調査結果の概要(企業票C)

世帯票Cでは、
・ 社会指標や経済指標に対する関心度
・ 国の統計調査に対する信頼度
・ 実施者別の統計調査への協力度
・ 国の統計調査に対する意見
・ 国の統計調査に協力できる報告時間
・ 最近3年間の国、地方、民間調査機関等からの調査依頼状況
について、800世帯に対してアンケート調査を行い、243世帯から回答を得た(30.4%)。その回答者の男女別(男性、女性)及び年齢階層別(20〜29歳、30〜39歳、40〜49歳、50〜59歳、60〜69歳、70歳以上)の人数はつぎのとおりである。

男女別・年齢別アンケート調査
(注)回答世帯243件のうち男女別不明が1件あったため、男女別集計についてはこの回答を除いて集計した。
アンケート調査票の集計・分析結果は、概ね次ぎのとおりである。
(1) 社会指標や経済指標に対する関心度:高年齢層は消費者物価指数、経済成長率、内閣支持率に、若年層は株価、為替レートに高い関心度をしめしている。
(2) 国の統計調査に対する信頼度:国の統計調査は総じて信頼度が高い。また社会経済指標に対する関心度と信頼度との間には相関があるようにみえる。
(3) 実施者別の統計調査への協力度:統計調査への協力度については国→地方公共団体→民間の順となっているが、調査項目ごとの相対的な協力度については実施者による大きな差はない。協力度の高い調査項目は性別や年齢、低い項目は収入や電話番号。
(4) 国の統計調査に対する意見:統計調査に係る「個人の秘密の保護」、「生活のなかでの有用性」、「行政への反映」については必ずしも肯定的ではない。
(5) 国の統計調査に協力できる報告時間:回答者のほぼ60%が10分以下を、ほぼ95%が30分以下としており、記入時間が報告負担の大きな要因になっていることが窺える。
(6) 最近3年間の国、地方、民間調査機関等からの調査依頼状況:実施者が国と都道府県の場合は男性が、それ以外は女性が報告者となっていることが多い。
(*)国の統計調査に協力しない理由:記入時間より「個人の秘密保護」を重視している。

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1 社会指標や経済指標に対する関心度

 社会や経済に係る指標として
(1) 消費者物価指数
(2) 失業率
(3) 人口・出生率
(4) 株価
(5) 為替レート
(6) 経済成長率
(7) 内閣支持率
を取りあげ、その関心度(大いに関心がある、ある程度関心がある、あまり関心がない、全く関心がない、わからない)を男女別及び年齢別に集計した。

上記7つの指標については総じて高い関心(およそ70%以上)を示しているが、なかでも失業率、人口・出生率、消費者物価指数に対しては80%を超える関心度となっている。


(問1)あなたは、新聞やテレビなどで報道される次のような社会や経済の指標に、どの程度関心をお持ちですか。

社会・経済の指標に対する関心の程度

それぞれの指標についての、男女別及び年齢別の集計結果はつぎのとおりである。ただし、男女別集計については、男性191人に対して女性51人と集団の大きさに差があることも考慮しておく必要があろう。


・ 男女別にみた関心度
男女間で差が認められる指標は、株価、為替レート、経済成長率であり、いずれも男性の関心度が女性の関心度を上回っている。一方、社会・経済指標に対しては総じて男性の関心度が高いなかで、人口・出生率だけは女性の関心度が男性を上回っている。

・ 年齢別にみた関心度
社会・経済指標に対する年齢別の関心度は、指標によってそれぞれの特徴がみられる。高年齢層の関心度が若年齢層を上回っている指標は、消費者物価指数、経済成長率、内閣支持率であり、若年齢層の関心度が高年齢層を上回っている指標は、株価、為替レートである。また総じて関心が高いなかで、失業率は40歳代が、人口・出生率は20歳代と70歳以上が、相対的には、高い関心度を示している。


個別の社会・経済指標についての男女別及び年齢別の集計結果はつぎのとおりである。

(1)消費者物価指数

消費者物価指数(男女別)
消費者物価指数(年齢別)

(2)失業率

失業率(男女別)
失業率(年齢別)

(3)人口・出生率

人口・出生率(男女別)
人口・出生率(年齢別)

(4)株価

株価(男女別)
株価(年齢別)

(5)為替レート

為替レート(男女別)
為替レート(年齢別)

(6)経済成長率

経済成長率(男女別)
経済成長率(年齢別)

(7)内閣支持率

内閣支持率(男女別)
内閣支持率(年齢別)

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2 国の統計調査に対する信頼度

国の統計調査に対する信頼度について
(1) 国勢調査の人口
(2) 将来推計の人口
(3) 消費者物価指数
(4) 経済成長率
(5) 失業率
という5つの社会・経済指標を取り上げ、その程度(非常に信頼できる、ある程度信頼できる、あまり信用できない、全く信用できない、わからない)を集計した。さらに前節でみた「社会・経済指標に対する関心度」とのクロス集計をとることで、社会・経済指標に対する関心度と信頼度の相関をみた。

「国の統計調査に対する信頼度」では、総じてその信頼度は高い(ほぼ60〜90%)が、なかでも国勢調査の人口については90%近くが信頼感(非常に信頼できる+ある程度信頼できる)を持っている。一方で、将来推計の人口については40%近くが不信感(全く信用できない+あまり信用できない)を持っている。


(問2)あなたは、国の統計調査の結果として発表される数字をどの程度信頼できると思いますか。

国の統計調査に対する信頼の度合い

 つぎに、3つの社会・経済指標、消費者物価指数、経済成長率及び失業率について「関心がある(1非常に関心がある、2ある程度関心がある)」という回答に限って、それぞれの信頼度を集計した。それぞれの指数に対する集計の母数(「関心がある」と回答した数)はつぎのとおりである。
・消費者物価指数  199件
・経済成長率    193件
・失業率      212件
この3つの社会・経済指標に限ってみれば、それぞれの指標に関心を持っている人のほぼ70%以上が、国の統計調査としての関連指標を信頼している。

関心のある指標に対する信頼度

 さらに、消費者物価指数、経済成長率及び失業率について「関心がない(3あまり関心がない、4全く関心がない、5わからない)」という回答に限って、それぞれの信頼度を集計した。 ここでは、それぞれ半数以上の回答は、国の統計調査による関連指標に対しても不信感(全く信用できない、あまり信用できない)を持っている。

関心のない指標に対する信頼度

ここでは、国勢調査の人口、将来推計人口、消費者物価指数、経済成長率、失業率といった国の統計調査として発表される指標に対する信頼度を集計し、そのなかで特に、消費者物価指数、経済成長率及び失業率という3つの指標に関心を持っている人について、その関心度と信頼度の関係をみたが、総じて、

・ 関心のある社会・経済指標については国の統計調査による数字に対する信頼感が強く、関心の薄い指標についてはその信頼感も薄い

といった傾向がみられることから、社会・経済指標に対する関心度と、国の統計調査に対する信頼度との間にはある程度の相関があるようにみえる。

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3 実施者別の統計調査への協力度

「実施者別の統計調査への協力度」について、(1)年齢、(2)生年月日、(3)性別、(4)住所、(5)氏名(本人、父、母、子等)、(6)記入者の氏名、(7)記入者の電話番号、(8)国籍又は出生地、(9)最終学歴、(10)本人の職業、(11)勤め先又は自営の事業内容、(12)就業・非就業の別、(13)勤務形態(パートか否かの別)、(14)年間収入(選択方式)、(15)年間収入(実数記入方式)、(16)持ち家・借家の別、(17)住宅の面積・構造など の17調査項目を、統計調査の実施者
・ 国・地方公共団体が直接行う調査の場合
・ 国が民間機関に委託した調査の場合
・ 民間機関(シンクタンク、マスコミ、大学、企業等)が行う調査の場合
ごとに回答(1答える、2できれば答えたくない、3答えたくない、4分からない)してもらい、その結果を集計した。


以上17の調査項目については、総じて、国・地方公共団体が直接行う調査、国が民間機関に委託した調査、民間機関(シンクタンク、マスコミ、大学、企業等)が行う調査、の順にその協力度が減少している。例えば、比較的その協力度の高い「性別」と「年齢」ついてみると「答える」がそれぞれ85%、65%、45%であり、協力度の低い「電話番号」と「年間収入」についても、「答えたくない」と「できれば答えたくない」がそれぞれ70%、80%、85%となっている。
しかしながら、上記17の調査項目ごとにみた協力度の相対的度合いは、実施機関による大きな差はない。


・比較的協力度の高い調査項目
性別、年齢、国籍又は出生地、就業・非就業の別、勤務形態(パートか否か)


・比較的協力度の低い調査項目
年間収入(実数記入方式)、記入者の電話番号、年間収入(選択肢方式)


(問4)あなたは、統計調査への協力を求められた場合、(1)〜(17)の調査項目に回答することについてどう思いますか。

国・地方公共団体が直接行う調査

国が民間機関に委託した調査

民間機関が行う調査

 なお、「実施者別の統計調査への協力度」について、先に挙げた17調査項目ごとの集計は次のようになった。

「年齢」を回答することに対する抵抗感

「生年月日」を回答することに対する抵抗感

「性別」を回答することに対する抵抗感

「住所」を回答することに対する抵抗感

「氏名(本人・父・母・子等)」を回答することに対する抵抗感

「記入者の氏名」を回答することに対する抵抗感

「記入者の電話番号」を回答することに対する抵抗感

「国籍又は出生地」を回答することに対する抵抗感

「最終学歴」を回答することに対する抵抗感

「本人の職業」を回答することに対する抵抗感

「勤め先又は自営の事業内容」を回答することに対する抵抗感

「就業・非就業の別」を回答することに対する抵抗感

「勤務形態」を回答することに対する抵抗感

「年間収入(選択肢方式)」を回答することに対する抵抗感

「年間収入(実数記入方式)」を回答することに対する抵抗感

「持ち家・借家の別」を回答することに対する抵抗感

「住宅の面積・構造等」を回答することに対する抵抗感

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4 国の統計調査に対する意見

 国又は地方公共団体が実施する統計調査について、
・ 個人の秘密が保護されているか
・ 仕事や生活などに役立っているか
・ 行政に反映されているか
というような観点からの意見(賛否)を集計した。その結果、肯定的な回答は、総じて20〜30%にとどまったのに対して、否定的な回答が30〜40%と前者を凌いでいる。


(問4)あなたは、国又は地方公共団体が実施する統計調査に関する次のような意見をどう思いますか。

統計調査に対する意見

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5 国の統計調査に協力できる報告時間

 統計調査に対する報告負担の理由のひとつに報告時間があり、特に企業調査の場合には報告負担の大きな理由(第3章 3-1負担を感じる理由と負担の程度)になっている。もちろん、世帯調査と企業調査とは目的も内容も異なるものであり、一様に論じることはできないが、後述「国の統計調査に協力しない理由」にもあるように、「めんどうだから」と「記入の時間がとれないから」とが報告負担のひとつの要因(世帯調査あるいは個人調査の場合、個人の秘密、目的外使用などに対する不信感の方が大きいが)でもある。
ちなみに、協力できる報告時間としては、回答者のほぼ60%が10分以下と回答しており、95%が30分以下と回答している。


(問5)あなたが、国の統計調査への協力を求められた場合、その調査の回答に要する時間がどれくらいなら協力できると思いますか。

統計調査に協力できる回答時間

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6 最近3年間の国、地方、民間調査機関等からの調査依頼状況

 国、地方、民間機関等からの調査依頼状況をみると、実施者によって多少の差はあるものの、今回の調査対象世帯(あるいは今回の調査に対する報告者―夫または妻)では「依頼されたことがない」が大部分であった。


(問6)あなたは、最近3年間で次の機関から統計調査の依頼を受けたことがありますか依頼件数をお答えください。

調査依頼件数

つぎに、「依頼されたことがある」の回答者について男女別みると、実施者が国と都道府県の場合は男性が、それ以外は女性が依頼経験者(報告者)となっている。

調査依頼経験者の割合



<参考>

次に、国の統計調査について「協力しない主な理由」と「協力が得られるようにするための方策」について質問し、その回答を集計した。

「協力しない理由」については
・ 個人の秘密が知られたくないから
が最も多く、
・ 統計をつくる目的以外にも使われるからおそれがあるから
・ 調査の結果が役に立っていないと思うから
が、それにつづいている。この回答からみる限り、企業調査では報告負担の大きな理由(第3章 国の統計調査についての負担状況)になっていた報告時間は、世帯(個人)調査での報告負担の要因としてはそれほど大きなものではない(もっとも、これは報告負担のなかでの相対的な評価であることにも留意する必要があろう)。



(問7)最近、国の統計調査に協力しない人が増えているといわれています。あなたは、次のうちどれがその原因であると思いますか。

国の統計調査に協力しない主な理由(3つまで複数回答可)



また、「協力が得られるようにする方策」については、
・ 調査の結果を政治・行政に生かされたことをPRする
・ 調査の趣旨や必要性を分かりやすく説明する
を、回答者の80〜90%が挙げている。一方で「協力者に謝礼をする」はほぼ60%程度で、相対的には方策としての評価は低い。


(問8)あなたは、国の統計調査について、協力を得られるようにするための方策として、次の(1)〜(5)のどの程度効果があると思いますか。

国の統計調査に協力が得られるようにするための方策

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