無線通信(Wi-Fi HaLowTM、AI
※令和5年度地域デジタル基盤活用推進事業
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- 【主な実施主体】株式会社マイコンシェルジュ
【実施場所】広島県
【事業概要】
株式会社マイコンシェルジュは、広島県在住の全国通訳案内士や地域通訳案内士など、スキルや資格は有するものの十分な就労機会が無かった潜在的なインバウンド観光人材をネットワーク化し、彼らの活躍機会を創出する為、テレワーク勤務による外国人観光客向けのオンライン観光案内サービス(リモートガイドサービス)をはじめ、多言語による地域の観光情報の発信や、県内の旅行会社と連携する形で県内を周遊する訪日観光商品の造成や海外メディアや旅行会社とのコミュニケーション・サポートを行っている。県内各地域に潜在する観光人材をネットワーク化し、時間や場所に捉われないテレワーカーとして活躍機会を提供することで、課題となっている県内の埋もれた観光地(Hidden Gem)の需要喚起と受け皿の体制構築が可能となり、県内全域のインバウンド観光消費の拡大が期待できる。
【活用技術】ICT
- 【主な実施主体】株式会社パソナJOBHUB、萩市、下関市
【実施場所】山口県萩市、下関市
【事業概要】
山口県内の中山間地域である萩市・下関市(豊北地域)が抱える複数分野にまたがる政策課題について、テレワークを活用し、横断的に解決するモデルを構築するための実証事業を実施。地域の特性に応じて、都市圏の企業から仕事を受注できる仕組みや地域のテレワーカーとなり得るデジタル人材の育成手法等を検証し、モデル化することで、地方部におけるテレワークの普及・定着を促進する。
【活用技術】IT
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- 【主な実施主体】広島大学、東広島市
【実施場所】広島県東広島市、その他
【事業概要】
広島大学は東広島市と連携し、デジタル技術を活用した「新しい公教育」のカリキュラム開発を進めている。市内複数の小学校・中学校をオンラインで結んだ広域交流型オンライン学習を実施し、多様の価値観から社会の課題について話し合う。子どもたちが身近に取り組めるカリキュラムや、運用に必要な設備を考察し、AIが議論をサポートするシステムの導入も見据える。
【活用技術】ICT、AI
※内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」
※第3期課題「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」
※採択事業 「デジタル・シティズンシップ・シティ:公共的対話のための学校」
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- 【主な実施主体】 山口県
【実施場所】 山口県
【事業概要】
山口県は、災害の恐ろしさや事前の備え、とるべき対応について理解と関心を深めてもらうため、AR・VR機器による浸水体験等を中心とした防災体験学習講座を行っており、令和5年度は県内小学校(56校)で実施した。
山口県美祢市の厚保小学校で行われた、AR・VRを活用した防災体験学習では、山口県防災危機管理課の職員3人が講師を務め、児童36人はゴーグル越しに災害の怖さなどを学んだ。ARの浸水体験では、ゴーグルに取り付けられた画面に体育館の床が浸水した様子が映し出され、児童たちは傘を持って障害物に見立てたコーンが床に落ちていないか確認しながら前に進んだ。VRによる地震体験では、児童たちは室内で大きな揺れがあった際に家具が倒れたり、食器が落ちたりする様子を画面上で確認した。
【活用技術】 AR、VR
- 【主な実施主体】 ラグロフ設計工房
【実施場所】 岡山県岡山市北区
【事業概要】
ラグロフ設計工房は、ドローンやデジタル技術を駆使して、長年の勘や経験に頼らない、河川の氾濫対策など、持続可能な防災を目指している。
山ではドローンで尾根や谷を空撮して3次元に補正し、その画像とこれまで蓄積したデータを組み合わせ、崩れる土砂の量や流れを解析し、砂防ダムの最適な位置などを割り出す、砂防ダムの自動設計プログラムを開発した。
川では2台のドローンをつかって川底の地形を正確に把握する技術を編み出した。
デジタル技術の活用で作業時間の短縮や作業員の安全確保を目指す。
【活用技術】ドローン、自動設計、画像解析(リモートセンシング)
- 【主な実施主体】 古河電気工業株式会社、古河産業株式会社、島根県美郷町
【実施場所】 島根県美郷町
【事業概要】
古河電気工業とグループ会社の古河産業は、美郷町と災害時を想定した特殊大型ドローンによる救援物資の長距離運搬に関する実証実験を行なった。
美郷町が位置する中山間地域では、災害時に孤立する恐れがある地域が多く、緊急時を想定し、ドローンを活用した緊急物資の運搬に関する対策を検討。
古河電気工業は2020年11月に美郷町と包括的連携協定を締結し、2022年からは「林業イノベーション実証事業」において、特殊大型ドローンにより苗木や資材を急傾斜地などに運搬する実証実験を実施するなど、ドローンに関する実績や知見を活かして中山間地域の課題解決を支援している。
【活用技術】 ドローン
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- 【主な実施主体】両備バス、中国バス、KDDI
【実施場所】岡山県 、広島県
【事業概要】
両備バス、中国バス、KDDIは、スマートフォンをタッチするだけでバスなどの公共交通機関の運賃を支払えるシステムを、中国地方で初めて試行した。
このシステムでは、事前に専用サイトでクレジットカードを登録し、乗車時にスマートフォンをNFCチップにかざすだけで、車両の位置情報から乗降バス停を自動的に判別して料金を計算・決済することができる。導入コストが安く、乗客にとってもチャージ不要という利便性がある。
【活用技術】
※令和4年度地域公共交通確保維持改善事業費補助金(交通DX・GXによる経営改善支援事業)
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- 【主な実施主体】吉縁起村協議会(農村RMO)
【実施場所】岡山県真庭市
【事業概要】
デジタル技術を活用して食品や日用品、地域の産品などを販売するキャッシュレスの無人店舗「スマートストア」が、西日本の中山間地域で初めて、岡山県真庭市にオープンした。スマホの専用アプリから会員登録し、入口のQRコードを読み取って入店する。商品のバーコードを読み込み、アプリに登録したクレジットカードなどで決済する。アプリの決済機能によるレジ業務の無人化に加え、消費動向など購買データを活用した効率的な品揃え等、最小限の人手で店舗運営の効率化を実現することで、中山間地域での食料品・生活必需品が調達できる、持続可能な生活インフラを提供する。また、市街地域と中山間地域にそれぞれスマートストアを設置し、新たな地域内経済循環ネットワークを形成するため、令和6年度総務省事業「過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業」を活用し、市街地に新たに3店舗展開する計画となっている。
※農村型地域運営組織形成推進事業(農村型地域運営組織モデル形成支援)(農水省)
※過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業(総務省)
※市町村管理構想・地域管理構想策定推進対策事業(国交省)
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- 【主な実施主体】島根県安来市
【実施場所】島根県安来市
【事業概要】
島根県安来市では、2023年秋、島根県eスポーツ連合の協力を得て、eスポーツへの理解促進と関係人口の拡大等を目的とした普及事業としてeスポーツ運動会を開催した。
高齢者の認知機能向上、フレイル(虚弱状態)予防、世代交流にも役立つとeスポーツに着目し、まずは若い年齢層をメインターゲットに実施した。
運動会ではeスポーツの選手が参加した他、eスポーツ部のある立正大淞南高校と益田東高校が対戦するコーナーや、体験コーナー等で小学生以下から60代以上まで楽しんだ。
島根県下の自治体ではeスポーツを高齢者のリテラシー向上等にも活用している。
【活用技術】eスポーツ
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