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【ICT訪問記】サテライトオフィス「住吉町の家 分福」でテレワーク推進!
〈一般社団法人高梁川プレゼンターレ〉

 倉敷市内で、サテライトオフィスを運営されている一般社団法人高梁川プレゼンターレ代表理事の坂ノ上 博史(さかのうえ ひろし)さんから、サテライトオフィス「住吉町の家 分福」の利用状況、今後の展開等について、お話を伺いました。
代表理事 坂ノ上 博史さん

代表理事 坂ノ上 博史さん


 会社員だった30代の時にワーキングホリデーで海外へ行き、まだ「テレワーク」が一般的ではなかった時代に、海外にいながらテレワークを実践した経験がある。
 地方創生と言われつつも、東京への一極集中が進むなか、子育て中の方や個人ワーカー、IT経験者など、地域の人たちと連携しながら、サテライトオフィスの運営に取り組んでいる。
 倉敷の中にも色々なコミュニティがあり、それぞれのコミュニティをつなげていくのが、この場所の役割。単なる貸しスペースの提供ではなく、つながりが生まれることが面白い。
 まだ「テレワークで仕事が本当にできるのか」という考え方が多いなか、テレワークの仕事づくりの実践を通して、サテライトオフィスの利用を積極的に推進していきたい。

●サテライトオフィス「住吉町の家 分福」の概要

・平成30年3月オープン
・所在地は、倉敷市内、倉敷駅前から徒歩10分、倉敷美観地区に隣接。 
・大正時代に建設された古民家を利活用した「倉敷らしい」テレワーク拠点を整備。

 
「住吉町の家 分福」の外観

「住吉町の家 分福」の外観

【活用した補助事業】
 総務省「平成29年度ふるさとテレワーク推進事業」
【関連事業】
 倉敷市「テレワークで紡ぐデータキャピタル事業」(高梁川プレゼンターレが受託)
●利用者の状況
 ・オープン以来の利用者数は、延べ2,115名(2018年3月〜2019年3月まで) 月平均163名の方が利用されている。
  ・4〜5名が日常的に活用。10〜30名程度の会議等が週1〜2回程度開催。

●使われ方の実際
1 首都圏企業のサテライトオフィス
  ・古民家の雰囲気を活かした開発拠点として、東京本社スタッフが交代で勤務。
  ・首都圏で生まれた価値と「その土地ならではの価値」を、それぞれが凝縮して、交換する。
 ・地元企業との連携、地元アーティストへの刺激にもなっている。
ジャイアントペーパーフラワー

 

※後ろの花の装飾は、入居企業のアーティストが「ジャイアントペーパーフラワープロジェクト」により制作したもの。この他にも、ドローンによる離島物流などを検討する「ドローンプロジェクト」など、様々なプロジェクトを立ち上げている。
 
2 地元ワーカーのコワーキングスペース
 ・スキルを持った人材(すでにテレワークを実践している人、拠点を求めている人)が利用している。
 ・IT未経験の新たに仕事を始めたい人材も拠点として利用。コワーキングには、すでに75名の方が登録している。
 ・チラシの作成を地元の企業に依頼するなど、プロジェクトの地産地消により岡山・倉敷の地域経済に貢献している。
会議室1

会議室1

会議室2

会議室2

プレゼンテーションルーム、コワーキングスペース

プレゼンテーションルーム、
コワーキングスペース


※会議室等の机・椅子は、地元の素材を使ったオリジナル家具を使用している。
 
3 災害対応
 ・昨年7月の西日本豪雨の際に、NPOやボランティア等復興支援団体の拠点となった。
 ・災害時ということで無料で開放し、時間外も利用可能とするなど、フレキシブルな対応に徹した。こうしたフレキシブルに対応できるのは民間で運営している強みだと感じる。

●利用者の声
【ウェブメディア「倉敷とことこ」代表 戸井 健吾(とい けんご)さん】
 サテライトオフィス「住吉町の家 分福」の利用者である戸井さんから、お話しを伺いました。
 昨年7月の西日本豪雨後、システムエンジニアとしての経験を活かし、IT、ブログで災害復興の役に立てることはないかと考え、webメディアによる美観地区の観光活性化と被災地の情報発信を行っておられます。
 サテライトオフィスは、会社と違い、堅苦しくはなく、楽しく仕事ができる雰囲気があり気持ちよく仕事ができるため利用しているそうです。
 
サテライトオフィス利用者 戸井 健吾さん

サテライトオフィス利用者 戸井 健吾さん

Q:コワーキングスペースとしてサテライトオフィスを選ぶ理由は?
A:仕事という体裁で行っており、オープンでは話せない案件もあるので、カフェなどのオープンな場所よりもクローズな場所もあるサテライトオフィスの方がより良いと考えている。
 
Q:「住吉町の家 分福」の良いところは?
A:単に場所であれば、倉敷に限らず、岡山など、いくらでもあるが、ここは、色々な人がいる。一見、関係ない人たちが集まっているが、広がりがある。ほとんど知らない人たちと、ビジネス交流会のような感じで新しいことを始めるきっかけを作ることができる。
 メールやwebのやり取りだけではなく、実際に人と接する場所として、是非、「住吉町の家 分福」にお越しください。
 
●新しい働き方
 個人ワーカーの働き方支援として、不登校、引きこもり傾向にある若者の就業体験を行っている。
 また、オンラインメディアのライターや、ドローンのオペレーター、eスポーツの高校生プロゲーマーなど、様々な新しい働き方(職業)の紹介を行い、周知を図っている。
 
●今後の展開
 施設のPRとして、イベント開催、SNSの活用強化を行っている。
 また、集客を増やすため、カフェやランチの提供も始めている。
 今後、高梁川流域7市3町の「はたらき方」改革の推進、関係人口創出・拡大に向けて地元の美術館等との連携も視野に入れた長期滞在の外国人観光客向けのコワーキングスペースの提供、障害者雇用のサテライトオフィス勤務推進など、「住吉町の家 分福」の更なる活用を検討している。
 
●ウェブサイト
・サテライトオフィス&コワーキングスペース 住吉町の家 分福
 https://bunbuku.org/  
 
 
【編集後記】
 サテライトオフィス「住吉町の家 分福」は、倉敷で象徴的な美観地区のすぐ側にあり、古い町並みと溶け込んだ古民家を利用した、ノスタルジックな雰囲気のある落ち着いた場所でした。
 テレワーク拠点を利活用することで人と仕事の流れを創出するとともに、地域住民の働き方改革や地域の活性化に貢献されている様子を拝見することができました。
 中国総合通信局では、この倉敷におけるテレワークの取組の優良事例を、岡山県下をはじめ、中国地域各県への横展開することをサポートしてまいります。
 
(令和元年7月5日取材)

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