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令和3年版
地方財政白書
(令和元年度決算)

2 地方財政の概況

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。

このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「公営事業会計」として区分している。

なお、普通会計決算については、平成23年度から、通常収支分(全体の決算額から東日本大震災分を除いたもの)と東日本大震災分(東日本大震災に係る復旧・復興事業及び全国防災事業に係るもの)を区分して整理している。

(1)決算規模[資料編:第1表第5表第136表第137表

令和元年度の地方公共団体(47都道府県、1,718市町村、23特別区、1,179一部事務組合及び114広域連合(以下一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という。))の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入103兆2,459億円(前年度101兆3,453億円)、歳出99兆7,022億円(同98兆206億円)となっており、前年度と比べると、歳入1.9%増(前年度0.0%増)、歳出1.7%増(同0.0%増)となっている。このうち通常収支分は、歳入101兆1,238億円(前年度98兆9,763億円)、歳出97兆8,969億円(同95兆9,341億円)で、東日本大震災分は、歳入2兆1,221億円(同2兆3,690億円)、歳出1兆8,053億円(同2兆865億円)となっている。

第1表 地方公共団体の決算規模(純計)

歳入のうち、通常収支分については、貸付金元利収入が減少したものの、国庫支出金及び地方税の増加等により、前年度と比べると2.2%増となり、東日本大震災分については、東日本大震災復興関連基金からの繰入金及び国庫支出金の減少等により、前年度と比べると10.4%減となった。また、歳出のうち、通常収支分については、公債費及び貸付金が減少したものの、普通建設事業費及び扶助費の増加等により、前年度と比べると2.0%増となり、東日本大震災分については、普通建設事業費及び災害復旧事業費の減少等により、前年度と比べると13.5%減となった。

また、近年の決算規模の推移は、第7図のとおりである。

第7図 決算規模の推移(純計)

決算規模の状況を団体区分別にみると、第2表のとおりである。都道府県の歳入及び歳出は、東日本大震災分において減少した一方で、通常収支分において増加し、全体として前年度を上回っている。市町村(特別区及び一部事務組合等を含む。特記がある場合を除き、以下同じ。)の歳入及び歳出は、東日本大震災分において減少した一方で、通常収支分において増加し、全体として前年度を上回っている。

第2表 団体区分別決算規模の状況

(2)決算収支[資料編:第7表

ア 実質収支

実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第3表のとおりである。

第3表 実質収支の状況

令和元年度の実質収支は2兆1,595億円の黒字(前年度1兆9,828億円の黒字)であり、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支を団体区分別にみると、都道府県においては7,539億円の黒字(前年度6,036億円の黒字)であり、平成12年度以降黒字となっている。また、市町村においては1兆4,056億円の黒字(前年度1兆3,792億円の黒字)であり、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支が赤字である団体はなく、全団体で実質収支は黒字となっている。

なお、近年の実質収支及び赤字団体の赤字額の推移は、第8図のとおりである。標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率(加重平均により、合計及び市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)の推移は、第9図のとおり、令和元年度の実質収支比率は前年度から0.3ポイント上昇の3.4%となっており、都道府県においては前年度から0.5ポイント上昇の2.6%、市町村においては前年度と同率の4.0%となっている。

第8図 実質収支及び赤字団体の赤字額の推移
第9図 実質収支比率の推移

イ 単年度収支及び実質単年度収支

令和元年度の単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は1,774億円の黒字(前年度549億円の赤字)となっている。

単年度収支を団体区分別にみると、都道府県においては1,503億円の黒字(前年度53億円の黒字)、市町村においては271億円の黒字(同603億円の赤字)となっている。

また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は779億円の黒字(前年度350億円の黒字)となっている。

実質単年度収支を団体区分別にみると、都道府県においては2,652億円の黒字(前年度2,240億円の黒字)、市町村においては1,873億円の赤字(同1,891億円の赤字)となっている。

なお、実質収支、単年度収支及び実質単年度収支の赤字団体数の状況は、第4表のとおりである。

第4表 赤字の団体数の状況

(3)歳入[資料編:第10表

歳入純計決算額は103兆2,459億円で、前年度と比べると1兆9,006億円増加(1.9%増)している。このうち、通常収支分は101兆1,238億円で、前年度と比べると2兆1,475億円増加(2.2%増)しており、東日本大震災分は2兆1,221億円で、前年度と比べると2,469億円減少(10.4%減)している。

歳入の主な内訳をみると、第5表のとおりである。

第5表 歳入純計決算額の状況

地方税は、個人住民税の増加等により、前年度と比べると4,600億円増加(1.1%増)している。

地方譲与税は、地方法人特別譲与税の減少等により、前年度と比べると370億円減少(1.4%減)している。

地方特例交付金等は、幼児教育・保育の無償化に伴う子ども・子育て支援臨時交付金の創設等により、前年度と比べると3,139億円増加(203.3%増)している。

地方交付税は、前年度と比べると1,910億円増加(1.2%増)している。

一般財源は、地方税、地方特例交付金等の増加等により、前年度と比べると9,279億円増加(1.5%増)している。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額は2,195億円増加(0.3%増)している。

国庫支出金は、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づく補助事業、幼児教育・保育の無償化に係る交付金及び学校の緊急重点安全確保対策事業(エアコン設置等)の増加等により、前年度と比べると9,492億円増加(6.4%増)している。

地方債は、臨時財政対策債が減少したものの、防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債の増加等により、前年度と比べると3,621億円増加(3.4%増)している。

歳入純計決算額の構成比の推移は、第10図のとおりである。

第10図 歳入純計決算額の構成比の推移

地方税の構成比は、税源移譲等により、平成19年度には44.2%まで上昇し、その後、景気の悪化や地方法人特別税の創設等に伴って低下していた。平成24年度以降は再び上昇の傾向にあるが、令和元年度においては、国庫支出金の増加等により、前年度と比べると0.3ポイント低下の39.9%となっている。

地方交付税の構成比は、平成13年度以降財源不足額に関して交付税特別会計における借入金による方式に代えて、臨時財政対策債を発行し、基準財政需要額の一部を振り替えることとしたことや、三位一体の改革に伴う地方交付税の改革等により、21年度には16.1%まで低下した。その後、地方財政対策における地方交付税総額の増加等により上昇したが、平成24年度以降は、地方税収の増加等により低下の傾向にあり、令和元年度においては、前年度と比べると0.1ポイント低下の16.2%となっている。

国庫支出金の構成比は、平成15年度以降、三位一体の改革による国庫補助負担金の一般財源化、普通建設事業費支出金の減少等により、19年度には11.3%まで低下し、その後、国の経済対策の実施、東日本大震災への対応の影響等により上昇した。近年は15%前後で推移しており、令和元年度においては、前年度と比べると0.6ポイント上昇の15.3%となっている。

地方債の構成比は、臨時財政対策債の増加等により、平成22年度には13.3%まで上昇したが、近年は臨時財政対策債の減少等により、10%台で推移している。令和元年度においては、前年度と比べると0.1ポイント上昇の10.5%となっている。なお、臨時財政対策債を除いた構成比は、前年度と比べると0.9ポイント上昇の7.4%となっている。

一般財源の構成比は、平成18年度には62.3%まで上昇した後、21年度には53.6%まで低下した。平成26年度以降は上昇の傾向にあり、30年度には59.3%となったが、令和元年度においては、国庫支出金の増加等により、前年度と比べると0.2ポイント低下の59.1%となっている。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額の構成比は、前年度と比べると1.0ポイント低下の62.2%となっている。

歳入決算額の構成比を団体区分別にみると、第11図のとおりである。

第11図 歳入決算額の構成比

都道府県においては、地方税が最も大きな割合(40.7%)を占め、以下、地方交付税(17.0%)、国庫支出金(11.7%)の順となっている。

市町村においても、地方税が最も大きな割合(33.4%)を占め、以下、国庫支出金(16.1%)、地方交付税(13.2%)の順となっている。

(4)歳出

歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

ア 目的別歳出

(ア)目的別歳出[資料編:第34表

地方公共団体の経費は、その行政目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、災害復旧費、公債費等に大別することができる。歳出純計決算額は99兆7,022億円で、前年度と比べると1兆6,816億円増加(1.7%増)している。このうち、通常収支分は97兆8,969億円で、前年度と比べると1兆9,628億円増加(2.0%増)しており、東日本大震災分は1兆8,053億円で、前年度と比べると2,812億円減少(13.5%減)している。

目的別歳出の構成比は、第6表のとおりであり、民生費(26.6%)、教育費(17.6%)、公債費(12.2%)、土木費(12.2%)、総務費(9.7%)の順となっている。

第6表 目的別歳出純計決算額の状況

民生費は、幼児教育・保育の無償化に伴う児童福祉費の増加等により、前年度と比べると8,677億円増加(3.4%増)している。

教育費は、学校の緊急重点安全確保対策事業(エアコン設置等)の増加等により、前年度と比べると6,453億円増加(3.8%増)している。

公債費は、臨時財政対策債元利償還額が増加したものの、建設地方債に係る元利償還額の減少等により、前年度と比べると2,259億円減少(1.8%減)している。

土木費は、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づく普通建設事業の増加等により、前年度と比べると2,468億円増加(2.1%増)している。

総務費は、社会資本整備のための基金積立金の増加等により、前年度と比べると3,840億円増加(4.1%増)している。

目的別歳出の構成比の推移は、第7表のとおりである。民生費の構成比は、社会保障関係費の増加を背景に平成19年度以降最も大きな割合を占めている一方で、公債費の構成比は低下の傾向にある。

第7表 目的別歳出純計決算額の構成比の推移

目的別歳出の構成比を団体区分別にみると、第12図のとおりである。

第12図 目的別歳出決算額の構成比

都道府県においては、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等により、教育費が最も大きな割合(20.6%)を占め、以下、民生費(16.6%)、公債費(13.5%)、土木費(12.0%)、総務費(6.3%)の順となっている。

また、市町村においては、児童福祉、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村)等の社会福祉事務の比重が高いこと等により、民生費が最も大きな割合(36.7%)を占め、以下、教育費(12.6%)、総務費(12.0%)、土木費(10.8%)、公債費(9.3%)の順となっている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第36表

一般財源の目的別歳出に対する充当状況は、第8表のとおりである。

第8表 一般財源の目的別歳出充当状況

一般財源総額(61兆328億円)に占める目的別歳出に対する一般財源充当額の割合をみると、民生費が最も大きな割合(24.7%)を占め、以下、教育費(17.9%)、公債費(16.6%)、総務費(10.8%)、土木費(7.2%)の順となっている。

一般財源充当額の目的別構成比の推移は、第13図のとおりである。近年、民生費充当分が上昇の傾向にある一方で、公債費充当分及び土木費充当分は低下の傾向にある。

第13図 一般財源充当額の目的別構成比の推移

イ 性質別歳出

(ア)性質別歳出[資料編:第73表

地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。

義務的経費は、職員給等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっている。また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。

歳出純計決算額の主な性質別内訳をみると、第9表のとおりである。

第9表 性質別歳出純計決算額の状況

義務的経費は、前年度と比べると4,047億円増加(0.8%増)している。これは、扶助費が、幼児教育・保育の無償化に伴う児童福祉費の増加等により、6,413億円増加(4.5%増)したことによるものである。なお、公債費は、臨時財政対策債元利償還額が増加したものの、建設地方債に係る元利償還額の減少等により、前年度と比べると2,273億円減少(1.8%減)している。

投資的経費は、前年度と比べると6,203億円増加(3.9%増)している。これは、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に基づく補助事業及び学校の緊急重点安全確保対策事業(エアコン設置等)の増加等により、普通建設事業費が6,520億円増加(4.4%増)したこと等によるものである。

また、その他の経費は、前年度と比べると6,566億円増加(2.0%増)している。これは、制度融資の減少等により貸付金が1,907億円減少(5.0%減)した一方で、委託料の増加等により物件費が4,118億円増加(4.3%増)したこと、東京2020大会競技施設の整備に伴う組織委員会への補助及びプレミアム付商品券事業の増加等により補助費等が3,177億円増加(3.4%増)したこと等によるものである。

平成21年度以降のこれらの経費の増減額の推移は、第14図のとおりである。

第14図 義務的経費、投資的経費等の増減額の推移

次に、性質別歳出の構成比の推移は、第15図のとおりである。

第15図 性質別歳出純計決算額の構成比の推移

義務的経費の構成比は、平成19年度には52.1%まで上昇したが、近年は50%前後で推移しており、令和元年度においては、前年度と比べると0.4ポイント低下の49.7%となっている。義務的経費の構成比の内訳をみると、人件費は、平成20年度以降低下の傾向にあり、令和元年度においては前年度と比べると0.4ポイント低下の22.5%となっている。扶助費は、社会保障関係費の増加等により上昇の傾向にあり、令和元年度においては、前年度と比べると0.4ポイント上昇の15.0%となっている。公債費は、平成18年度以降低下の傾向にあり、令和元年度においては、前年度と比べると0.5ポイント低下の12.1%となっている。

投資的経費の構成比は、平成23年度まで低下の傾向にあったが、24年度に上昇に転じ、近年は15%台で推移している。令和元年度においては、普通建設事業費の増加等により、前年度と比べると0.4ポイント上昇の16.5%となっている。

その他の経費の構成比は、補助費等、繰出金の増加等により、平成23年度まで上昇の傾向にあった。平成24年度以降は低下の傾向にあるが、令和元年度においては補助費等の増加等により、前年度と比べると0.1ポイント上昇の33.9%となっている。

性質別歳出決算額の構成比を団体区分別にみると、第16図のとおりである。

第16図 性質別歳出決算額の構成比

人件費の構成比は、都道府県において、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等から、都道府県(25.4%)が市町村(16.7%)を上回っている。また、扶助費の構成比は、市町村において、児童手当の支給、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村)等の社会福祉関係事務が行われていること等から、市町村(23.3%)が都道府県(2.2%)を上回っている。

普通建設事業費のうち、補助事業費の構成比は、都道府県(8.6%)が市町村(6.1%)を上回る一方、単独事業費の構成比は、市町村(7.3%)が都道府県(6.0%)を上回っている。

その他の経費のうち、補助費等の構成比は、都道府県(27.3%)が市町村(7.4%)を上回る一方、繰出金の構成比は、市町村(8.7%)が都道府県(1.7%)を上回っている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第75表

一般財源の性質別歳出に対する充当状況は、第10表のとおりである。

第10表 一般財源の性質別歳出充当状況

一般財源総額(61兆328億円)に占める性質別歳出に対する一般財源充当額の割合をみると、義務的経費が最も大きな割合(54.8%)を占め、以下、その他の経費(36.0%)、投資的経費(4.7%)の順となっている。なお、その他の経費の中では、補助費等が最も大きな割合(11.6%)を占めている。

一般財源充当額の性質別構成比の推移は、第17図のとおりである。

第17図 一般財源充当額の性質別構成比の推移

義務的経費充当分は、平成18年度までは、人件費充当分が低下の傾向にある一方で、扶助費充当分及び公債費充当分が上昇の傾向にあったことから、上昇の傾向にあった。平成21年度以降は、公債費充当分も低下の傾向に転じたことから、全体として低下の傾向にあり、令和元年度においては前年度と比べると0.2ポイント低下の54.8%となっている。

投資的経費充当分は、低下の傾向にあり、令和元年度においては前年度と比べると0.8ポイント低下の4.7%となっている。

その他の経費充当分は、上昇の傾向にあり、令和元年度においては前年度と比べると0.8ポイント上昇の36.0%となっている。

(5)財政構造の弾力性[資料編:第8表

ア 経常収支比率

地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つが、経常収支比率である。

経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費等のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)の、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税等のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減収補填債特例分及び臨時財政対策債の合計額に対する割合である。

令和元年度の経常収支比率(加重平均により、市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.4ポイント上昇の93.4%となった。主な内訳をみると、人件費充当分が30.8%(前年度30.9%)、公債費充当分が19.0%(同19.3%)となっている。なお、減収補填債特例分及び臨時財政対策債を経常収支比率算出上の分母から除いた場合の経常収支比率は、99.1%(前年度99.7%)となっている。経常収支比率の推移は第11表のとおりである。

第11表 経常収支比率の推移

また、経常収支比率を構成する分子及び分母の状況としては、分子である経常経費充当一般財源は、社会保障関係費に係る補助費等及び扶助費が増加したこと等により、前年度と比べると0.8%増となっている。また、分母である経常一般財源等は、地方税及び地方特例交付金等が増加したこと等により、前年度と比べると0.3%増となっている。

分子及び分母の推移は、第18図のとおりである。分子である経常経費充当一般財源については、補助費等及び扶助費が増加の傾向にあることから、全体としても増加の傾向にある。分母である経常一般財源等については、平成23年度以降地方税が増加の傾向にあったことから、全体としても増加の傾向にある。なお、分子及び分母を10年前(平成21年度)と比べるとそれぞれ8.4%増、8.9%増となっており、分母の増加率が分子の増加率を上回っている。

第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移(その1 合計)
第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移(その2 都道府県)
第18図 経常収支比率を構成する分子及び分母の推移(その3 市町村)

経常収支比率を団体区分別にみると、都道府県においては前年度と比べると0.2ポイント上昇の93.2%、市町村においては前年度と比べると0.6ポイント上昇の93.6%となっている。

経常収支比率の段階別分布状況をみると、第12表のとおりである。経常収支比率が80%以上の団体数は、都道府県においては46団体(前年度46団体)、市町村においては全体の95.1%を占める1,633団体(同1,624団体)となっている。また、経常収支比率が100%以上の団体は、都道府県においては0団体(前年度1団体)、市町村においては全体の3.1%を占める53団体(同51団体)となっている。

第12表 経常収支比率の段階別分布状況

イ 実質公債費比率及び公債費負担比率

地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費に係る負担の度合いを判断するための指標が、実質公債費比率及び公債費負担比率である。

実質公債費比率は、当該地方公共団体の標準財政規模(普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対する、一般会計等が負担する元利償還金及び公営企業債の償還に対する繰出金などの元利償還金に準ずるもの(充当された特定財源及び普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)の割合であり、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号。以下「地方公共団体財政健全化法」という。)において、財政の早期健全化等の必要性を判断する健全化判断比率の一つとして位置付けられている。

令和元年度の実質公債費比率(加重平均により、市町村分は一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.4ポイント低下の8.0%となっている。

公債費負担比率は、公債費充当一般財源の一般財源総額に対する割合である。

令和元年度の公債費負担比率(加重平均により、市町村分は一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.3ポイント低下の16.6%となっている。

近年の実質公債費比率及び公債費負担比率の推移は、第19図のとおりである。

第19図 公債費負担比率及び実質公債費比率の推移

実質公債費比率は、初めて算定された平成17年度以降低下してきている。

公債費負担比率は、純計については、平成15年度に19.4%まで上昇した後、おおむね横ばいの傾向にあり、21年度に低下した後、再び横ばいの傾向にあったが、26年度以降低下している。

(6)将来の財政負担

地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみならず、地方債、債務負担行為等のように将来の財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて把握する必要がある。これらの状況は、次のとおりである。

ア 地方債現在高[資料編:第100表

令和元年度末における地方債現在高は143兆4,565億円で、前年度末と比べると0.1%減(前年度0.4%減)となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高は89兆4,902億円で、前年度末と比べると0.2%減(前年度1.7%減)となっている。

地方債現在高の歳入総額に対する割合及び一般財源総額に対する割合の推移は、それぞれ第20図のとおりである。

第20図 地方債現在高の歳入総額等に対する割合の推移

地方債現在高は、昭和50年度末では歳入総額の0.44倍、一般財源総額の0.88倍であったが、地方税収等の落込みへの対応や減税に伴う減収の補填のため、また、経済対策に伴う公共投資の追加等により、地方債が急増したことに伴い、それぞれの割合は平成4年度末以降急増し、さらに、13年度からの臨時財政対策債の発行等により、高い水準で推移している。令和元年度末では歳入総額の1.39倍、一般財源総額の2.35倍となっている。

近年の地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移は、第21図のとおりである。地方債現在高の目的別構成比は、臨時財政対策債(37.6%)、一般単独事業債(24.3%)の順となっている。前年度と比べると、臨時財政対策債が同率、一般単独事業債が0.1ポイント低下している。地方債現在高の借入先別の構成比は、市場公募債(32.4%)、市中銀行資金(27.4%)、政府資金(20.9%)の順となっている。前年度末と比べると、近年の市場における地方債資金の調達の推進及び公的資金の縮減等に伴い、市中銀行資金は0.7ポイント上昇する一方、政府資金が0.4ポイント低下している。

第21図 地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移

地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては86兆9,958億円、市町村においては56兆4,606億円で、前年度末と比べると、それぞれ0.4%減、0.3%増となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては53兆8,597億円、市町村においては35兆6,306億円で、前年度末と比べると、それぞれ0.7%減、0.6%増となっている。

なお、地方財政状況調査においては、満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金への積立額は歳出の公債費に計上するとともに、地方債現在高から当該積立額相当分を控除する扱いとしているが、控除しない場合における地方債現在高は155兆933億円となっている。

イ 債務負担行為額[資料編:第101表

地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。

この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように第三者の債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。

これらの債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額をみると、令和元年度末では16兆5,409億円で、前年度末と比べると0.4%増となっている。

翌年度以降の支出予定額を目的別にみると、第22図のとおりである。

第22図 債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額の目的別構成比の推移

翌年度以降の支出予定額を団体区分別にみると、都道府県においては5兆299億円、市町村においては11兆5,110億円で、前年度末と比べると、それぞれ7.0%減、4.1%増となっている。

ウ 積立金現在高[資料編:第102表

地方公共団体の積立金現在高の状況は、第13表のとおりである。

第13表 積立金現在高の状況

令和元年度末における積立金現在高は22兆9,463億円で、前年度末と比べると1.3%減となっている。

その内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は、前年度末と比べると0.5%減、地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金(満期一括償還地方債に係るものを除く。)は、6.6%減、将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は、0.9%減となっている。

積立金現在高を団体区分別にみると、都道府県においては7兆2,497億円、市町村においては15兆6,967億円で、前年度末と比べるとそれぞれ2.7%減、0.7%減となっている。

エ 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担

地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移は、第23図のとおりである。

第23図 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移

令和元年度末における地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は137兆511億円で、前年度末と比べると0.1%増となっている。

団体区分別にみると、都道府県においては84兆7,761億円、市町村においては52兆2,750億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.6%減、1.4%増となっている。

オ 普通会計が負担すべき借入金残高

普通会計が将来にわたって負担すべき借入金という観点からは、地方債現在高のほか、交付税特別会計借入金及び公営企業において償還する企業債のうち、経費負担区分の原則等に基づき、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。

この観点から、地方債現在高に交付税特別会計借入金残高と企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第24図のとおりである。

第24図 普通会計が負担すべき借入金残高の推移

これをみると、令和元年度末における普通会計が負担すべき借入金残高は192兆2,651億円で、前年度末と比べると0.7%減となっている。

また、その内訳は、地方債現在高が143兆4,565億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが17兆5,963億円、交付税特別会計借入金残高が31兆2,123億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.1%減、4.1%減、1.3%減となっている。なお、地方債現在高のうち臨時財政対策債は53兆9,662億円で、前年度と比べると0.0%減となっている。

(7)決算の背景

ア 令和元年度の経済見通しと国の予算

(ア)経済見通しと経済財政運営の基本的態度

「平成31年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成30年12月18日閣議了解、平成31年1月28日閣議決定された。*1その主な内容は、以下のとおりであった。

a 平成30年度の経済動向

平成30年度の我が国経済は、緩やかな回復が続いている。輸出はおおむね横ばいとなっているものの、企業収益が過去最高を記録する中で設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、経済の好循環は着実に回りつつある。ただし、昨年夏に相次いだ自然災害により、個人消費や輸出を中心に経済は一時的に押し下げられた。

政府は、一連の自然災害の被災地の復旧・復興を全力で進めるため、平成30年度第1次補正予算を迅速かつ着実に実施している。あわせて、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に速やかに着手するなど、追加的な財政需要に適切に対処するため、平成30年12月21日に平成30年度第2次補正予算を閣議決定した。今後についても、雇用・所得環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復していくことが見込まれる。

物価の動向をみると、年度前半の原油価格上昇の影響等により、消費者物価(総合)は前年比で上昇している。

この結果、平成30年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は0.9%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は0.9%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.0%程度の上昇と見込まれる。

b 令和元年度の経済見通し

令和元年度については、10月に消費税率の引上げが予定されている中、経済の回復基調が持続するよう当初予算において臨時・特別の措置を講じるなど、「令和元年度の経済財政運営の基本的態度」の政策効果もあいまって、我が国経済は雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、内需を中心とした景気回復が見込まれる。

物価については、景気回復により、需給が引き締まる中で上昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。

この結果、令和元年度の実質GDP成長率は1.3%程度、名目GDP成長率は2.4%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.1%程度の上昇と見込まれる。

なお、先行きのリスクとして、通商問題が世界経済に与える影響や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。

c 令和元年度の経済財政運営の基本的態度

今後の経済財政運営に当たっては、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、600兆円経済と財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す。

持続的な成長経路の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組む。

また、希望出生率1.8、介護離職ゼロの実現を目指すとともに、生涯現役社会の実現に向け、高齢者雇用促進のための改革等を実現し、全世代型社会保障制度への取組を進め、少子高齢化という最大の壁に立ち向かっていく。

さらに、農林水産業をはじめとした地方創生、国土強靱化、女性の活躍、障害や難病のある方の活躍、働き方改革、外国人材の受入れなどの施策の推進により、経済の好循環をより確かなものとし、誰もが生きがいを持って充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現を目指す。

本年10月に予定されている消費税率の引上げに伴う対応については、引上げ前後の需要変動を平準化するための十分な支援策を講じるなど、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調が持続するよう、2019・2020年度当初予算において臨時・特別の措置を講じる。

財政健全化については、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。令和元年度予算は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定。以下「骨太方針2018」という。)に盛り込まれた「新経済・財政再生計画」で位置付けられた、社会保障改革を軸とする基盤強化期間の初年度となる予算であり、同計画に基づき、歳出改革等に着実に取り組む。

日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。

(イ)国の予算

「平成31年度予算編成の基本方針」(平成30年12月7日閣議決定)及び「平成31年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に基づいて、平成30年12月21日、令和元年度一般会計歳入歳出概算が閣議決定された。その後、平成31年1月18日、令和元年度一般会計歳入歳出概算の変更について閣議決定された。

令和元年度予算は、以下のような考え方により編成された。

a 令和元年度予算の基本的な考え方

(a)アベノミクスの推進により、日本経済は大きく改善している。デフレではない状況を作り出す中で、GDPは名目、実質ともに過去最大規模に拡大した。また、企業収益は過去最高を記録するとともに、就業者数の増加、賃上げなど、雇用・所得環境は大きく改善し、経済の好循環は着実に回りつつある。

(b)他方、経済の先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。あわせて、アベノミクスの成果を全国津々浦々まで一層浸透させ、経済の好循環を更に加速させるように、施策を実施していく必要がある。

(c)また、我が国財政は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれ、また、国債費が毎年度の一般会計歳出総額の2割以上を占めるなど、引き続き、厳しい状況にある。

(d)政府は、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、戦後最大の600兆円経済と財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す。

(e)地球環境と両立した持続的な成長経路の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、骨太方針2018に基づき、一人ひとりの人材の質を高める「人づくり革命」と、成長戦略の核となる「生産性革命」に最優先で取り組む。

また、希望出生率1.8、介護離職ゼロの実現を目指すとともに、生涯現役社会の実現に向け、高齢者雇用促進のための改革等を実現し、全世代型社会保障制度への取組を進め、少子高齢化という最大の壁に立ち向かっていく。

さらに、農林水産業をはじめとした地方創生、国土強靱化、女性の活躍、障害や難病のある方の活躍、働き方改革、外国人材の受入れなどの施策の推進により、経済の好循環をより確かなものとし、誰もが生きがいを持って充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現を目指す。

加えて、昨今の国際情勢を踏まえ、我が国として、外交・安全保障の強化に取り組む。

(f)財政健全化に向けては、骨太方針2018に盛り込まれた新経済・財政再生計画を着実に推進することにより、2025年度の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指す。同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを堅持する。

b 令和元年度予算の編成についての考え方

(a)令和元年度(2019年度)予算編成に向けては、引き続き、構造改革はもとより、金融政策に成長指向の財政政策をうまく組み合わせることに留意する必要がある。

財政健全化への着実な取組を進める一方、上記の基本的考え方に沿って、幼児教育の無償化をはじめとする「人づくり革命」の推進や第4次産業革命の技術革新等を通じた「生産性革命」の実現に向けての設備・人材などへの力強い投資、研究開発・イノベーションの促進など重要な政策課題への対応に必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。

(b)2019年10月1日に予定されている消費税率の引上げに伴う対応については、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講じるなど、あらゆる施策を総動員し、経済の回復基調が持続するよう、2019・2020年度当初予算において臨時・特別の措置を講じる。

(c)東日本大震災、熊本地震をはじめ、各地の災害からの復興や防災対応の強化を現場との連携を密に着実に進める。

本年夏に相次いだ大きな自然災害については、平成30年度(2018年度)第1次補正予算により災害復旧を加速する。

また、重要インフラの緊急点検の結果等を踏まえ、防災・減災、国土強靱化のための緊急対策を、3年間で集中的に実施する。

このうち、初年度の対策として速やかに着手すべきものについては平成30年度(2018年度)第2次補正予算により対応することとし、さらに、2019・2020年度当初予算の臨時・特別の措置を活用する。

(d)令和元年度(2019年度)予算は、新経済・財政再生計画で位置付けられた、社会保障改革を軸とする基盤強化期間の初年度となる予算であり、同計画に基づき、歳出改革等に着実に取り組む。社会保障関係費や非社会保障関係費等について歳出改革の取組を継続するとの方針の下、同計画に沿った予算編成を行う。

また、予算編成に当たっては、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める。

(e)また、PDCAサイクルの実効性を高めるため、各府省は、全ての歳出分野において行政事業レビューを徹底的に実施するとともに、証拠に基づく政策立案(EBPM、Evidence-based Policymaking)を推進し、予算の質の向上と効果の検証に取り組む。また、行政手続の電子化の徹底等により、行政手続コストを2割以上削減するほか、公共調達の改革、多様なPPP/PFIや地方行政サービスの民間委託などの取組を加速・拡大する。

(f)新経済・財政再生計画の改革工程表には、継続して取り組むべき歳出改革等を盛り込むほか、骨太方針2018に盛り込まれた主要分野ごとの重要課題への対応とそれぞれの改革工程を具体化する。また、行動変容に働きかける取組を加速・拡大する観点から、成果をより定量的に把握できる形にKPI(KeyPerformance Indicator)を見直すとともに、歳出効率化や経済効果の高いモデル事業について、所管府省庁が責任を持って戦略的に全国展開を進めるほか、地域差や取組状況等を見える化し、改革努力の目標としても活用する。こうした取組への予算の重点配分を推進する。

このような考え方に基づいて編成された令和元年度一般会計歳入歳出概算の規模は101兆4,571億円で、前年度当初予算と比べると3兆7,443億円増加(3.8%増)となった。

また、東日本大震災復興特別会計の予算規模は2兆1,348億円で、前年度当初予算と比べると2,245億円減少(9.5%減)となった。

財政投融資計画の規模は13兆1,194億円で、前年度計画額と比べると1兆3,437億円減少(9.3%減)となった。

なお、令和元年度当初予算案は、平成31年1月28日に第198回通常国会に提出され、3月27日に成立した。

イ 地方財政計画

令和元年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、歳出面においては、人づくり革命の実現や地方創生の推進、防災・減災対策等に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととした。また、歳入面においては、骨太方針2018で示された「新経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成30年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとした。

また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとした。

なお、地方財政審議会からは、平成30年5月25日に「誰もが希望を持てる地域社会に向けた地方税財政改革についての意見」及び平成30年12月11日に「今後目指すべき地方財政の姿と平成31年度の地方財政への対応についての意見」(附属資料参照)が提出された。

以上を踏まえ、次の方針に基づき令和元年度の地方財政計画を策定した。

(ア)通常収支分

a 地方税制については、令和元年度地方税制改正では、地方税の税源の偏在性の是正に資するための特別法人事業税及び特別法人事業譲与税を創設するとともに、自動車税の税率の引下げと特例措置の見直し、自動車重量譲与税の譲与割合の引上げ等の車体課税の見直し、ふるさと納税における指定制度の導入などの税制上の措置を講じることとしている。また、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税を創設するための税制上の措置を講じることとしている。

b 財源不足見込額については、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じることとする。

(a)令和元年度の財源不足見込額4兆4,101億円については、平成29年度に講じた令和元年度までの間の制度改正に基づき、従前と同様の例により、次の補填措置を講じる。その結果、国と地方が折半して補填すべき額は生じないこととなる。

<1> 建設地方債(財源対策債)を7,900億円増発する。

<2> 地方交付税については、国の一般会計加算により2,633億円(地方交付税法附則第4条の2第2項の加算額のうち2,461億円及び平成30年12月18日付け総務・財務両大臣覚書第5項に基づく平成29年度税制改正における配偶者控除・配偶者特別控除の見直しによる個人住民税の減収額を補填するための加算額172億円)増額する。

また、地方公共団体金融機構法附則第14条の規定により財政投融資特別会計に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金1,000億円を財政投融資特別会計から交付税特別会計に繰り入れる。

<3> 地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を3兆2,568億円発行する。

(b)交付税特別会計借入金の償還については、平成29年度の償還計画の見直しに伴い償還を繰り延べたものの一部1,000億円を増額し、5,000億円の償還を実施する。

(c)上記の結果、令和元年度の地方交付税については、16兆1,809億円(前年度比1,724億円増、1.1%増)を確保する。

c 地方債については、引き続き厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方団体が「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)、公共施設等の適正管理及び地域の活性化への取組等を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

この結果、地方債計画(通常収支分)の規模は、12兆56億円(普通会計分9兆4,282億円、公営企業会計等分2兆5,774億円)とする。

d 人づくり革命の実現、地方創生の推進、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

(a)「人づくり革命」の実現に向けた取組のうち、幼児教育の無償化については、令和元年度は消費税率引上げに伴う地方の増収が僅かであることから、地方負担分を措置する臨時交付金を創設し、全額国費により対応する。また、「人づくり革命」として、待機児童の解消、保育士の処遇改善、介護人材の処遇改善に係る措置を講じることとしており、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

(b)「まち・ひと・しごと創生事業費」については、引き続き1兆円(前年度同額)を計上する。

(c)投資的経費に係る地方単独事業費については、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」に基づく事業と連携しつつ、自然災害を防止するための基盤整備を推進するため、新たに「緊急自然災害防止対策事業費」を3,000億円計上することとし、全体で前年度に比し5.2%増額し、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

(d)「重点課題対応分」については、森林環境譲与税を財源として実施する森林整備等の経費200億円を新たに計上し、2,700億円計上する。

(e)社会保障・税一体改革による「社会保障の充実」として、子ども・子育て支援、医療・介護サービスの提供体制改革、医療・介護保険制度改革等に係る措置を講じることとしており、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

(f)一般行政経費に係る地方単独事業費については、社会保障関係費の増加等を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

(g)消防力の充実、防災・減災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策に対し所要の財政措置を講じる。

(h)過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

e 公営企業の経営基盤の強化を図るとともに、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本の整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととする。

f 地方行財政運営の合理化を図ることとし、適正な定員管理、事務事業の見直しや民間委託など引き続き行財政運営全般にわたる改革を推進する。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

(a)東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税については、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置するため、4,049億円を確保する。また、一般財源充当分として90億円を計上する。

(b)地方債については、復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

この結果、地方債計画(東日本大震災分)における復旧・復興事業の規模は28億円(普通会計分12億円及び公営企業会計等分16億円)とする。

(c)直轄事業負担金及び補助事業費、地方自治法に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費並びに地方税法等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費1兆987億円を計上する。

b 全国防災事業

全国防災事業については、地方税の臨時的な税制上の措置(平成25年度〜令和5年度)による地方税の収入見込額として745億円を計上するとともに、一般財源充当分として312億円を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した令和元年度の地方財政計画の規模は、通常収支分は89兆5,930億円で、前年度と比べると2兆6,957億円増加(3.1%増)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が1兆987億円で、前年度と比べると92億円減少(0.8%減)、全国防災事業が1,058億円で、前年度と比べると23億円増加(2.2%増)となった。

通常収支分についてみると、歳入では、地方税は40兆1,633億円で、前年度と比べると7,339億円増加(1.9%増)(道府県税1.6%増、市町村税2.1%増)、地方譲与税は2兆7,123億円で、前年度と比べると1,369億円増加(5.3%増)、地方特例交付金等は4,340億円で、前年度と比べると2,796億円増加(181.1%増)、地方交付税は16兆1,809億円で、前年度と比べると1,724億円増加(1.1%増)、国庫支出金は14兆7,174億円で、前年度と比べると1兆662億円増加(7.8%増)、地方債(普通会計分)は9兆4,282億円で、前年度と比べると2,096億円増加(2.3%増)となった。

歳出では、給与関係経費は20兆3,307億円で、前年度と比べると163億円増加(0.1%増)となった。なお、地方財政計画における職員数については、1,919人の増とした。一般行政経費は38兆4,197億円で、前年度と比べると1兆3,675億円増加(3.7%増)となり、このうち一般行政経費に係る地方単独事業費は14兆1,804億円で、前年度と比べると1,190億円増加(0.8%増)となった。公債費は11兆9,088億円で、前年度と比べると2,976億円減少(2.4%減)、投資的経費は13兆153億円で、前年度と比べると1兆3,973億円増加(12.0%増)となった。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は6兆1,076億円で、前年度と比べると3,000億円増加(5.2%増)となった。

東日本大震災分(復旧・復興事業)についてみると、歳入では、震災復興特別交付税は4,049億円で、前年度と比べると178億円減少(4.2%減)、国庫支出金は6,768億円で、前年度と比べると80億円増加(1.2%増)などとなった。歳出では、一般行政経費は2,422億円で、前年度と比べると528億円減少(17.9%減)、投資的経費は8,344億円で、前年度と比べると534億円増加(6.8%増)などとなった。

東日本大震災分(全国防災事業)についてみると、歳入では地方税は745億円で、前年度と比べると17億円増加(2.3%増)などとなった。歳出では公債費は1,058億円で、前年度と比べると23億円増加(2.2%増)となった。

また、令和元年度の地方債計画の規模は、通常収支分が12兆56億円(普通会計分9兆4,282億円、公営企業会計等分2兆5,774億円)で、前年度と比べると3,600億円増加(3.1%増)となった。東日本大震災分は、復旧・復興事業が28億円(普通会計分12億円、公営企業会計等分16億円)で、前年度と比べると25億円減少(47.2%減)となった。

ウ 財政運営の経過

(ア) 「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」に基づく予備費の使用とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

令和元年台風第15号及び台風第19号をはじめとした一連の豪雨・暴風を受けて、被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえつつ、被災者の生活・生業の再建に向け、緊急に対応すべき施策が「被災者の生活と生業の再建に向けた対策パッケージ」(令和元年11月7日令和元年台風第19号非常災害対策本部会議)として取りまとめられ、予備費等の措置を講じていくこととされ、令和元年度一般会計の予備費の使用が令和元年11月8日に閣議決定された。

この予備費の使用においては、生活の再建関連経費336億円、生業の再建関連経費684億円、公共土木施設等の災害応急復旧関連経費63億円、災害救助等関連経費233億円が計上された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては以下のとおり財政措置を講じることとした。

(a)災害復旧事業

<1> 直轄・補助事業として実施する災害復旧事業について、地方負担額の100%まで補助災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<2> 強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業(災害復旧として実施する被災産地施設支援対策)について、地方負担額の100%まで一般単独災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、47.5〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(b)災害関連事業

地方負担額の100%まで補正予算債(公共事業等債)を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(c)災害廃棄物処理事業

<1> 令和元年台風第15号及び第19号による災害に係る事業について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、地方負担額の100%まで災害対策債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

<2> 上記<1>以外の事業について、地方負担額の80%を特別交付税により措置した上で、残余について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、その100%まで災害対策債を充当できることとし、後年度における元利償還金の57%を特別交付税により措置する。

(d)中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業

災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、地方負担額の100%まで災害対策債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

(e)小規模事業者支援推進事業

地方公共団体が支出する経費の3分の2を国が補助する場合、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

また、地方公共団体が支出する経費の2分の1を国が補助する場合、地方負担額の70%を特別交付税により措置する。

(f)強い農業・担い手づくり総合支援交付金事業(被災農業者支援型)及び被災農家営農再開緊急対策事業

地方負担額の70%を特別交付税により措置する。

(g)災害援護貸付金

資金手当として地方負担額の100%まで一般事業債を充当できることとする。

(h)災害救助費及び災害弔慰金等

地方負担額については、従前と同様、所要の特別交付税措置を講じる。

(イ)令和元年度補正予算(第1号)とそれに伴う地方財政措置

a 令和元年度補正予算(第1号)

令和元年度補正予算(第1号)は、令和元年12月13日に閣議決定、令和2年1月20日に第201回通常国会に提出され、1月30日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、災害からの復旧・復興と安全・安心の確保2兆3,086億円、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援9,173億円、未来への投資と東京オリンピック・パラリンピック後も見据えた経済活力の維持・向上1兆771億円等が追加計上されたほか、既定経費の減額1兆2,908億円等の修正減少額が計上された。また、歳入面で、税収を2兆3,150億円減額計上する一方、税外収入1,881億円、公債金4兆4,214億円(建設公債2兆1,917億円及び特例公債2兆2,297億円)等が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも令和元年度当初予算に対し、3兆1,946億円増加し、104兆6,517億円となった。

b 令和元年度補正予算(第1号)に係る地方財政措置等

(a)通常収支分

この補正予算においては、国税の減額補正に伴い地方交付税が減額されるとともに、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じることから、以下のとおり措置を講じることとした。

<1> 地方交付税

この補正予算において以下のとおり措置を講じる。

I 令和元年度の国税収入の補正に伴う地方交付税法定率分7,651億円の減については、平成30年度の国税決算に伴う地方交付税法定率分1,156億円の増を充てた上で、残余の6,496億円について全額を一般会計からの加算により措置することとし、令和元年度当初の地方交付税の総額を確保する。

なお、当該加算については、後年度精算するものである。

II 本年度の災害等の状況にかんがみ、令和元年度の特別交付税の総額に950億円加算する。

<2> 子ども・子育て支援臨時交付金の増額

幼児教育・保育の無償化に係る地方負担の増加に対応するため、342億円増額する。

<3> 追加の財政需要

この補正予算により令和元年度に追加されることとなる投資的経費に係る地方負担額については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、以下に掲げるものを除き、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

I 災害復旧事業債

(I)補助災害復旧事業債

補助災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(II)災害対策債

i 中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業及び令和元年台風第19号による災害の災害廃棄物処理事業に係る災害対策債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

ii 上記i以外の事業

災害廃棄物処理事業について、地方負担額の80%を特別交付税により措置した上で、残余について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、災害対策債の後年度における元利償還金の57%を特別交付税により措置する。

(III)一般単独災害復旧事業債

一般単独災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5%〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(IV)地方公営企業災害復旧事業債

地方公営企業災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、一般会計からの繰出額に応じ、その最大50%までを特別交付税により措置する。

II 令和元年台風第19号への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債

令和元年台風第19号への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

III 「GIGAスクール構想の実現」に向けた校内通信ネットワーク整備事業に係る補正予算債

「GIGAスクール構想の実現」に向けた校内通信ネットワーク整備事業に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その60%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

IV 公営企業債

当初における一般会計からの繰出額の一部に対する算定と同様の方式により措置する。

<4> この補正予算により令和元年度に追加されることとなる地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応する。

(b)東日本大震災分

この補正予算により令和元年度に追加されることとなる東日本大震災に係る復旧・復興事業に係る地方負担額については、令和元年度分の震災復興特別交付税の総額に504億円を加算したうえで措置することとした。

(ウ)「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」に基づく予備費の使用とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

新型コロナウイルス感染症への対応について、当面緊急に措置すべき対応策が「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」(令和2年2月13日新型コロナウイルス感染症対策本部)として取りまとめられ、令和元年度予算の着実な執行に加え、第一弾として予備費103億円を講じることにより、総額153億円の対応策を実行することとされ、令和元年度一般会計の予備費の使用が令和2年2月14日に閣議決定された。

総額153億円の対応策の内訳については、帰国者等への支援関連経費30億円、国内感染対策の強化関連経費65億円、水際対策の強化関連経費34億円、影響を受ける産業等への緊急対応関連経費6億円、国際連携の強化等関連経費18億円が計上された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用により追加される保健衛生施設等設備整備補助事業、感染症医療費負担事業及び疾病予防対策事業費等補助事業については、地方負担額の80%を特別交付税により措置することとした。なお、感染症医療費負担事業については、令和元年度当初予算も活用し実施することとされたことから、当該事業における普通交付税措置額を上回る額について措置を講じることとした。

また、令和元年度当初予算を活用し実施される保健衛生施設等設備整備費補助事業のうち、緊急対応策に基づき実施されるものについても、地方負担額の80%を特別交付税により措置することとした。

(エ)「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策−第2弾−」に基づく予備費の使用とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

新型コロナウイルス感染症への対応について、国内の健康被害を最小限に抑え、流行の早期終息を目指すとともに、経済への影響について、雇用の維持と事業の継続を当面最優先に、全力を挙げて取り組むため、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策−第2弾−」(令和2年3月10日新型コロナウイルス感染症対策本部)が取りまとめられた。緊急対応策第1弾(153億円)に加え、令和元年度予算の着実な執行と予備費2,715億円(一般会計2,295億円、特別会計420億円)の活用により、4,308億円の財政措置を講じることとされ、令和元年度一般会計の予備費の使用が令和2年3月10日に閣議決定された。

総額4,308億円の対応策の内訳については、感染拡大防止策と医療提供体制の整備関連経費486億円、学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応関連経費2,463億円、事業活動の縮小や雇用への対応関連経費1,192億円、事態の変化に即応した緊急措置等関連経費168億円が計上された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用により追加される保健衛生施設等設備整備補助事業、感染症予防事業費等負担事業、疾病予防対策事業費等補助事業及び学校臨時休業対策費補助事業については、地方負担額の80%を特別交付税により措置することとした。なお、感染症予防事業費等負担事業については、令和元年度当初予算も活用し実施することとされたことから、当該事業における普通交付税措置額を上回る額について措置を講じることとした。

(オ)地方公務員の給与改定

令和元年の国家公務員の給与改定については、国の給与関係法の公布及び施行(令和元年11月22日)に伴い、その取扱いが決定されたが、地方公務員の給与改定については、「地方公務員法」(昭和25年法律第261号)の趣旨に沿って適切に対応されるよう「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」(令和元年10月11日付け総務副大臣通知)で通知した。

なお、当該給与改定に係る一般財源所要額については、地方財政計画上の追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応することとした。



*1 元号を改める政令(平成31年政令第143号)に基づき、令和元年(2019年)5月1日、内閣は元号を平成から令和に改めた。以下、2019年4月30日以前に作成された文書からの引用文中「平成31年度」と表示されていたものを「令和元年度」と表示している。

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