9 健全化判断比率等の状況
「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号)に基づき、健全化判断比率(*)又は資金不足比率(*)が、早期健全化基準、財政再生基準又は経営健全化基準以上となった場合には、これらの健全化判断比率等を公表した年度の末日までに、財政健全化計画、財政再生計画又は経営健全化計画を定めなければならないこととされている。
令和4年度決算に基づく健全化判断比率が早期健全化基準以上である団体数の状況は、第42表のとおりである。団体区分別の合計は、前年度と同数の市区1団体で、当該団体は財政再生基準以上となっており、新たに早期健全化基準以上となった団体はない。このため、令和4年度に財政健全化計画等を策定した団体はなく、財政再生計画について実施状況報告を行った団体は、市区1団体である。
また、令和4年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上である会計数は4会計である。
令和4年度決算に基づく健全化判断比率等のそれぞれの状況は、以下のとおりである。
(1)実質赤字比率
実質赤字比率における早期健全化基準については、道府県は3.75%、市町村(一部事務組合等を除く。以下この節において同じ。)は財政規模に応じ11.25%〜15%となっている。また、財政再生基準については、道府県は5%、市町村は20%となっている。
令和4年度決算において、実質赤字額がある(実質赤字比率が0%超である)団体数は市区1団体となっている(前年度はなし)。
(2)連結実質赤字比率
連結実質赤字比率における早期健全化基準については、道府県は8.75%、市町村は財政規模に応じ16.25%〜20%となっている。また、財政再生基準については、道府県は15%、市町村は30%となっている。
令和4年度決算において、連結実質赤字額がある(連結実質赤字比率が0%超である)団体はない(前年度もなし)。
(3)実質公債費比率
実質公債費比率の段階別分布状況は、第70図のとおりである。
実質公債費比率における早期健全化基準については25%、財政再生基準については35%となっている。実質公債費比率が早期健全化基準以上財政再生基準未満である団体はなく、財政再生基準以上である団体数は、市区1団体となっている。
なお、実質公債費比率が18%以上の場合、地方債の発行に総務大臣等の許可が必要となっており、これらの団体数は、財政再生基準以上である団体を含め、都道府県2団体、市区1団体の合計3団体となっている。
(4)将来負担比率
将来負担比率の段階別分布状況は、第71図のとおりである。
将来負担比率における早期健全化基準については、都道府県及び政令指定都市は400%、市町村(政令指定都市を除く。)は350%となっており、財政再生基準の設定はない。
将来負担比率が早期健全化基準以上である団体はなく、都道府県においては100%以上200%未満の区分、政令指定都市、市区及び町村においては100%未満の区分における団体数が最も多くなっている。
(5)資金不足比率
資金不足比率が経営健全化基準(20%)以上である公営企業会計数の推移は、第72図のとおりである。
令和4年度決算において資金不足比率が経営健全化基準以上である公営企業会計数は4会計である。
この4会計のうち、既に経営健全化計画を策定済みである2会計を除く2会計(宅地造成事業1会計、下水道事業1会計)については、令和5年度決算に基づく資金不足比率が経営健全化基準以上となる見込みである場合、同年度末までに経営健全化計画を策定することとなる。
なお、令和3年度時点で経営健全化計画を策定していた4会計のうち1会計(交通事業)は令和4年度決算において経営の健全化が完了したところであり、残りの3会計(交通事業1会計、病院事業2会計)は、引き続き経営の健全化に取り組んでいる。
(6)個別団体の財政健全化
令和4年度決算に基づく健全化判断比率が財政再生基準以上の団体は、北海道夕張市の1団体のみとなっている。夕張市では、令和11年度までの財政再生計画に基づき、市民生活に直結したサービスを維持しながら、早期の財政の再生に向けた最大限の取組を行っており、職員数の削減や職員給与の見直しなど、行政のスリム化等による歳出削減と、固定資産税・軽自動車税の超過課税や各種使用料・手数料の引上げなど、住民負担の増加を伴う取組等による歳入確保により、財政状況の改善を図っている。平成29年3月には、引き続き財政の再生を図りつつ、財政再生計画の終了後も持続的に存立・発展していけるよう、地域再生に資する事業の追加等の内容を盛り込んだ、同計画の大幅見直しを行い、同計画に基づき財政再生と地域再生の両立に向けた取組を行っている。
その後、平成21年度に322億円発行した再生振替特例債については、令和4年度末の残高が99億円となるなど、財政再生に向けた取組は着実に進んでいる。
また、地域再生への取組として、令和2年3月に支所、図書館、多目的ホール等の機能を持った拠点複合施設が供用を開始し、令和3年4月に認定こども園が開園したほか、令和5年9月には移転した市立診療所が診療を開始した。