公害等調整委員会は、申請人から三重県尾鷲建設事務所長(以下「処分庁」という。)が行った三重県尾鷲市大字南浦地内における岩石採取計画認可申請の不認可処分(以下「本件処分」という。)の取消しを求める裁定の申請(以下「本件裁定申請」という。)を平成28年10月27日付けで受け付けました。申請の内容は以下のとおりです。
申請人は、本件処分につき、処分庁は、これまで経済産業省資源エネルギー庁の作成する技術基準に基づき、濁水対策については沈殿池による自然沈降を基本とした濁水対策を基本として審査を行っており、同基準の合理性が失われたことを示す特段の事由がないにもかかわらず、かつ、申請人による濁水対策が同基準を満たしていると認めながら、申請人による濁水処理対策に疑念がある等の理由付けで行った本件処分は理由のない違法なものであるとして、平成28年10月27日付けで本件処分の取消しを求めて本件裁定申請をしました。
その後、平成29年3月30日、三重県内の漁業組合連合会ほか3組合(令和元年5月28日、合併により2組合消滅)から、申請人による岩石採取によって発生する濁水が矢ノ川を通じて尾鷲湾に拡散し、申立人らが営む漁業に深刻な影響が及ぶことを理由として、参加の申立てがありました。
公害等調整委員会は、本件裁定申請受付後、直ちに裁定委員会を設け、5回の審理期日を開催するとともに、河川流域における土砂流出等と海洋汚染との因果関係に関する専門的事項を調査するために必要な専門委員1人を選任するなど、手続を進めましたが、令和3年1月18日、申請人から申請を取り下げる旨の申出があり、これにより本件裁定申請事件及びこれに対する参加申立事件はいずれも終結しました。