住民基本台帳ネットワークシステムは、市町村が住民基本台帳制度を運営するという従来の制度の基本的枠組を変更することなく、全国的に市町村の区域を越えた本人確認ができるような仕組みを構築するものです。
このため、このシステムは、広域的な地方公共団体である都道府県が主体的に運営し、市町村と都道府県が連携して構築するシステムとされているところです。
なお、都道府県の事務のうち全国的なものについては、各都道府県が個別に行うよりも、本人確認情報に関する事務を処理するための全国的な組織が一括して行う方が効率性や正確性の観点から適当であると考えられることから、地方公共団体情報システム機構を設置することとしています。
この結果、地方公共団体情報システム機構、都道府県及び市町村による3レベルのネットワーク構成とされているところです。
住基ネットで保有している情報は、氏名・住所・生年月日・性別の4情報に加え、個人番号、住民票コード及びこれらの変更情報である本人確認情報だけです。これは法律で明確に決められています。
4情報については、国民健康保険、介護保険、国民年金の被保険者の資格の確認などの事務のため、従来から行政機関が利用してきたものであり、また、住民票コードは、住民の方々の請求により、いつでも変更することができる無作為の11桁の番号です。
住基ネットに本人確認情報以外の情報が記録されることはありません。行政機関が住基ネットを利用する場合は、これらの情報を確認するだけで、住基ネットにその他の情報を付け加えることはありません。
住民票コードは、氏名、住所等による本人確認に比べて、
といった点から、住民基本台帳ネットワークシステムにおいて全国共通の本人確認を行うにあたって、必要不可欠なものです。
住基法においては、民間での住民票コードの利用を規制する観点から、民間の機関が住民票コードの告知を要求することは禁止されています。
特に、契約に際して住民票コードの告知を要求することや、住民票コードの記録されたデータベースを構成することを禁止し、これらに違反した場合には、都道府県知事の中止の勧告、命令を経た上で、命令違反に対する罰則を科すこととし、民間利用を厳しく禁止しています。
住基ネットにより、いつ、どの行政機関が、何の目的で、住民の方々の本人確認情報を利用したかを、都道府県知事に対して開示するよう請求することができます。
具体的な手続については、各都道府県のホームページをご覧いただくか、窓口にお問い合わせください。
住基ネットは、専用回線で構築されており、インターネットは利用していません。
また、住基ネットの入り口には地方公共団体情報システム機構が24時間監視するファイアウォールを設置するほか、インターネットで利用される通信方法(電子メール送受信やホームページの閲覧など)ではなく、独自の安全な送信方法を利用しています。したがって、万が一、市町村のシステムにハッカーやコンピューターウイルスが入ってきたとしても、住基ネット内に入ることはできません。
住基ネットは、決められた行政機関の中でも、操作できる職員が限られています。操作者識別カードとパスワードの確認ができないと、住基ネットにアクセスできない設計で、担当職員以外の職員や外部の人が住基ネットを利用することはできないようになっています。また、定期的に職員の操作履歴(アクセスログ)を監視しており、万が一、不正が発覚した場合は、厳重な処分を行います。
さらに、すべての都道府県において、住基ネット担当者に対するセキュリティ研修会を実施するなど、担当職員の意識向上に努めています。
なお、担当職員が個人情報を漏らした場合、住基法により、通常の守秘義務違反より重い刑罰が科せられます(2年以下の懲役または100万円以下の罰金)。
住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会とは、住民基本台帳ネットワークシステムの運営、個人情報保護措置、セキュリティ対策、地方公共団体の体制のあり方について幅広く調査審議を行い、総務大臣に意見を述べることを目的として設置されたものです。
調査委員会は、学識経験者、地方公共団体代表、その他代表から構成されています。