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令和2年版
地方財政白書
(平成30年度決算)

4 公共施設等の適正管理の推進

(1)公共施設等総合管理計画の充実と推進

我が国においては、高度経済成長期に大量の公共施設等が建設されており、今後、それらの公共施設等が一斉に更新時期を迎えることとなる。一方、地方財政は依然として厳しい状況にあり、各地方公共団体において、所有している全ての公共施設等の維持補修・更新に係る財源を確保していくことは、一層困難となるおそれがある。また、人口減少や少子高齢化等により、公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれるため、各地方公共団体は、地域における公共施設等の最適配置の実現に向けて取り組んでいく必要がある。

国において平成25年11月に策定された「インフラ長寿命化基本計画」により、各インフラの管理者は、インフラの維持管理・更新等を着実に推進するための中期的な取組の方向性を明らかにする「インフラ長寿命化計画(行動計画)」を平成28年度までに策定すること、さらに、行動計画に基づき個別施設ごとの具体的な対応方針を定める「個別施設毎の長寿命化計画(個別施設計画)」を令和2年度までに策定することとされている。

総務省においては、平成26年4月、総務大臣通知により、各地方公共団体に対し、地方公共団体の行動計画に当たる公共施設等総合管理計画(以下「総合管理計画」という。)を策定し、公共施設等の現況や将来見通しを踏まえ、公共施設等の総合的かつ計画的な管理を推進するよう要請した。平成31年3月31日時点で、都道府県及び政令指定都市においては100%、市区町村においても99.8%の団体が、総合管理計画を策定している。

また、「インフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議」において取りまとめた個別施設計画の策定状況のうち、主なものは、第53表 のとおりである。

今後の各地方公共団体の取組の方向としては、総合管理計画に基づく公共施設等の適正管理の具体的な取組を進めるとともに、総合管理計画策定後に新たに得られた情報を基に、総合管理計画の見直し・充実を図り、より実効性あるものとしていく必要がある。

具体的には、総合管理計画に記載することとされている公共施設等に関する中長期的な経費の見込みについて、個別施設計画に記載した対策の内容等を反映させるとともに、長寿命化対策等の効果額を示すことが必要である。

加えて、地方公会計を活用し、財務書類等から得られた指標を用いた分析等を行うとともに、施設別の財務書類の作成・分析を通じた施設等の統廃合等の検討に役立てることが重要である。

また、各地方公共団体においては、総合管理計画において設定した数値目標の達成状況や個別施設計画の策定状況の進捗管理を含めた全庁的な推進体制の構築や、PDCAサイクルの確立などを図ることが重要である。

併せて、地方公共団体においては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、公共施設等の適正管理を行う中でユニバーサルデザイン化を進める観点から、総合管理計画にユニバーサルデザイン化の推進方針を位置付けることが求められる。

総務省においては、これらの留意事項について、平成30年2月に「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」(平成26年4月22日)を改訂し、地方公共団体に通知するとともに、各地方公共団体が策定した総合管理計画の主たる記載内容等を総務省HPにおいて公表している。

併せて、水道・下水道をはじめとする公営企業についても、人口減少等に伴う料金収入の減少や施設の老朽化に伴う更新需要の増大などの厳しい経営環境を踏まえ、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図りつつ、計画的な施設管理を行うことが必要である。

(2)公共施設等の適正管理の推進に係る具体的な取組

総務省においては、公共施設等の適正管理の取組を適時・適切に推進するため、集約化・複合化事業や長寿命化事業等からなる「公共施設等適正管理推進事業債」について、令和2年度の地方債計画に4,320億円を計上した。加えて、複数団体が連携して実施する集約化・複合化事業の取組において、実施主体を拡充するとともに、長寿命化事業の対象として、昭和53年以降の技術基準で設計された砂防施設を追加することとしている。

総務省においては、同事業債の活用例を施設や事業の内容ごとにまとめた手引きを総務省HPにおいて紹介している。各地方公共団体においては、同事業債や基金などの財源を活用しながら、公共施設等の適正管理に係る取組を積極的に進めていくことが求められる。

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