現在、通信や放送に使われている電波は、可視光線(光)と同様に物質の原子を電離させるほどのエネルギーを持っていない電磁波です。
電磁波には、送電線から生じる周波数が低く波の性質がきわめて少ないものから、X線やガンマ線のように周波数がきわめて高く、強いエネルギーを持っているため物質の原子を電離させる作用のあるもの(電離放射線)もあります。
これまで40年以上の研究により、人体が強い電波にさらされると体温が上昇する作用や、周波数が低い場合には体内に起こされた電流が神経を刺激する作用があること、また、電波の強さによる人間の健康への影響が明らかにされています。
このような科学的な知見に基づき、十分な安全率を考慮した基準値(電波防護指針)が策定され、我が国のみならず世界各国で活用されています。この電波防護指針値を満たせば人間の健康への安全性が確保されるというのが国際的な考えとなっています。
わが国の指針については総務大臣の諮問機関である電気通信技術審議会から答申が出されています。
この答申は、動物実験等の結果に基づき、影響が生じる閾値に約50倍の安全率をみて、一般の人々の指針値(一般環境)を定めています。
平成5年度には、答申の指針を踏まえた民間標準規格が策定され、無線局の開設者や工事関係者などのガイドラインとして運用されてきました。