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令和3年版
地方財政白書
(令和元年度決算)

第3部 最近の地方財政をめぐる諸課題への対応

1 新型コロナウイルス感染症への対応

国においては、新型コロナウイルス感染症への対応として「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」(令和2年2月13日新型コロナウイルス感染症対策本部)、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策−第2弾−」(令和2年3月10日新型コロナウイルス感染症対策本部)、緊急経済対策及び総合経済対策(以下「経済対策」という。)が講じられ、これらに伴う補正予算の編成や予備費の使用が行なわれた。こうした中、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(以下「臨時交付金」という。)の創設や、新型コロナウイルス感染症の影響による地方税の減収に対する措置などを講じることとされた。

(1)新型コロナウイルス感染症対応に係る財政措置

地方公共団体が新型コロナウイルス感染症対策に積極的に取り組むために、国において財源を確保することが重要であることから、医療機関等への支援措置である新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業などほとんどの事業を全額国費対応とする一方で、経済対策についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに効果的・効率的で必要な事業を実施できるよう、臨時交付金が創設され、令和2年度補正予算(第1号)で1兆円、令和2年度補正予算(第2号)で2兆円、令和2年度補正予算(第3号)で1.5兆円が計上された。

臨時交付金の交付限度額については、令和2年度補正予算(第1号)の1兆円のうち、地方単独事業分として0.7兆円が人口、財政力、新型コロナウイルスの感染状況等に基づき算定された。また、令和2年度補正予算(第2号)の2兆円のうち、地方単独事業分として、0.95兆円が人口・事業所数を基礎に感染状況等を反映して算定され、1兆円が人口、年少者・高齢者の比率、財政力等に基づき算定された。さらに、令和2年度補正予算(第3号)の1.5兆円のうち、地方単独事業分として、0.5兆円が人口・事業所数を基礎に感染状況等を反映して算定され、0.5兆円が人口、年少者・高齢者の比率、財政力等に基づき算定された。なお、新型コロナウイルス感染症対策に係る国の累次の補正予算・予備費により実施される事業のうち、地方負担が発生する国庫補助事業の地方負担分について、感染拡大防止策や医療提供体制の整備に関する事業については、地方負担額の全額を、雇用維持・継続事業や経済活動の回復、強靱な経済構造の構築、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現に関する事業については、地方負担額の8割を基本として、それぞれ臨時交付金の交付限度額として算定することとされている。

また、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、保健所の恒常的な人員体制強化を図るため、保健所において感染症対応業務に従事する保健師を令和3年度から2年間かけて約900名増やし、これまでの1.5倍の約2,700名に増員するために必要な地方交付税措置を講じることとしており、地方公共団体においては早急に保健所の体制強化に取り組むことが求められている。

(2)地方税収の減への対応

ア 令和2年度における対応

令和2年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により地方税収が大幅に減少するおそれがあるなど、地方財政は極めて厳しい状況にあることから、地方公共団体の当面の資金繰り対策として、以下の措置を講じた。

<1>地方税の徴収猶予に伴う減収への対応

緊急経済対策における税制上の措置として、新型コロナウイルス感染症の影響により収入に相当の減少があった納税者等に対し、令和3年2月1日までに納期限が到来する地方税について、無担保かつ延滞金なしで1年間、徴収を猶予できる特例を創設した。

これに伴い地方公共団体に生じる減収について、資金手当のための猶予特例債を創設するとともに、政令指定都市を除く市町村に対して原則としてその全額に財政融資資金を配分することとした。

<2>減収補填債の対象税目の拡大

新型コロナウイルス感染症の影響により、景気変動に伴う通常の増減収を超えた大幅な減収が生じる、消費や流通に関わる7税目(地方消費税、不動産取得税、道府県たばこ税・市町村たばこ税、ゴルフ場利用税、軽油引取税、地方揮発油譲与税、航空機燃料譲与税、これらに係る交付金)について、減収補填債の対象税目に加えることとした。

また、地方公共団体の資金調達を支援するため、減収補填債の資金については、1兆円を公的資金で増額確保し、とりわけ、政令指定都市を除く市町村に対して原則としてその全額に公的資金を配分することとした。

<3>特別減収対策債の創設

減収補填債の対象とならない地方税等や使用料・手数料の減収及び減免額について、建設事業費への充当可能額の範囲内で資金手当のための特別減収対策債を発行可能とした。

<4>公営企業における特別減収対策企業債の発行

交通、病院など公営企業における新型コロナウイルス感染症に伴う減収による資金不足について、特別減収対策企業債を発行可能とし、その償還利子について特別交付税措置を講じた。

<5>共同発行市場公募地方債の増額

地方公共団体のニーズを踏まえ、共同発行市場公募地方債の償還年限を多様化し、1年債を創設することとした。

<6>地方債の早期発行を可能とする手続きの弾力化

地方債に関する総務省への同意協議手続を早期かつ柔軟に行うことにより、地方議会の議決後すぐに発行可能となるよう対応した。

イ 令和3年度における対応

令和3年度においても、地方公共団体が新型コロナウイルス感染症対策に取り組む中、財政運営に支障が生じないよう、資金繰り対策として、以下の措置を講じることとしている。

<1>臨時財政対策債に対する公的資金の大幅な増額確保

臨時財政対策債について、財政融資資金を7,463億円、地方公共団体金融機構資金を3,602億円、公的資金全体で1兆1,065億円増額することにより、全体の4割(2兆2,432億円)を公的資金で確保することとしている。

<2>特別減収対策債及び公営企業における特別減収対策企業債の延長

減収補填債の対象とならない地方税等や使用料・手数料の減収及び減免額について、令和3年度も引き続き、特別減収対策債を発行可能とするとともに、交通、病院など公営企業における新型コロナウイルス感染症に伴う減収による資金不足について、令和3年度も引き続き、特別減収対策企業債を発行可能とすることとしている。

<3>資金調達手段の多様化・資金調達環境の整備

民間等資金については、その円滑な調達を図るため、市場公募地方債や共同発行市場公募地方債の発行を引き続き推進する。併せて、地方債の日本銀行適格担保(日本銀行が金融機関に資金供給する際に受けることのできる担保資産)としての活用は、地方公共団体の資金調達の円滑化や、地域金融機関を通して地域経済の活性化に資することから、そのさらなる推進を図ることとしている。

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