はじめに

本報告は、「地方財政法」（昭和23年法律第109号）第30条の2第1項の規定に基づき、内閣が、地方財政の状況を明らかにして国会に報告するものであり、昭和28年以来毎年報告を行っており、今回で68回目になる。

平成30年度の地方財政の概況は次のとおりである。

歳入は101兆3,453億円で、国庫支出金、貸付金元利収入、地方交付税が減少したものの、地方税、地方譲与税の増加等により、前年度と比べると220億円増加（0.0％増）している。このうち、東日本大震災分は2兆3,690億円で、前年度と比べると4,391億円減少（15.6％減）し、東日本大震災分を除いた通常収支分は98兆9,763億円で、前年度と比べると4,611億円増加（0.5％増）している。

歳出は98兆206億円で、補助費等、公債費、積立金が減少したものの、普通建設事業費、災害復旧事業費、物件費の増加等により、前年度と比べると222億円増加（0.0％増）している。このうち、東日本大震災分は2兆865億円で、前年度と比べると4,053億円減少（16.3％減）し、通常収支分は95兆9,341億円で、前年度と比べると4,276億円増加（0.4％増）している。

以上のように、平成30年度においては、通常収支分の決算規模の増加が、東日本大震災分の決算規模の減少を上回ったため、全体の決算規模は増加している。

また、普通会計が負担すべき借入金残高は、193兆6,146億円で、前年度と比べると2兆235億円減少（1.0％減）している。その内訳は、企業債現在高（普通会計負担分）の減少（9,895億円減）、地方債現在高の減少（6,339億円減）、交付税及び譲与税配付金特別会計（以下「交付税特別会計」という。）借入金残高の減少（4,000億円減）である。

本報告は、以下の3部から構成されている。

第1部では、平成30年度の地方財政について、地方財政状況調査等に基づき、決算収支、歳入、歳出等を分析するとともに、平成30年度決算に基づく健全化判断比率等及び公共施設の状況等を明らかにしている。

第2部では、令和元年度及び令和2年度の地方財政の動向について取りまとめている。

第3部では、最近の地方財政をめぐる諸課題への対応について取りまとめている。