中国総合通信局(局長:本間 祐次)は、令和2年2月5日、鳥取県米子市において、中国情報通信懇談会及び中国地方非常通信協議会と共催で「災害情報伝達に関するセミナー」を開催し、地方自治体並びに民間企業等から120名の参加がありました。
本セミナーは、毎年猛威を振るう自然災害の発生を踏まえ、自治体が発表する避難情報等を多媒体により伝達する仕組み、ICT利活用により住民が災害の切迫度や身の回りの危険度を適切に把握し避難の必要性を認識できる仕組み等について、先取的な取組を実施している国、民間企業等から事例を紹介し、防災・減災意識の更なる高揚を図ることを目的としたものです。
《セミナーの概要》
・基調講演 「災害情報と災害文化」
講師:関西大学社会安全学部社会安全研究センター長 特別任命教授 河田 惠昭 氏
要旨:近年、携帯電話やスマートフォンなど災害情報を伝えるハード面の普及は進みつつあるが、それらは「災害文明」に過ぎない。
減災社会の実現のためには、「文明」から「文化」へ成熟する必要がある。つまり、住民が自ら災害情報を取りに行く努力をすること、災害に関する知識と知恵を実際の避難行動に結びつけることが必要である。特に、避難行動要支援者に対しては、公的援助による避難行動が必要であり、これらを「災害文化」として根付かせていくことが重要。
また、災害の発生状況や被害状況はSNSの情報発信量を時空間で分析することにより、何処で何が起きているのか解析することが今後必要であると述べられました。
・講演
国の取組みとして、鳥取地方気象台及び総務省から防災減災の取組みについて、2つの講演を行っていただきました。
鳥取地方気象台からは、近年の気象現象は極端化しており、今後、災害に遭遇する機会が増えることを念頭に据え、適切な避難行動を取っていただくために、防災気象情報を使いやすく、分かりやすくシンプルに伝える取組みについて説明がありました。
総務省からは、今年から本格的なサービスが始まる5Gを活用した防災分野への利活用について説明を行いました。5Gの特徴である、超高速通信、超低遅延、多数同時接続により、山岳登山者の見守りや除雪の効率化等について、全国で展開されている実証試験の紹介をしました。
また、地域課題の解決が可能となるローカル5Gにより、地域特有の課題解決の実現に向けた取組みについて紹介をしました。
講演1 「くらしと防災(情報) 〜日々の生活に馴染んでいますか〜」
鳥取地方気象台長 川上 徹人 氏
講演2 「防災分野における5Gの利活用について」
総務省 電波部移動通信課 新世代移動通信システム推進室 課長補佐 豊重 巨之
・事例発表
防災減災を目的としたスマートフォンアプリ、自治体との災害協定の内容、SNS上の災害関連情報をリアルタイムに分析することで必要な支援が解析可能なシステム、TVを利用した自治体緊急放送などが紹介されました。
事例発表1 「Yahoo!防災速報アプリの災害時情報提供について」
ヤフー株式会社 メディアカンパニー メディア統括本部 堤 浩一朗 氏
事例発表2 「LINEを使った防災への取組み」
LINE株式会社 公共政策室 室長 福島 直央 氏
事例発表3 「災害時におけるDISAANA、D-SUMMの活用」
国立研究開発法人情報通信研究機構 耐災害ICT研究センター応用領域研究室 大竹 清敬 氏
事例発表4 「TVを利用した自治体緊急放送」
一般社団法人情報メディア総研 代表理事 伊永 隆史 氏
中国総合通信局では、ICTを利活用した防災・減災を推進するとともに、引き続き防災に対する意識の高揚と知識の向上を図る機会の提供に努めて参ります。