中国総合通信局(局長:梅村 研)は、令和7年2月26日、中国経済産業局、中国情報通信懇談会及び中国地域サイバーセキュリティ連絡会※(以下「連絡会」という。)との共催で、連絡会の構成員等を対象とした「中国地域サイバーセキュリティ連絡会交流セミナー」(以下「交流セミナー」という。)を広島YMCA国際文化センター(広島市中区)で開催し、39名の参加がありました。
※: 中国総合通信局と中国経済産業局が共同事務局となって令和2年10月に設立。令和5年12月現在、中国地方の90機関、2有識者で構成。中国管内にある各県のサイバーセキュリティ協議会等と連携し、セキュリティ情報の共有や、セミナーの開催などを通じて、人材育成・普及活動に取組んでいる。(
https://www.soumu.go.jp/main_content/000975824.pdf
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今回の交流セミナーは、連絡会の構成員相互の交流を通じ、「共助」が推進されるよう、名刺交換などが可能となる「対面」のみで開催しました。
また、講師への質問については、当日、会場のほか、あらかじめ、構成員から受け付けた質問についても座談会の中で答えるスタイルとし、より有意義な交流セミナーとなるよう工夫しました。
その結果、今回の交流セミナーは、参加者と講師や、参加者同士においても、積極的なコミュニケーションを図ることができました。
交流セミナー終了後に行った参加者へのアンケートでは、「システムの洗い出しと事業継続のための情報共有を早めに行いたい」、「BCP(事業継続計画)の策定に活かしていきたい」など、サイバーセキュリティに関する意識やセキュリティレベルの向上に繋がる感想が寄せられた一方で、「人材育成の難しさを実感した」、「基本的なセキュリティ対策が出来ていない」、「地元の企業に高度なセキュリティ対策を相談できる技術者が少ない」といった課題も寄せられました。
交流セミナーのプログラム及び概要は次のとおりです。
講演1 :「事業継続計画とサイバーセキュリティ技術」
講師:国立大学法人広島大学 上席特任学術研究員 特命教授 相原 玲二 氏
概要: 情報システムは、いつでも使用できることが不可欠でありますが、様々な発生事象により稼働停止することがあります。サイバー攻撃に対応した製品やサービスの導入、優秀なセキュリティ技術者の採用だけでは、完璧な防御とはなりません。必要なことは、セキュリティポリシーの改善、利用者等への教育・研修・訓練、攻撃時の方針・手順の策定といった組織的な対応であることを説明しました。
講演2 :「総務省におけるサイバーセキュリティの取組について」
講師:総務省 サイバーセキュリティ統括官室 梅城 崇師 統括補佐
概要: 地域に根付いたセキュリティコミュニティの形成促進などの総務省政策を説明するとともに、情報通信研究機構が実施している対策状況・サイバー攻撃観測・人材育成・脅威の情報分析などを説明しました。また、能動的サイバー防御の動向についても解説しました。
講演3 :「当社の加入者管理システム」
講師:山口ケーブルビジョン株式会社
技術局長 倉田 昌彦 氏
概要: ケーブルテレビ事業を行うために、事業開始からのシステム変遷とインターネット設備の関係性を解説しながら加入者管理システムについて将来の展望を説明しました。また、実際にサイバー攻撃を受けた経験についても説明しました。
座談会 :「地域におけるサイバーセキュリティ対策の在り方について」
モデレーター:広島大学 相原 玲二 氏
パネリスト :総務省 サイバーセキュリティ統括官室 梅城 崇師
山口ケーブルビジョン株式会社 倉田 昌彦 技術局長
概要: 「地域におけるサイバーセキュリティ対策の在り方について」をテーマに、モデレーターと各パネリストの間で、地域の企業や自治体などがサイバーセキュリティ対策を行う上での課題などについて意見交換が行われ、参加者から寄せられたサイバーセキュリティに関する質問や相談などについての回答がありました。
中国総合通信局では、今後も連絡会等と連携し、サイバーセキュリティセミナーや、インシデント対応勉強会等を積極的に開催するとともに、企業の規模やセキュリティ対応の習熟度合いに応じた情報の提供や共有を行うことにより、中国地域におけるサイバーセキュリティの人材育成や対策の推進に取り組んでまいります。(サイバーセキュリティ室)
講演(1):広島大学 相原 玲二 氏
講演(2):総務省 梅城 崇師 統括補佐
講演(3):山口ケーブルビジョン
株式会社 倉田 昌彦 氏
会場の様子