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セミナーB-3: 新事業創出に向けた東北からのチャレンジ

■ICT分野の新事業創出とは
講師:Genuine Startups株式会社 Managing Director 伊藤 健吾 氏
Genuine Startups株式会社の伊藤健吾氏

【講師のGenuine Startups社 伊藤共同代表】

 1994年と2014年の各国GDPを比較すると米国は2倍、中国は30倍と大幅増だが日本だけ4%減となっている。インターネット導入に対応するビジネスを日本だけ見出せていないことが分かる。また、我が国東証1部上場企業トップ10企業の時価総額が80兆円なのに対し1995年以降設立された世界のインターネット企業トップ10社の時価総額は160兆円もある。インターネット接続だけだったものが10年前からはソーシャルネットワークによる情報発信と変化している。また、サーバも高価なワークステーションを購入していたものがクラウド化によりストレージ分だけ払えば良い時代となった。
 Instagram(画像共有)、Uber(自動車配車)、Airbnb (宿泊施設・民宿等の貸出)、Metromile(従量制自動車保険)、PLANET TABLE(農家とオーナーシェフ間の農産物流通プラットフォーム)等、ここ5年で世の中を変えるようなサービスが利用されている。 これらに共通するのは誰かの所有物だったものを離れ(アンバンドリング)、別の価値付けて利用(リバンドリング)する手法と思われるので、新事業創出の参考として欲しい。

■起業家甲子園・起業家万博への挑戦 I
講師: 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)デブロイメント推進部門長 中溝和孝氏
NICTの中溝和孝氏

【講師のNICT 中溝部門長】

 デブロイメントは普及・展開という意。地域を代表するアントレプレナー達が地域を超えて刺激しあい高みを目指す場を提供しようと発足させた。
 発掘フェーズ、育成フェーズを経て起業家甲子園(学生)・起業家万博(一般)のステージへ進むこととなっている。これらの場は協賛企業のマッチングも兼ねており、NICTと総務省で地域におけるベンチャーの裾野を拡げたいと思っている。
 東北地方においては昨年「SPARK! TOHOKU 2015」が東北大学のカタールサイエンスキャンパスで開催された。東北地方の各地にこれまで埋もれていた情報通信振興の旗を掲げる「面白いヤツら」がいることが分かった。また「SPARK! TOHOKU 2015」では高校生から地場IT企業まで挑戦者が仙台に集結し、農業高校の生徒が観光×VRに取り組んだり、高専生が農業関連で発表したりしており、東北の未来が垣間見えた気がしている。上から目線でない(ヒエラルキーがない)全員参加の場で切磋琢磨しており、前途洋々たる東北を我らの手で手に入れたいというパワーに溢れている。

■起業家甲子園・起業家万博への挑戦 II
講師:株式会社FaBo代表 佐々木 陽 氏(H27起業家万博東北代表)
株式会社FaBoの佐々木陽氏

【講師のFaBo社 佐々木代表】

 インターネット関連に比べ、ハードウェアのイノベーション速度が遅いと感じており、ハードウェア開発における高速試作を可能とするツール「FaBo」を開発した。
 マイコンのような基板上にモジュール(Brics)を差すだけで作動し、温度計や気圧計はデジタルデータを返すことが大きな特徴。100個のセンサモジュールからスタートしたが、世の中にあるセンサは1,000種類ほどある。これを全てモジュール化したいと考えている。
 オープンソースハードウェアとして公開しており、ユーザはプログラムを書いてデータを読みにいくことが可能(99%がソースコード、1%は電子回路)。
 B2C(Business 2 Consumer)はターゲットとせず、B2D(Business 2 Developer=大学・高校・IoTを推進したいネット企業)、B2B(Business 2 Business)を主眼としていきたい。クラウドに接続するフレームワークはこれからだが、AWS(Amazon Web Services) IoTとFaBo Brick群がシームレスに連携する「FaBo IoT Framework」を提供している。
 今後はモジュール数の増加(200種類)、自社工場開設が目標。

■事業化へのチャレンジ(I-Challenge!採択事例)
講師: 株式会社Z-Works 代表取締役 小川 誠 氏
株式会社Z-Works小川誠氏

【講師のZ-Works社 小川代表取締役】

 米国におけるスマートハウス(家電や情報機器を情報化配線で接続し最適制御)はホームセキュリティ分野を中心に進んでいるが、我が国においては普及が遅れている。この分野におけるIoTデバイスとゲートウェイ、クラウド開発ツールを提供することにより、IoT事業をストレスなく立ち上げる環境を提供したい。
 賃貸物件(民泊)におけるスマートロック及び人感センサ、介護ベットにおける非接触心拍センサ(心拍・呼吸数・寝返り・離床行動を検出)・人感センサ(ベッドから足を下ろした完全離床を検出)等、IoTの利用により生活の質(QOL)向上、あるいは人手を要さないビジネスモデルの一助になれば幸い。
 スマートフォン向けアプリでは、介護施設のスタッフ向けGUI(離床、トイレの長時間使用、心拍数・呼吸数の大幅な変動)や、IoTセンサとNFCタグを連動させることによるスタッフの申し送り作業軽減等のメリットがある。
 「IoT地域包括ケアシステム」では、個人宅における在宅確認、熱中症監視、ガス漏れや戸締まりの検知、テレビやポットの動作確認を総合的に行うもので、ゆくゆくは地域包括ケアセンターや自治体等でも確認可能とし、地域における人材不足に対応したいと思っている。

■小さな殻を破り世界へ羽ばたけ 〜東北起業家の挑戦〜
講師: 一般社団法人MAKOTO 代表理事/東北大学特任准教授  竹井 智宏 氏
一般社団法人MAKOTOの竹井氏

【講師の一般社団法人MAKOTO 竹井代表理事】

 これまで各講師が述べてきたように、ITがリアルの世界に「染み出して」いく流れは止まらない(UBER、airbnb、ラクスル)。またツールも開発されている(AR、VR、ロボット、ドローン)。
 地方には都会のベンチャーが気付いていない巨大なマーケットがあると思っている。都会型日本(首都圏+政令指定都市レベル)と田舎型日本(それ以外)で分けGDPで比較した場合250兆円:250兆円となり、手付かずの市場がインドに匹敵する規模で残されている。
 あえてインドに進出する位なら田舎型日本にまず進出すべきではないか。私にはチャンスにしか見えない(未充足ニーズの多さ・競合の少なさ・市場の大きさ・他国と比べたビジネスのし易さ)。旧態依然のリアル業界だらけの田舎型日本に進出し染み出しの最前線を開拓しよう。
 起業家に最も必要なことは「志」と「やり抜く覚悟」である。実例を挙げると鶴岡でクモ糸の人工培養を行っているベンチャーではクラウドファンディングで総額140億円を調達している。都会のベンチャーが気付いていない田舎型日本の巨大マーケットを取れ!そして一気に世界へ出よう!

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