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令和3年版
地方財政白書
(令和元年度決算)

3 防災・減災、国土強靱化の推進

近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、また大規模地震の発生が切迫している。このような中、国民の生命・財産を守るため、地方公共団体が国と連携しつつ、引き続き以下のとおり防災・減災、国土強靱化対策に取り組む必要がある。

(1)防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の推進

防災・減災、国土強靱化については、令和2年度に最終年度を迎えた「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(平成30年12月14日閣議決定)に基づき取組を実施してきたところであるが、取組のさらなる加速化・深化を図るため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」(令和2年12月11日閣議決定。以下、「5か年加速化対策」という。)が策定され、令和3年度から令和7年度までの5か年に重点的かつ集中的に対策を講じることとされた。

5か年加速化対策に基づく直轄事業負担金及び補助事業費について、当初予算に計上される場合には、その地方負担額を防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債により措置することとし、補正予算に計上される場合には、その地方負担額を補正予算債により措置することとしている。なお、5か年加速化対策の初年度である令和3年度においては、直轄事業負担金及び補助事業費が令和2年度補正予算(第3号)に計上されているため、その地方負担額については、補正予算債により措置することとしている。

(2)緊急自然災害防止対策事業費及び緊急防災・減災事業費の事業期間の延長等

地方公共団体が、5か年加速化対策と連携しつつ、地方単独事業として緊急に自然災害を防止するための社会基盤の整備に取り組んでいけるよう、「緊急自然災害防止対策事業費」について、新たに流域治水対策(支流対策、外水氾濫対策(河川事業)、内水氾濫対策(下水道事業)等)や橋梁・道路の洗掘・流失対策等を対象事業に追加した上で、事業期間を令和7年度まで継続することとし、令和3年度の地方財政計画に対前年度1,000億円増の4,000億円を計上した。

また、地方公共団体が引き続き喫緊の課題である防災・減災対策のための施設整備等に取り組んでいけるよう、「緊急防災・減災事業費」について、新たに避難所における新型コロナウイルス感染症対策(換気扇、洗面所、発熱者専用室、トイレ・更衣室・授乳室、感染防止用備蓄倉庫等)及び社会福祉法人等の福祉施設等における豪雨災害対策に対する補助(避難路、避難階段、避難エレベーター、電源設備等の嵩上げ、止水板・防水扉、非常用電源・給水設備の設置等)を対象事業に追加した上で、5か年加速化対策の期間や東日本大震災からの復興の取組期間を踏まえ、事業期間を令和7年度まで継続することとし、令和3年度の地方財政計画に前年度同額の5,000億円を計上した。

(3)防災重点農業用ため池等の防災対策の強化等

ア 防災重点農業用ため池等の防災対策の強化

防災重点農業用ため池の決壊による人家、公共施設及び農地への被害を防ぐため、これらの防災工事の推進が必要であることから、「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」(令和2年法律第56号)等を踏まえ、防災重点農業用ため池に係る国庫補助事業の地方負担及び地方単独事業に対する地方財政措置を拡充することとしている。

また、防災工事とあわせて堆積土砂の撤去などの適切な維持管理を推進するため、令和3年度から令和6年度までの4年間、「緊急浚渫推進事業債」の対象施設に、農業用ため池及び土地改良施設のうち貯水能力を有する施設(クリーク及び農業用ダム等)を追加することとし、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出している。併せて、地方公共団体がこれらの施設も含めた浚渫を実施できるよう、令和3年度の地方財政計画に対前年度200億円増の1,100億円を計上した。

イ 利水ダム等の事前放流の推進

ダムによる洪水調節は、下流の水位を低下させ、堤防の決壊リスクを低減するなど有効な治水対策であることから、これまで十分に活用されてこなかった利水ダムや多目的ダムの有効貯水容量を洪水調節に最大限活用するため、利水ダム等における事前放流が推進されている。

一方で、利水ダム等において事前放流を実施した場合、低下させた水位が回復せず、ダムからの補給による水利用が困難となり、利水者に損失が生じる可能性がある。

こうした状況を踏まえ、都道府県が管理する一級水系の指定区間及び二級水系において、利水ダム等の事前放流を推進するため、これらの事前放流に伴い都道府県が行う損失補填に要する経費について、新たに特別交付税措置を講じることとしている。

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