世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Argentine Republic アルゼンチン(最終更新:令和2年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

飽和状態にある移動体通信市場と比べて、アルゼンチンのブロードバンド市場はまだ十分に発展しておらず、成長の余地がある。特にケーブルモデム、光ファイバの利用が顕著に増加しており、2020年6月現在、ブロードバンド加入者の5割強をケーブルモデムが占める。光ファイバは1割超。

アルゼンチンのブロードバンド市場は、テレフォニカ・アルゼンチン(TdA)と、2018年1月にケーブルビジョンとの合併が完了した最大手テレコム・アルゼンチンとの複占状態にある。2020年6月現在、テレコム・アルゼンチンのブロードバンド加入者シェアは4割超、TdAは1割超を占める。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
固定BB加入数(千) 6,856 7,223 7,843 8,474 8,793
固定BB普及率 15.9% 16.6% 17.8% 19.1% 19.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

国内移動体通信市場はこれまで安定した成長を続けてきたが、デフォルト(債務不履行)の危機が深刻化した2013年以降、通信インフラへの設備投資が減少したこともあり市場が縮小した。2015年12月にマクリ政権(当時)が誕生し、アルゼンチン経済の健全化が図られ、移動体通信市場も一時的に持ち直したが、2019年から再び縮小に転じている。

移動体通信市場はここ数年、アメリカ・モビル傘下のクラロ・アルゼンチン、テレフォニカ・アルゼンチン傘下のモビスター・アルゼンチン、テレコム・アルゼンチン傘下のテレコム・パーソナルの3社の寡占状態が続いている。2020年6月現在、3社の加入者シェアは3割前後で拮抗している。

2020年6月末現在、4G(LTE)サービスの加入者は、移動体通信市場全体の約6割を占めている。

5Gサービスは、モビスター・アルゼンチンが2017年11月に国内初の実証実験を行った。同社は2021年から5Gの商用サービスを開始する。2018年4月にはテレコム・パーソナルが5Gサービスの実証実験を行っており、2021~2022年頃の5Gサービス提供を計画している。

移動電話加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
移動電話加入数(千) 61,842 63,720 61,897 58,598 58,606
移動電話普及率 143.6% 146.5% 140.9% 132.1% 130.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

2000年の通信自由化以降も、旧国営通信事業者Entelの資産を引き継いだ既存事業者と呼ばれるテレフォニカ・アルゼンチン(TdA)とテレコム・アルゼンチンの2社で約9割のシェアを占めている。

競合事業者には、約250社からなる地元の小規模な協同組合で構成される公営企業FecotelやFecosurに加えて、アメリカ・モビル傘下の固定通信事業テルメックス・アルゼンチン等がある。

固定電話加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2014年
固定電話加入数(千) 10,073 10,165 9,744 9,764 7,737
固定電話普及率 23.4% 23.4% 22.2% 22.0% 17.3%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

全国向け地上放送は、国営放送RTAが運営するTelevision Publica Argentinaと商業放送の5社(Telefe、El Trece、El Nueve、Net TV、America)が実施している。地上放送のチャンネルはすべて衛星経由で全国のケーブルテレビ事業者に配信されている。

有料放送

国家コミュニケーション機関(ENACOM)によると、2020年6月現在、有料放送契約件数は約968万件、世帯契約率は68.8%である。このうち衛星放送の契約件数は約245万件、世帯契約率は17.5%。ケーブルテレビ契約件数は約722万件、世帯契約率は51.4%である。

アルゼンチンでは歴史的に地上放送よりもケーブルテレビ等の有料放送が優勢であったが、近年の経済危機の影響やOTTサービスの隆盛で、ケーブルテレビ業界の成長は鈍化傾向にある。

重要政策動向

ブロードバンド政策

2010年より「連邦光ファイバ・ネットワーク計画(Red Federal de Fibra Optica:REFEFO)」を実施している。REFEFOが完成した際には、総延長約3万3,000kmに及び、人口の90%をカバーすることが可能となる。2020年11月現在3万1,259kmの光ファイバ回線の敷設が完了した。

2018年7月には、ENACOMはユニバーサル・サービス基金(FFSU)からの資金調達により、REFEFOではカバーできない住民500人未満の市区を含むルーラル地域115か所に無料公共Wi-Fiを提供する計画を承認した。

また、2018年10月より「通信とインターネットの国家計画(Plan Nacional de Telecomunicaciones y Conectividad)」を実施。全国における固定ブロードバンド網の早期構築とLTE網の拡充を主な狙いとして、2019年末までに人口の93%を占める2,790の市町村にLTE網を敷設するほか、インターネット接続料金の低廉化を実現する。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
278万400㎢
人口
4,478万1,150人
首都
ブエノスアイレス
公用語
スペイン語

経済関連データ

通貨単位
1ペソ(ARP)=1.39円(2020年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
445億4,451万USD(2019年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 アルゼンチン・デジタル法、電気通信サービス免許規則
放送 視聴覚コミュニケーション・サービス法

監督機関

通信 公共イノベーション庁、国家コミュニケーション機関
放送 公共イノベーション庁、国家コミュニケーション機関、連邦公共メディア・コンテンツ機構