高橋氏
まず、事前質問のうち講演の中で触れられなかった商店街の問題を考えてみたい。商店街実態調査から商店街が抱える問題をみると、「経営者の高齢化と後継者の不足」、「魅力ある店舗が少ない」など自身の内側に問題があることを商店街の人たちは気付き始めている。たとえば、ショッピングセンターと商店街を比較すると、商店街は閉店時間が店ごとに違い、全体の統一的なコンセプトもないというケースが多い。しかし、高松市の丸亀町商店街ではショッピングセンター的管理をしており、横浜の元町商店街でも協定を結んで運営している。いずれも元気だ。他の商店街もこの方法を思い切って導入しないと変化が起きないのでないか。特に、不動産の所有と経営を分離し、共同事業なども含めて一体的な運営が必要だ。このため、営業者の組織としての商店街組織ではなく、地権者も含めた組織を考え、テナントミックスを考えていく。これは結構難しい話かもしれないが、地域資源を有効に活用する上でも考えていく必要があろう。
有効なプレスリリースの方法については、某通信社の記者によると、まずは編集する記者たちに、新商品や新サービスの概要を分かりやすく文章化して伝えることだという。しかし、多くの場合は消費者向けのパンフレットやチラシを送ってくるのにとどまり、報道記者向けの内容にはなっていないそうだ。地味でも、正確に客観的に信頼できるリリースが第一歩だと言っている。
岸川氏
商店街や地域の活性化には、私は「真剣」という言葉がキーワードだと思う。本当に真剣に活性化したいのか。地面に這いつくばってでもいいから、やる気があるのか。そうゆう真剣度を上げることが大切だ。一番難しいことだと思うが、それができたら、きっと色々な地域は活性化すると思う。これに秘策はない。みんなが真剣になるよう、どうやって仕掛けるか。具体策は、その地域ごとにいろいろあると思う。
地域資源の発掘も真剣に見るかどうかにかかっている。自分たちの街を愛したら、人やモノ、歴史、文化の見方が変わってくるだろう。
人の巻き込み方は、先頭で旗を振るというやり方は難しい。私は、地域の人たちの力をいかに前に出させるか、その人たちの場面を作ってあげられるかにかかっていると思う。
公務員である自分は、一生懸命、地域にこだわり、向き合ってきた。
塩見氏
個店や市民、地域の「X」を真剣に集めていくことが重要ではないかと思う。ユニークな店やスポットがその地域(まちの一角や村の集落)に3つあればマニアックゾーンになる。「マニアック」、これはもっと使っていいキーワードではないかと私は思う。綾部のあるゾーンでは、町家カフェ、薬膳カフェなど3軒ができて発信力が高まった。たくさん作るのは難しいので、まずは「目標3つ」でいいと思う。
また、民俗学者の宮本常一さんは佐渡島で地元の人に農具(生活道具)を1000点くらいじゃなく、1万点集めなさいと地域の人に指示したという。1万点というのはなかなか大変だと思うが、そのくらい思い切ってやることも大事だ。分類すれば、その中からおもしろいものが見つかり、特徴も抽出できるかもしれない。私もそれに倣って、来年、綾部全域で2万個のおもしろいアート(地域資源)を探すというのをやろうと思っている。
すべての人は「X」を持っているという視点で付き合う。みんなから大好きなこと、得意なことなどキーワードを幾つか出してもらい、そこに光を当てたり、新しい組み合わせをつくっていく。そして、地域のやる気も、褒めることがポイントだと思う。