第1部 令和4年度の地方財政の状況
1 地方財政の役割
地方公共団体は、その自然的・歴史的条件、産業構造、人口規模等がそれぞれ異なっており、これに応じて様々な行政活動を行っている。
地方財政は、このような地方公共団体の行政活動を支えている個々の地方公共団体の財政の集合であり、国の財政と密接な関係を保ちながら、国民経済及び国民生活上、大きな役割を担っている。
(1)国・地方を通じた財政支出の状況
国・地方を通じた財政支出について、令和4年度の国(一般会計及び6つの特別会計*1の純計)と地方(普通会計(*))の歳出純計額は208兆4,364億円で、前年度と比べると、社会保障関係費、産業経済費の減少等により、5.2%減となっている。
目的別歳出純計額の構成比の推移は、第1図のとおりである。
この歳出純計額を最終支出の主体に着目して国と地方とに分けてみると、国が91兆8,656億円(全体の44.1%)、地方が116兆5,708億円(同55.9%)で、前年度と比べると、国が5.6%減、地方が4.9%減となっている。
また、目的別歳出純計額の状況について、国と地方に分けて示したものが第2図である。防衛費、民生費のうち年金関係のように国のみが行う行政に係るものは別として、衛生費、学校教育費、民生費(年金関係を除く。)等、国民生活に直接関連する経費については、最終的に地方公共団体を通じて支出される割合が高いことがわかる。
(2)国民経済と地方財政
国内総生産(支出側、名目。以下同じ。)のうち、中央政府、地方政府、社会保障基金及び公的企業からなる公的部門は、資金の調達及び財政支出等を通じ、資源配分の適正化、所得分配の公正化、経済の安定化等の重要な機能を果たす経済活動主体である。その中でも、地方政府は、中央政府を上回る最終支出主体であり、国民経済上、大きな役割を担っている。
ア 国内総生産と地方財政
令和4年度における部門別国内総生産の状況は、第3図のとおりである。地方政府は国内総生産のうちの11.7%を占め、中央政府の約2.5倍となっている。
イ 公的支出の状況
令和4年度の公的部門による公的支出*2の内訳は第4図のとおりであり、地方政府による支出が43.7%(前年度43.3%)を占め、最も大きな割合となっている。
また、政府最終消費支出及び公的総資本形成に占める地方政府の割合をみると、政府最終消費支出においては前年度と比べると0.8ポイント上昇の42.4%、公的総資本形成においては前年度と比べると1.0ポイント低下の49.3%となっている。
*1 交付税及び譲与税配付金特別会計、エネルギー対策特別会計、年金特別会計(子ども・子育て支援勘定のみ)、食料安定供給特別会計(国営土地改良事業勘定のみ)、自動車安全特別会計(空港整備勘定のみ)及び東日本大震災復興特別会計
*2 国・地方の歳出に含まれる経費の中で、移転的経費である扶助費、普通建設事業費のうち所有権の取得に要する経費である用地取得費、金融取引に当たる公債費及び積立金等といった付加価値の増加を伴わない経費などは除かれている。したがって、公的支出に占める中央政府及び地方政府の割合と歳出純計額に占める国と地方の割合は一致していない。