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2020年サイバーセキュリティ特別企画
「地域のキーパーソンに聞く、新型コロナ対策としてのセキュリティ」
神戸大学大学院 森井 昌克 教授

「社内でない」という意識と在宅勤務のガイドライン

写真:神戸大学大学院 森井 昌克 教授

 サイバーセキュリティやサイバー犯罪対策の専門家として、神戸大学大学院での教育・研究活動に加え、地域経済団体や行政機関等との連携により、企業のセキュリティ人材育成に資する取組や、中小企業向けに数多くのセキュリティ啓蒙活動を幅広く推進する、森井 昌克 教授に、新型コロナ対策としてサイバーセキュリティの勘所を聞いた。

新型コロナ対策でサイバーセキュリティの現状をお教えください

 社会が混乱しているわけですから、それに付け込んだ詐欺や情報漏洩が起こり得るでしょう。また、自宅勤務や平時以上にネットワーク上での取引や打ち合わせが増えることから、ネットワークに慣れない社員が重大なミスを犯すことも今まで以上にあり得ます。特に、テレワークの推進において、社内という言わば「城壁に守られた要塞」で、さらに社員同士の目(監視)の下での、十分セキュリティを意識した環境から、急に社外という無防備な環境に放たれることにより、何の対策を取ることなく、問題を起こす社員も皆無とは言えないでしょう。自宅では気のゆるみもあり、家族という会社から見れば他人もいます。
 自宅外での作業は決して勧められませんが、その場合、主としてWiFi環境を使うことになり、注意が必要です。

在宅勤務でサイバーセキュリティの面から、特に注意が必要なことを一つ挙げるとすれば何でしょうか

 「社内でない」という意識です。当然のことのようですが、仕事を行う周りの環境(様子)に気配りする必要があります。それは同居する家族であってもです。悪気なく業務に利用しているパソコンにアクセスするかもしれませんし、パソコンをパスワードで管理したとしても、それを盗み見られる可能性もあるのです。VPNや二要素認証という社内ネットワークへのアクセス制御に目を奪われがちですが、利用するパソコン自体を守る必要があるのです。不用意なパソコンの利用はマルウェアへの感染を導き、ひいては社内ネットワークへの不正アクセスにつながるのです。自宅外でのパソコン利用はWiFi環境以前に、他人の目があり、ショルダーハッキング(※)という用語の存在を挙げるまでもなく控えるべきでしょう。最後に一つとしてまとめるならば、在宅勤務を行う社員に向けて、守るべき、そして守ることができる実効力のあるガイドラインを明確に与えることでしょう。

※ショルダーハッキングとは、パスワードや暗証番号など秘密の情報を入力する様子を盗み見て、情報を不正に入手すること。

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