総務省トップ > 組織案内 > 地方支分部局 > 東北総合通信局 > セミナーB−2:「イノベーションとは顧客の期待を超えること」

セミナーB−2:「イノベーションとは顧客の期待を超えること」

【特別講演】

  • イノベーションとは顧客の期待を超えること
     〜ユーザー起点によるイノベーションの興し方〜
    株式会社野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部
    上席コンサルタント 北 俊一 氏

【講演要旨】

株式会社野村総合研究所の北俊一上席コンサルタント

株式会社野村総合研究所の
北俊一上席コンサルタント

 これまでのICT導入は組織課題の解決が目的であったが、今後は多様かつ高度な社会的課題の解決にICTをどのように活かしていくかが問われている。
これまで日本における「イノベーション」は、イコール、「技術革新」であったが、今後は「技術革新」と「おもてなし革命」、技術とサービスの両面を強く意識しなければならない。2つのイノベーションの興し方は本質的には同じであり、この課題を解決したい、あの人を笑顔にしたい、といった、強烈な想いがブレークスルーを産む。
 イノベーションを興すためのポイントは、「人は見たいものだけを見ていることから、先入観なく物事を観察して課題の本質を捉える事」、「企業内外の組織の壁を越えた対話」、「作ってみる・使ってみる・壊してみる・作り直してみるによる見える化」、そして「これらのプロセスに利用者・顧客を巻き込む自分事化」の4点である。
“感動企業”(社員がいきいきと働き、顧客の期待を超えるサービスを提供し続けることで、地域社会から必要とされ、成長し続けている企業)から学ぶイノベーションの興し方の事例を紹介する。

  • 栃木県のカメラ販売店では、事情があってポイント機能付き会員カードを廃止したところ、むしろ社員が顧客の顔を覚えるようになり、顧客とのコミュニケーションが活発化した。
  • 福岡県の芝刈り機製造メーカでは、社員が顧客に寄り添い、何気ない会話の中から「ボヤキ」を捉え、商品の改善に活かしたり、世界中の顧客が芝刈りに四苦八苦している状況をビデオで撮影し、全社員でそれを見ることで、解決したい課題への想いを共有し、一体感を醸成している。
  • 大阪の灯油配達業者では、配達担当が毎週の報告で、「こんなありがとうをもらった」という報告と一緒に、新事業を提案している。顧客に毎日接しているスタッフによる「こんなサービスがあったらお客様が喜ぶのではないか」という気づきやアイデアから、次々と新しいサービスが実現している。
  • 東京の飲食チェーンでは、社員全員が食材の生産現場で飼育加工の経験をすることで、生産者の食材に込めた想いをお客に伝えることができる。また、ある社会的課題を解決するために、自分たちの会社を大きくして課題解決に貢献したい、という強い想いが顧客にも伝わり、顧客がお店のファンとなっている。

 最後に、地方創生は人の気持ちになって本気で考えられる「おもてなし人財」が鍵となる。東北には幸か不幸か多くの解決すべき社会的課題があり、東北で研究活動を行っている人自身が「自分事」としての課題に直面しているため、イノベーションが最も興りやすい場所と言える。「おもてなし人財」と「ICT人財」の共創がイノベーションを興すわけだが、東北では「おもてなし人財」=「ICT人財」の理想型もありえる。東北地方が「22世紀型」社会のイニシアティブをとることを期待したい。

ページトップへ戻る