それでは、国民生活におけるICT利用については、どの程度進展しているのであろうか。ここでは、e-Japan戦略において、重点政策分野とされた電子商取引について取り上げる。
e-Japan戦略では、インターネット上の電子商取引は、「紙ベースで行われていた取引が電子化されることによる利点にとどまらず、これまで想像もできなかったような市場が形成され、新たな取引形態が生まれると考えられる」ため、誰もが安心して参加できる制度基盤と市場ルールの整備等が必要であると指摘するとともに、予測されている市場規模を上回ることを目標として掲げていた。
例えば、経済産業省が公表する電子商取引実態調査によると、事業者・消費者間取引(BtoC)については、1998年の市場規模は650億円であったが、2003年には約50倍である3兆円程度になると予測されており、これを上回ることが目標であった。
この目標に対し、2003年の市場規模は4兆4,240億円と目標を大幅に上回った。
その後も、国内電子取引の市場規模は伸び続け、2019年には19兆3,609億円となっている(図表0-1-2-8)。
このような電子商取引は、事業者・消費者間取引(BtoC)だけではなく、事業者間取引(BtoB)の市場も伸び続けていたが、それらに加えて、最近はシェアリングエコノミーの進展などに伴い、消費者間取引(CtoC)の市場も急激に成長している。
22 市場規模の定義が2005年以降とそれ以前では異なるため、市場規模を単純比較することはできない。