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セミナーB‐1: 農業・観光等の分野のICT利活用による地方創生

■ICTで創る、地域を横断した次世代農業バリューチェーン
講師:NKアグリ株式会社 代表取締役社長 三原 洋一 氏

NKアグリ株式会社の三原社長
 【講師のNKアグリ社 三原社長】

 写真現像機メーカーの社内ベンチャーとして発足した。当初は太陽光による栽培であったため生育スピードが一定せず苦労した。一年を通じ需要に応じ安定した生産量を確保することが重要と気付いた(過去データ分析による生産量と需要量の予測精度向上・担当者間の情報共有)。
 「kintone」というビジネスアプリ作成プラットフォームを導入しクラウド上で社内各部門(収穫・営業等)による数値及びコメントの共有を図っている。 
 抗酸化作用があるリコピンを多く含む人参「こいくれない」を販売しているが、種苗・栽培・商品化・流通の各段階でリコピンの量を保証して連携する体制(サプライチェーン)を執っており、積算温度からリコピンが最大化する収穫時期を予測している(ICTはその実現のために必要不可欠の存在)。
 最近ではIoT技術として、同品種を全国の10都道府県で栽培し、積算温度や気温を見ながら収穫時期の調整を行うことで半年間の安定した供給を可能としている(地方創生に資する「地域情報化大賞2015」の地域サービス創生部門賞を受賞)。

■マンガを切り口とした訪日観光の普及啓発と地域への誘導導線の促進
講師: 株式会社JTBグローバルマーケディング&トラベル 2020年事業開発プロジェクト
     プロジェクトマネージャー 植田 裕己彦 氏
株式会社JTBグローバルマーケティング&トラベルの植田氏

【講師のJTB社 植田プロジェクトマネージャー】

 東日本大震災後に外国人観光客が激減したことをきっかけに、日本らしい手法で観光資源を発信しようとジャパンガイドアプリ「Ms.Green」を開発した。旅行情報をマンガでストーリー化し、例えば温泉の入り方を面白おかしく抵抗感がない形で教えたり、ガス会社との連携で和食のレシピを紹介したりしている。
 マンガによる情報の入り口からどう出口に誘導するか検討していたが、ワンストップで「食べる」「寝る」「遊ぶ」が可能となるような予約機能もアプリの中に入れている。
 アプリはリリースから約2年で、40万ダウンロードを突破。4言語(英・中(簡体字・繁体字)・日)で、今後タイ語の追加も予定している。外国人からの認知不足で悩んでいる自治体に対して「Mrs.Green」により魅力を発信し、興味を持った人に実需(消費行動=宿泊・パッケージツアー)につなげる一連のビジネスモデルを確立している(地方創生に資する「地域情報化大賞2015」の特別賞を受賞)。
 今後は災害情報、また2020年東京オリンピック・パラリンピックでの各種競技のルールや採点方法もマンガの手法で分かりやすく抵抗感のない方法で情報発信出来ればと思っている。

■農業の現場を支えるドコモの+d
講師: 株式会社NTTドコモ 東北支社 ソリューションICT街づくり担当 金田 直子 氏
株式会社NTTドコモの金田氏

【講師のNTTドコモ社 金田氏】

 ドコモの中期目標で、協創(協力して創る)による価値創造という意味を込め、ブランドコンセプトを「+d」と命名した。
 農業分野でもパートナーとの協創が進んでいる。葉っぱビジネスとして著名な株式会社いろどりが流通分野の好例である。また、気仙沼市の変幻自在合同会社のプリペイドカードとタブレットによる無人販売システムは、併せてタクシーの配車や同乗予約が可能で、人口減少が進む農村地域の新たな流通システムとして期待を持つ。
 生産現場では、母牛の分娩兆候を体温センサで感知することにより生産者の常時待機を不要とした株式会社リモートの母牛遠隔監視サービス(モバイル牛温恵)、水田の各種データ(水位・水温等)をクラウド上にアップし見回りに要する労力を25%減らしたベジタリア株式会社の水田センサ(Paddy Watch)、あるいは営農日誌を航空写真と連携させマップ上の田畑をイメージしながらデータ入力・参照が可能となるウォーターセル株式会社の営農メモ(アグリノート)がある。
 農業従事者の高齢化が進んでおり(60代以降が約8割)、ICTの親和性が低いのが現状。これまで紹介した新しい技術開発と現場とを取り持つ事を目指し、農業ICT推進プロジェクトを立ち上げた。社員3名からスタートし、現在は女性(アグリガール)男性(プロデューサー)併せて200名が農業ICTチームとして現場に入り、福島県浪江町の居住制限区域実験圃場を含む、全国での水田センサ実証実験など、ICT普及による農業の「見える化」活動を行っている。

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