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令和3年版
地方財政白書
(令和元年度決算)

7 公営企業等の状況

(1)公営企業

ア 概況

(ア)事業数[資料編:第114表

令和元年度末において、公営企業を経営している団体数は1,784団体(企業団・一部事務組合等のみで公営企業を経営している4団体及び特別区を含む。)であり、その内訳は47都道府県、20政令指定都市、1,717市区町村(政令指定都市を除く。)となっている。

これらの団体が経営している公営企業の事業数は8,222事業で、前年度末と比べると86事業減少している。これを事業別にみると、第79図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合(事業総数の44.0%)を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)(同22.6%)、病院事業(同7.6%)の順となっている。

第79図 公営企業の事業数の状況(令和元年度末)

(イ)業務の状況

公営企業は、住民の生活水準の向上を図る上で大きな役割を果たしている。各事業全体の中で公営企業が占める割合は、第20表のとおりである。

第20表 事業全体に占める公営企業の割合

令和元年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力6,822万8千m3/日、導送配水管77万2,077kmを有し、年間150億m3(対前年度比0.6%減)の配水を行っている。また、給水人口は令和元年度末で1億2,383万5千人で、全国人口に対する割合は97.4%となっている。

b 工業用水道事業

工業用水道事業においては、配水能力2,129万9千m3/日、導送配水管8,875kmを有し、年間43億3百万m3(対前年度比0.8%減)の配水を行っている。また、契約水量は1,648万3千m3/日(同0.1%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

都市高速鉄道事業においては、車両3,394両、営業路線424kmを有している。また、年間輸送人員は25億12百万人(対前年度比0.2%増)となっている。

d バス事業

バス事業においては、車両7,096両、営業路線6,701kmを有している。また、年間輸送人員は8億59百万人(対前年度比1.9%減)となっている。

e 病院事業

病院事業においては、765病院、病床17万1,605床を有している。また、年延患者数は1億2,043万人(対前年度比2.2%減)であり、18年連続の減少となっている。

f 下水道事業

下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,035万m3/日、下水管布設延長53万5,565kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は112億m3(対前年度比0.0%減)となっている。

(ウ)職員数[資料編:第115表

令和元年度末における公営企業に従事する職員の数は33万1,167人で、前年度末と比べると0.8%減となっている。

これを事業別にみると、第80図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合(職員総数の66.9%)を占め、以下、水道事業(同13.3%)、下水道事業(同8.2%)、交通事業(同6.3%)の順となっており、これら4事業で職員数全体の94.7%を占めている。

第80図 職員数の状況

(エ)決算規模[資料編:第116表

決算規模は16兆5,880億円で、前年度と比べると3,917億円減少(2.3%減)となっている。

これを事業別にみると、第81図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、交通事業の順となっている。

第81図 決算規模の推移

(オ)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況は、第21表のとおりであり、黒字事業数は全体の87.3%(前年度88.1%)、赤字事業数は12.7%(同11.9%)で、全体としては7,522億円の黒字(前年度1兆2,600億円の黒字)となっている。また、赤字額は1,926億円で、前年度と比べると100億円増加(5.5%増)している。

第21表 公営企業全体の経営状況

(カ)料金収入

料金収入は8兆7,911億円で、前年度と比べると89億円増加(0.1%増)している。これを事業別にみると、第82図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合(総料金収入の37.0%)を占め、以下、水道事業(同30.7%)、下水道事業(同17.5%)、交通事業(同6.2%)の順となっている。

第82図 料金収入の状況

(キ)建設投資額の推移

建設投資額の推移は、第83図のとおりであり、令和元年度の額は3兆7,627億円で、前年度と比べると1,031億円増加(2.8%増)している。

第83図 建設投資額の推移

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。建設投資額が前年度より増加した主な事業は、下水道事業(対前年度比564億円増加、3.6%増)、交通事業(同294億円増加、23.3%増)、水道事業(同194億円増加、1.6%増)となっている。

(ク)企業債の状況

資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第84図のとおりであり、発行額は2兆2,344億円で、前年度と比べると525億円増加(2.4%増)している。

第84図 企業債発行額の状況

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合(企業債発行総額の51.7%)を占め、以下、水道事業(同17.2%)、病院事業(同11.9%)、交通事業(同5.9%)の順となっている。

企業債借入先別現在高の推移は、第85図のとおりであり、企業債現在高の令和元年度末の総額は39兆5,342億円で、前年度末と比べると1兆2,985億円減少(3.2%減)している。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合(現在高総額の46.2%)を占め、以下、地方公共団体金融機構(同30.7%)、市場公募(同11.2%)の順となっている。

第85図 企業債借入先別現在高の推移

(ケ)他会計繰入金の状況

他会計からの繰入金は2兆8,472億円で、前年度と比べると579億円減少(2.0%減)している。

この内訳をみると、収益的収入として1兆9,259億円(収益的収入に対する繰入金の割合14.9%)、資本的収入として9,213億円(資本的収入に対する繰入金の割合22.0%)となっている。

これを事業別にみると、下水道事業への繰入額が最も大きな割合(繰入額総額の59.6%)を占め、以下、病院事業(同24.5%)、水道事業(同6.6%)、交通事業(同2.7%)の順となっている。

(コ)法適用企業の経営状況[資料編:第117表

a 損益計算書、貸借対照表

損益計算書は、第86図のとおりであり、令和元年度は、総収益が総費用を上回り、総収支は黒字となっている。

第86図 損益計算書の状況

また、法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、総費用は増加しているが、特別利益の減少等により、総収益は減少している。

貸借対照表は、第87図のとおりであり、同じく法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、資産の総額は増加している。

第87図 貸借対照表の状況

b 損益収支

法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、総収益から総費用を差し引いた額をいい、当該年度の総合的な収支状況を表す。総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、固定資産売却損等の臨時的な費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表す。経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味することになる。

法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は11兆7,754億円、総費用(経常費用+特別損失)は11兆1,646億円となっている。この結果、純損益は6,108億円の黒字となっており、総収支比率は105.5%と前年度より4.9ポイント低下している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は11兆6,563億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は11兆656億円となっている。この結果、経常損益は5,907億円の黒字となっており、経常収支比率は105.3%と前年度より0.7ポイント低下している。

経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度からは17年連続で100%を上回っている。

なお、純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第22表のとおりである。

第22表 法適用企業の経営状況

c 資本収支

建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は6兆1,490億円で、前年度と比べると1,722億円減少(2.7%減)している。これに対する財源は、企業債等の外部資金が3兆1,540億円、損益勘定留保資金等の内部資金が2兆9,328億円、資本的収入額が資本的支出額に不足する額である財源不足額は622億円となっている。

資本的支出のうち建設改良費は3兆1,687億円で、前年度と比べると2,236億円増加(7.6%増)している。建設改良費が大きい事業は、下水道事業(建設改良費総額の39.8%)、水道事業(同38.3%)、病院事業(同10.6%)である。

d 累積欠損金

過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は3兆9,761億円で、前年度と比べると425億円減少(1.1%減)している。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、病院事業(累積欠損金合計額の48.2%)、交通事業(同34.9%)である。

e 不良債務

令和元年度末現在において、流動負債の額(建設改良費等の財源に充てるための企業債等を除く。)が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は1,250億円で、前年度と比べると15億円増加(1.2%増)している。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額総額の47.6%)、病院事業(同29.0%)、下水道事業(同17.5%)である。

(サ)法非適用企業の経営状況[資料編:第119表

法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の97.7%、赤字事業数は2.3%を占めており、全体では1,414億円の黒字(前年度1,427億円の黒字)となっている。

イ 事業別状況[資料編:第114表第119表

(ア)水道事業

a 事業数

(a)上水道事業

地方公共団体が経営する上水道事業で、令和元年度決算対象となるものは、1,321事業であり、このうち、末端給水事業は1,252事業、用水供給事業は69事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、政令指定都市営が19事業、市営が667事業、町村営が508事業、企業団営等が54事業であり、用水供給事業は、府県営が21事業、政令指定都市営が1事業、市営が1事業、企業団営等が46事業となっている。

(b)簡易水道事業

地方公共団体が経営する簡易水道事業で、令和元年度決算対象となるものは、535事業(うち法適用53事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が406事業(うち建設中1事業)で全体の75.9%を占め、以下、政令指定都市営が2事業、市営が125事業、一部事務組合等営が2事業となっている。

b 業務の状況

水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、令和元年度末で1億24百万人(上水道事業1億22百万人、簡易水道事業1百万人)であり、前年度と比べると微減となっている。また、令和元年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は178億72百万m3(前年度179億68百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は295l(同298l)となっている。

c 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

水道事業の総収益は3兆2,093億円、総費用は2兆8,752億円となっており、この結果、純損益は3,342億円の黒字(前年度3,659億円の黒字)、総収支比率は111.6%となっている。また、経常収益は3兆1,925億円、経常費用は2兆8,480億円となっており、この結果、経常損益は3,445億円の黒字、経常収支比率は112.1%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第23表のとおりである。

第23表 水道事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は646億円で、前年度と比べると1.1%減となっている。なお、不良債務は3億円(前年度2億円)である。

<2> 資本収支

資本的支出は、第88図のとおりであり、令和元年度の額は1兆8,372億円で、前年度と比べると1.2%増となっている。これに対する財源は、外部資金が6,066億円、内部資金が1兆2,267億円で、財源不足額は39億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆2,130億円で、前年度と比べると1.7%増、企業債償還金は5,691億円で、前年度と比べると0.1%増となっている。

第88図 水道事業(法適用企業)の資本的支出及びその財源

<3> 給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は168.57円で、前年度と比べると0.8%増となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が58.30円、職員給与費が20.71円、受水費が28.60円、その他の経費が60.96円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価(用水供給事業を除く。)は173.86円であり、給水原価が供給単価を5.28円下回る状態となっている。

また、令和元年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は77事業(前年度79事業)で、営業中の事業の5.6%となっている。

(b)法非適用企業

簡易水道事業における法非適用企業は482事業(うち建設中1事業)で、実質収支をみると、黒字事業が475事業で47億円の黒字、赤字事業が7事業で4億円の赤字となっており、差引43億円の黒字となっている。

(イ)工業用水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する工業用水道事業で、令和元年度決算対象となるものは、155事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が39事業、政令指定都市営が9事業、市営が80事業、町村営が17事業、企業団営が10事業となっている。

施設数は253施設、給水先事業所数は5,895箇所、年間総配水量は43億3百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの。)の平均は55.2%(前年度55.5%)となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

工業用水道事業の総収益は1,517億円、総費用は1,280億円となっており、この結果、純損益は237億円の黒字(前年度246億円の黒字)、総収支比率は118.5%となっている。また、経常収益は1,479億円、経常費用は1,243億円となっており、この結果、経常損益は237億円の黒字、経常収支比率は119.0%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第24表のとおりである。

第24表 工業用水道事業の経営状況

累積欠損金は328億円で、前年度と比べると2.8%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は1,057億円で、前年度と比べると15.2%増となっている。これに対する財源は、外部資金が392億円、内部資金が662億円で、財源不足額は3億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は650億円で、前年度と比べると27.1%増、企業債償還金は284億円で、前年度と比べると1.7%減となっている。

(c)給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価は26.18円(資本費11.25円、職員給与費3.11円、その他の経費11.82円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は30.10円となっている。これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(15.80円)が給水原価(13.34円)を2.46円上回っており、補助事業では供給単価(33.77円)が給水原価(29.47円)を4.30円上回っている。

(ウ)交通事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する交通事業で、令和元年度決算対象となるものは、85事業である。これを事業別にみると、バスが24事業、都市高速鉄道が9事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が45事業となっている。

これらによる年間輸送人員は34億6,931万人、1日平均948万人(対前年度比0.6%減)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが235万人(同2.2%減)、都市高速鉄道が686万人(同0.0%減)、路面電車が15万人(同1.4%減)、その他が12万人(前年度同数)となっている。

公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を年間輸送人員からみると、第89図のとおりであり、バスについては19.0%、鉄軌道については10.3%となっている。

第89図 バス、鉄軌道における公営交通事業の状況(年間輸送人員)

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用の交通事業の総収益は6,587億円、総費用は5,949億円となっており、この結果、純損益は638億円の黒字(前年度822億円の黒字)、総収支比率は110.7%となっている。また、経常収益は6,577億円、経常費用は5,922億円となっており、この結果、経常損益は655億円の黒字、経常収支比率は111.1%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第25表のとおりである。

第25表 交通事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は1兆3,892億円で、前年度と比べると5.4%減となっている。また、不良債務は595億円で、前年度と比べると5.9%減となっている。

これを事業別にみると、バス事業においては、純損益は23億円の赤字となっており、経常損益は25億円の赤字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第26表のとおりである。

第26表 交通事業のうちバス事業の経営状況

累積欠損金は511億円で、前年度と比べると0.7%減となっている。また、不良債務は78億円で、前年度と比べると7.4%増となっている。

都市高速鉄道事業においては、純損益は673億円の黒字となっており、経常損益は692億円の黒字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第27表のとおりである。

第27表 交通事業のうち都市高速鉄道事業の経営状況

累積欠損金は1兆3,195億円で、前年度と比べると5.7%減となっている。また、不良債務は518億円で、前年度と比べると7.7%減となっている。

<2> 資本収支

資本的支出は4,242億円(うちバス事業314億円、都市高速鉄道事業3,802億円)で、前年度と比べると45.8%減となっている。これに対する財源は、外部資金が1,965億円、内部資金が2,005億円で、財源不足額は272億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1,538億円(うちバス事業220億円、都市高速鉄道事業1,248億円)で、前年度と比べると23.0%増、企業債償還金は2,447億円(うちバス事業73億円、都市高速鉄道事業2,320億円)で、前年度と比べると58.7%減となっている。

(b)法非適用企業

交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の39事業で、実質収支をみると、黒字事業が38事業で6億円の黒字となっており、赤字事業が1事業で3億円の赤字となっている。

(エ)電気事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する電気事業で、令和元年度決算対象となるものは、98事業(うち建設中2事業)であり、法適用企業が31事業、法非適用企業が67事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が26事業、政令指定都市営が4事業、市営が33事業、町村営が33事業、一部事務組合等営が2事業となっている。

施設数は489施設で、最大出力の合計は267万kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は80億43百万kWh、年間売電電力量は78億37百万kWhとなっている。そのうち、各発電型式における稼働中の施設数、最大出力、年間発電電力量、年間売電電力量は第28表のとおりである。

第28表 公営電気事業における事業概況(稼働中の施設)

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用の電気事業の総収益は930億円、総費用は773億円となっており、この結果、純損益は157億円の黒字(前年度216億円の黒字)、総収支比率は120.4%となっている。また、経常収益は924億円、経常費用は710億円となっており、この結果、経常損益は214億円の黒字、経常収支比率は130.2%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第29表のとおりである。

第29表 電気事業(法適用企業)の経営状況

累積欠損金は100億円で、前年度と比べると183.6%増となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

<2> 資本収支

資本的支出は582億円で、前年度と比べると3.6%増となっている。これに対する財源は、外部資金が217億円、内部資金が364億円で、財源不足額を有する事業はない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は348億円で、前年度と比べると59.0%増、企業債償還金は122億円で、前年度と比べると2.9%増となっている。

(b)法非適用企業

電気事業における法非適用企業は、水力発電事業、ごみ発電事業、風力発電事業、太陽光発電事業及びバイオマス発電事業の67事業(うち建設中2事業)で、実質収支をみると66事業において黒字であり、黒字額は10億円となっている。一方、赤字を生じた事業は1事業である。

(オ)ガス事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営するガス事業で、令和元年度決算対象となるものは、25事業である。これを経営主体別にみると、政令指定都市営が1事業、市営が17事業、町村営が7事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は69万戸(対前年度比12.8%減)で、供給区域内戸数に対する普及率は63.4%となっている。また、販売量は258億48百万MJで、前年度と比べると20.7%減となっている。

ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、供給戸数で2.5%、販売量で1.5%となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

ガス事業の総収益は762億円、総費用は695億円となっており、この結果、純損益は67億円の黒字(前年度158億円の黒字)、総収支比率は109.6%となっている。また、経常収益は750億円、経常費用は690億円となっており、この結果、経常損益は60億円の黒字、経常収支比率は108.7%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第30表のとおりである。

第30表 ガス事業の経営状況

累積欠損金は122億円で、前年度と比べると27.2%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は196億円で、前年度と比べると5.4%減となっている。これに対する財源は、外部資金が32億円、内部資金が165億円で、財源不足額を有する事業はない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は111億円で、前年度と比べると9.2%増、企業債償還金は81億円で、前年度と比べると21.0%減となっている。

(カ)病院事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する病院事業(地方公営企業法を適用する病院事業)で、令和元年度決算対象となるものは、624事業であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は765病院である。これを経営主体別にみると、都道府県立が146病院(35都道府県)、政令指定都市立が24病院(14政令指定都市)、市立が341病院(291市)、町村立が152病院(148町村)及び一部事務組合等立が102病院(76組合)となっている。

一般病院*5733病院のうち病床数300床以上の病院は、31.2%に当たる229病院となっており、地域における中核的な役割を担う病院として地域医療を支えている。

一方、病床数が150床未満であり、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる位置に所在している等の条件下にある「不採算地区病院」は、一般病院の42.8%に当たる314病院となっており、民間医療機関による診療が期待できない離島、山間地等のへき地における医療の確保のため、重要な役割を果たしている。

さらに、自治体病院全体の86.4%に当たる661病院が救急病院として告示を受けており、地域の救急医療を担っている。

令和元年度末における病床数は17万2千床で、前年度と比べると2.0%減となり、入院及び外来延患者数は1億2千万人で、前年度と比べると2.2%減となっている。

また、病床利用率は73.5%(前年度73.7%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は161.5%(前年度163.4%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第90図のとおりである。

第90図 全国の病院に占める自治体病院の状況

なお、地方公共団体が経営する病院事業以外に、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人は60法人となっている。これらの法人が有する病院数は94病院であり、病床数は3万4千床となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

病院事業の総収益は4兆1,062億円、総費用は4兆1,996億円となっており、この結果、純損益は934億円の赤字(前年度840億円の赤字)、総収支比率は97.8%となっている。また、経常収益は4兆764億円、経常費用は4兆1,708億円となっており、この結果、経常損益は944億円の赤字、経常収支比率は97.7%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第31表のとおりである。

第31表 病院事業の経営状況

累積欠損金は1兆9,146億円で、前年度と比べると1.7%増となっている。また、不良債務は363億円で、前年度と比べると18.0%増となっている。

また、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は88.1%(前年度88.3%)となっており、これを病院の種別にみると、一般病院が88.7%(同88.8%)、精神科病院が64.2%(同65.9%)となっている。

なお、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人の総収益は1兆1,008億円、総費用は1兆1,058億円となっており、この結果、純損益は50億円の赤字(前年度21億円の赤字)、総収支比率は99.5%となっている。また、経常収益は1兆949億円、経常費用は1兆985億円となっており、この結果、経常損益は36億円の赤字、経常収支比率は99.7%となっている。累積欠損金は761億円で、前年度と比べると13.9%増となっている。また、不良債務は115億円で、前年度と比べると21.3%増となっている。

また、営業費用に対する営業収益の割合である営業収支比率は101.5%(前年度102.4%)となっており、これを病院の種別でみると、一般病院が101.4%(同102.3%)、精神科病院が103.2%(同104.8%)となっている。

(b)資本収支

資本的支出は6,870億円で、前年度と比べると10.6%減となっている。これに対する財源は、外部資金が4,819億円、内部資金が1,926億円で、財源不足額は126億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,348億円で、前年度と比べると9.4%減、企業債償還金は3,329億円で、前年度と比べると6.0%減となっている。

なお、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人の資本的支出は1,226億円で、前年度と比べると13.6%減となっている。これに対する財源は、外部資金が493億円、内部資金が592億円で、財源不足額は142億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は569億円で、前年度と比べると21.2%減、長期借入金償還金は354億円で、前年度と比べると13.6%増となっている。

(キ)下水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する下水道事業で、令和元年度決算対象となるものは、3,617事業(うち建設中10事業)であり、法適用企業が1,258事業、法非適用企業が2,359事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が81事業、政令指定都市営が50事業、市営が1,881事業、町村営が1,580事業、一部事務組合等営が25事業となっている。

下水道事業の令和元年度末における現在処理区域内人口は1億522万人、現在処理区域面積は549万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は152億m3で、前年度と比べると2.1%増となっており、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は112億m3で、前年度と比べると0.0%減となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

<1> 損益収支

法適用企業の下水道事業の総収益は3兆1,462億円で、前年度と比べると13.3%増となっている。その内訳をみると、使用料収入が1兆2,612億円(総収益に占める割合40.1%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が9,055億円(同28.8%)等となっている。一方、総費用は2兆9,417億円で、前年度と比べると13.9%増となっており、うち企業債利息が2,821億円(総費用に占める割合9.6%)となっている。この結果、純損益は2,045億円の黒字(前年度1,934億円の黒字)、総収支比率は107.0%となっている。また、経常収益は3兆1,284億円、経常費用は2兆9,252億円となっており、この結果、経常損益は2,032億円の黒字、経常収支比率は106.9%となっている。純損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。

第32表 下水道事業の経営状況

累積欠損金は1,178億円で、前年度と比べると3.6%増となっている。また、不良債務は219億円で、前年度と比べると1.3%減となっている。

<2> 資本収支

資本的支出は2兆7,712億円で、前年度と比べると12.1%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆6,553億円、内部資金が1兆1,009億円で、財源不足額は150億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆2,619億円で、前年度と比べると16.8%増、企業債償還金は1兆4,928億円で、前年度と比べると8.5%増となっている。

(b)法非適用企業

下水道事業における法非適用企業の総収益は7,347億円で、前年度と比べると25.4%減となっている。その内訳をみると、使用料収入が2,755億円(総収益に占める割合37.5%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が3,450億円(同47.0%)等となっている。一方、総費用は4,420億円で、前年度と比べると27.5%減となっており、うち地方債利息が955億円(総費用に占める割合21.6%)となっている。

資本的支出は8,328億円で、前年度と比べると24.3%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は3,601億円で、前年度と比べると25.8%減、地方債償還金は4,698億円で、前年度と比べると23.0%減となっている。

実質収支をみると、黒字事業が2,305事業で778億円の黒字、赤字事業が46事業で16億円の赤字となっており、差引762億円の黒字となっている(第32表)。

(c)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の黒字額は2,956億円、赤字額は149億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は2,806億円の黒字となっている。

汚水処理原価(汚水処理費を年間有収水量で除したもの)は、142.46円/m3(維持管理費78.42円/m3、資本費64.04円/m3)で、前年度と比べると0.6%減となっており、使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除したもの)は、137.81円/m3で、前年度と比べると1.1%減となっている。

その結果、経費回収率(使用料単価を汚水処理原価で除したもの)は96.7%となっており、前年度と比べると0.5ポイント低下している。

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の建設改良費は1兆6,220億円で、前年度と比べると3.6%増となっている。

(ク)その他の公営企業

a 事業数

地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、令和元年度決算対象となるものは、港湾整備事業が97事業、市場事業が152事業、と畜場事業が52事業、観光施設事業が247事業、宅地造成事業が378事業、有料道路事業が1事業、駐車場整備事業が202事業、介護サービス事業が517事業、その他事業(廃棄物等処理施設、診療所等)が58事業となっている。

b 経営状況

その他の公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第33表のとおりである。このうち、観光施設事業については、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)が50億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると3.9%減の187億円と改善されているものの、経営状況が悪化している事業については、施設そのものの必要性及び公営企業で運営することの適否について十分検討する必要がある。また、宅地造成事業については、全体の収支は562億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると1.1%減の3,392億円と改善されているものの、販売用土地の時価評価額が当該土地の地方債残高を下回っている会計が全体(地方債償還が終了した会計を除く。)の39.5%を占めている。厳しい経営状況にある事業については、対応を先延ばしにすることなく、早期かつ計画的に経営の健全化を図る必要がある。

第33表 その他の公営企業の経営状況

(2)国民健康保険事業[資料編:第120表

ア 都道府県

国民健康保険制度については、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第31号)に基づき、平成30年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となった。本改正により、都道府県も国民健康保険の保険者となり、新たに国民健康保険特別会計が創設された。

また、市町村も国民健康保険の保険者として、引き続き、資格管理、保険給付、保険料の賦課・徴収等の被保険者に身近な保険者業務を担うこととなるが、医療給付等に必要な資金は都道府県から保険給付費等交付金の交付を受ける一方で、徴収した保険料(税)は基本的に都道府県に国民健康保険事業費納付金として納付することとなった。

(ア)歳入

都道府県の歳入決算額は11兆5,208億円となっている。

歳入の内訳をみると、第91図のとおりである。それぞれの決算額をみると、市町村から納付された国民健康保険事業費納付金が3兆6,683億円、療養給付費等負担金等の国庫支出金が3兆3,311億円、前期高齢者交付金が3兆4,988億円、療養給付費等交付金が64億円、他会計繰入金が7,334億円等となっている。

第91図 国民健康保険事業の歳入決算の状況(都道府県)

(イ)歳出

歳出決算額は11兆3,192億円となっている。

歳出の内訳をみると、第92図のとおりであり、保険給付費等交付金は8兆9,579億円で、歳出総額の79.1%を占めている。その他、後期高齢者支援金等が1兆5,886億円、介護納付金が5,611億円、財政安定化基金積立金等の基金積立金が255億円、前期高齢者納付金等が64億円、特別高額医療費共同事業拠出金が114億円、財政安定化基金支出金が2億円等となっている。

第92図 国民健康保険事業の歳出決算の状況(都道府県)

(ウ)収支

実質収支は1,996億円の黒字となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、47団体全てにおいて黒字で、黒字額は1,991億円となっている。

イ 市町村 (事業勘定)

令和元年度末において国民健康保険事業会計を有する市町村は、1,743団体(20政令指定都市、58中核市、27施行時特例市、687都市、924町村、4一部事務組合等、23特別区)となっている。また、直営診療所を設置している団体は362団体(2政令指定都市、13中核市、6施行時特例市、147都市、192町村、2一部事務組合)となっている。

被保険者数は2,660万人であり、加入世帯数は1,733万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は92万人減少、加入世帯数は35万世帯減少している。

(ア)歳入

事業勘定の歳入決算額は13兆997億円で、前年度と比べると3,580億円減少(2.7%減)している。

歳入の内訳をみると、第93図のとおりであり、国民健康保険制度の改正により、都道府県が国民健康保険財政運営の責任主体となったことに伴い、都道府県から医療給付等に必要な資金として交付される保険給付費等交付金等の都道府県支出金が歳入総額の68.4%を占め、前年度(67.0%)と比べると1.4ポイント上昇している。都道府県支出金は8兆9,579億円で、前年度と比べると653億円減少(0.7%減)している。

第93図 国民健康保険事業の歳入決算の状況(市町村(事業勘定))

その他の決算額をみると、国民健康保険税(料)は2兆5,993億円で、前年度と比べると749億円減少(2.8%減)、また、国庫支出金は59億円となり、前年度と比べると13億円増加(29.8%増)している。

さらに、他会計繰入金は1兆1,637億円で、前年度と比べると213億円減少(1.8%減)している。この内訳をみると、財源補填的な繰入金が2,004億円(対前年度比2.6%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が6,676億円(同0.4%減)等となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は12兆8,899億円で、前年度と比べると3,226億円減少(2.4%減)している。

歳出の内訳をみると、第94図のとおりであり、保険給付費は8兆7,352億円で、前年度と比べると614億円減少(0.7%減)している。

第94図 国民健康保険事業の歳出決算の状況(市町村(事業勘定))

保険給付費の主な内訳をみると、療養諸費等が8兆6,133億円で、前年度と比べると438億円減少(0.5%減)、その他の給付費が979億円で、前年度と比べると182億円減少(15.6%減)している。

また、市町村から都道府県へ納付される国民健康保険事業費納付金は、3兆6,669億円(0.6%増)となっている。

(ウ)収支

実質収支は2,088億円の黒字(前年度2,446億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字傾向が続いている。

実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、147億円の黒字(前年度554億円の黒字)となっている。

再差引収支を団体区分別にみると、政令指定都市が253億円の赤字(前年度213億円の赤字)、中核市が58億円の赤字(同90億円の黒字)、施行時特例市が7億円の赤字(同5億円の赤字)、都市が138億円の黒字(同285億円の黒字)、町村が236億円の黒字(同284億円の黒字)、一部事務組合等が7億円の黒字(同6億円の黒字)、特別区が84億円の黒字(同106億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると41団体減の1,206団体で、その黒字額は385億円減の1,386億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると40団体増の537団体で、その赤字額は23億円増の1,240億円となっている。団体区分別に赤字の団体が占める割合をみると、政令指定都市が70.0%、中核市が62.1%、施行時特例市が48.1%、都市が37.4%、町村が22.9%、特別区が17.4%となっている。

ウ 市町村 (直診勘定)

直診勘定の歳入決算額は586億円で、前年度と比べると7億円減少(1.2%減)している。

このうち、診療収入は296億円で、前年度と比べると9億円減少(2.8%減)しており、歳入総額に占める割合は50.5%(前年度51.4%)となっている。他会計繰入金は169億円で、前年度と比べると0.4億円減少(0.2%減)しており、歳入総額に占める割合は28.9%(前年度28.6%)となっている。

直診勘定の歳出決算額は566億円で、前年度と比べると1億円減少(0.2%減)している。

このうち、総務費は363億円で、前年度と比べると1億円増加(0.4%増)している。また、医業費は143億円で、前年度と比べると4億円減少(3.0%減)しており、歳出総額に占める割合は25.3%(前年度26.0%)となっている。なお、医業費の診療収入に対する割合は48.3%で、前年度と比べて0.1ポイント低下している。

実質収支は18億円の黒字(前年度24億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、146億円の赤字(同141億円の赤字)となっている。

(3)後期高齢者医療事業[資料編:第121表

後期高齢者医療事業では、保険料の徴収や後期高齢者医療広域連合へ保険料等の納付を行う市町村(1,739団体(20政令指定都市、58中核市、27施行時特例市、687都市、923町村、1広域連合、23特別区))及び後期高齢者医療事業を実施する都道府県区域ごとの後期高齢者医療広域連合(47団体)に特別会計が設けられている。

ア 市町村

市町村の特別会計の歳入決算額は1兆8,076億円で、前年度と比べると557億円増加(3.2%増)している。このうち、被保険者が支払う後期高齢者医療保険料は1兆2,938億円で、前年度と比べると563億円増加(4.6%増)しており、歳入総額に占める割合は71.6%(前年度70.6%)となっている。

歳出決算額は1兆7,793億円で、前年度と比べると582億円増加(3.4%増)している。このうち、後期高齢者医療広域連合への納付金が、1兆6,887億円で、前年度と比べると594億円増加(3.6%増)しており、歳出総額に占める割合は94.9%(前年度94.7%)となっている。

イ 後期高齢者医療広域連合

(ア)歳入

後期高齢者医療広域連合の歳入決算額は16兆5,458億円で、前年度と比べると5,210億円増加(3.3%増)している。

歳入の内訳をみると、第95図のとおりであり、支払基金交付金が6兆5,220億円(歳入に占める割合39.4%)、国庫支出金が5兆2,595億円(同31.8%)、市町村支出金が2兆8,810億円(同17.4%)、都道府県支出金が1兆3,167億円(同8.0%)で、それぞれ前年度と比べると支払基金交付金が2,334億円増加(3.7%増)、国庫支出金が1,403億円増加(2.7%増)、市町村支出金が1,022億円増加(3.7%増)、都道府県支出金が452億円増加(3.6%増)している。

第95図 後期高齢者医療事業の歳入決算の状況

(イ)歳出

後期高齢者医療広域連合の歳出決算額は16兆1,884億円で、前年度と比べると5,956億円増加(3.8%増)している。

歳出の内訳をみると、第96図のとおりであり、保険給付費は15兆7,447億円で、前年度と比べると5,982億円増加(3.9%増)しており、歳出総額の97.3%(前年度97.1%)を占めている。

第96図 後期高齢者医療事業の歳出決算の状況

(ウ)収支

実質収支は47団体全て黒字となっており、その黒字額は、前年度と比べると746億円減の3,574億円(前年度4,320億円の黒字)となっている。

(4)介護保険事業[資料編:第122表

介護保険制度を実施する保険者である市町村が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65歳以上の者)からの保険料や、支払基金交付金(第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる居宅サービス及び施設サービス等を実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

なお、市町村が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業は、介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

令和元年度末の介護保険事業の保険者は、1,573団体(20政令指定都市、57中核市、25施行時特例市、630都市、778町村、40一部事務組合等、23特別区)で、前年度と同数となっている。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は649団体(7政令指定都市、15中核市、7施行時特例市、255都市、348町村、6一部事務組合等、11特別区)で、前年度と比べると19団体減少している。

ア 保険事業勘定

(ア)歳入

保険事業勘定の歳入決算額は11兆2,919億円で、前年度と比べると2,819億円増加(2.6%増)している。

歳入の内訳をみると、第97図のとおりであり、第1号被保険者が支払う保険料が2兆3,948億円(歳入総額に占める割合21.2%)、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあっては100分の15)に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が2兆5,459億円(同22.5%)、支払基金交付金が2兆7,896億円(同24.7%)、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあっては100分の17.5)に相当する額)を含む都道府県支出金が1兆5,379億円(同13.6%)、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が1兆6,741億円(同14.8%)、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が643億円(同0.6%)等となっている。

第97図 介護保険事業の歳入決算の状況(保険事業勘定)

また、それぞれ前年度と比べると保険料が281億円減少(1.2%減)、国庫支出金が639億円増加(2.6%増)、支払基金交付金が872億円増加(3.2%増)、都道府県支出金が410億円増加(2.7%増)、他会計繰入金が1,057億円増加(6.7%増)、基金繰入金が196億円増加(43.7%増)している。

(イ)歳出

保険事業勘定の歳出決算額は11兆391億円で、前年度と比べると3,217億円増加(3.0%増)している。

歳出の内訳をみると、第98図のとおりであり、保険給付費は9兆9,733億円で、前年度と比べると3,341億円増加(3.5%増)しており、歳出総額の90.3%(前年度89.9%)を占めている。

第98図 介護保険事業の歳出決算の状況(保険事業勘定)

(ウ)収支

実質収支は2,472億円の黒字(前年度2,867億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、2,452億円の黒字(同2,853億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると11団体減の1,558団体で、全団体に占める割合は99.0%(前年度99.7%)となっており、その黒字額は394億円減の2,480億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると11団体増の15団体で、全団体に占める割合は1.0%(前年度0.3%)となっており、その赤字額は6億円増の28億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定

介護サービス事業勘定の歳入決算額は214億円で、前年度と比べると2億円増加(1.1%増)している。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は76億円(前年度比0.4%減)で、歳入総額に占める割合は35.4%(前年度35.9%)となっている。

普通会計等からの繰入金は117億円で、前年度と比べると6億円増加(5.2%増)しており、歳入総額に占める割合は54.8%(前年度52.7%)となっており、このうち、普通会計からのものが98億円で前年度と比べると3億円増加(3.4%増)している。

歳出決算額は200億円で、前年度と比べると1億円増加(0.5%増)している。このうち、サービス事業費が75億円で、前年度と比べると2億円減少(2.0%減)しており、歳出総額に占める割合は37.6%(前年度38.6%)となっている。

また、公債費の元利償還金は35億円で、前年度と比べると9億円減少(20.2%減)しており、歳出総額に占める割合は17.3%(前年度21.8%)となっている。

なお、実質収支は13億円の黒字(前年度12億円の黒字)となっており、再差引収支は100億円の赤字(同96億円の赤字)となっている。

(5)その他の事業

ア 収益事業[資料編:第123表

収益事業を実施した地方公共団体の数は延べ280団体で、前年度と同数となっている。

これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が103団体と最も多く、以下、自転車競走事業55団体、競馬事業50団体、小型自動車競走事業5団体の順となっている。

また、宝くじは、47都道府県及び20政令指定都市の67団体で発売されている。

これらを団体区分別にみると、都道府県においては延べ65団体、市町村においては延べ215団体が収益事業を実施している。

(ア)経営状況

収益事業の決算額は歳入3兆8,248億円、歳出3兆6,810億円で、前年度と比べると歳入は2,728億円増加(7.7%増)、歳出は2,470億円増加(7.2%増)している。

実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は4,609億円の黒字(前年度4,463億円の黒字)となっている。

普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が55億円(前年度32億円)、自転車競走事業が66億円(同68億円)、小型自動車競走事業が1億円(同2億円)、モーターボート競走事業が288億円(同374億円)、宝くじ事業が3,239億円(同3,208億円)となっている。

(イ)収益金の使途状況

収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は3,648億円で、前年度と比べると35億円減少(1.0%減)している。

収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、民生費が844億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合23.1%)を占め、次いで土木費の833億円(同22.8%)となっており、これらの費目で繰入総額の46.0%を占めている。このほか、教育費が523億円(同14.3%)、衛生費が139億円(同3.8%)、商工費が136億円(同3.7%)等となっている。

イ 共済事業

(ア)農業共済事業[資料編:第125表

農業共済事業を実施した市町村の数は35団体で、前年度と比べると9団体減少している。

農業共済事業会計の決算額は歳入79億円、歳出77億円で、前年度と比べると歳入は19億円減少(19.3%減)、歳出は19億円減少(19.5%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、22億円の赤字(前年度25億円の赤字)となっている。

(イ)交通災害共済事業[資料編:第126表

直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は60団体(25市町村、35一部事務組合等)で、前年度と比べると2団体減少している。

また、加入者は令和元年度末で629万人(前年度末663万人)となっている。

交通災害共済事業会計の決算額は歳入52億円、歳出41億円で、前年度と比べると歳入は1億円減少(1.3%減)、歳出は1億円増加(3.5%増)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は12億円の黒字(前年度14億円の黒字)となっている。

ウ 公立大学附属病院事業[資料編:第124表

公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体は1団体である。

公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益24億円、総費用23億円となり、前年度と比べると総収益は1億円増加し、総費用は0.4億円増加した。

また、資本的収支では資本的収入5億円、資本的支出4億円で、前年度と比べると資本的収入は0.3億円増加(7.2%増)、資本的支出は0.1億円減少(2.1%減)している。

実質収支は1億円の黒字(前年度1億円の黒字)となっている。

(6)第三セクター等

ア 第三セクター等の定義

第三セクター等とは、次の法人をいう。

(ア)第三セクター

a 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)等の規定に基づいて設立されている一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人を含む。)並びに特例民法法人(以下「社団法人・財団法人」という。)のうち、地方公共団体が出えんを行っている法人

b 「会社法」(平成17年法律第86号)の規定に基づいて設立されている株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び特例有限会社(以下「会社法法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

(イ)地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社(以下「地方三公社」という。)

イ 第三セクター等に係る財政的リスクの状況

第三セクター等は、地域住民の暮らしを支える事業を行う重要な役割を担う一方で、経営が著しく悪化した場合には、地方公共団体の財政に深刻な影響を及ぼすことが懸念される。

特に地方公共団体に相当程度の財政的なリスクが存在する第三セクター等については、「第三セクター等の経営健全化方針の策定と取組状況の公表について」(令和元年7月23日付け総務省自治財政局公営企業課長通知)により、地方公共団体に対し、経営健全化方針の策定と、それに基づく取組の着実な実施を要請している。

第三セクター等に係る財政的リスクの状況は第34表のとおりである。

第34表 経営健全化方針の策定を要する法人数

経営健全化方針の策定要件に該当した法人数は275法人で、前年度(290法人)に比べ15法人減少している。



*5 精神科病院以外の病院をいう。

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