江東区における工場からの化学物質排出に伴う大気汚染による財産被害責任裁定申請事件及び同原因裁定申請事件(公調委令和4年(セ)第7号事件・令和4年(ゲ)第8号事件)
事件の概要
令和4年9月29日、東京都江東区の住民1人から、申請人宅に隣接する印刷会社を相手方(被申請人)として責任裁定及び原因裁定を求める申請がありました。
申請の内容は以下のとおりです。責任裁定申請事件は、申請人宅に設置されているサッシが腐食したのは、被申請人が、申請人宅の隣に所在する印刷工場に設置した換気口から化学物質を含む空気を外部に排出・拡散させたことによるものであるとして、被申請人に対し、修繕費として損害賠償金126万8300円の支払を求めたものです。
原因裁定申請事件は、申請人宅に設置されているサッシに腐食が生じたのは、被申請人が印刷工場から化学物質を排出・拡散させたことによるものである、との裁定を求めたものです。
その後、令和5年4月3日、責任裁定申請事件について、申請人により裁定を求める事項が変更されました(損害賠償金「129万300円」とする。)。
事件の処理経過
公害等調整委員会は、本申請受付後、直ちに裁定委員会を設け、被申請人が印刷工場から排出・拡散させた化学物質と申請人宅に設置されているサッシの腐食との因果関係に関する専門的事項を調査するために必要な専門委員1人を選任するとともに、受命委員らによる現地調査を実施したほか、1回の審問期日を開催するなど、手続を進めましたが、令和6年6月3日、本件申請は、不適法な裁定の申請であり、責任裁定申請については公害紛争処理法第42条の13第1項の、原因裁定申請については同法第42条の33において準用する第42条の13第1項の規定に基づき、これらをいずれも却下するとの決定を行い、本事件は終結しました。
決定書
ページトップへ戻る