平成19年に全面改正された統計法(平成19年法律第53号)に基づき、公的統計の整備に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成21年3月に初めて策定された「公的統計の整備に関する基本的な計画」(以下「第I期基本計画」という。)、さらに、第I期基本計画を変更し、平成26年3月に平成26年度を始期とする「公的統計の整備に関する基本的な計画」(以下「第II期基本計画」という。)を策定し、各種施策の推進が図られてきました。
一方、「統計改革の基本方針」(平成28年12月21日経済財政諮問会議決定)では、経済統計の整備・改善に向けた喫緊の課題の解決や、統計委員会・統計行政部門の強化を進めるため、基本計画を平成29年中に見直し、新たな統計整備方針を確立することとされました。この方針を受けた「統計改革推進会議最終取りまとめ」(平成29年5月19日統計改革推進会議決定。以下「最終取りまとめ」という。)及び「経済財政運営と改革の基本方針2017」(平成29年6月9日閣議決定)においても、GDP統計を軸とした経済統計改善、証拠に基づく政策立案(EBPM)推進体制の構築等の統計改革の推進が示されるなど、統計をめぐる社会経済情勢は大きく変化してきました。
このような状況の下、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報である公的統計が、その役割を十分に果たすためには、統計法の目的や理念を踏まえつつ、新たなニーズや社会経済情勢の変化にも留意しながら、政府一体となって取組を進めることが必要となっています。
このため、統計法第4条第6項の規定に基づき、統計をめぐる社会経済情勢の変化を勘案し、統計委員会の審議を通じた公的統計の整備に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね5年ごとに変更することと規定されている基本計画を1年前倒しで変更し、平成30年度を始期とする「公的統計の整備に関する基本的な計画」(以下「第III期基本計画」という。)を閣議決定しました。
第III期基本計画は、第I期基本計画や第II期基本計画と同様に、本文に取組の経緯や必要性、今後の方向性、継続的な取組事項等を、別表に今後5年間に講ずる具体的な措置・方策、担当府省等を記載しています。
その後、平成31年(2019年)1月に明らかとなった統計業務の不適切事案を発端として、公的統計に対する信頼回復が喫緊の取組として求められることとなりました。これを受け、「公的統計の総合的品質管理を目指した取組について(建議)」(令和元年9月30日統計委員会)や、「統計行政の新生に向けて〜将来にわたって高い品質の統計を提供するために〜」(令和元年12月24日統計改革推進会議統計行政新生部会)の提言を具体化し、新たな取組を確実に実施するため、第III期基本計画の一部の変更を行いました(令和2年6月2日閣議決定)。
総務省は、各府省と連携の上、新たに盛り込まれた取組も含め、引き続き、本計画を着実に推進し、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保に向けて、一層の取組を進めてまいります。
第III期基本計画においては、統計委員会における司令塔機能を強化しつつ、政府一体となって最終取りまとめ等に示された統計改革の実現に取り組むとともに、統計法における重要な目的でもある「公的統計の有用性の確保・向上」に向け、(1)EBPMや統計ニーズへの的確な対応、(2)国民経済計算・経済統計の改善を始めとする府省横断的な統計整備の推進、(3)国際比較可能性や統計相互の整合性の確保・向上、(4)ユーザー視点に立った統計データ等の利活用促進、(5)統計改善の推進に向けた基盤整備・強化の5つの視点に重点を置いた各種施策を取り組みます。
また、令和2年6月2日の本計画の一部変更により、(1)品質確保に向けた取組の強化、(2)統計の重要度に応じたメリハリのある管理、(3)各府省の統計部局による政府内の他組織への広範な支援、(4)専門性を有する人材の確保・育成、(5)職場風土等の確立といった新たな取組を盛り込んでいます。
第III期基本計画の推進状況については、第II期基本計画と同様に、総務大臣が毎年取りまとめて公表するとともに、統計委員会へ報告します。また、社会経済情勢の変化や統計委員会における審議等を踏まえ、おおむね5年ごとに基本計画の見直しを行います。