自動車排出ガスによる大気汚染被害責任裁定申請事件(公調委令和4年(セ)第3号・令和5年(セ)第1号・令和6年(セ)第7号・令和6年(調)第9号事件)
事件の概要
令和4年6月28日、東京都など7都府県の住民153人から、国(代表者環境大臣)及び自動車メーカー7社を相手方(被申請人。以下、上記国を「被申請人国」、上記自動車メーカー7社を「被申請人メーカーら」という。)として責任裁定を求める申請がありました。
申請の内容は以下のとおりです。申請人ら(東京都など7都府県の「自動車NOx・PM法対策地域」に居住している又はしていた住民153人で、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和48年法律第111号。以下「公害健康被害補償法」という。)の認定を受けていないもの)が、公害健康被害補償法の定める指定疾病である気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫等の疾病に罹患したのは、被申請人メーカーらが、ディーゼル排気微粒子が深刻な健康影響をもたらすことを認識しながら、排ガス公害対策が不十分な自動車を大量に製造、販売し、大気汚染を生じさせたことによるものであり、被申請人メーカーらは不法行為による賠償責任を負うとして、また、被申請人国(代表者環境大臣)は、自動車排出ガス規制権限の不行使により、国家賠償法(昭和22年法律第125号)第1条第1項による賠償責任を負うとして、被申請人らに対し、損害賠償金合計1億5300万円を連帯して支払うことを求めたものです。
なお、令和5年5月10日、東京都などの住民9人から、同一原因による被害を主張する参加の申立てがあり(公調委令和5年(セ)第1号事件)、裁定委員会は、同年6月21日、これを許可しました。
また、令和6年4月22日、東京都などの住民10人から、同一原因による被害を主張する参加の申立てがあり(公調委令和6年(セ)第7号事件)、裁定委員会は、同年6月3日、これを許可しました。
その後、令和6年7月1日、令和4年(セ)第3号事件の申請人9人、令和5年(セ)第1号事件の参加申立人1人から、同年11月25日、令和4年(セ)第3号事件の申請人4人から、それぞれ申請を取り下げる旨の申出がありました。
事件の処理経過
公害等調整委員会は、本申請受付後、直ちに裁定委員会を設け、10回の審問期日を開催するなど、手続を進めた結果、本件については当事者間の合意による解決が相当であると判断し、令和6年12月19日、公害紛争処理法第42条の24第1項の規定により職権で調停に付し(公調委令和6年(調)第9号事件)、裁定委員会が自ら処理することとしました。その後、2回の調停期日を開催しましたが、当事者の主張や考え方に隔たりが大きく、今後調停を継続しても当事者間に合意が成立する見込みがないと判断し、令和7年3月21日、調停を打ち切り、同年5月26日、本件申請を棄却するとの裁定を行い、本事件は終結しました。
裁定書
裁定書のPDFは以下からご覧いただけます。
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裁定書
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裁定書(別紙)
文中の固有名詞などには、「A」「a」等の記号に置き換えているものがあります。
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