近畿総合通信局では、“ICTで創る関西の元気と安心・安全! ―南海トラフ巨大地震等対策の推進―”をスローガンに掲げ、平成25年度は次の4項目を柱とする重点施策に取り組んでいきます。
<重点課題>
(1)大地震・津波に強い情報通信インフラの構築
(2)高度な電波利用の促進と良好な電波利用環境の整備
(3)地上デジタル放送の受信環境整備
(4)地域経済の活性化と安心・安全なICT利活用環境の整備
【重点課題】 1 大地震・津波に強い情報通信インフラの構築 |
東日本大震災では、被災エリアが広範囲に及ぶとともに、従来の想定を超えた被害が発生しました。このため、
今後の南海トラフ巨大地震等の発生に備え、情報通信インフラ等の耐災害性の強化や防災情報伝達手段の多重
化・多様化により安心・安全な社会を実現します。
(1)
情報通信インフラ等の耐災害性の強化
今後の大規模災害等の発生を想定し、通信手段等の安定的な提供を確保するため、電線共同溝等の導入
や行政情報の遠隔地バックアップ機能の普及を促進します。また、情報通信インフラ等の耐災害性向上のため
の研究開発を促進します。
[取組の具体的内容]
○電線共同溝等の導入促進
○行政情報の遠隔地バックアップ機能(自治体クラウド)の普及促進
○地域公共ネットワークの強靱化の促進
○非常災害時におけるICT利活用に関する研究開発の促進
(2)
防災情報伝達手段の多重化・多様化の促進
防災情報伝達は迅速・安定的に確保されることが求められるため、一斉同報機能を有する携帯電話の緊急速
報メールによる「災害・避難情報」の提供や迅速な災害情報伝達が可能となる防災情報通信基盤等の整備・利用
を促進します。
また、重要な防災情報伝達手段である、市町村防災行政無線の整備促進とデジタル化を促進するとともに、ア
ナログ波の使用期限が決まっている消防・救急無線のデジタル化を促進します。
[取組の具体的内容]
○緊急速報メールの普及促進
○防災情報通信基盤及び公共情報共有基盤の整備促進
○防災行政無線未整備自治体に対する整備の促進
○防災行政無線のデジタル化の促進
○消防・救急無線のデジタル化の促進
(3)
防災情報伝達手段等に関する周知・啓発
今後の南海トラフ巨大地震等の発生に備え、今までの防災情報伝達手段に加え、情報伝達手段の多重化、多
様化が促進されることから、これらの最新情報伝達手段等を広く住民に情報提供し、円滑に利活用できるように
周知・啓発を推進し安心・安全な社会を実現します。
また、機会をとらえて防災情報通信セミナー(仮称)を開催して、南海トラフ巨大地震・津波に関する危険性と多
様な防災情報伝達手段の必要性を広く国民にアピールします。
[取組の具体的内容]
○非常災害時に備えた情報伝達手段等に関する情報提供
○防災情報通信セミナー等による周知・啓発
【重点課題】 2 高度な電波利用の促進と良好な電波利用環境の整備 |
地域の電波利用ニーズに的確に対応し、利便性に優れた高度な無線通信システムの促進など、活気ある豊かな
地域社会の実現に向け電波利用を促進します。
また、快適で安心・安全な社会生活を支えるため、重要な無線通信への妨害に対して妨害源の迅速な排除、捜査
関係機関と連携した不法無線局の撲滅に向けた取締りを実施します。併せて、周知・啓発活動を通じて、良好な電波
利用環境の維持・整備に関する理解醸成を促進します。
(1)
電波の利用促進・支援
新たな電波利用制度や技術の周知を図るとともに、電波利用ニーズに積極的に対応します。また、地域の住民
や企業等が電波を円滑に利用できるよう、電子申請の普及による許認可事務の迅速化を推進します。
[取組の具体的内容]
○電波利用に関わるセミナーの開催
○電子申請の利用推進
(2)
安心・安全のための無線通信システムの普及促進
海上通信における船舶共通通信システムの普及促進や携帯電話の不感地域解消の促進を行い、安心・安全で
豊かな社会に向けた無線通信システムを普及促進します。
[取組の具体的内容]
○船舶の安全航行に関わる船舶共通通信システムの普及促進
○携帯電話不感地域の解消の促進
(3)
周波数再編の円滑な実施
近年、スマートフォンの急速な普及を背景に、携帯電話システムへの700メガヘルツ帯及び900メガヘルツ帯の周
波数の拡大が急務の課題となっています。
当該周波数帯に、新たな携帯電話用の周波数を確保するため、既存の電波利用システムの周波数移行や利用
者数の減少するシステムの廃止等に取り組むとともに、電波のより効率的な利用を進めるため、アナログ無線局の
デジタル化にも取り組みます。
[取組の具体的内容]
○700メガヘルツ帯及び900メガヘルツ帯の周波数再編
○タクシー無線のデジタル化の推進
(4)
重要無線通信妨害への迅速な対応・排除
生活の安心・安全に直結した重要無線通信妨害が発生した場合は、直ちに探査を実施して迅速に排除します。
また、必要に応じて、特別電波監視体制を執り、重要無線通信妨害の防止に努めます。
[取組の具体的内容]
○重要無線通信妨害への迅速な対応
○特別電波監視の実施
(5)
不(違)法無線局への適切な対応
重要無線通信や日常の電波利用への妨害の原因となっている不法無線局について、捜査関係機関と共同した取
締りを実施するとともに、電波発射状況調査や移動監視などにより所在を確認した不(違)法無線局について、告発も
含め適切に対応します。
[取組の具体的内容]
○不法無線局の共同取締りの実施
○不(違)法無線局対策の強化
(6)
電子機器等からのノイズ対策等の実施
LED電灯からの無線設備へのノイズ混入など、電子機器からのノイズが原因の申告が目立っており、発射源の
特定、排除すべく取り組みます。
[取組の具体的内容]
○申告・相談への適切な対応及び原因の排除
(7)
良好な電波利用環境の維持・整備に関する周知・啓発
良好に電波を利用できる環境を維持・整備するため、年間を通じて正しい電波利用に関し積極的に周知・啓発を
行います。
[取組の具体的内容]
○「電波利用環境保護周知啓発強化期間」を中心とした周知・啓発の推進
○「電波の安全性に関する説明会」の開催
引き続き、地上デジタル放送の受信環境の整備に努め、特に、暫定的な衛星放送を利用する対策を実施した新たな難視等の地域に対しては、関係団体と連携して早期に放送受信のための恒久的な対策に取り組みます。
(1)
地デジ受信環境の整備等の促進
地上デジタル放送の受信が技術的に困難、又は維持管理費用が高額となる等により、未だ地上デジタル放送を
良好に視聴できない世帯の対策を解消するため、引き続き、自治体、放送事業者等関係者の連携・協力を図り、地
上デジタル放送の受信環境改善に取り組みます。
[取組の具体的内容]
○暫定的難視対策事業による受信世帯の恒久対策の実施
○新たな難視の解消
○デジタル混信地区の解消
【重点課題】 4 地域経済の活性化と安心・安全なICT利活用環境の整備 |
地域経済の活性化や生活の利便性の向上に資するICTの利活用を推進するとともに、誰もが安心・安全にICTを利活用できる環境づくりを推進します。
また、ICT分野におけるイノベーションの創出等のため、研究開発を促進します。
(1)
地域におけるICT利活用の推進
地方公共団体等関係機関や有識者等と連携した取り組みを行い、教育・医療等の公共サービスの向上並びに新
たな街づくりや地域経済の活性化等に資するICT利活用を推進します。
[取組の具体的内容]
○フューチャースクール推進事業の推進
○ICTを活用した街づくり等の推進
(2)
産学官連携によるICT研究開発の推進
関係団体との連携強化及び競争的資金制度活用を促進して、産学官連携によるICT分野の研究開発及びその成
果の社会実装化の推進に努め ます。
[取組の具体的内容]
○「けいはんな情報通信オープンラボ」の利用促進
○研究開発競争的資金(SCOPE)の活用
(3)
安心・安全なICT利活用の周知・啓発
青少年や高齢者など社会的弱者が、安心・安全に携帯電話・スマートフォンやインターネットを利用できるよう、自
治体、学校、電気通信事業者等と連携して周知・啓発を行います。
[取組の具体的内容]
○「e−ネット安心講座」の拡充
○「スマホ連絡会」の拡充
(4)
電気通信サービスの消費者トラブル解決の支援
電気通信サービスの消費者トラブルの円滑な解決を図るため、地域の消費生活センター、電気通信事業者等と
の情報共有を促進します。
[取組の具体的内容]
○近畿電気通信消費者支援連絡会による情報共有の促進
○地域の消費生活センターとの連携強化