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令和2年版
地方財政白書
(平成30年度決算)

7 地方公営企業等の状況

(1)地方公営企業

ア 概況

(ア)事業数[資料編:第114表

平成30年度末において、地方公営企業を経営している団体数は1,784団体(企業団・一部事務組合等のみで地方公営企業を経営している3団体及び特別区を含む。)であり、その内訳は47都道府県、20政令指定都市、1,717市区町村(政令指定都市を除く。)となっている。

これらの団体が経営している地方公営企業の事業数は8,308事業で、前年度末と比べると90事業減少している。これを事業別にみると、第79図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合(事業総数の43.7%)を占め、以下、水道事業(簡易水道事業を含む。以下同じ。)(同22.6%)、病院事業(同7.5%)の順となっている。

(イ)業務の状況

地方公営企業は、住民の生活水準の向上を図る上で大きな役割を果たしている。各事業全体の中で地方公営企業が占める割合は、第20表のとおりである。

平成30年度における主要な事業の業務の状況についてみると、次のとおりとなっている。

a 水道事業

水道事業(用水供給事業を除く。)においては、配水能力6,851万2千m3/日、導送配水管77万247kmを有し、年間150億m3(対前年度比0.7%減)の配水を行っている。また、給水人口は平成30年度末で1億2,401万9千人で、全国人口に対する割合は97.3%となっている。

b 工業用水道事業

工業用水道事業においては、配水能力2,140万3千m3/日、導送配水管8,880kmを有し、年間43億37百万m3(対前年度比0.0%増)の配水を行っている。また、契約水量は1,650万3千m3/日(同0.0%減)となっている。

c 都市高速鉄道事業

都市高速鉄道事業においては、車両3,406両、営業路線424kmを有している。また、年間輸送人員は25億6百万人(対前年度比25.1%減)となっている。

d バス事業

バス事業においては、車両7,049両、営業路線6,876kmを有している。また、年間輸送人員は8億76百万人(対前年度比7.6%減)となっている。

e 病院事業

病院事業においては、776病院、病床17万5,066床を有している。また、年延患者数は1億2,319万人(対前年度比1.4%減)であり、17年連続の減少となっている。

f 下水道事業

下水道事業においては、現在晴天時処理能力6,114万m3/日、下水管布設延長53万1,078kmを有している。また、年間有収水量(流域下水道分は除く。)は112億m3(対前年度比0.1%減)となっている。

(ウ)職員数[資料編:第115表

平成30年度末における地方公営企業に従事する職員の数は33万3,777人で、前年度末と比べると1.7%減となっている。

これを事業別にみると、第80図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合(職員総数の66.8%)を占め、以下、水道事業(同13.3%)、下水道事業(同8.2%)、交通事業(同6.2%)の順となっており、これら4事業で職員数全体の94.5%を占めている。

(エ)決算規模[資料編:第116表

決算規模は16兆9,796億円で、前年度と比べると297億円減少(0.2%減)となっている。

これを事業別にみると、第81図のとおりであり、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、病院事業、水道事業、交通事業の順となっている。

(オ)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合わせた全体の経営状況は、第21表のとおりであり、黒字事業数は全体の88.1%(前年度88.8%)、赤字事業数は11.9%(同11.2%)で、全体としては1兆2,600億円の黒字(前年度9,028億円の黒字)となっている。また、赤字額は1,826億円で、前年度と比べると23億円減少(1.2%減)している。

(カ)料金収入

料金収入は8兆7,823億円で、前年度と比べると1,582億円減少(1.8%減)している。これを事業別にみると、第82図のとおりであり、病院事業が最も大きな割合(総料金収入の36.7%)を占め、以下、水道事業(同30.9%)、下水道事業(同17.7%)、交通事業(同6.2%)の順となっている。

(キ)建設投資額の推移

建設投資額の推移は、第83図のとおりであり、平成30年度の額は3兆6,596億円で、前年度と比べると539億円減少(1.5%減)している。

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合を占め、以下、水道事業、病院事業、宅地造成事業の順となっている。建設投資額が前年度より増加した主な事業は、港湾整備事業(対前年度比124億円増加、30.4%増)、観光事業(同7億円増加、10.3%増)、宅地造成事業(同7億円増加、0.4%増)となっている。

(ク)企業債の状況

資本的支出に充当された企業債の発行額の状況は、第84図のとおりであり、発行額は2兆1,819億円で、前年度と比べると211億円減少(1.0%減)している。

これを事業別にみると、下水道事業が最も大きな割合(企業債発行総額の52.1%)を占め、以下、水道事業(同17.0%)、病院事業(同13.2%)、宅地造成事業(同5.0%)の順となっている。

企業債借入先別現在高の推移は、第85図のとおりであり、企業債現在高の平成30年度末の総額は40兆8,327億円で、前年度末と比べると1兆8,164億円減少(4.3%減)している。これを借入先別にみると、政府資金が最も大きな割合(現在高総額の46.8%)を占め、以下、地方公共団体金融機構(同30.3%)、市場公募(同11.2%)の順となっている。

(ケ)他会計繰入金の状況

他会計からの繰入金は2兆9,051億円で、前年度と比べると327億円減少(1.1%減)している。

この内訳をみると、収益的収入として1兆9,489億円(収益的収入に対する繰入金の割合14.7%)、資本的収入として9,562億円(資本的収入に対する繰入金の割合22.5%)となっている。

これを事業別にみると、下水道事業への繰入額が最も大きな割合(繰入額総額の59.5%)を占め、以下、病院事業(同24.3%)、水道事業(同6.6%)、宅地造成事業(同2.9%)の順となっている。

(コ)法適用企業の経営状況[資料編:第117表

a 損益計算書及び貸借対照表

損益計算書は、第86図のとおりであり、平成30年度は、特別利益の増加等により総収益が総費用を上回り、総収支は黒字となっている。

また、法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、総費用及び総収益が増加している。

貸借対照表は、第87図のとおりであり、同じく法非適用企業の公営企業会計の適用拡大により、資産の総額は増加している。特に下水道事業における固定資産の増加分が、全体の増加分の大半を占めている。

b 損益収支

法適用企業の経営状況を表すものには、純損益、経常損益、総収支比率、経常収支比率等がある。純損益とは、総収益から総費用を差し引いた額をいい、当該年度の総合的な収支状況を表す。総収益が総費用を上回る場合の差額が純利益であり、逆に総費用が総収益を上回る場合の差額が純損失である。

経常損益とは、純損益から固定資産売却益等の臨時的な収益(特別利益)や、固定資産売却損等の臨時的な費用(特別損失)を除いたものをいい、当該年度の経営活動の結果を表す。経常収益が経常費用を上回る場合の差額が経常利益であり、逆に経常費用が経常収益を上回る場合の差額が経常損失である。

総収支比率とは総費用に対する総収益の割合、経常収支比率とは経常費用に対する経常収益の割合であり、それぞれ100%を下回ると費用が収益を上回っている状態を意味する。

法適用企業の総収益(経常収益+特別利益)は11兆8,647億円、総費用(経常費用+特別損失)は10兆7,474億円となっている。この結果、純損益は1兆1,173億円の黒字となっており、総収支比率は110.4%と前年度より3.2ポイント上昇している。また、経常収益(営業収益+営業外収益)は11兆2,786億円、経常費用(営業費用+営業外費用)は10兆6,356億円となっている。この結果、経常損益は6,430億円の黒字となっており、経常収支比率は106.0%と前年度より0.7ポイント低下している。

経常収支比率の推移をみると、平成3年度以降100%を下回る状況が続いていたが、平成15年度からは16年連続で100%を上回っている。

なお、純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第22表のとおりである。

c 資本収支

建設投資や企業債の償還金等の支出である資本的支出は6兆3,213億円で、前年度と比べると3,892億円増加(6.6%増)している。これに対する財源は、企業債等の外部資金が2兆8,908億円、損益勘定留保資金等の内部資金が3兆3,615億円、資本的収入額が資本的支出額に不足する額である財源不足額は689億円となっている。

資本的支出のうち建設改良費は2兆9,451億円で、前年度と比べると595億円増加(2.1%増)している。建設改良費が大きい事業は、水道事業(建設改良費総額の40.5%)、下水道事業(同36.7%)、病院事業(同12.6%)である。

d 累積欠損金

過去の年度から通算した純損益における損失の累積額である累積欠損金は4兆186億円で、前年度と比べると1,775億円減少(4.2%減)している。また、累積欠損金合計額に占める割合が大きい事業は、病院事業(累積欠損金合計額の46.9%)、交通事業(同36.5%)である。

e 不良債務

貸借対照表日現在において、流動負債の額(建設改良費等の財源に充てるための企業債等を除く。)が流動資産の額(翌年度へ繰り越される支出の財源充当額を除く。)を上回る場合の当該超過額である不良債務は1,235億円で、前年度と比べると166億円減少(11.9%減)している。不良債務の大きい事業は、交通事業(不良債務額総額の51.2%)、病院事業(同24.9%)、下水道事業(同18.0%)である。

(サ)法非適用企業の経営状況[資料編:第119表

法非適用企業の実質収支をみると、黒字事業数は法非適用企業全体の98.2%、赤字事業数は1.8%を占めており、全体では1,427億円の黒字(前年度1,335億円の黒字)となっている。

イ 事業別状況[資料編:第114表第119表

(ア)水道事業

a 事業数

(a)上水道事業

地方公共団体が経営する上水道事業で、平成30年度決算対象となるものは、1,338事業であり、このうち、末端給水事業は1,269事業、用水供給事業は69事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、末端給水事業は、都県営が4事業、政令指定都市営が19事業、市営が675事業、町村営が520事業、企業団営等が51事業であり、用水供給事業は、府県営が21事業、政令指定都市営が1事業、市営が1事業、企業団営等が46事業となっている。

(b)簡易水道事業

地方公共団体が経営する簡易水道事業で、平成30年度決算対象となるものは、544事業(うち法適用34事業)である。これを経営主体別にみると、町村営が404事業(うち建設中1事業)で全体の74.3%を占め、以下、政令指定都市営が2事業、市営が135事業、一部事務組合等営が3事業となっている。

b 業務の状況

水道事業の給水人口(用水供給事業を除く。)は、平成30年度末で1億24百万人(上水道事業1億22百万人、簡易水道事業2百万人)であり、前年度と比べると微減となっている。また、平成30年度の年間総有収水量(用水供給事業を含む。)は179億68百万m3(前年度181億37百万m3)、給水人口1人当たり1日平均有収水量(用水供給事業を除く。)は298l(同299l)となっている。

c 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

水道事業の総収益は3兆2,289億円、総費用は2兆8,630億円となっており、この結果、純損益は3,659億円の黒字(前年度3,794億円の黒字)、総収支比率は112.8%となっている。また、経常収益は3兆2,081億円、経常費用は2兆8,432億円となっており、この結果、経常損益は3,649億円の黒字、経常収支比率は112.8%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第23表のとおりである。

累積欠損金は653億円で、前年度と比べると5.8%増となっている。なお、不良債務は2億円(前年度1億円)である。

(ii)資本収支

資本的支出は、第88図のとおりであり、平成30年度の額は1兆8,153億円で、前年度と比べると0.2%減となっている。これに対する財源は、外部資金が6,018億円、内部資金が1兆2,114億円で、財源不足額は21億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆1,931億円で、前年度と比べると1.2%増、企業債償還金は5,684億円で、前年度と比べると1.6%減となっている。

(iii)給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価(用水供給事業を除く。)は167.23円で、前年度と比べると0.9%増となっている。給水原価の内訳をみると、資本費が57.40円、職員給与費が20.68円、受水費が28.43円、その他の経費が60.72円となっている。これに対して1m3当たりの供給単価(用水供給事業を除く。)は173.65円であり、給水原価が供給単価を6.42円下回る状態となっている。

また、平成30年度中に料金改定を実施した水道事業(用水供給事業を含む。)は79事業(前年度100事業)で、営業中の事業の5.8%となっている。

(b)法非適用企業

簡易水道事業における法非適用企業は510事業(うち建設中1事業)で、実質収支をみると、黒字事業が503事業で42億円の黒字、赤字事業が6事業で2億円の赤字となっており、差引40億円の黒字となっている。

(イ)工業用水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する工業用水道事業で、平成30年度決算対象となるものは、156事業(うち建設中2事業)である。これを経営主体別にみると、都道府県営が39事業、政令指定都市営が9事業、市営が81事業、町村営が17事業、企業団営が10事業となっている。

施設数は257施設、給水先事業所数は6,021箇所、年間総配水量は43億37百万m3となっている。また、施設利用率(1日平均配水量を現在配水能力で除したもの。)の平均は55.5%(前年度54.9%)となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

工業用水道事業の総収益は1,524億円、総費用は1,278億円となっており、この結果、純損益は246億円の黒字(前年度247億円の黒字)、総収支比率は119.2%となっている。また、経常収益は1,477億円、経常費用は1,242億円となっており、この結果、経常損益は235億円の黒字、経常収支比率は118.9%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第24表のとおりである。

累積欠損金は338億円で、前年度と比べると2.8%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は918億円で、前年度と比べると7.5%減となっている。これに対する財源は、外部資金が352億円、内部資金が562億円で、財源不足額は4億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は511億円で、前年度と比べると3.0%減、企業債償還金は289億円で、前年度と比べると12.0%減となっている。

(c)給水原価と供給単価

有収水量1m3当たりの給水原価は26.01円(資本費11.44円、職員給与費3.10円、その他の経費11.47円)となっており、これに対して1m3当たりの供給単価は29.70円となっている。これを補助事業と単独事業に分けてみると、単独事業では供給単価(15.23円)が給水原価(12.94円)を2.29円上回っており、補助事業では供給単価(33.41円)が給水原価(29.37円)を4.04円上回っている。

(ウ)交通事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する交通事業で、平成30年度決算対象となるものは、86事業である。これを事業別にみると、バスが25事業、都市高速鉄道が9事業、路面電車が5事業、モノレール等が2事業、船舶が45事業となっている。

これらによる年間輸送人員は34億8,071万人、1日平均954万人(対前年度比21.3%減)である。1日平均輸送人員を事業別にみると、バスが240万人(同7.6%減)、都市高速鉄道が687万人(同25.1%減)、路面電車が15万人(同0.7%減)、その他が12万人(同39.0%減)となっている。

公営交通が国内の旅客輸送機関に占める割合を年間輸送人員からみると、第89図のとおりであり、バスについては18.9%、鉄軌道については10.3%となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用の交通事業の総収益は6,706億円、総費用は5,884億円となっており、この結果、純損益は822億円の黒字(前年度1,248億円の黒字)、総収支比率は114.0%となっている。また、経常収益は6,667億円、経常費用は5,868億円となっており、この結果、経常損益は798億円の黒字、経常収支比率は113.6%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第25表のとおりである。

累積欠損金は1兆4,678億円で、前年度と比べると11.2%減となっている。また、不良債務は633億円で、前年度と比べると26.7%減となっている。

これを事業別にみると、バス事業においては、純損益は54億円の黒字となっており、経常損益は39億円の黒字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第26表のとおりである。

累積欠損金は515億円で、前年度と比べると48.6%減となっている。また、不良債務は72億円で、前年度と比べると5.7%増となっている。

都市高速鉄道事業においては、純損益は786億円の黒字となっており、経常損益は768億円の黒字となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第27表のとおりである。

累積欠損金は1兆3,993億円で、前年度と比べると5.6%減となっている。また、不良債務は561億円で、前年度と比べると9.9%減となっている。

(ii)資本収支

資本的支出は7,830億円(うちバス事業303億円、都市高速鉄道事業7,286億円)で、前年度と比べると32.5%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1,724億円、内部資金が5,806億円で、財源不足額は300億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1,251億円(うちバス事業169億円、都市高速鉄道事業1,032億円)で、前年度と比べると19.8%減、企業債償還金は5,930億円(うちバス事業110億円、都市高速鉄道事業5,632億円)で、前年度と比べると120.0%増となっている。

(b)法非適用企業

交通事業における法非適用企業は船舶運航事業の39事業で、実質収支をみると、黒字事業が39事業で7億円の黒字となっており、赤字事業はない。

(エ)電気事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する電気事業で、平成30年度決算対象となるものは、100事業(うち建設中3事業)であり、法適用企業が28事業、法非適用企業が72事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が26事業、政令指定都市営が4事業、市営が34事業、町村営が33事業、一部事務組合等営が3事業となっている。

施設数は485施設で、最大出力の合計は267万kW(建設中を含む。)、年間発電電力量は80億83百万kWh、年間売電電力量は78億68百万kWhとなっている。そのうち、各発電型式における稼働中の施設数、最大出力、年間発電電力量、年間売電電力量は第28表のとおりである。

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用の電気事業の総収益は934億円、総費用は718億円となっており、この結果、純損益は216億円の黒字(前年度210億円の黒字)、総収支比率は130.0%となっている。また、経常収益は915億円、経常費用は705億円となっており、この結果、経常損益は210億円の黒字、経常収支比率は129.9%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第29表のとおりである。

累積欠損金は35億円で、前年度と比べると55.5%増となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(ii)資本収支

資本的支出は561億円で、前年度と比べると12.7%増となっている。これに対する財源は、外部資金が159億円、内部資金が402億円で、財源不足額を有する事業はない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は219億円で、前年度と比べると24.6%減、企業債償還金は119億円で、前年度と比べると34.7%増となっている。

(b)法非適用企業

電気事業における法非適用企業は、水力発電事業、ごみ発電事業、風力発電事業、太陽光発電事業及びバイオマス発電事業の72事業(うち建設中3事業)で、実質収支をみると68事業において黒字であり、黒字額は10億円となっている。一方、赤字を生じた事業は1事業である。

(オ)ガス事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営するガス事業で、平成30年度決算対象となるものは、26事業である。これを経営主体別にみると、政令指定都市営が1事業、市営が18事業、町村営が7事業となっている。公営ガス事業の供給戸数(契約数)は79万戸(対前年度比3.6%減)で、供給区域内戸数に対する普及率は64.9%となっている。また、販売量は326億9百万MJで、前年度と比べると8.5%減となっている。

ガス事業全体に占める公営ガス事業の割合をみると、供給戸数で2.9%、販売量で1.9%となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

ガス事業の総収益は1,019億円、総費用は860億円となっており、この結果、純損益は158億円の黒字(前年度59億円の黒字)、総収支比率は118.4%となっている。また、経常収益は928億円、経常費用は856億円となっており、この結果、経常損益は72億円の黒字、経常収支比率は108.4%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第30表のとおりである。

累積欠損金は167億円で、前年度と比べると17.2%減となっている。なお、不良債務を有する事業はない。

(b)資本収支

資本的支出は207億円で、前年度と比べると1.3%増となっている。これに対する財源は、外部資金が38億円、内部資金が169億円で、財源不足額を有する事業はない。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は102億円で、前年度と比べると0.6%減、企業債償還金は102億円で、前年度と比べると3.6%増となっている。

(カ)病院事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する病院事業(地方公営企業法を適用する病院事業)で、平成30年度決算対象となるものは、628事業(うち建設中1事業)であり、これらの事業が有する病院(以下「自治体病院」という。)数は776病院である。これを経営主体別にみると、都道府県立が148病院(35都道府県)、政令指定都市立が26病院(14政令指定都市)、市立が343病院(294市)、町村立が155病院(151町村)及び一部事務組合等立が104病院(78組合)となっている。

一般病院(注)744病院のうち病床数300床以上の病院は、31.2%に当たる232病院となっており、地域における中核的な役割を担う病院として地域医療を支えている。

一方、病床数が150床未満であり、直近の一般病院までの移動距離が15km以上となる位置に所在している等の条件下にある「不採算地区病院」は、一般病院の41.7%に当たる310病院となっており、民間医療機関による診療が期待できない離島、山間地等のへき地における医療の確保のため、重要な役割を果たしている。

さらに、自治体病院全体の85.8%に当たる666病院が救急病院として告示を受けており、地域の救急医療を担っている。

平成30年度末における病床数は17万5千床で、前年度と比べると1.2%減となり、入院及び外来延患者数は1億2千万人で、前年度と比べると1.4%減となっている。

また、病床利用率は73.7%(前年度73.8%)、外来入院患者比率(年延外来患者数を年延入院患者数で除したもの)は163.4%(前年度162.6%)となっている。なお、全国の病院に占める自治体病院の数及び病床数の推移は、第90図のとおりである。

なお、地方公共団体が経営する病院事業以外に、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人は56法人となっている。これらの法人が有する病院数は93病院であり、病床数は3万2千床となっている。

b 経営状況

(a)損益収支

病院事業の総収益は4兆717億円、総費用は4兆1,556億円となっており、この結果、純損益は840億円の赤字(前年度855億円の赤字)、総収支比率は98.0%となっている。また、経常収益は4兆383億円、経常費用は4兆1,125億円となっており、この結果、経常損益は742億円の赤字、経常収支比率は98.2%となっている。純損益及び経常損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第31表のとおりである。

累積欠損金は1兆8,829億円で、前年度と比べると2.3%増となっている。また、不良債務は307億円で、前年度と比べると7.5%増となっている。

また、医業費用に対する医業収益の割合である医業収支比率は88.3%(前年度88.4%)となっており、これを病院の種別でみると、一般病院が88.8%(同88.9%)、精神科病院が65.9%(同66.8%)となっている。

なお、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人の総収益は1兆300億円、総費用は1兆320億円となっており、この結果、純損益は21億円の赤字(前年度130億円の赤字)、総収支比率は99.8%となっている。また、経常収益は1兆269億円、経常費用は1兆211億円となっており、この結果、経常損益は58億円の黒字、経常収支比率は100.6%となっている。

累積欠損金は668億円で、前年度と比べると10.2%増となっている。また、不良債務は95億円で、前年度と比べると7.1%増となっている。

また、営業費用に対する営業収益の割合である営業収支比率は102.4%(前年度102.1%)となっており、これを病院の種別でみると、一般病院が102.3%(同102.1%)、精神科病院が104.8%(同104.4%)となっている。

(b)資本収支

資本的支出は7,682億円で、前年度と比べると4.6%増となっている。これに対する財源は、外部資金が5,283億円、内部資金が2,322億円で、財源不足額は77億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は3,697億円で、前年度と比べると4.4%減、企業債償還金は3,543億円で、前年度と比べると9.2%増となっている。

なお、病院事業を行う公営企業型地方独立行政法人の資本的支出は1,420億円で、前年度と比べると20.3%減となっている。これに対する財源は、外部資金が709億円、内部資金が631億円で、財源不足額は81億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は722億円で、前年度と比べると31.6%減、長期借入金償還金は312億円で、前年度と比べると4.8%増となっている。

(注)精神科病院以外の病院をいう。

(キ)下水道事業

a 事業数及び業務の状況

地方公共団体が経営する下水道事業で、平成30年度決算対象となるものは、3,628事業(うち建設中12事業)であり、法適用企業が963事業、法非適用企業が2,665事業である。これを経営主体別にみると、都道府県営が81事業、政令指定都市営が50事業、市営が1,887事業、町村営が1,585事業、一部事務組合等営が25事業となっている。

下水道事業の平成30年度末における現在処理区域内人口は1億492万人、現在処理区域面積は534万haとなっている。また、年間総処理水量(雨水処理水量と汚水処理水量の合計。ただし、流域下水道分は流域関連公共下水道として水量を計上しているため除く。)は148億m3で、前年度と比べると1.6%減となっており、年間有収水量は112億m3で、前年度と比べると0.1%減となっている。

b 経営状況

(a)法適用企業

(i)損益収支

法適用企業の下水道事業の総収益は2兆7,767億円で、前年度と比べると4.5%増となっている。その内訳をみると、使用料収入が1兆1,724億円(総収益に占める割合42.2%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が8,259億円(同29.7%)等となっている。一方、総費用は2兆5,833億円で、前年度と比べると8.7%増となっており、うち企業債利息が2,798億円(総費用に占める割合10.8%)となっている。この結果、純損益は1,934億円の黒字(前年度2,802億円の黒字)、総収支比率は107.5%となっている。また、経常収益は2兆7,655億円、経常費用は2兆5,715億円となっており、この結果、経常損益は1,940億円の黒字、経常収支比率は107.5%となっている。純損益における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第32表のとおりである。

累積欠損金は1,137億円で、前年度と比べると5.0%減となっている。また、不良債務は222億円で、前年度と比べると25.0%増となっている。

(ii)資本収支

資本的支出は2兆4,725億円で、前年度と比べると3.4%増となっている。これに対する財源は、外部資金が1兆4,288億円、内部資金が1兆308億円で、財源不足額は129億円となっている。資本的支出の内訳をみると、建設改良費は1兆806億円で、前年度と比べると8.8%増、企業債償還金は1兆3,758億円で、前年度と比べると6.0%増となっている。

(b)法非適用企業

下水道事業における法非適用企業の総収益は9,845億円で、前年度と比べると13.2%減となっている。その内訳をみると、使用料収入が3,813億円(総収益に占める割合38.7%)、他会計繰入金(雨水処理負担金を含む。)が4,402億円(同44.7%)等となっている。一方、総費用は6,098億円で、前年度と比べると15.0%減となっており、うち地方債利息が1,390億円(総費用に占める割合22.8%)となっている。

資本的支出は1兆995億円で、前年度と比べると15.0%減となっている。その内訳をみると、建設改良費は4,851億円で、前年度と比べると15.8%減、地方債償還金は6,099億円で、前年度と比べると14.2%減となっている。

実質収支をみると、黒字事業が2,620事業で802億円の黒字、赤字事業が36事業で23億円の赤字となっており、差引780億円の黒字となっている(第32表)。

(c)全体の経営状況

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の黒字額は2,889億円、赤字額は175億円となっており、この結果、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)は2,713億円の黒字となっている。

汚水処理原価(汚水処理費を年間有収水量で除したもの)は、143.27円/m3(維持管理費78.17円/m3、資本費65.11円/m3)で、前年度と比べると0.4%増となっており、使用料単価(使用料収入を年間有収水量で除したもの)は、139.33円/m3で、前年度と比べると0.1%減となっている。

その結果、経費回収率(使用料単価を汚水処理原価で除したもの)は97.2%となっており、前年度と比べると0.4ポイント低下している。

法適用企業と法非適用企業を合計した下水道事業の建設改良費は1兆5,656億円で、前年度と比べると0.3%減となっている。

(ク)その他の地方公営企業

a 事業数

地方公共団体は、以上の事業のほかにも各種の事業を経営している。これを事業別にみると、平成30年度決算対象となるものは、港湾整備事業が97事業、市場事業が156事業、と畜場事業が54事業、観光施設事業が263事業、宅地造成事業が394事業、有料道路事業が1事業、駐車場整備事業が210事業、介護サービス事業が536事業、その他事業(廃棄物等処理施設、診療所等)が52事業となっている。

b 経営状況

その他の地方公営企業の純損益、経常損益、実質収支における黒字・赤字事業数及び黒字・赤字額は、第33表のとおりである。このうち、観光施設事業については、全体の収支(法適用企業の純損益と法非適用企業の実質収支の合計)が55億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると0.1%減の194億円と改善されているものの、経営状況が悪化している事業については、施設そのものの必要性及び地方公営企業で運営することの適否について十分検討する必要がある。また、宅地造成事業については、全体の収支は668億円の黒字であり、法適用企業の累積欠損金は前年度と比べると6.1%減の3,428億円と改善されているものの、販売用土地の時価評価額が当該土地の地方債残高を下回っている会計が全体(地方債償還が終了した会計を除く。)の36.8%を占めている。厳しい経営状況にある事業については、対応を先延ばしにすることなく、早期かつ計画的に経営の健全化を図る必要がある。

(2)国民健康保険事業[資料編:第120表

ア 都道府県

国民健康保険制度については、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」(平成27年法律第31号)に基づき、平成30年度から都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となった。本改正により、都道府県も国民健康保険の保険者となり、新たに国民健康保険特別会計が創設された。

また、市町村も国民健康保険の保険者として、引き続き、資格管理、保険給付、保険料の賦課・徴収等の被保険者に身近な保険者業務を担うこととなるが、医療給付等に必要な資金は都道府県から保険給付費等交付金の交付を受ける一方で、徴収した保険料(税)は基本的に都道府県に国民健康保険事業費納付金として納付することとなった。

(ア)歳入

都道府県の歳入決算額は11兆4,626億円となっている。

歳入の内訳をみると、第91図のとおりである。それぞれの決算額をみると、市町村から納付された国民健康保険事業費納付金が3兆6,522億円、療養給付費等負担金等の国庫支出金が3兆3,271億円、前期高齢者交付金が3兆6,403億円、療養給付費等交付金が623億円、他会計繰入金が7,281億円等となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は11兆2,464億円となっている。

歳出の内訳をみると、第92図のとおりであり、保険給付費等交付金は9兆224億円で、歳出総額の80.2%を占めている。その他、後期高齢者支援金等が1兆5,954億円、介護納付金が5,757億円、財政安定化基金積立金等の基金積立金が313億円、前期高齢者納付金等が68億円、特別高額医療費共同事業拠出金が107億円、財政安定化基金支出金が17億円等となっている。

(ウ)収支

実質収支は2,155億円の黒字となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、47団体全てにおいて黒字で、黒字額は2,150億円となっている。

イ 市町村(事業勘定)

平成30年度末において国民健康保険事業会計を有する市町村は、1,744団体(20政令指定都市、54中核市、31施行時特例市、687都市、925町村、4一部事務組合等、23特別区)となっている。また、直営診療所を設置している団体は363団体(2政令指定都市、12中核市、8施行時特例市、148都市、191町村、2一部事務組合)となっている。

被保険者数は2,752万人であり、加入世帯数は1,768万世帯となっている。これらを前年度末と比べると、被保険者数は118万人減少、加入世帯数は47万世帯減少している。

なお、退職者医療制度の被保険者数及び被扶養者数は5万人で、前年度末と比べると19万人減少(77.3%減)している。

(ア)歳入

事業勘定の歳入決算額は13兆4,577億円で、前年度と比べると2兆3,286億円減少(14.8%減)している。

歳入の内訳をみると、第93図のとおりであり、国民健康保険制度の改正により、都道府県が国民健康保険財政運営の責任主体となったことに伴い、都道府県から医療給付等に必要な資金として交付される保険給付費等交付金等の都道府県支出金が歳入総額の67.0%を占め、前年度(4.7%)と比べると62.3ポイント上昇している。都道府県支出金は9兆232億円で、前年度と比べると8兆2,748億円増加(1,105.7%増)している。

その他の決算額をみると、国民健康保険税(料)は2兆6,742億円で、前年度と比べると1,079億円減少(3.9%減)、また、本改正に伴い、市町村に交付されていた財政調整交付金等が減少したため、国庫支出金は45億円となり、前年度と比べると3兆2,293億円減少(99.9%減)している。

さらに、他会計繰入金は1兆1,850億円で、前年度と比べると722億円減少(5.7%減)している。この内訳をみると、財源補填的な繰入金が2,057億円(対前年度比20.4%減)、国民健康保険の財政基盤の安定を図るための保険基盤安定制度による繰入金が6,706億円(同34.3%増)等となっている。

(イ)歳出

歳出決算額は13兆2,124億円で、前年度と比べると2兆878億円減少(13.6%減)している。

歳出の内訳をみると、第94図のとおりであり、保険給付費は8兆7,966億円で、前年度と比べると2,097億円減少(2.3%減)している。

保険給付費の主な内訳をみると、療養諸費等が8兆6,572億円で、前年度と比べると2,003億円減少(2.3%減)、その他の給付費が1,161億円で、前年度と比べると107億円減少(8.4%減)している。

また、市町村から都道府県へ納付される国民健康保険事業費納付金は、3兆6,460億円(皆増)となっている。

(ウ)収支

実質収支は2,446億円の黒字(前年度4,831億円の黒字)であり、昭和40年度以降黒字傾向が続いている。

実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支については、554億円の黒字(前年度1,315億円の黒字)となっている。

再差引収支を団体区分別にみると、政令指定都市が213億円の赤字(前年度333億円の赤字)、施行時特例市が5億円の赤字(同81億円の黒字)、中核市が90億円の黒字(同192億円の黒字)、都市が285億円の黒字(同735億円の黒字)、町村が284億円の黒字(同389億円の黒字)、一部事務組合等が6億円の黒字(同6億円の黒字)、特別区が106億円の黒字(同245億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると8団体減の1,247団体で、その黒字額は1,193億円減の1,771億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると8団体増の497団体で、その赤字額は433億円減の1,217億円となっている。団体区分別に赤字の団体が占める割合をみると、政令指定都市が65.0%、中核市が46.3%、施行時特例市が51.6%、都市が33.5%、町村が22.6%、特別区が17.4%となっており、特に政令指定都市においては、厳しい財政運営が続いている。

ウ 市町村(直診勘定)

直診勘定の歳入決算額は593億円で、前年度と比べると9億円減少(1.4%減)している。

このうち、診療収入は305億円で、前年度と比べると18億円減少(5.6%減)しており、歳入総額に占める割合は51.4%(前年度53.7%)となっている。他会計繰入金は170億円で、前年度と比べると21億円増加(14.1%増)しており、歳入総額に占める割合は28.6%(前年度24.7%)となっている。

直診勘定の歳出決算額は567億円で、前年度と比べると13億円減少(2.2%減)している。

このうち、総務費は362億円で、前年度と比べると1億円増加(0.3%増)している。また、医業費は147億円で、前年度と比べると9億円減少(5.6%減)しており、歳出総額に占める割合は26.0%(前年度26.9%)となっている。なお、医業費の診療収入に対する割合は48.4%で、前年度と比べて0.1ポイント上昇している。

実質収支は24億円の黒字(前年度20億円の黒字)となっているが、この実質収支から他会計繰入金を控除し、繰出金を加えた再差引収支は、141億円の赤字(同125億円の赤字)となっている。

(3)後期高齢者医療事業[資料編:第121表

後期高齢者医療事業では、保険料の徴収や後期高齢者医療広域連合へ保険料等の納付を行う市町村(1,739団体(20政令指定都市、54中核市、31施行時特例市、687都市、923町村、1広域連合、23特別区))及び後期高齢者医療事業を実施する都道府県区域ごとの後期高齢者医療広域連合(47団体)に特別会計が設けられている。

ア 市町村

市町村の特別会計の歳入決算額は1兆7,520億円で、前年度と比べると621億円増加(3.7%増)している。このうち、被保険者が支払う後期高齢者医療保険料は1兆2,375億円で、前年度と比べると447億円増加(3.8%増)しており、歳入総額に占める割合は70.6%(前年度70.6%)となっている。

歳出決算額は1兆7,211億円で、前年度と比べると614億円増加(3.7%増)している。このうち、後期高齢者医療広域連合への納付金が、1兆6,293億円で、前年度と比べると562億円増加(3.6%増)しており、歳出総額に占める割合は94.7%(前年度94.8%)となっている。

イ 後期高齢者医療広域連合

(ア)歳入

後期高齢者医療広域連合の歳入決算額は16兆247億円で、前年度と比べると2,801億円増加(1.8%増)している。

歳入の内訳をみると、第95図のとおりであり、支払基金交付金が6兆2,886億円(歳入に占める割合39.2%)、国庫支出金が5兆1,192億円(同31.9%)、市町村支出金が2兆7,788億円(同17.3%)、都道府県支出金が1兆2,715億円(同7.9%)で、それぞれ前年度と比べると支払基金交付金が1,130億円増加(1.8%増)、国庫支出金が1,163億円増加(2.3%増)、市町村支出金が754億円増加(2.8%増)、都道府県支出金が375億円増加(3.0%増)している。

(イ)歳出

後期高齢者医療広域連合の歳出決算額は15兆5,928億円で、前年度と比べると2,808億円増加(1.8%増)している。

歳出の内訳をみると、第96図のとおりであり、保険給付費は15兆1,465億円で、前年度と比べると3,102億円増加(2.1%増)しており、歳出総額の97.1%(前年度96.9%)を占めている。

(ウ)収支

実質収支は47団体全て黒字となっており、その黒字額は6億円減の4,320億円(前年度4,326億円の黒字)となっている。

(4)介護保険事業[資料編:第122表

介護保険制度を実施する保険者である市町村が設ける介護保険事業会計は、第1号被保険者(65歳以上の者)からの保険料や、支払基金交付金(第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護納付金分に係る社会保険診療報酬支払基金からの交付金)等を財源として保険給付等を行う保険事業勘定と、介護給付の対象となる居宅サービス及び施設サービス等を実施する介護サービス事業勘定とに区分される。

なお、市町村が実施する指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設、老人短期入所施設、老人デイサービスセンター、指定訪問看護ステーションの5施設により介護サービスを提供する事業は、介護サービス事業として公営企業会計の対象とされている。

平成30年度末の介護保険事業の保険者は、1,573団体(20政令指定都市、53中核市、29施行時特例市、630都市、778町村、40一部事務組合等、23特別区)で、昨年と比べると6団体減少している。また、介護サービス事業勘定を設置している団体は668団体(9政令指定都市、15中核市、8施行時特例市、267都市、350町村、6一部事務組合等、13特別区)で、前年度と比べると16団体減少している。

ア 保険事業勘定

(ア)歳入

保険事業勘定の歳入決算額は11兆100億円で、前年度と比べると2,971億円増加(2.8%増)している。

歳入の内訳をみると、第97図のとおりであり、第1号被保険者が支払う保険料が2兆4,229億円(歳入総額に占める割合22.0%)、介護給付費負担金(介護給付及び予防給付に要する費用の額(以下「介護・予防給付額」という。)の100分の20(施設等給付費にあっては100分の15)に相当する額)、調整交付金(介護・予防給付額の100分の5に相当する額)等の国庫支出金が2兆4,820億円(同22.5%)、支払基金交付金が2兆7,024億円(同24.5%)、都道府県の法定負担(介護・予防給付額の100分の12.5(施設等給付費にあっては100分の17.5)に相当する額)を含む都道府県支出金が1兆4,970億円(同13.6%)、市町村の法定負担分(介護・予防給付額の100分の12.5に相当する額)を含む他会計繰入金が1兆5,684億円(同14.2%)、介護保険制度の円滑な導入のために設置された基金等の取崩し額である基金繰入金が448億円(同0.4%)等となっている。

また、それぞれ前年度と比べると保険料が1,798億円増加(8.0%増)、国庫支出金が728億円増加(3.0%増)、支払基金交付金が212億円減少(0.8%減)、都道府県支出金が395億円増加(2.7%増)、他会計繰入金が260億円増加(1.7%増)、基金繰入金が79億円減少(15.1%減)している。

(イ)歳出

保険事業勘定の歳出決算額は10兆7,173億円で、前年度と比べると2,931億円増加(2.8%増)している。

歳出の内訳をみると、第98図のとおりであり、保険給付費は9兆6,392億円で、前年度と比べると1,809億円増加(1.9%増)しており、歳出総額の89.9%(前年度90.7%)を占めている。

(ウ)収支

実質収支は2,867億円の黒字(前年度2,839億円の黒字)となっており、実質収支から財源補填的な他会計繰入金及び都道府県支出金を控除し、繰出金を加えた再差引収支についても、2,853億円の黒字(同2,821億円の黒字)となっている。

再差引収支を黒字・赤字の団体別にみると、黒字の団体数は前年度と比べると1団体減の1,569団体で、全団体に占める割合は99.7%(前年度99.4%)となっており、その黒字額は26億円増の2,874億円となっている。

一方、赤字の団体数は前年度と比べると5団体減の4団体で、全団体に占める割合は0.3%(前年度0.6%)となっており、その赤字額は6億円減の21億円となっている。

イ 介護サービス事業勘定

介護サービス事業勘定の歳入決算額は211億円で、前年度と比べると19億円減少(8.3%減)している。このうち、利用者の支払う自己負担金を含むサービス収入は76億円(前年度比12.7%減)で、歳入総額に占める割合は35.9%(前年度37.7%)となっている。

普通会計等からの繰入金は111億円で、前年度と比べると6億円減少(4.7%減)しており、歳入総額に占める割合は52.7%(前年度50.8%)となっており、このうち、普通会計からのものが95億円で前年度と比べると6億円減少(6.3%減)している。

歳出決算額は199億円で、前年度と比べると16億円減少(7.7%減)している。このうち、サービス事業費が77億円で、前年度と比べると9億円減少(10.5%減)しており、歳出総額に占める割合は38.6%(前年度39.8%)となっている。

また、公債費の元利償還金は43億円で、前年度と比べると8億円減少(15.9%減)しており、歳出総額に占める割合は21.8%(前年度23.9%)となっている。

なお、実質収支は12億円の黒字(前年度14億円の黒字)となっており、再差引収支は96億円の赤字(同98億円の赤字)となっている。

(5)その他の事業

ア 収益事業[資料編:第123表

収益事業を実施した地方公共団体の数は延べ280団体で、前年度と同数となっている。

これを事業別にみると、公営競技についてはモーターボート競走事業を施行した団体が103団体と最も多く、以下、自転車競走事業55団体、競馬事業50団体、小型自動車競走事業5団体の順となっている。

また、宝くじは、47都道府県及び20政令指定都市の67団体で発売されている。

これらを団体区分別にみると、都道府県においては延べ65団体、市町村においては延べ215団体が収益事業を実施している。

(ア)経営状況

収益事業の決算額は歳入3兆5,520億円、歳出3兆4,341億円で、前年度と比べると歳入は1,972億円増加(5.9%増)、歳出は1,986億円増加(6.1%増)している。

実質上の収支(歳入歳出差引額から翌年度に繰り越すべき財源、他会計からの繰入金、過去の収益を積み立てた基金からの繰入金及び未払金を控除し、他会計への繰出金及び未収金を加えた額)は4,463億円の黒字(前年度4,230億円の黒字)となっている。

普通会計等への収益金の繰出しについて、事業別にみると、競馬事業が32億円(前年度14億円)、自転車競走事業が68億円(同56億円)、小型自動車競走事業が2億円(同2億円)、モーターボート競走事業が374億円(同175億円)、宝くじ事業が3,208億円(同3,164億円)となっている。

(イ)収益金の使途状況

収益金の大部分は普通会計等に繰り入れられ、道路、教育施設、社会福祉施設等の整備事業などの財源として活用されている。その繰入額は3,683億円で、前年度と比べると272億円増加(8.0%増)している。

収益金繰入額の使途状況を目的別にみると、土木費が790億円で最も大きな割合(収益金繰入額に占める割合21.4%)を占め、次いで民生費の750億円(同20.4%)となっており、これらの費目で繰入総額の41.8%を占めている。このほか、教育費が526億円(同14.3%)、衛生費が137億円(同3.7%)、商工費が137億円(同3.7%)等となっている。

イ 共済事業

(ア)農業共済事業[資料編:第125表

農業共済事業を実施した市町村の数は44団体で、前年度と比べると4団体減少している。

農業共済事業会計の決算額は歳入98億円、歳出96億円で、前年度と比べると歳入は14億円減少(12.9%減)、歳出は13億円減少(12.3%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から支払準備金積立額、責任準備金積立額、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は、25億円の赤字(前年度29億円の赤字)となっている。

(イ)交通災害共済事業[資料編:第126表

直営方式により交通災害共済事業を実施した地方公共団体は62団体(26市町村、36一部事務組合等)で、前年度と比べると2団体減少している。

また、加入者は平成30年度末で673万人(前年度末729万人)となっている。

交通災害共済事業会計の決算額は歳入53億円、歳出40億円で、前年度と比べると歳入は2億円減少(3.8%減)、歳出は4億円減少(9.4%減)している。

なお、実質上の収支(歳入歳出差引額から未経過共済掛金、繰入金及び未払金を控除し、繰出金及び未収金を加えた額)は14億円の黒字(前年度12億円の黒字)となっている。

ウ 公立大学附属病院事業[資料編:第124表

公立大学附属病院事業を実施した地方公共団体は1団体である。

公立大学附属病院事業会計の決算額は、収益的収支では総収益23億円、総費用23億円となり、前年度と比べると総収益は1億円増加し、総費用は0.4億円増加した。

また、資本的収支では資本的収入4億円、資本的支出4億円で、前年度と比べると資本的収入は0.2億円減少(3.4%減)、資本的支出は0.2億円減少(3.6%減)している。

実質収支は1億円の黒字(前年度0.5億円の黒字)となっている。

(6)第三セクター等

第三セクター等の状況については、令和元年度の「第三セクター等の状況に関する調査(平成31年3月31日時点)によると次のとおりである。

ア 第三セクター等の定義

第三セクター等とは、次の法人をいう。

(ア)第三セクター

a 「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)等の規定に基づいて設立されている一般社団法人及び一般財団法人(公益社団法人及び公益財団法人を含む。)並びに特例民法法人(以下「社団法人・財団法人」という。)のうち、地方公共団体が出えんを行っている法人

b 「会社法」(平成17年法律第86号)の規定に基づいて設立されている株式会社、合名会社、合資会社、合同会社及び特例有限会社(以下「会社法法人」という。)のうち、地方公共団体が出資を行っている法人

(イ)地方住宅供給公社、地方道路公社及び土地開発公社(以下「地方三公社」という。)

イ 第三セクター等の数

第三セクター等の数は第34表のとおりであり、法人数の総計は7,325法人で、前年度末(7,364法人)に比べ39法人減少している。

ウ 第三セクター等の経常損益の状況

第三セクター等のうち、(1)地方公共団体等の出資又は出えん割合が25%以上の社団法人・財団法人及び会社法法人、(2)出資又は出えん割合が25%未満であるものの財政的支援(注1)を受けている社団法人・財団法人及び会社法法人並びに(3)地方三公社のいずれかに該当する6,104法人から19法人(注2)を除いた6,085法人(以下「経営状況等調査対象法人」という。)の経常損益の状況については第35表のとおりであり、3,632法人(59.7%)が黒字、2,453法人(40.3%)が赤字となっている。

(注1)ここで「財政的支援」とは、補助金、貸付金及び損失補償のことをいう。

(注2)第三セクター等のうち、清算手続中、休眠中、設立後間もない等の理由により財務諸表(損益計算書、正味財産増減計算書)が作成されていない法人。

エ 第三セクター等の純資産又は正味財産の状況

経営状況等調査対象法人の純資産又は正味財産の状況は、第36表のとおりである。

負債が資産を上回っている法人は239法人(3.9%)であり、当該法人の負債が資産を上回っている額の合計は1,296億円となっている。

オ 地方公共団体からの補助金交付額の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの補助金交付額の状況は、第37表のとおりである。

地方公共団体から補助金を交付されている法人は、2,653法人(43.6%)であり、交付総額は3,492億円となっている。

カ 地方公共団体からの借入残高の状況

経営状況等調査対象法人の地方公共団体からの借入残高の状況は、第38表のとおりである。

地方公共団体からの借入残高を有する法人は683法人(11.2%)であり、借入残高は3兆2,089億円となっている。

キ 損失補償・債務保証の状況

経営状況等調査対象法人の損失補償・債務保証の状況は、第39表のとおりである。

地方公共団体以外からの借入残高を有する法人は1,567法人であり、借入残高は5兆7,583億円となっている。また、地方公共団体による損失補償・債務保証が付されている債務残高を有する法人は541法人であり、当該債務残高は2兆7,289億円となっている。

ク 統廃合等、法的整理・私的整理の状況

平成30年度中の第三セクター等の統廃合等、法的整理・私的整理の状況については、第40表のとおりである。

第三セクター等の廃止は70件、統合は11件、出資引揚は27件となっており、統廃合等により113法人が減少している。また、法的整理・私的整理を申し立てた第三セクター等は5法人となっている。

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