「電波利用推進セミナー」を開催

平成28年12月21日

 東北総合通信局(局長:岡野 直樹)は、平成28年12月8日(木)、仙台市青葉区において、「電波利用推進セミナー」を開催しました。

 ICT・IoTと電波利用は別物と思われがちですが、「距離を克服できる」電波の特長が活かされる分野であり今後の活用が期待されています。東北総合通信局等が農業・建設分野における電波利用について広く一般の方にも分かりやすく紹介することを目的に開催しました。

 セミナーは約80名の方に参加頂き、冒頭東北総合通信局の星野無線通信部長から「電波政策の最新動向」として(1)電波政策2020懇談会報告書の概要(次世代モバイルサービス実現プロジェクト、電波利用料や電波の監理・監督に関する制度見直し)、(2)5G実現に向けて取り組み(総合的な実証実験、国際標準化動向)、(3)ロボットにおける電波利用の高度化(情報通信審議会における使用可能周波数の拡大や最大空中線電力の増力等に向けた技術的条件の検討)の3点について説明があった後、2名の講師から講演を頂きました。

北海道大学野口教授

【北海道大学 野口教授】

 北海道大学大学院農学研究院の 野口 伸 教授の「ICTとロボット技術による農業の第4次産業革命」では、ICT化・ロボット実装により期待される効果として、東北地方においても顕著となっている労働力不足の解消、生産の低コスト化、技術の伝承・新規就農者の早期育成を挙げられ、日本農業を「儲かる」産業へ転換したいとの思いが述べられました。
 昨年10月には北海道岩見沢市において農家自宅の圃場遠隔監視をイメージして駅前のビル内と約5km離れた公園を電波で結び作業映像やデータの伝送を行う公開実験が行われたことが報告されました。現在は高精度GPSによる農機具の無人運転(オートステアリング)に留まっているものの、政府は無人農機の実用化を2020年までに実用化する方針であり、(1)複数の自動運転機による協調運転(マルチロボットシステム)、(2)G空間情報とプロ農家の知識・知恵をデータとして活用、(3)空き農機共用化(シェアリングエコノミー)、といった新たな取り組み(スマート農業モデル)、また準天頂衛星システムによる高精度測位といった電波技術を活用することにより、生産性の低コスト化と農産物の高位平準化に資することになるだろうとまとめられました。

 株式会社小松製作所の 四家 千佳史 執行役員スマートコンスラクション推進本部長からは「IoTによる建設現場の生産性向上への取り組み」として講演をいただきました。

株式会社小松製作所四家氏

【株式会社小松製作所 四家氏】

 まずICT施工技術(情報化施工)という名前を良く聞くが、計画・設計・施工前・施工・施工後(検査)・維持管理という施工手順のうち、情報化施工で用いられるICT建機で生産性向上が図れるのは一部分に過ぎないこと、同社では建設生産プロセスを3次元データでクラウド型オープンプラットフォームにおいて全体最適の視点で実現していること等が報告されました。
 また、これまで施工しながらの試行錯誤で求めていた掘削・盛土等の作業量が小型無人機ドローンにより撮影した画像データ等を解析した3次元データにより正確な掘削量・盛土量を求めることが事前に把握可能となり現場からは好評を得ていること、建設機械のIoT化のみに留まらず、地質・地下埋設物情報や作業スピードの考慮、ロジスティックス(トラック必要台数や給油タイミング)も含めた一元化された管理を行うことにより現場作業工程における様々なボトルネックを解消できることが報告されました。
 そしてこれらの取り組み(スマートコンストラクション)は本年9月に首相官邸で行われた「第1回未来投資会議」で取り上げられ、全国の工事現場で最適化された工程や施工指示に基づき未経験者でも施工が可能となるだろうとの見通しが示されました。
 参加者からは「電波を利用したICT・IoT技術について最新事例が学べた」との感想が寄せられました。
 東北総合通信局では今後ともセミナーを開催し、最新技術を紹介してまいります。

連絡先

 東北総合通信局
 無線通信部企画調整課
 TEL 022-221-0657

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