本報告は、平成12年12月8日開催の第579回統計審議会で報告された統計審議会調査技術開発部会における法人企業動向調査、大蔵省景気予測調査、産業経済動向調査及び日銀短観(以下「景気予測調査」という。)に関する検討結果である。 |
〜 検討結果報告書 〜 | |
---|---|
(注)PDF形式で作成された文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。 | |
・表紙、目次、第1章〜第3章、資料編(P1〜P68)(![]() | |
・景気予測調査の調査票・記入の手引等 (P69〜P174) |
検討結果の概要
1 検討のねらい 景気予測調査は、いずれも四半期ごとに実施されており、売上高、経常利益、設備投資等の計数項目に関する前期の実績値、今期の見込値、来期の予測値についての項目と、景況感、在庫水準、価格水準の状況等の判断項目に関する今期の状況、来期の予想についての項目を調査している。 景気予測調査については、調査目的に類似性があり、統計審議会答申「統計行政の新中・長期構想について」においては共通性の高い調査間でのデータリンケージの実施など負担軽減に関する提言が行われており、また、昨今は、GDP推計の基礎資料としての景気予測調査の精度をはじめ、その在り方が注目されてきた。 このような背景の下、統計審議会調査技術開発部会で、景気予測調査について以下の検討を行った。 2 景気予測調査の統計的特性 主な検討事項は以下のとおりである。 (1) 景気予測調査の基本的事項(調査項目、標本設計、実施期日等)の比較・整理
(2) 景気予測調査の計数項目の標本誤差及び予測値と実績値の関係 景気予測調査の予測値の有効性を例1、例2などにより評価した。
(3) 景気予測調査における調査対象企業の重複と補完状況及び重複企業における回答の異同と回答内容の類似性分析
3 景気予測調査の精度向上及び負担軽減に関する課題 以上の検討により、おおむね次のような取りまとめが行われた。 (1) 予測数値の利用と注意点 (ア) 製造業、非製造業の業種区分では、実績値を予測するに当たり、見込値が有効的に利用できる。しかし、標本誤差の面から、現行の調査の標本数は、業種別、規模別については十分とはいえない部分もある。 (イ) 計画値・見込値から、実績値に至るまでの修正状況については、特有の性質があり、予測調査を有効的に活用するために重要である。 (ウ) 景気予測調査における計画値・見込値を実績値の予測に利用するに当たって、当該統計を利用する側においては、予測値は本来的にある程度の不確実性を有するものであることを留意すべきである。 なお、予測に関する統計の作成者は、利用者に対して、このような情報を十分に提供すべきである。 (2) 景気予測調査の精度向上及び負担軽減とその課題 (ア) 景気予測調査は、かなりの調査対象企業の重複が見られるのが現状である。 これらの調査は、計画、見込、実績を把握するという点で目的の同一性があり、結果を相互に比較しても高い類似性がある。 (イ) 景気予測調査の精度は、全産業又は製造業、非製造業で見た場合には確保されているが、業種別や資本金階級などの規模別にみると、必ずしも十分とはいえず、利用に注意を要する場合が多くなる。 (ウ) 一方、報告者負担軽減の観点からは、標本数の増加を回避することが課題である。 そこで、精度向上と標本数の増加の回避を同時に実現する一つの方法として、調査間のデータの共有化が非常に有効と考えられる。 (エ) 調査間のデータの共有化のためには、調査時点、名簿、調査項目の定義、業種分類、企業規模区分等が調整され、集計システムが整備されることが必要である。この場合、可能性としては、いずれかの調査結果を他調査で使用する方法、重複企業については一枚の調査票で両調査を同時実施する方法、さらに調査を一元的に実施する方法等が考えられる。 |
問い合わせ先 | 総務省統計局統計基準部 調査技術担当統計審査官室 |
電話 03−5273−1088(直通) |