調査結果の概要(企業票A)

企業調査票Aでは、
(1) 統計調査等の報告体制
(2) 統計調査等の報告状況
(3) 国の統計調査についての負担状況
(4) 国の統計調査についての5年前との負担の変化
について、800企業に対してアンケート調査を行い、238企業から回答を得た(回収率29.8%)。回収企業の規模別(資本階層別:10億未満、10億以上30億未満、30億以上100億未満、100億以上)及び業種別(製造業と非製造業)件数はつぎのとおりである。

規模別回収企業数・業種別回収企業数

(注) 企業名無記入のアンケート回答が1件あり、それについては全体集計には含めたが、規模別及び業種別の集計からは外した。

集計結果からみられる傾向は、概ね次のとおりである。

(1) 統計調査等の報告体制:集中して管理する企業と、セクションごとに分散して管理する企業とが合い半ばするするものの、規模や業種による大きな差は見られない。ただし、特に報告体制を用意せずに臨機応変に対応している企業も20〜30%ある。
(2) 統計調査の報告状況:実施機関(国、都道府県、業界団体)ごとの依頼件数は、概ね、30件未満であるが、民間によるものはそれを凌ぎかつ増加傾向にある。国の実施する統計調査は、民間の調査報告とともに大きな負担感を与えている。
(3) 国の統計調査についての負担状況:負担感の大きな要因は「記入時間」及び「調査事項の多さと細かさ」が挙げられ、調査回数や調査目的による負担感は少ない。一方で、似通った調査報告が集中することによる負担感もあり、報告負担には個別の統計調査内容に由来するものと、統計調査全般からくるものとがある(負担感の大きい統計調査―企業活動基本調査、法人企業統計調査)。
(4) 国の統計調査についての5年前との負担の比較:国が実施する統計調査の依頼件数は、個別の増減はあるものの、全体的には大きな変化はない。また、統計調査全般としての負担感には、統計調査数、統計調査間の重複と集中(繁忙期)挙げられており、これには民間を含めて他の実施機関による調査報告との相乗的要因もあろう。

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1 統計調査等の報告体制

 官公庁あるいは業界団体・民間機関からの統計調査や調査報告に対する企業内の報告体制をみると、その多く(おおよそ70%程度)は、特定の部署で集中管理するなり、調査・報告の内容に応じて関連するセクションで管理なりの報告体制を用意している。この両者の割合は合い半ばしており、規模あるいは業種による大きな差はなかった。ただし、20〜30%の企業(とくに資本金10億未満)では、その時の状況に応じて対応している。


(問1)貴社では、官公庁からの統計調査や各種調査・業務報告及び業界団体・民間機関からの各種調査・報告の依頼に対し、どのような報告体制をとっていますか。

調査・報告依頼に対する報告体制(規模別)
                 (注)無回答1件(100億以上)



調査・報告依頼に対する報告体制(業種別)
                 (注)無回答1件(非製造業)



 つぎに、調査・報告に対する担当者数についてみると、対象企業の業種による差はほとんどないものの、規模別には、資本金100億以上の企業では半数近くが5人以上の担当者を置いているのに対して、資本金10億未満の企業では9割以上が4人以下となっている。


(問1-1)貴本社全体での調査・報告に対する担当者数をお答えください。

調査・報告に対する担当者数(規模別)
(注)無回答47件(10億未満:14件、10億以上30億未満:8件、
30億以上100億未満:7件、100億以上:17件)



調査・報告に対する担当者数(業種別)
(注)無回答47件(製造業:31件、非製造業:15件、不明1件


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2 統計調査等の報告状況

 企業への依頼がなされた各種実施機関からの統計調査等を
(1) 国が実施する統計調査
(2) 都道府県・市が実施する統計調査
(3) 国へ報告する業務報告・各種調査
(4) 都道府県・市へ報告する業務報告・各種調査
(5) 日本銀行・国の特殊法人等が行う統計調査・業務報告・各種調査
(6) 業界団体が行う各種調査
(7) シンクタンク、マスコミ、大学等からの各種調査
というカテゴリから、年間依頼件数、5年前からの報告依頼件数の変化、負担の大きい統計調査の種類、についての集計を行った。


(問2)国や都道府県・市町村からの各種調査や業務報告、業界団体からの各種調査、シンクタンク・マスコミ・大学等からの各種調査などについて、報告依頼の件数とその変化、全体的な状況についてお尋ねします。

2-1 年間依頼件数

最近1年間に調査報告等を依頼された件数を、
0〜4件、5件〜9件、10件〜19件、20件〜29件、30件〜39件、40件〜59件、60件〜79件、80件〜99件、100件〜199件、200件〜299件、300件以上
という階層に分類して集計した。企業によっては、業界団体やシンクタンク・マスコミ・大学から100件以上の依頼を受けているが、ほぼ8割以上の企業ではそれぞれの調査実施機関ごとに0件〜29件以内の依頼件数となっている。ちなみに、国が実施する統計調査は次のとおりであった。

国が実施する統計調査

 また、最近1年間に報告等を依頼された件数は、実施機関別・依頼件数別に集計すると次のようになる。これを有効回答(無回答を除く)についてみれば、シンクタンク・マスコミ・大学からの調査を除いては、どの実施機関もほぼ30件未満となっている。


(問2-(1))貴本社が、最近1年間に各機関から報告等を依頼された件数は、およそどれくらいですか。

1年間に報告を依頼された件数

 2-2 5年前との依頼件数の変化

実施機関別に調査報告等の依頼件数を5年前と比較してみると、国や都道府県・市の実施する統計調査については、ほぼ半数が「不変」と回答しており、「増加」及び「減少」の回答もほぼ拮抗していることから、全体としては大きな増減がなかったとみることができよう。これに対して、業界団体やシンクタンク・マスコミ・大学が行う調査では「増加」が「減少」圧倒している。後述(4-4 国の統計調査に対し、負担を感じる理由・程度)するように、依頼件数の多さは報告負担の大きな要因になっている(当該回答は国の調査に係るものであるが、その他の実施機関に係るものでも同様であろう)ことを勘案すると、このことが、調査報告全般に対する負担感を増長しているとも考えられよう。実際、実施機関別の統計調査全般に対する負担感(4-2 国の統計調査全般に対する負担感)では、このシンクタンク・マスコミ・大学からの調査が、国が実施する統計調査とともに他を凌いでいる(後者については、調査事項等に由来する負担感もあり、次章でも詳述する)。


(問2-(2))各機関から依頼される報告等の件数は、5年前と比べて、それぞれどう変化していると思いますか。

各機関からの報告依頼件数の変化


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3 国の統計調査についての負担状況

 国が実施する統計調査(指定統計調査・承認統計調査)に限って、
(1) 負担を感じる理由と負担の程度
(2) 負担感の大きい統計調査
(3) 調査事項数、記入に要する時間、全体的な負担感
についての質問を行いその結果を集計した。


(問6)国が実施する統計調査(指定統計調査・承認統計調査)で個別の調査に係る報告負担についてお尋ねします。


回答企業数は238件であるが、具体的な統計調査名とその負担感に関する質問事項(問6)についての有効回答は137件(1件以上の統計調査名を挙げた回答)であり、そのうち2種類の統計調査名を記入した企業は86件、3種類の統計調査名を記入した企業は46件であった。したがって、ここに挙げられた統計調査名は延べ269件である。


3-1 負担を感じる理由と負担の程度

報告負担の大きい統計調査についての負担の理由と程度をみると、
・ 調査票の記入に時間がかかるから(221件)
・ 調査事項が細かいから(219件)
・ 調査事項が多いから(209件)
という3つの理由が突出している(括弧内は延べ269件のうち、「強くそう思う」と「ややそう思う」とを合計した件数)。
一方で、報告負担とは感じない項目としては、
・ 調査の回数が多いから(134件)
・ 調査の目的がはっきりしないから(113件)
・ 提出期限までの記入期間が短いから(101件)
が挙げられた(括弧内は延べ269件のうち、「そうは思わない」の件数)。


調査事項の数量や記入時間に負担を感じるというこの傾向は、負担のかかる統計調査として挙げられた企業活動基本調査や法人企業統計調査(この2つの統計調査についての個別集計は後述)に対しても強く現れており、これらの理由が統計調査に対する報告負担感の大きな要因となっているようにみえる。



(問6-(2))・・・統計調査に対して負担を感じる理由((ア)〜(コ))について、負担を感じる程度をそれぞれの該当する数字に○をご記入ください。

国の統計調査についての負担の理由と程度
(注)有効回答137件について、負担感のあるものとして記入された269件の統計調査名を対象に集計した(重複あり)。
 

 3-2 負担感の大きい統計調査
負担感の大きい統計調査を3つまで記入してもらい、その延べ件数を集計した。


(問6-(1))最近1年間で、記入に当たり特に負担が大きいと感じられた統計調査を3つ以内で記入してください。

負担の大きい統計調査

上記の表は記入数が5件以上の統計調査であるが、回答のなかには「IT関連」や「統計全般」などのように統計調査全般に対しての負担感を挙げるものも見受けられた。その他、2件以上4件未満の回答のあった統計調査には次のようなものがあった。
企業の土地取得状況等に関する調査、企業買収に関するアンケート建設工事受注統計調査、建設工事施工統計調査、鉱工業投入調査、雇用動向調査、下請事業者との取引に関する調査、就労条件総合調査、商業統計調査、情報サービス業調査、情報処理実態調査、生産・出荷集中度調査、全国貨物純流動調査、通信利用動向調査、特定サービス産業実態調査、日銀短観、年間輸送傾向調査、民間企業設備投資動向調査


このなかで、特に、報告負担を感じるとされた上位二つの統計調査
・ 企業活動基本調査
・ 法人企業統計調査
を対象に、それぞれの負担の理由と程度について集計を行った。
この2つの統計調査についての回答をみると、統計負担を感じる理由としては、調査事項の量と細かさや記入時間が大きく、調査目的や調査期限はそれ程負担感を与える要因にはなってはいない。この点からすると先に挙げた統計調査全般に対する負担感とほぼ同じような結果になっているが、調査の頻度「調査の回数が多いから」については、四半期調査を含む法人企業統計では負担感を与えているのに対して、企業活動基本調査ではそれ程の負担とはなっていない。この集計結果は、国の統計調査全般に対しての負担感(4-4 国の統計調査全般に対して負担を感じる理由)として挙げられた
・ 統計調査数や調査回数が多すぎるから
・ 繁忙期に調査が多く実施されるから
を勘案すると、統計調査に対する個別の負担感と、統計調査全般に対する負担感とでは、“似て非なるもの”といった様相をも呈している。
ちなみに、企業活動基本調査と法人企業統計調査との負担感には次のような特徴がある。
<企業活動基本調査>               <法人企業統計調査>
負担を感じる理由(強くそう思う+ややそう思う)
・調査票の記入に時間がかかるから        調査票の記入に時間がかかるから
・調査事項が細かいから                調査事項が細かいから
・調査事項数が多いから                調査事項が多いから
・結果が会社の業績に役立たないから       調査の回数が多いから
・負担とは感じない理由(そうは思はない)
・調査の回数が多いから                調査結果が還元されていないから
・提出期限までの記入期間が短いから       調査の目的がはっきりしないから



企業活動基本調査

企業活動基本調査に係る負担



法人企業統計調査

法人企業統計調査に係る負担


3-3 調査事項数、記入に要する時間、全体的な負担感

国の実施する統計調査について、
・ 調査1件当たりの調査事項数、
・ 調査1件当たりの記入に要する時間
・ 統計調査全体的としてみた負担感
を、調査頻度が1年未満のもの(月次報告・四半期報告)と1年以上のもの(1年以上の周期報告)とに分けて、それぞれ5年前に比べた変化の程度を集計した。


(問4)・・・国の統計調査について、5年前と比べて、調査事項数、記入に要する時間及び全体的な負担感はどのように変化していると思いますか。


統計調査に対する調査事項数と記入時間については、5年前との比較においては、いずれも「変わらない」との回答が相対的には多く、「増加している」と「減少している」との回答はほぼ拮抗している。調査項目数と記入時間は、先にもみたように(3-1 負担を感じる理由と負担の程度)、報告負担感を与える大きな要因になっているが、これを反映して、統計調査に対する全般的な負担感もこれと同じような傾向を示している。 また、この傾向は、調査頻度が1年未満の統計調査と1年以上のそれとを比べてみても、調査事項数及び記入時間ともに後者が若干上回っているものの、大きな違いはみられない。


(問4(1))調査1件当たりの調査事項数

5年前と比較した国が実施する統計調査における調査1件あたりの調査事項数



(問4(2)調査1件当たりの記入に要する時間

5年前と比較した国が実施する統計調査における調査1件当たりの記入に要する時間



(問4(3))統計調査全体としてみた負担感

5年目と比較した国が実施する統計調査全体としてみた負担感

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4 国の統計調査についての5年前との負担の変化

 国が実施する統計調査について、
・ 統計調査の依頼件数
・ 国の統計調査全般に対する負担感
・ 国の統計調査結果が役立っているか否かの意識
・ 国の統計調査に対し、負担を感じる理由・程度
を集計した。ここで、「統計調査の依頼件数」については5年前と比較を、「国の統計調査全般に対する負担感」については他の実施機関が行う調査報告との比較を行った。

(問2)国や都道府県・市町村からの各種調査や業務報告、業界団体からの各種調査、シンクタンク・マスコミ・大学からの各種調査などについて、報告依頼の件数とその変化、全体的な状況についてお尋ねします。


4-1 統計調査の件数

国が実施する統計調査の依頼件数については、5年前と比較しての変化(増加、不変、減少、不明)をみた。回答の44%は「不変」としているが、「増加」あるいは「減少」とした回答もそれぞれ20%程度あった。ちなみに、他の実施機関が行う調査報告についての依頼件数(2-2 各機関からの報告依頼件数の変化)と比較しても、国の統計調査には全体として大きな増減はみられない。


(問2-(2))[国が実施する統計調査について]依頼される報告等の件数は、5年前と比べて、それぞれどう変化していると思いますか。

国が実施する統計調査依頼件数の変化



4-2 国の統計調査全般に対する負担感

国が実施する統計調査全般に対する負担感は、都道府県・市町村、業界団体などが行う調査報告と比べてかなり大きいものがある。


(問2-(3))国や都道府県・市町村からの各種調査や業務報告、業界団体からの各種調査、シンクタンク・マスコミ・大学からの各種調査などについて、・・・全体として、報告負担が大きいと思われるのはどれですか。(有効回答207件、うち1件は「1番」のみ回答)

負担の大きい統計調査の種類


4-3 国の統計調査結果が役立っているか否かの意識

国の統計調査は、概ね「国には役立っているものの企業や業界には余り役に立っていない」と捉えられている。先にもみたように(3-1 負担を感じる理由と負担の程度)、「調査結果が会社の業務にとって役に立たないから」は報告負担の大きな理由になっている。


(問3)・・・国の統計はどの程度役立っていると思いますか。

国の統計はどの程度役立っていると思うか


4-4 国の統計調査に対し、負担を感じる理由・程度

国の統計調査全般に対して負担を感じる理由として、
・ 繁忙期に調査が多く実施されるから
・ 統計調査数や調査回数が多すぎるから
・ 統計調査間での重複が多いから
・ 行政関係報告と統計調査との重複が多いから
のうちのいずれかを挙げる回答(強く思う+ややそう思う)が全体の60〜80%になっているのに対して、負担とはならない(そうは思わない)理由としては、半数以上が
・ 自社の報告担当者が従前より減少しているから
・ 提出期限までの記入期間がみじかいから
を挙げている。
このことは、個別の統計調査に対する調査項目の量や細かさに由来する負担感もさることながら、繁忙期に似かよった調査項目を含む大量の統計調査を受け取ることも、統計調査全般に対する負担感を増大させている大きな要因になっているとみることもできよう。



(問5)国の統計調査全般について負担を感じる理由((1)から(6))について、負担を感じる程度をそれぞれの該当する数字に○をご記入ください。

国の統計調査全般に対して負担を感じる理由

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