市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
TRAIによると、2023年3月末現在、固定インターネット・サービスの加入者数は3,394万、モバイル・インターネット・サービスの加入者は8億4,731万である。固定インターネットの回線種別内訳は光ファイバが84.4%、イーサネット/LANが8.4%、DSLが4.1%、ケーブルモデムが2.4%、専用線が0.7%、ダイヤルアップが0.0%となっている。モバイル・インターネットの回線種別内訳は、LTEが93.8%、GPRS/EDGEが4.0%、HSPA/W-CDMAが2.0%、その他が0.1%となっている。事業者の加入者シェアは、リライアンス・ジオ・インフォコム50.8%、バルティ・エアテル30.2%、ボーダフォン・アイデア16.1%、その他3.0%となっている。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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18,170 | 19,157 | 22,950 | 27,560 | 33,500 |
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1.3% | 1.4% | 1.6% | 2.0% | 2.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
2016年秋のリライアンス・ジオ・インフォコムの市場参入により競争が激化し、料金低廉化とともに、事業者の統廃合が進んだ。TRAIは、2017年11月30日に通信省による事業者合併の承認手続の短縮化を勧告、同年11月21日に事業者が保有できる周波数上限の緩和を勧告する等、合併を促進する方向に動いた。2023年3月末現在、移動電話サービスの人口普及率は82.5%、総加入数に占める4Gサービスの比率は65.9%である。事業者の加入者シェアは、リライアンス・ジオ・インフォコム37.6%、バルティ・エアテル32.4%、ボーダフォン・アイデア(Vodafone Idea)20.7%、BSNL 9.1%、その他0.2%となっている。スマートフォンに関しては、サムスン(Samsung)のほか、中国の小米(Xiaomi)、OPPO、vivo等が普及している。2022年10月から、バルティ・エアテル、リライアンス・ジオ・インフォコムが5Gの商用サービスを開始した。バルティ・エアテルはサービス開始後1か月間で加入者が100万を突破したと発表した。
移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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1,176,022 | 1,151,480 | 1,153,710 | 1,154,047 | 1,142,930 |
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85.9% | 83.3% | 82.6% | 82.0% | 80.6% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
国営事業者のBSNLとMTNLのほか、民間事業者バルティ・エアテル(Bharti Airtel)、リライアンス・ジオ・インフォコム(Reliance Jio Infocom)等がサービスを提供している。BSNLは国営事業者で、政府が株式の100%を所有している。MTNLはその姉妹企業で、政府出資比率は56%、デリーとムンバイの大都市において事業を展開している。両社は固定・移動電話、ブロードバンド等を提供する総合通信事業者である。固定電話市場におけるBSNLのシェアは2023年3月末現在、25.0%、以下、バルティ・エアテル25.2%、リライアンス・ジオ・インフォコム32.1%、MTNL8.1%、その他9.6%となっている。
固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
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21,868 | 21,005 | 20,052 | 23,774 | 27,450 |
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1.6% | 1.5% | 1.4% | 1.7% | 1.9% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
ラジオ
1936年の本放送の開始以来、AM放送、FM放送共にAIRが市場を独占してきたが、FM放送に関しては民間参入が認められ、2001年7月にバンガロールで、国内初の商業FM放送事業者ラジオ・シティ(Radio City)がサービスを開始した。
テレビ
商業放送は認められていないため、DDが市場を独占し2チャンネルで放送を行っている。DDは世界最大級の地上テレビ網を有する放送事業者であり、約1,400か所の地上送信施設を保有している。また、1995年3月より国際放送を実施している。
重要政策動向
5G関連政策動向
インド政府は、5Gの迅速な導入のための環境整備を目指している。産官学による5G導入に向けた取組みが進められており、2022年8月に5Gオークションが実施され、10月に5G商用サービスが開始された。
6G関連政策動向
通信省は、2021年12月、第6世代(6G)技術に関する技術革新グループ(TIG)の下に六つの学界主導のタスクフォース(次世代ネットワークのマルチプラットフォーム、周波数政策、学際的な革新的ソリューション、デバイス、研究開発の資金調達、国際標準)を設置した。技術の商業化に重点を置き、研究開発、製造、事前の標準化、市場への対応といったライフサイクル全体を網羅する、との方向性が示されている。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 共和制
- 面積
- 328万7,469㎢
- 人口
- 14億1,717万人
- 首都
- ニュー・デリー
- 公用語
- ヒンディ語(準公用語:英語)
経済関連データ
- 通貨単位
- 1インド・ルピー(INR)=1.81円(2023年9月末)
- 会計年度
- 4月から1年間
- GDP
- 3兆4,166億4,583万USDドル(2022年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 1885年インド電信法、1933年インド無線法、1997年TRAI法 等 |
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放送 | 1885年インド電信法、1990年インド放送協会法 等 |
監督機関
通信 | 電子情報技術省、通信省電気通信局、インド電気通信規制庁 |
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放送 | 情報放送省、インド放送協会、インド電気通信規制庁 |
電波 | 通信省電気通信局 |