統計法(平成19年法律第53号)の主なポイントは以下のとおりです。
統計法の目的は、公的統計(※)の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することとなっています(第1条)。
公的統計は行政利用だけではなく、社会全体で利用される情報基盤として位置付けられています。
公的統計には、体系的に整備すること、適切かつ合理的な方法により作成すること、中立性・信頼性を確保すること、容易に入手できるように提供すること、被調査者の秘密を保護することなどの基本理念があり、行政機関等はこの基本理念にのっとって公的統計を作成する責務があります(第3条、第3条の2)。
※国の行政機関・地方公共団体などが作成する統計を言います。統計調査により作成される統計(調査統計)のほか、業務データを集計することにより作成される統計(いわゆる「業務統計」)や他の統計を加工することにより作成される統計(加工統計)についても公的統計に該当します。
国は、予算・人員に限りがある中で公的統計を体系的・効率的に整備するため、統計法で「公的統計の整備に関する基本的な計画」(おおむね5年にわたる具体的な取組の工程表)を作成することが定められています(第4条)。この「公的統計の整備に関する基本的な計画」は、統計委員会の調査審議やパブリックコメントなどを経て、閣議により決定することとなっています。
国勢統計、国民経済計算その他国の行政機関が作成する統計のうち総務大臣が指定する特に重要な統計を「基幹統計」として位置付け、この基幹統計を中心として公的統計の体系的整備を図ることとしています。
国の行政機関が行う統計調査については、調査間の重複を排除して被調査者の負担を軽減し、公的統計を体系的に整備する観点から、総務大臣が統計調査の審査・調整を行います(第9条〜第11条、第19条〜第21条)。
統計調査は、統計の作成を目的として、個人又は法人その他の団体に対し事実の報告を求めるものです。国の行政機関が行う統計調査は、「基幹統計」を作成するために行われる「基幹統計調査」と、 それ以外の「一般統計調査」とに分けられます。なお、統計調査には、意見・意識など、事実に該当しない項目を調査する世論調査などは含まれません。
国勢調査などの基幹統計調査は、公的統計の中核となる基幹統計を作成するための特に重要な統計調査であり、正確な統計を作成する必要性が特に高いことなどを踏まえ、例えば以下のような、一般統計調査にはない特別な規定が定められています。
公的統計の統一性又は総合性を確保するための技術的な基準として、総務大臣が日本標準産業分類などの「統計基準」を設定しています(第28条)。
統計調査によって集められた情報(調査票情報と言います。)は、本来その目的である統計作成以外の目的のために利用・提供してはならないものですが(第40条)、統計法の特別の定めとして、統計の研究や教育など公益に資するために使用される場合に限り、二次的に利用することが可能です。二次的な利用方法として、その利用目的等に応じて、調査票情報の提供(第33条、第33条の2)、オーダーメード集計(第34条)、匿名データの提供(第36条)があります。
詳細については、「公的統計調査の調査票情報等の学術研究等への活用」についてのページを御覧ください。
調査票情報等の取扱いに従事する職員等や当該事務の受託者等には、その情報に関する適正管理義務や業務に関して知り得た被調査者の秘密を漏らしてはならないという守秘義務があり(第39条、第41条〜第43条)、これに違反した者に対して、罰則が定められています(第57条、第59条、第61条)。
統計法に基づいて、13名以内の学識経験者によって構成する統計委員会が設置されています。
統計委員会は、統計に関する基本的事項、基本計画の案、基幹統計調査の変更など統計法に定める事項に関する調査審議を行うこと、基本計画の実施状況に関し総務大臣等に勧告すること、関係大臣に必要な意見を述べることなど、公的統計において重要な役割を果たしています。また、統計委員会委員等を補佐するため、国の行政機関の職員を幹事に任命しています。
詳細については、統計委員会のホームページを御覧ください。
統計法の適正な運用を確保するため、総務大臣は、毎年度、統計法の施行の状況を取りまとめ、その概要を公表するとともに統計委員会に報告することとされています(第55条)。