IAEG-SDGs日本開催

第16回国連統計委員会専門家会合の日本初開催(結果)
 
2025年12月10日

1 会合の概要

 第16回国連統計委員会専門家会合が、2025年11月5日から7日まで福岡県北九州市の北九州国際会議場で開催され、SDGsの進捗を測る指標の見直しやモニタリングの実施等について議論されました。国連統計委員会専門家会合は2015年以降、コロナ禍を除いて毎年、各国の首都などの主要都市で開催されてきました。今回、日本では初開催となりました。
 総務省は国際統計事務の統括を担う立場から国連統計委員会専門家会合に毎回参加してきました。今回、日本は開催国として我が国への会合誘致及び運営に関する事務を務め、開会の挨拶を行いました。会合には、我が国から環境省その他の関係機関が参加しました。
 また、開催都市である北九州市は、過去の激甚な公害を乗り越えた歴史を背景に持続可能な開発を推進する取組を世界に発信しました。
 会合には、各国政府の統計機関、国際機関及び市民団体から約90名が参加し、複数の報道機関による取材や報道が行われました。参加者は、会合前後に市内での視察を行いつつ、地元の特産品を購入する姿が見られました。地方で会合を開催したことで、参加者は国内の他の都市を巡り、地方の魅力を改めて確認し、また広く発信する好機となりました。

2 会合結果について  

 本会合では特定の議題についてより深い技術的な議論が行われるよう、パラレルセッション形式が採用されました。全体会合の資料や会議の模様は公開されています。(注1)
 会合の結果は、来年3月に予定されている国連統計委員会に報告される予定です。

 (注1)会合の詳細については、以下のURLを御参照ください。
 https://unstats.un.org/sdgs/meetings/iaeg-sdgs-meeting-16/別ウィンドウで開きます (外部リンク)

3 日本からの発信

 北九州市からは、地方公共団体におけるSDGs推進に向けた取組の報告が行われました。空や海の公害克服を原点とし、市民・企業・行政の一体的な取組を進めてきました。北九州市は、2018年にVLR(ボランタリーローカルレビュー)を発表し、アジアで唯一、OECDから「SDGs推進に向けたモデル都市」に選定されたことが紹介されました。その後北九州市の取組は、「A territorial approach to the SDGs in Kitakyushu, Japan」と題されるレポート(注2)にまとめられています。またSDGs推進にあたっては、北九州市全体をまきこむ北九州市サステナブル経営認証制度や国内最大級の洋上風力発電計画、国際協力で世界へ貢献した事例が紹介されました。
 また、環境省関係機関の公益財団法人環日本海環境協力センターからは、SDGグローバル指標14.1.1a「沿岸富栄養化指数(Index of Coastal Eutrophication)」(注3)の地域及び国家的指標の開発に関する取組の報告が行われました。衛星データのレベルとトレンドを使用して海洋の富栄養化を監視する「Global Eutrophication Watch(GEW)」(地球規模での海洋の富栄養化オンライン評価ツール)の実演があり、複数の事例と共に紹介されました。また、GEWにおける衛星データの活用方法は、例えば海水温の観測など、他の環境指標でも利用可能なことが示唆されました。

 (注2)レポートの詳細については、以下のURLを御参照ください。
 A territorial approach to the Sustainable Development Goals in Kitakyushu, Japan | OECD別ウィンドウで開きます (外部リンク)
 北九州市作成日本語版:https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/00101226.html別ウィンドウで開きます (外部リンク)

 (注3)SDGsのゴール14に関する指標の1つ。以下のURLを御参照ください。
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal14.html別ウィンドウで開きます (外部リンク)

4 北九州市主催のイベントについて

 北九州市では、会合の前後期間において、以下のイベントが実施されました。国際会議場で用いられる国名や機関名が記載されたプレート等には北九州産の木材(KITAQ WOOD)や竹を用いた製品が活用されるとともに、北九州市の公害の克服の歴史等に関するパネル展示が行われました。また市内では、会合に関するサイネージや横断幕が掲げられ、この機に「サステナブル・シティ北九州」を体感する取組が企画・実施されました。
 
11月5日 
○市内の中学生・高校生と会合参加者によるランチイベント
 中学生・高校生16名と参加者がランチを食べながら歓談しました。生徒達は、現在取り組んでいるSDGsの活動や自身の夢を英語で紹介し、参加者と交流を深めました。将来は国際機関で働きたいという生徒もおり、とても貴重な経験になったと感想を述べました。また国連統計部ほか参加者からも、統計データにとどまらずSDGsに関して将来を担う世代と率直に対話でき、有意義な機会であったと感謝の意が示されました。
 
○会合参加者への歓迎として、エクスカーションツアー及びレセプション
 会合参加者はバスで市内の関連施設を巡りました。TOTOミュージアムでは創立以来の歴史や水まわり文化が紹介され、小倉城庭園では園内の散策と呈茶体験が行われました。
 小倉城天守閣でのレセプションでは、寿司職人による握りのパフォーマンスが披露されました。
 
11月8日 
○会合参加者を対象としたサステナブル・シティを体感するツアー
  自然環境から文化遺産まで市の多様な取組を体感することを目的に、参加者は平尾台カルスト(国定公園内トレッキング)、溝上酒造(酒蔵見学)、株式会社新菱(太陽光発電パネルリサイクル処理ライン見学)、白島展示館(石油備蓄基地に関する展示及び洋上風力発電の見学)、関門トンネル人道(海底県境越え体験)、三宜楼(構成文化財見学)の6箇所を順に巡りました。各訪問先では、欧州の参加者が熱心に質問をする様子が見られました。
 昼食時は武内市長が出席し、参加者と懇談を行いました。会合の共同議長を始めとする参加者から、「北九州市の手厚いおもてなし」に対する感謝の意が示されました。

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