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セミナーB−2:ICT分野のイノベーション創出に向けた研究開発の促進

【戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)地域ICT振興型成果発表】

  • 電波マーカを利用した悪天候時運転支援システムの研究開発
    講師:秋田県立大学 システム科学技術学部 教授 御室 哲志 氏
    オープンソースハードウェアとセンサーネットワークによる除雪支援システムの研究開発
    講師:会津大学 コンピュータ理工学部 上級准教授 齋藤 寛 氏

【SCOPE成果事例報告】

  • 音声主導型看護医療システムと実用化製品開発について
    秋田県産業技術センター 電子光応用開発部電子通信グループ
       主任研究員 佐々木 信也 氏

【I-Challenge!(イノベーション創出チャレンジプログラム)採択事例】

  • 大規模・高速指紋認証技術「Liquid」I-Challengeによるベンチャー企業と事業化支援機関の取り組みについて
    研究開発機関:株式会社Liquid 代表取締役 久田 康弘 氏

【電波マーカを利用した悪天候時運転支援システムの研究開発−発表要旨】

秋田県立大学の御室哲志教授

秋田県立大学の御室哲志教授

 秋田県をはじめとする東北地域の豪雪地帯では、地吹雪によるホワイトアウトなどで視界不良になることが非常に多く、視程が100m以下になると車の運転が困難になり、さらに悪化した場合は運転を止めなければならない。これを改善すべく、平成25・26年度のSCOPEの採択を受けて、悪天候時の運転支援システムの研究を開始した。
 研究では、視界不良時でも運転が可能となるよう、路側のスノーポールをパッシブマーカーと位置づけて車両からの相対位置を検知し、100〜200mごとに1カ所設置した電波マーカから送出されるパッシブマーカの絶対位置情報と照合することで、走行レーン前方での横ずれを検出することとした。
 この実現のため、電波マーカの試作、及び位置情報の照合によるレーン逸脱警報ロジックの開発を行い、これらの組み合わせによって、視界不良時にも安全に運転できるシステムが構成できることを確認した。
 今後は、電波マーカやパッシブマーカ検出手法の改良、ドライバへの伝え方、公道での実験などを検討していくこととしている。

【オープンソースハードウェアとセンサーネットワークによる除雪支援システムの研究開発−発表要旨】

会津大学の齋藤寛上級准教授

会津大学の齋藤寛上級准教授

 当大学のある会津地方は、近年増加している降雪のため、交通・経済の麻痺、事故の誘発、除雪コストの増加が問題となっており、リアルタイムに積雪を知り、早めに効率的な除雪を行うことが必要になっている。これを解決すべく、平成25・26年度のSCOPEの採択を受けて、除雪支援システムの研究を開始した。
 オープンソースハードウェアによるセンサーネットワークを用いることにより、安価に、リアルタイムで積雪データを収集して最適な除雪経路を計算することが可能となり、これを積雪データとともにインターネットで公開することにより、除雪作業の効率化とコスト削減、除雪の見える化が波及効果として期待できる。
 昨年度までにセンサーネットワークの構築と改良、コスト削減を進めるとともに、最適な除雪経路を計算するソフトウエアの開発とwebページの開発を達成した。
実用化に向け今後は、携帯電話回線を利用したセンサーネットワークの拡大、小型カメラによる積雪の確認、除雪車につけたGPSの活用による経路精度の向上などによる除雪支援システムの改善を目指すこととしている。

【音声主導型看護医療システムと実用化製品開発について−報告要旨】

秋田県産業技術センター佐々木 信也 主任研究員

秋田県産業技術センターの
佐々木信也主任研究員

 音声主導型看護医療システムは、平成20・21年度のSCOPEに採択された研究課題で、医療従事者不足に起因する医療事故の抑制を、ICTを活用しつつも機器操作による負荷を感じさせない方法で実現する事を目的に研究を行った。
 様々な医療機器をインターネット電話の仕組みを応用してネットワークで接続して、点滴の終了などをアラーム音声にして院内連絡用のPHSで通知し、さらに音声入力による作業記録作成を可能としたことで、点滴の定期観察の削減、再調整時間の短縮、誤報による呼び出しの削減などの効果が見られた。
 その後、点滴センサについて現場から製品化の要望があり、共同研究者が医療メーカーとなり、特許を取得して製品化を行った。また、農業分野へも応用し、ビニールハウスにおける各種データの収集・蓄積を行い、異常があった場合の電話・メールによる通知を行うシステムとして製品化している。この他にも、インターネット電話やセンサーシステムを応用した各種製品を開発している。今後の展開としては農業分野において、自動制御による生育管理を実現するなど、センサーシステムやクラウドを活用した農商工連携サービスの提供基盤の構築を、企業を巻き込んだ共同研究の形で進める。

【大規模・高速指紋認証技術「Liquid」I-Challengeによるベンチャー企業と事業化支援機関の取り組みについて−報告要旨】

株式会社Liquidの久田康弘代表取締役

株式会社Liquidの久田康弘代表取締役

 現在普及している個人認証はカード認証が主流であるが、大規模ユーザー下で利用可能な指紋認証技術を用いることにより、高度な偽造防止と大規模・高速な認証を行う事ができる「Liquid」を開発した。
 今般、I-Challengeを活用して「Liquid」の成果を大規模な実証実験へ展開させている。海外では治安の問題からカードを持ち歩くことが危険であることから、海外展開のホテルグループと提携して「Liquid」を宿泊客に利用してもらい、ホテル内だけでなく、ホテル近隣のレストラン決済にも利用拡大を図っている。
 観光産業やIT産業における次世代の認証プラットフォームとして活用いただくことを目指し、また予防型のヘルスケア事業へも展開していきたい。

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