<事例報告> 「十日町市を有名にし隊(ごったく)」の活動状況
庭野 方資 氏 (財団法人 十日町地域地場産業振興センター 振興事業課 課長補佐)
「十日町市を有名にし隊(ごったく)」は、平成21年度の総務省地域力創造アドバイザー事業をきっかけに地元有志22名が集まった地域おこしグループ。アドバイザーの助言のもと、「十日町市の強みと弱み」、「十日町市のあるべき姿と課題」など、まずは自分たちの住むまちを良く知ろうというところからスタートした。
話し合いを重ねる中で、十日町市は「“こだわり”を持って何かをするまち」だということに気付き、「自然が育んだこだわりのまち」を活性化のキーワードとした。
現在、「ごったく」は「特産品部会」、「広報部会」、「ロケ応援団」の3つで構成されている。新しい特産品としては、これまでに米粉を蒸して作る「ぺたんこあんぼ」、苧麻を粉にして練り込んだ「からむし麺」、「ごったくコロッケ」など郷土食や地域産品を素材に開発した。この開発ではフェスタなどの大試食会を実施して市民の反応を確かめた。また、商品概要の紹介や関わる人の思いだけではなく、消費者にとってどんな購入メリットがあるかということも合わせて説明・発信するようにしている。人を呼ぶために実施しているロケ応援では、今回の沖縄国際映画祭で上映された地域発信型映画「雪の中のしろうさぎ」のサポートを行った。
「ごったく」を立ち上げる際は、商工会、青年会などのメンバーのほか、事務局が「ばか者」を探して呼びかけを行った。ただし、話し合いを重ねる中、やる気のない人、ただ批判的な人は脱落し、やる気がある人のみが自然に残っていった。そして、行政に頼ることなく、活動全てをメンバーで役割分担しており、全員が主体的に動いている。事務局や行政はお互いに連絡を密にして、議事録作成や事務調整など彼らが動きやすい環境づくりや裏方役に徹している。
<パネルトーク・会場質疑>
庭野氏:「強み」、「弱み」については十日町でもいっぱい出したが、どれも強くなかった。たとえば、雪はどこにでもあるし、特産品の着物も京都の方が強い、コシヒカリは隣の六日町が本場など、どれも強くなかった。しかし、コシヒカリを筆頭に非常に“こだわり”を持って何かをやる「まち」だということに気がついた。これが「自然が育んだこだわりのまち」というキャッチコピーにつながり、現在では全ての事業にそのキャッチコピーをつけて展開している。
藤崎氏:原点を見ることと、考え続けること、やり続けることが大事。答えはすぐ出ない。「強み」、「弱み」は考えるきっかけで、「これでいいのかな」と検証してみることが大切だ。特に、多くの人に聞いてみることで最大公約数が見えてくる。その最大公約数は、そんなに的をはずしていない。
あと大切なのは「人を活かすこと」。人にはそれぞれ得意なことがあり、先頭に立ってやりたい人に補助役を頼んでもフラストレーションが溜まるし、サポートに喜びを感じる人にアイデアを出せと言ってもなかなかできない。それぞれの人に適した役割分担=コーチングが大切である。