2 物価高への対応
輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続は、国民生活を圧迫し、日本経済の回復に伴う生活実感の改善を妨げている。こうした中、地方公共団体においては、物価高の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施しており、国においても、そうした取組に補正予算の編成や予備費の使用により財政措置を講じてきた。また、地方公共団体の公共施設等における光熱費の高騰や委託料の増加、建設事業費の上昇を踏まえた対応も必要となっている。
(1)予備費・補正予算等の対応
原材料価格の上昇等による物価高が依然として続いている状況を踏まえ、令和5年3月22日の物価・賃金・生活総合対策本部において、年度内に2兆円強のコロナ・物価予備費を措置することとされた。これを踏まえ、同年3月28日に新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費(2.2兆円)の使用が閣議決定され、地方公共団体が、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援をきめ細かに実施できるよう、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」に、「低所得世帯支援枠」(0.5兆円)が創設されるとともに、「推奨事業メニュー分」(0.7兆円)が増額される等の対応がとられた。
また、令和5年11月2日に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」が閣議決定され、令和5年度補正予算(第1号)において、「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」(低所得世帯支援枠1.1兆円、推奨事業メニュー分0.5兆円)が計上されるとともに、電気料金及び都市ガス料金の値引き原資の支援を行うための「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(0.6兆円)、燃料油の小売価格急騰の抑制を図るための「燃料油価格激変緩和対策事業」(0.2兆円)等が計上された。
さらに、同経済対策において、令和6年度税制改正による所得税・個人住民税の定額減税の実施と物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金による住民税非課税世帯への支援が盛り込まれるとともに、その実施に当たっては両支援の間にある者に対しても丁寧に対応することとされた。これを受け、令和5年12月22日、原油価格・物価高騰対策及び賃上げ促進環境整備対応予備費(1.1兆円)の使用が閣議決定され、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金に「給付金・定額減税一体支援枠」(1.1兆円)を創設することとされた。
(2)公共施設等に関する対応
令和6年度の地方財政計画においては、学校、福祉施設、図書館、文化施設など地方公共団体の施設の光熱費の高騰や、ごみ収集、学校給食など地方公共団体のサービス・施設管理等の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費(単独)に前年度同額の700億円を計上している。
また、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえ、緊急防災・減災事業債の津波浸水想定区域からの庁舎移転事業と病院事業債の公立病院等に係る新設・建替等事業における建築単価の上限を引き上げることとし、いずれも令和5年度事業債から新単価を適用することとしている。