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災害情報「伝える」から「伝わる」へ
〈災害情報伝達に関するセミナーを岡山市で開催〉

 中国総合通信局(局長:長塩 義樹)は、平成31年2月4日、岡山県岡山市において、中国情報通信懇談会及び中国地方非常通信協議会と共催で「災害情報伝達に関するセミナー」を開催し、地方自治体及び民間企業等から150名の参加がありました。
 このセミナーは、西日本地域に大きな被害をもたらした平成30年7月豪雨災害において、自治体から住民への避難情報の伝達、避難情報に基づく住民の避難行動が適切に行われたかどうかが課題とされたことから、1月17日に広島市で開催したセミナーに引き続き、岡山市で開催したものです。
 本セミナーでは、こうした課題を踏まえ、災害情報伝達に対する意識の向上を目的として、住民が適切な避難行動をとるために情報発信者・伝達者が留意すべき事項等について講演をいただき、豪雨災害時における対応と今後の取り組みについてパネルディスカッションを行いました。また、セミナー会場では、防災・減災をテーマとした機器展示も実施しました。

《セミナーの概要》
  • 基調講演
    「災害情報と災害文化」PDF【3MB】
    講師:関西大学社会安全学部社会安全研究センター長 特別任命教授 河田 惠昭 氏
    要旨
     近年、携帯電話やスマートフォンなど災害情報を伝えるハード面の普及は進みつつあるが、それらは「災害文明」に過ぎない。減災社会の実現のためには、「文明」から「文化」へ成熟する必要がある。つまり、住民が自ら災害情報を取りに行く努力をすること、災害に関する知識と知恵を実際の避難行動に結びつけることが必要であり、これらを「災害文化」として根付かせていくことが重要であると述べられました。

  • 講演
    「地域ICT/IoT実装に向けた総務省の取組〜Lアラートの推進等防災分野における取組を中心に〜」PDF【7MB】
    講師:総務省 情報流通行政局 地域通信振興課長 吉田 正彦
    要旨
     地域IoT実装のための総合支援策、並びに、Lアラート、G空間防災システム、防災に資するWi-Fi環境の整備等、防災分野における総務省の取組についてご紹介しました。

  • パネルディスカッション
    テーマ:「災害情報“伝える”から”伝わる”へ」
    コーディネータ:山陽新聞社 論説主幹 藤原 健史 氏
    パネリスト
    関西大学社会安全学部社会安全研究センター長 特別任命教授 河田 惠昭 氏
    岡山県総社市 副市長 田中 博 氏
    NHK岡山放送局 放送部長 名越 章浩 氏
    株式会社NTTドコモ中国支社 災害対策室長 藤井 数馬 氏
    総務省 情報流通行政局 地域通信振興課長 吉田 正彦
    要旨
     パネリストとして登壇した5名の皆様から、今回の災害における情報発信や情報伝達の実際の取組みを発災前、発災中及び発災後の各段階に分けて振り返っていただきました。
     総社市 田中様からは、発災前の取組として、受援力を高めるために職員を日頃から他県の被災地へ派遣していること、今回の災害では昨年2月に総社市内に開局したコミュニティFMの中継局がきめ細やかな災害情報の発信に役立ったことなどの報告がありました。発災中は、ICTの活用も含めて複数の情報伝達手段を活用して情報を発信し、特に市長がツイッターによって水位情報等を伝えたところフォロワーが約7,000件から約30,000件にまで急増したこと、ボランティアを志願した地元の中・高校生へのSNSによる呼びかけで翌朝には約1,200人ものボランティアが市庁舎前に集まったとの報告がありました。
     NHK岡山放送局 名越様からは、テレビ画面に逆L字型の字幕表示により災害規模の大きさを視覚的に伝え、同局としては初めて降雨レーダー画像とニュースのサブタイトル文字の同時表示に取り組むなど、視聴者へ伝わる工夫について報告がありました。発災後は、仮設トイレ設置やゴミ収集に関する情報などきめ細やかな被災者支援情報をLアラート情報も活用しつつ字幕表示したこと、逆L字型の領域にNHK岡山放送局ホームページの詳細情報へリンクするQRコードを表示させるなど多様な視聴者ニーズに対応したこと、こうした字幕表示の取組はその後の台風情報にも活かされたことなどの報告がありました。
     NTTドコモ中国 藤井様からは、通信事業者の立場から、自治体の緊急速報メール、いわゆるエリアメールなどの発出に備え平時から確実な通信確保に尽力していること、この災害による被害基地局をオペレーションルームからの遠隔操作により隣接基地局や可搬型基地局によってカバーしたことなどの事例が発表されました。この他、自衛隊、消防及び市町村に約1,200台の携帯電話端末等を貸与したこと、避難場所にWi-Fiルータやマルチ充電器を無償設置したことなどが紹介されました。
     総務省 吉田課長からは、利用者視点での情報伝達が重要であること、命を守る情報伝達はその手段の多重化かつ多様化が望ましいこと、スマートフォンの普及によりSNSを活用した災害情報の伝達が重要な役割を果たしていることなどの発言がありました。
     関西大学 河田特別任命教授からは、災害時には各主体が平時から取り組んでいる範囲を超える対応はできない。それらの延長線上で、各主体が得意分野といえる情報を十分に活用して災害対応にあたることが重要とのお話しがありました。

  • 防災・減災をテーマとした機器展示(敬称略)
    アイコム(株)、(一財)移動無線センター様、(株)NTTドコモ中国支社、西日本電信電話(株)岡山支店、(株)TD衛星通信システム、TOA(株)、(株)エフエムくらしき、(株)日立国際電気、富士通(株)、(株)富士通ゼネラル、(株)藤山電気工学社、マスプロ電工株式会社・JM・Japan合同会社、中国総合通信局の計14社・団体の出展がありました。

 中国総合通信局では、今後もこうしたセミナー等の開催を通じて、防災に対する意識の高揚と知識の向上を図る機会の提供に努めて参ります。

開会挨拶 中国総合通信局 局長 長塩 義樹

開会挨拶
中国総合通信局 局長 長塩 義樹

基調講演 関西大学社会安全学部社会安全研究センター長 特別任命教授 河田 惠昭 氏

基調講演
関西大学社会安全学部社会安全研究センター長
特別任命教授 河田 惠昭 氏

講演 総務省 情報流通行政局 地域通信振興課長 吉田 正彦

講演 総務省 情報流通行政局
地域通信振興課長 吉田 正彦

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子

セミナーの様子

セミナーの様子

機器展示の様子

機器展示の様子

閉会挨拶 中国情報通信懇談会 電波利用促進部会長 齋 礼(広島国際大学 総合リハビリテーション学部 教授)

閉会挨拶 中国情報通信懇談会
電波利用促進部会長 齋 礼
(広島国際大学 総合リハビリテーション学部 教授)

連絡先
 総務部 防災対策推進室/電話:082-222-3398
 無線通信部 企画調整課/電話:082-222-3358

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