【特別講演】
【講演要旨】
株式会社野村総合研究所の
北俊一上席コンサルタント
これまでのICT導入は組織課題の解決が目的であったが、今後は多様かつ高度な社会的課題の解決にICTをどのように活かしていくかが問われている。
これまで日本における「イノベーション」は、イコール、「技術革新」であったが、今後は「技術革新」と「おもてなし革命」、技術とサービスの両面を強く意識しなければならない。2つのイノベーションの興し方は本質的には同じであり、この課題を解決したい、あの人を笑顔にしたい、といった、強烈な想いがブレークスルーを産む。
イノベーションを興すためのポイントは、「人は見たいものだけを見ていることから、先入観なく物事を観察して課題の本質を捉える事」、「企業内外の組織の壁を越えた対話」、「作ってみる・使ってみる・壊してみる・作り直してみるによる見える化」、そして「これらのプロセスに利用者・顧客を巻き込む自分事化」の4点である。
“感動企業”(社員がいきいきと働き、顧客の期待を超えるサービスを提供し続けることで、地域社会から必要とされ、成長し続けている企業)から学ぶイノベーションの興し方の事例を紹介する。
最後に、地方創生は人の気持ちになって本気で考えられる「おもてなし人財」が鍵となる。東北には幸か不幸か多くの解決すべき社会的課題があり、東北で研究活動を行っている人自身が「自分事」としての課題に直面しているため、イノベーションが最も興りやすい場所と言える。「おもてなし人財」と「ICT人財」の共創がイノベーションを興すわけだが、東北では「おもてなし人財」=「ICT人財」の理想型もありえる。東北地方が「22世紀型」社会のイニシアティブをとることを期待したい。