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令和3年版
地方財政白書
(令和元年度決算)

5 地方経費の構造

地方公共団体の経費を経済的な性質に着目して分類すると、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別されるが、これらの状況をみると、以下のとおりである。

(1)義務的経費

人件費、扶助費及び公債費からなる義務的経費の決算額は49兆5,111億円で、前年度と比べると0.8%増となっている。また、義務的経費の歳出総額に占める割合は49.7%で、前年度と比べると0.4ポイントの低下となっている。

このうち通常収支分は49兆4,272億円で、扶助費の増加により、前年度と比べると0.8%増となっており、東日本大震災分は839億円で、公債費の増加により、前年度と比べると16.0%増となっている。

義務的経費の内訳をみると、人件費が22兆4,568億円で、義務的経費に占める割合は45.4%(前年度45.7%)、扶助費が14兆9,410億円で、義務的経費に占める割合は30.2%(同29.1%)、公債費が12兆1,133億円で、義務的経費に占める割合は24.5%(同25.1%)となっている。

ア 人件費[資料編:第76表

人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、議員報酬等、委員等報酬等からなっている。

人件費の決算額は22兆4,568億円で、前年度と比べると0.0%減(前年度0.0%増)となっている。近年の人件費の歳出総額に占める割合及び人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合の推移は、第51図のとおりである。人件費の歳出総額に占める割合は、前年度から0.4ポイント低下の22.5%となっており、平成26年度以降、横ばいとなっていたが、令和元年度は減少に転じた。

第51図 人件費の推移

このうち通常収支分は22兆4,327億円で、退職金の減少等により、前年度と比べると0.0%減となっており、東日本大震災分は241億円で、前年度と比べると10.3%減となっている。

人件費の歳出総額に占める割合を団体区分別にみると、都道府県(25.4%)が、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の給与(平成28年度以前は政令指定都市分も負担)を負担していることなどから、市町村(16.7%)を上回っている。

人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合は、前年度と比べると0.2ポイント低下して28.5%となっており、3年連続で低下している。

人件費に充当された一般財源の一般財源総額に占める割合を団体区分別にみると、都道府県においては30.0%となっており、市町村においては23.2%となっている。

また、国家公務員の給与水準を100としたときの、地方公務員の給与水準を指すラスパイレス指数の推移は、第52図のとおりであり、令和2年4月1日現在のラスパイレス指数は99.1(対前年度比同率)となっている。

第52図 ラスパイレス指数の推移

ラスパイレス指数を団体区分別にみると、都道府県100.0、政令指定都市99.9、都市98.9、町村96.4となっている。

人件費の費目別の主な内訳をみると、第53図のとおりであり、職員給が最も大きな割合(人件費総額の71.0%)を占め、以下、地方公務員共済組合等負担金(同14.8%)、退職金(同8.1%)の順となっている。

第53図 人件費の費目別内訳

各費目の決算額を前年度と比べると、職員給が0.2%増、地方公務員共済組合等負担金が0.1%減、退職金が2.6%減となっている。

人件費に充当された財源の内訳をみると、第54図のとおりであり、一般財源等が最も大きな割合(人件費総額の88.9%)を占め、以下、国庫支出金(同7.5%)、使用料・手数料(同2.3%)の順となっている。

第54図 人件費の財源内訳

財源の内訳を団体区分別にみると、一般財源等の構成比は、市町村(90.5%)が都道府県(85.9%)を上回っており、国庫支出金の構成比は、都道府県(10.6%)が市町村(3.4%)を上回っている。これは、都道府県が負担している政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費について、国庫負担制度(義務教育費国庫負担金)が設けられていること等によるものである。

(ア)職員給[資料編:第77表

職員給の決算額は15兆9,545億円で、国家公務員の給与改定に準じた措置等により、前年度と比べると0.2%増となっている。平成11年度以来15年連続で減少してきたが、平成26年度から上昇に転じた。なお、ピーク時の平成10年度と比較すると約8割まで減少している。

このうち通常収支分は15兆9,356億円で、前年度と比べると0.2%増となっており、東日本大震災分は188億円で、前年度と比べると4.5%減となっている。

職員給の主な内訳をみると、基本給が最も大きな割合(職員給総額の65.1%)を占め、次いでその他の手当(同34.9%)となっている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、基本給が0.4%減、その他の手当が1.3%増となっている。

職員給の部門別構成比は、第55図のとおりであり、教育関係が最も大きな割合(職員給総額の45.6%)を占め、以下、警察関係(同13.1%)、議会・総務関係(同11.9%)、民生関係(同8.7%)、消防関係(同6.8%)、衛生関係(同5.2%)の順となっている。

第55図 職員給の部門別構成比の状況

また、職員給の部門別構成比を団体区分別にみると、都道府県においては政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していることから、教育関係が最も大きな割合(60.6%)を占め、警察関係(22.7%)と合わせて全体の83.3%を占めており、市町村においては教育関係が最も大きな割合(25.0%)を占め、以下、議会・総務関係(22.1%)、民生関係(18.0%)、消防関係(13.9%)、衛生関係(9.4%)の順となっている。

次に、令和2年4月1日現在における地方公務員(普通会計分)1人当たりの平均給料月額を主な職種別及び団体区分別にみると、第56図のとおりである。職種により平均給料月額に差があるのは、主として、職種別の年齢構成、給料表の構造等の違いによるものである。

第56図 地方公務員1人当たり平均給料月額(普通会計、団体区分別、職種別)

(イ)地方公務員の数[資料編:第78表

地方公共団体の職員数(普通会計分)は、事務事業の見直し、組織の合理化、民間委託等の取組が行われたことなどから、平成7年以降21年連続して減少していたが、平成28年に増加に転じ、令和2年4月1日現在の職員数は240万8,669人で、前年同期と比べると1万9,018人増加(0.8%増)している。

職員の部門別構成比は、第57図のとおりであり、教育関係職員が最も大きな割合(全地方公務員数の42.8%)を占め、以下、一般行政関係職員(同38.4%)、警察関係職員(同12.0%)、消防関係職員(同6.8%)の順となっている。なお、職員構成比を団体区分別にみると、都道府県においては教育関係職員が59.0%、警察関係職員が21.9%、一般行政関係職員が17.6%を占め、市町村においては一般行政関係職員が63.7%、教育関係職員が23.1%、消防関係職員が13.2%を占めている。

第57図 地方公務員数の状況

部門別職員数を前年同期と比べると、教育関係職員が1万3,010人、一般行政関係職員が5,240人、消防関係職員が700人、警察関係職員が68人増加している。一般行政関係職員の増減の内訳をみると、民生関係職員が2,886人、議会・総務関係職員が2,595人、土木関係職員が233人、商工関係職員が201人増加し、一方、衛生関係職員が263人、税務関係職員が256人、農林水産関係職員が175人減少している。

また、部門別職員数の推移は、第58図のとおり、近年は、一般行政関係職員、教育関係職員が増加傾向にある。

第58図 地方公務員数の推移

さらに、10年前(平成22年4月1日現在)と比較した一般行政関係職員の部門別、団体区分別増減状況は、第59図のとおりである。

第59図 一般行政関係職員の部門別、団体区分別増減状況(令和2年4月1日と平成22年4月1日との比較)

(ウ)地方議会議員の数

令和元年12月31日現在で、都道府県議会議員の定数は2,679人(対前年度同期比8人減少(0.3%減))、市区町村議会議員の定数は3万104人(同295人減少(1.0%減))となっている。

イ 扶助費[資料編:第81表

扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、障害者等を援助するために要する経費である。

扶助費の決算額は14兆9,410億円で、前年度と比べると4.5%増となっており、19年連続で増加している。また、扶助費の歳出総額に占める割合は15.0%で、前年度から0.4ポイント上昇している。

このうち通常収支分は14兆9,300億円で、幼児教育・保育の無償化に伴う児童福祉費の増加等により、前年度と比べると4.4%増となっており、東日本大震災分は110億円で、前年度と比べると160.1%増となっている。

扶助費の目的別の内訳をみると、児童福祉費が6兆5,786億円で最も大きな割合(扶助費総額の44.0%)を占め、以下、生活保護費の3兆6,340億円(同24.3%)、社会福祉費の3兆5,721億円(同23.9%)の順となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、児童福祉費が5.8%増、生活保護費が0.5%減、社会福祉費が4.7%増となっている。

扶助費の目的別内訳の推移は、第60図のとおりである。

第60図 扶助費の目的別内訳の推移

なお、扶助費に充当された財源の内訳をみると、生活保護費負担金及び児童手当等交付金等の国庫支出金が7兆6,249億円(扶助費総額の51.0%)、次いで一般財源等が6兆8,278億円(同45.7%)となっている。

ウ 公債費[資料編:第98表第99表

公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。

公債費の決算額は12兆1,133億円で、前年度と比べると1.8%減となっている。また、公債費の歳出総額に占める割合は12.1%で、前年度と比べると0.5ポイントの低下となっている。

このうち通常収支分は12兆646億円で、前年度と比べると1.9%減となっており、東日本大震災分は487億円で、前年度と比べると18.4%増となっている。

公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が11兆625億円(公債費総額の91.3%)、地方債利子が1兆502億円(同8.7%)、一時借入金利子が6億円(同0.0%)となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、地方債元金償還金が0.7%減、地方債利子が12.7%減、一時借入金利子が4.7%増となっている。

公債費を団体区分別にみると、都道府県においては6兆6,251億円で、前年度と比べると2.4%減、市町村においては5兆5,204億円で、前年度と比べると1.2%減となっている。また、歳出総額に占める割合を団体区分別にみると、都道府県においては13.4%で、前年度と比べると0.5ポイントの低下となっており、市町村においては9.3%で、前年度と比べると0.3ポイントの低下となっている。

なお、公債費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が11兆5,937億円(公債費総額の95.7%)となっており、使用料・手数料等の特定財源が5,196億円(同4.3%)となっている。

(2)投資的経費

投資的経費は、道路・橋りょう、河川、公園、学校、公営住宅の建設等社会資本の整備に要する経費であり、普通建設事業費、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。

投資的経費の決算額は16兆4,239億円で、前年度と比べると3.9%増となっている。また、投資的経費の歳出総額に占める割合は16.5%で、前年度と比べると0.4ポイントの上昇となっている。

このうち通常収支分は15兆4,173億円で、前年度と比べると5.6%増となっており、東日本大震災分は1兆66億円で、前年度と比べると16.7%減となっている。

投資的経費の内訳をみると、普通建設事業費は15兆4,164億円で、投資的経費に占める割合は93.9%(前年度93.4%)、災害復旧事業費は1兆75億円で、投資的経費に占める割合は6.1%(同6.6%)、失業対策事業費は0.2億円で、投資的経費に占める割合は0.0%(同0.0%)となっている。

ア 普通建設事業費[資料編:第83表

普通建設事業費は、公共又は公用施設の新増設等に要する経費である。

普通建設事業費の決算額は15兆4,164億円で、前年度と比べると4.4%増となっている。

このうち通常収支分においては14兆6,564億円で、補助事業費の増加等により、前年度と比べると5.8%増となっており、東日本大震災分においては7,600億円で、補助事業費の減少等により、前年度と比べると16.0%減となっている。

なお、普通建設事業費のうち更新整備*3に要した経費は、都道府県においては3兆27億円で、市町村においては4兆3,022億円となっている。一方、新規整備*4に要した経費は、都道府県においては2兆6,022億円、市町村においては2兆3,279億円となっている。更新整備と新規整備に要する経費の合計額に占める更新整備に要する経費の割合は、都道府県では53.6%、市町村では64.9%となっている。

普通建設事業費の内訳をみると、補助事業費が7兆5,855億円(普通建設事業費総額の49.2%)、単独事業費が7兆84億円(同45.5%)、国直轄事業負担金が8,225億円(同5.3%)となっている。

また、各費目の決算額を前年度と比べると、補助事業費が8.0%増(前年度3.8%減)、単独事業費が0.2%減(同11.5%増)、国直轄事業負担金が14.5%増(同0.5%減)となっている。

近年の普通建設事業費の推移は、第15表及び第61図のとおりである。

第15表 普通建設事業費(補助・単独)の推移
第61図 普通建設事業費の推移(その1 純計)
第61図 普通建設事業費の推移(その2 都道府県)
第61図 普通建設事業費の推移(その3 市町村)

(ア)普通建設事業費の目的別内訳[資料編:第83表第87表

普通建設事業費の目的別の内訳をみると、第62図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(普通建設事業費総額の49.7%)を占め、以下、教育費(同16.0%)、農林水産業費(同11.0%)の順となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が4.8%増(前年度0.1%減)、教育費が25.2%増(同4.2%減)、農林水産業費が4.0%増(同2.7%減)となっている。

第62図 普通建設事業費の目的別(補助・単独)の状況

さらに、これらの費目を主要項目別にみると、土木費のうちの道路橋りょう費が最も大きな割合(普通建設事業費総額の21.9%)を占め、以下、都市計画費(同11.9%)、河川海岸費(同9.6%)の順となっている。

また、これを団体区分別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(普通建設事業費の27.2%)、河川海岸費(同17.3%)、農地費(同9.9%)、都市計画費(同7.6%)、林業費(同4.3%)の順で、市町村においては都市計画費(同15.9%)、道路橋りょう費(同15.3%)、小学校費(同9.9%)、清掃費(同7.2%)、中学校費(同4.9%)、の順となっている。

次に、補助事業費及び単独事業費の構成比をみると、農林水産業費及び土木費においては補助事業費が単独事業費の割合を上回っているのに対し、総務費、民生費、衛生費、労働費、商工費、消防費及び教育費においては単独事業費が補助事業費の割合を上回っている。

なお、普通建設事業費の目的別内訳の10年前(平成21年度)の決算額との比較については、第63図のとおりである。

第63図 普通建設事業費の目的別内訳の状況(平成21年度と令和元年度との比較)

(イ)補助事業費[資料編:第84表

補助事業費は、地方公共団体が国からの負担金又は補助金を受けて実施する事業に要する経費である。

補助事業費の決算額は7兆5,855億円で、前年度と比べると8.0%増となっている。

このうち通常収支分においては6兆9,807億円で、前年度と比べると11.1%増となっており、東日本大震災分においては6,047億円で、前年度と比べると18.4%減となっている。

これを団体区分別にみると、都道府県においては4兆2,552億円で、前年度と比べると7.8%増、市町村においては3兆5,988億円で、前年度と比べると8.3%増となっている。

補助事業費の目的別の内訳をみると、第64図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(補助事業費総額の57.6%)を占め、以下、農林水産業費(同17.1%)、教育費(同11.1%)、衛生費(同5.1%)の順となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が5.8%増、農林水産業費が6.4%増、教育費が42.5%増、衛生費が6.4%減となっている。

第64図 補助事業費の目的別内訳の状況

さらに、これらの費目を主要項目別にみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(補助事業費総額の23.3%)を占め、以下、都市計画費(同14.9%)、河川海岸費(同11.6%)の順となっている。これを団体区分別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(補助事業費の28.5%)、河川海岸費(同19.9%)、農地費(同15.8%)の順で、市町村においては都市計画費(同22.7%)、道路橋りょう費(同15.5%)、小学校費(同10.9%)の順となっている。

(ウ)単独事業費[資料編:第86表

単独事業費は、地方公共団体が国の補助等を受けずに自主的・主体的に地域の実情等に応じて実施する事業に要する経費である。

単独事業費の決算額は7兆84億円で、前年度と比べると0.2%減となっている。

このうち通常収支分においては6兆9,311億円で、前年度と比べると0.1%増となっており、東日本大震災分においては773億円で、前年度と比べると20.3%減となっている。

これを団体区分別にみると、都道府県においては2兆9,399億円で、前年度と比べると7.1%減、市町村においては4兆3,527億円で、前年度と比べると5.5%増となっている。

単独事業費の目的別の内訳をみると、第65図のとおりであり、土木費が最も大きな割合(単独事業費総額の36.4%)を占め、以下、教育費(同23.2%)、総務費(同13.8%)の順となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が0.0%減(前年度2.8%増)、教育費が17.8%増(同3.3%増)、総務費が21.1%増(同4.0%増)となっている。

第65図 単独事業費の目的別内訳の状況

さらに、これらの費目を主要項目別にみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(単独事業費総額の17.2%)を占め、以下、都市計画費(同10.1%)、保健体育費(同6.5%)の順となっている。これを団体区分別にみると、都道府県においては道路橋りょう費(単独事業費の19.8%)、河川海岸費(同10.6%)、都市計画費(同9.6%)の順で、市町村においては道路橋りょう費(同14.7%)、都市計画費(同10.3%)、小学校費(同9.5%)の順となっている。

(エ)国直轄事業負担金[資料編:第85表

国直轄事業負担金は、国が道路、河川、砂防、港湾等の土木事業等を直轄で実施する場合において、法令の規定により、地方公共団体がその一部を負担するものである。

国直轄事業負担金の決算額は8,225億円で、前年度と比べると14.5%増となっている。

このうち通常収支分においては7,445億円で、前年度と比べると14.3%増となっており、東日本大震災分においては779億円で、前年度と比べると15.9%増となっている。

国直轄事業負担金の目的別の内訳をみると、土木費が最も大きな割合(国直轄事業負担金総額の90.0%)を占め、次いで農林水産業費(同10.0%)となっている。各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が18.2%増、農林水産業費が11.0%減となっている。

さらに、これらの費目を主要項目別にみると、道路橋りょう費が最も大きな割合(国直轄事業負担金総額の48.7%)を占め、以下、河川海岸費(同26.6%)、港湾費(同11.3%)の順となっている。

(オ)普通建設事業費の充当財源[資料編:第83表第86表

普通建設事業費に充当された主な財源の内訳をみると、地方債が最も大きな割合(普通建設事業費総額の43.0%)を占めており、以下、国庫支出金(同23.8%)、一般財源等(同20.5%)の順となっている。普通建設事業費に充当された主な財源の構成比を前年度と比べると、地方債は4.3ポイントの上昇、国庫支出金は1.1ポイントの上昇、一般財源等は4.3ポイントの低下となっている。

また、これを補助事業費と単独事業費に分けてみると、補助事業費については、国庫支出金が48.4%、地方債が34.6%、一般財源等が7.2%となっており、単独事業費については、地方債が47.8%、一般財源等が35.4%となっている。

普通建設事業費の財源構成比の推移は、第66図のとおりである。

第66図 普通建設事業費の財源構成比の推移(その1 総計)
第66図 普通建設事業費の財源構成比の推移(その2 補助事業費)
第66図 普通建設事業費の財源構成比の推移(その3 単独事業費)

(カ)用地取得費[資料編:第88表第90表

地方公共団体が社会資本整備を推進するための用地取得に要する経費である用地取得費の決算額は9,387億円で、前年度と比べて35.8%減となっている。

これを団体区分別にみると、都道府県においては4,952億円で、前年度と比べると48.8%減、市町村においては4,434億円で、前年度と比べると10.4%減となっている。

用地取得費の目的別の主な内訳をみると、第67図のとおりであり、土木関係が用地取得費総額の中で最も大きな割合(用地取得費総額の75.2%)を占め、次いで総務関係(同12.1%)となっている。

第67図 用地取得費の目的別(補助・単独)の状況

さらに、これらを主要項目別にみると、用地取得費総額で最も大きな割合を占めるのが都市計画で40.5%(都道府県32.7%、市町村49.2%)であり、次いで道路橋りょう26.9%(都道府県34.0%、市町村18.9%)となっている。

また、用地取得費のうち用地を取得するために要した移転等の補償費又は賠償費は3,481億円で、用地取得費に占める割合は前年度と比べると14.1ポイント上昇の37.1%(都道府県45.7%、市町村27.4%)となっている。

取得用地面積(債務負担行為等に係るものを含む。)は4,835万8千m2(都道府県2,422万4千m2、市町村2,413万4千m2)で、前年度と比べると15.2%減となっている。

用地取得費の推移は、第68図のとおりである。

第68図 用地取得費の推移

また、普通建設事業費に占める用地取得費の割合の推移は、第16表のとおりであり、令和元年度は5.8%(都道府県6.2%、市町村5.4%)となっている。

第16表 普通建設事業費に占める用地取得費の割合の推移

イ 災害復旧事業費[資料編:第91表

災害復旧事業費は、地震、豪雨、台風等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。

災害復旧事業費の決算額は1兆75億円で、前年度と比べると3.1%減となっている。

このうち通常収支分においては7,608億円で、前年度と比べると3.4%増となっており、東日本大震災分においては2,467億円で、前年度と比べると18.6%減となっている。

災害復旧事業費の内訳をみると、第69図のとおりであり、補助事業費が7,527億円で、前年度と比べると3.4%減、単独事業費が2,218億円で、前年度と比べると3.8%減、国直轄事業負担金が330億円で、前年度と比べると12.5%増となっている。

第69図 災害復旧事業費の状況

また、目的別内訳の構成比をみると、道路、河川、海岸、港湾、漁港等の公共土木施設関係(災害復旧事業費総額の66.4%)と農地、農業用施設等の農林水産施設関係(同19.0%)で全体の85.4%を占めている。

災害復旧事業費に充当された財源の内訳をみると、国庫支出金が最も大きな割合(災害復旧事業費総額の53.3%)を占め、次いで地方債(同26.5%)となっており、これらで充当された財源総額の79.8%を占めている。

災害復旧事業費の推移は、第70図のとおりである。

第70図 災害復旧事業費の推移

ウ 失業対策事業費[資料編:第92表

失業対策事業費は、失業者に就業の機会を与えることを主たる目的として、道路、河川、公園の整備等を行う事業に要する経費である。

失業対策事業費の決算額は0.2億円で、前年度と比べると、29.4%減(前年度33.3%減)となっている。

失業対策事業費は、全て単独事業費となっており、その財源としては全て一般財源等が充当されている。

(3)その他の経費

その他の経費には、物件費、維持補修費、補助費等、繰出金、積立金、投資及び出資金、貸付金並びに前年度繰上充用金があり、その決算額は33兆7,672億円で、前年度と比べると2.0%増となっている。

その他の経費の歳出総額に占める割合は33.9%で、前年度と比べると0.1ポイントの上昇となっている。

その他の経費の内訳をみると、第17表のとおりである。

第17表 その他の経費の状況

その他の経費の内訳別に歳出総額に対する割合をみると、物件費が10.0%、補助費等が9.7%、繰出金が6.0%、貸付金が3.6%、積立金が3.0%の順となっている。

なお、その他の経費のうち公営企業会計に対する繰出しの状況についてみると、法適用企業(「地方公営企業法」(昭和27年法律第292号)の規定の全部又は一部を適用している事業。以下同じ。)の公営企業会計に対する繰出し(補助費等)は2兆2,249億円、法非適用企業(地方公営企業法の規定を適用していない事業。以下同じ。)の公営企業会計に対する繰出し(繰出金)は7,042億円で、合計2兆9,291億円となっており、前年度と比べると2.2%減となっている。

ア 物件費[資料編:第79表

賃金、旅費、備品購入費、需用費、役務費、委託料等の経費である物件費の決算額は9兆9,814億円で、前年度と比べると4.3%増となっている。

このうち通常収支分は9兆8,737億円で、前年度と比べると4.6%増となっており、東日本大震災分は1,077億円で、19.0%減となっている。

その内訳をみると、委託料が最も大きな割合(物件費総額の59.4%)を占め、次いで消耗品の取得等に要する需用費(同16.5%)となっており、これらの経費で物件費総額の75.9%を占めている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、委託料が6.4%増、需用費が0.4%減となっている。

なお、物件費の内訳の推移は、第71図のとおりである。

第71図 物件費の推移

イ 維持補修費[資料編:第80表

地方公共団体が管理する施設等の維持に要する経費である維持補修費の決算額は1兆2,199億円で、前年度と比べると3.9%減となっている。

このうち通常収支分は1兆2,146億円で、前年度と比べると4.0%減となっており、東日本大震災分は53億円で、18.9%増となっている。

維持補修費の目的別の内訳をみると、第72図のとおりであり、土木費(維持補修費総額の67.2%)、教育費(同10.3%)、衛生費(同10.3%)の順となっており、道路・橋りょう、公営住宅等の土木関係施設、小・中学校等の教育関係施設及び清掃施設等の衛生関係施設に係るものの合計で維持補修費総額の87.8%を占めている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が6.1%減、教育費が1.6%増、衛生費が3.9%増となっている。

第72図 維持補修費の目的別内訳の状況

ウ 補助費等[資料編:第82表

公営企業会計(うち法適用企業)に対する負担金、市町村の公営事業会計に対する都道府県の負担金、様々な団体等への補助金、報償費、寄附金等の補助費等の決算額は9兆6,284億円で、前年度と比べると3.4%増となっている。

このうち通常収支分は9兆5,206億円で、前年度と比べると4.0%増となっており、東日本大震災分は1,078億円で、29.9%減となっている。

補助費等の目的別の内訳をみると、民生費が3兆3,570億円で最も大きな割合(補助費等総額の34.9%)を占め、以下、教育費の1兆6,988億円(同17.6%)、衛生費の1兆1,594億円(同12.0%)、土木費の1兆1,460億円(同11.9%)、総務費の9,273億円(同9.6%)、商工費の6,309億円(同6.6%)、農林水産業費の4,699億円(同4.9%)の順となっている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、民生費が2.8%増、教育費が2.6%増、衛生費が0.7%増、土木費が6.2%増、総務費が4.9%増、商工費が12.9%増、農林水産業費が0.2%減となっている。

補助費等のうち、経費負担区分の原則により、一般会計等が負担する法適用企業に対する負担金及び補助金は1兆8,688億円で、前年度と比べると4.4%増となっている。

事業別にみると、下水道事業に対するものが1兆329億円で最も大きな割合(公営企業会計(うち法適用企業)に対する負担金及び補助金総額の55.3%)を占め、次いで、病院事業の6,209億円(同33.2%)となっており、これら2事業で総額の88.5%を占めている。以下、交通事業の966億円(同5.2%)、上水道事業の910億円(同4.9%)の順となっている。

なお、補助費等の内訳の推移は、第73図のとおりである。

第73図 補助費等の目的別内訳の推移

エ 繰出金[資料編:第93表

普通会計から他会計、基金に支出する経費である繰出金の決算額は6兆48億円で、前年度と比べると0.0%増となっている。

このうち通常収支分は5兆9,652億円で、前年度と比べると0.1%増となっており、東日本大震災分は396億円で、5.8%減となっている。

繰出金の繰出先内訳をみると、国民健康保険事業会計に対するものが1兆9,119億円(繰出金総額の31.8%)で最も大きな割合を占めており、以下、介護保険事業会計に対するものが1兆6,825億円(同28.0%)、後期高齢者医療事業会計に対するものが1兆6,424億円(同27.4%)、公営企業会計(うち法非適用企業)に対するものが7,042億円(同11.7%)の順となっている。

また、各費目の決算額を前年度と比べると、国民健康保険事業会計に対するものが0.8%減、介護保険事業会計に対するものが6.8%増、後期高齢者医療事業会計に対するものが2.0%増、公営企業会計(うち法非適用企業)に対するものが17.2%減となっている。

なお、繰出金のうち、公営企業会計(うち法非適用企業)に対する繰出金は、経費負担区分の原則により、一般会計等が負担するものであり、その内訳を事業別にみると、下水道事業に対するものが5,123億円で最も大きな割合(公営企業会計(うち法非適用企業)に対する繰出金総額の72.8%)を占めている。また、その下水道事業に対する繰出金を目的別にみると、公債費財源繰出が3,562億円(下水道事業に対する繰出金総額の69.5%)、建設費繰出が659億円(同12.9%)で、これらの繰出しで全体の82.4%を占めている。

なお、繰出金の繰出先内訳の推移は、第74図のとおりであり、公営企業会計(うち法非適用企業)に対するものは減少の傾向にある。

第74図 繰出金の繰出先内訳の推移

オ 積立金[資料編:第94表

特定の目的のための財産を維持し、又は資金を積み立てるための経費である積立金(歳計剰余金処分による積立金を含む。)の決算額は3兆1,629億円で、前年度と比べると3.9%増となっている。

積立金の状況は、第75図のとおりであり、その内訳を基金の種類別にみると、財政調整基金に対するものは8,557億円で、前年度と比べると889億円減少(9.4%減)、減債基金に対するものは1,727億円で、前年度と比べると305億円減少(15.0%減)、その他特定目的基金に対するものは2兆1,346億円で、前年度と比べると2,395億円増加(12.6%増)している。

第75図 積立金の状況

一方、積立金取崩し額は3兆4,737億円で、前年度と比べると1,856億円増加(5.6%増)している。

その内訳をみると、財政調整基金の取崩し額が8,924億円で、前年度と比べると963億円増加(12.1%増)、減債基金の取崩し額が3,296億円で、前年度と比べると195億円増加(6.3%増)、その他特定目的基金の取崩し額が2兆2,517億円で、前年と比べると698億円増加(3.2%増)している。

この結果、令和元年度末における積立金現在高は、3,108億円減少(1.3%減)し、22兆9,463億円となっている(積立金現在高については、「2 地方財政の概況(6)将来の財政負担 ウ 積立金現在高」を参照)。

カ 投資及び出資金[資料編:第95表

国債・地方債の取得や第三セクター等への出えん、出資等のための経費である投資及び出資金の決算額は3,771億円で、前年度と比べると10.1%増となっている。

このうち通常収支分は3,752億円で、前年度と比べると10.1%増となっており、東日本大震災分は19億円で、3.4%減となっている。

投資及び出資金の目的別の内訳をみると、第76図のとおりであり、土木費が1,576億円で最も大きな割合(投資及び出資金総額の41.8%)を占め、次いで衛生費が1,188億円(同31.5%)となっている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、土木費が9.0%増、衛生費が3.9%減となっている。

第76図 投資及び出資金の目的別内訳の状況

投資及び出資金のうち、公営企業会計(うち法適用企業)に対するものは2,939億円で、前年度と比べると91億円増加(3.2%増)している。事業別にみると、下水道事業に対するものが1,471億円で、最も大きな割合(公営企業会計(うち法適用企業)に対する投資及び出資金総額の50.1%)を占め、以下、病院事業の590億円(同20.1%)、上水道事業の555億円(同18.9%)、交通事業の255億円(同8.7%)の順となっている。

令和元年度末における投資及び出資金の現在高は16兆4,739億円で、前年度末と比べると2,512億円増加(1.5%増)している。その内訳をみると、観光・交通関係に係るものが3兆7,864億円で最も大きな割合(投資及び出資金残高の23.0%)を占め、以下、開発関係の1兆2,315億円(同7.5%)、商工関係の1兆927億円(同6.6%)の順となっている。

キ 貸付金[資料編:第96表

地方公共団体が様々な行政施策上の目的のために地域の住民、企業等に貸し付ける貸付金の決算額は3兆6,101億円で、前年度と比べると5.0%減となっている。

このうち通常収支分は3兆4,376億円で、前年度と比べると4.8%減となっており、東日本大震災分は1,725億円で、8.5%減となっている。

貸付金の目的別の内訳をみると、第77図のとおりであり、商工費が3兆520億円で最も大きな割合(貸付金総額の84.5%)を占め、次いで、土木費が1,714億円(同4.7%)となっている。また、各費目の決算額を前年度と比べると、商工費が4.2%減、土木費が7.0%減となっている。

第77図 貸付金の目的別内訳の状況

公営企業会計(うち法適用企業)に対する貸付金は623億円で、前年度と比べると71億円減少(10.2%減)しており、貸付金総額に占める割合は1.7%となっている。

令和元年度末の貸付金の現在高は5兆8,132億円で、前年度末と比べると1,233億円減少(2.1%減)している。その内訳をみると、商工関係に係るものが1兆1,892億円(貸付金現在高の20.5%)、観光・交通関係が9,337億円(同16.1%)、住宅関係が6,064億円(同10.4%)等となっている。



*3 建替え等(移転、集約化、複合化を含む。)の既存の公共施設等の更新や機能強化等(長寿命化改修、耐震改修、バリアフリー改修、太陽光パネルの設置等)をいう。建替え等に伴い行われる既存の公共施設等の除却も含まれる。

*4 新たな公共施設等の建設、既存の公共施設等の別棟の増築、道路や下水管の新規区間開設等の新規公共施設等の整備をいう。

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