我が国の2000〜2019年における情報通信産業と一般産業の労働生産性(実質GDP/雇用者数)(2015年価格)の推移を、指数(2000年=100)として示したのが図表1-2-1-5である。情報通信産業について注目すると、2009年の指数は、リーマンショックにより2008年の150.4から3.9ポイント落ち込み146.5にまで減少したものの、続く2010年は154.1と急増した。その後、2011年から2013年にかけてやや鈍化したものの2014年以降は上昇傾向に入り、2019年時点で185.6となっている。
他産業と比較した場合、2000年以降は「不動産」、「医療・福祉」、「対個人サービス」などが80〜100程度で横ばい又は下降傾向にあるのに対し、情報通信産業の生産性は上昇傾向を保っている。
図表1-2-1-6は情報通信産業とその他の産業の労働生産性寄与度の推移を5年ごと(2015-19年のみ4年)の期間で示したものである。産業全体の労働生産性向上に対する情報通信産業の寄与度は、いずれの期間においてもプラス値を維持している。
具体的なICTソリューションと労働生産性2との関係を見てみる。ここでは代表的なものとして、クラウドサービス及びテレワークを取り上げる。
総務省の通信利用動向調査によると、2010年から2020年まで一貫してクラウドサービスを利用している事業者の方が、利用していない事業者と比較して労働生産性が高いことがわかる(図表1-2-1-7)。
同様に、テレワークの導入状況と労働生産性の関係についても見てみると、2011年から2020年まで一貫してテレワークを導入している事業者の方が、導入していない事業者と比較して労働生産性が高い(図表1-2-1-8)。
2 ここでは、労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業員数により算出