伊東市における製菓工場騒音・悪臭被害責任裁定申請事件(平成14年(セ)第2号事件)
事件の概要
平成14年3月28日、静岡県伊東市の住民1人から、隣接する製菓工場の所有者を相手方(被申請人)として、責任裁定を求める申請があった。
申請の内容は、被申請人の所有する製菓工場から発生する騒音・悪臭により、精神的、肉体的被害を受けているとして、被申請人に対し、損害賠償の支払を求めるというものである。
事件処理の経過
公害等調整委員会は、本申請を受け付けた後、直ちに裁定委員会を設け、裁定委員会は、第1回審問期日を開催したほか、現地調査、騒音・悪臭の測定を実施するなど、鋭意手続きを進めてきた。その結果、本件については、当事者間の合意による解決が相当であると判断し、第2回審問期日である平成14年11月26日、公害紛争処理法第42条の24第1項の規定により職権で事件を調停に付し、自ら処理することとした(平成14年(調)第2号事件)。
同日開催した第1回調停期日において、裁定委員会から、調停案を提示したところ、当事者双方はこれを受諾して別記調停が成立し、責任裁定申請については取り下げられたものとみなされ、本事件は終結した。
別記
調停条項
- 被申請人は、平成15年1月20日までに、静岡県伊東市○○所在の4階建建物(以下「新工場」という。)における操業を停止し、その後、新工場1階に設置されているボイラーを使用しない。
- 被申請人は、平成15年1月末日までに、その費用負担により、次の各事項を行う。
(1) 新工場2階に設置されている豆煮釜○○を撤去する。なお、その後、これらを新工場又は○○所在の建物(以下「旧工場」という。)に持ち込まない。
(2) 新工場1階に設置されているボイラーの煙突の開口部につき、煤煙が流出しないよう覆いを取り付ける。
(3) 旧工場の申請人宅側外壁付近に設置されているガスメーターを、申請人宅から直接望めない場所に移設する。
(4) 新工場横申請人宅玄関側に設置されている汚水槽を専門業者に委託して清掃し、○○かすを除去する。
- 被申請人は、法的又は技術的理由により不可能ではない限り、できるだけ速やかに、その費用負担により、旧工場の申請人宅側外壁付近に設置されているプロパンガスボンベ置場を、申請人宅から直接望めない場所に移設する。 なお、その移設が法的又は技術的理由により不可能な場合には、被申請人は、その事実が判明次第、その具体的な理由を、申請人及び公害等調整委員会事務局に報告する。
- 被申請人は、新工場2階申請人宅側に設置されている換気扇、4階申請人宅側に設置されている室外機1台を、今後とも使用しない。
- 申請人は、被申請人が上記各条項を遵守している限り、被申請人に対し、新工場の操業停止までの新工場及び旧工場の操業による騒音及び悪臭を原因とする損害について、賠償請求をしない。
- 申請人と被申請人は、今後、良好な相隣関係を維持するよう努める。
- 本件手続に要した費用は、各自の負担とする。
以上
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