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令和2年版
地方財政白書
(平成30年度決算)

2 地方財政の概況

地方公共団体の会計は、一般会計と特別会計に区分して経理されているが、特別会計の中には、一般行政活動に係るものと企業活動に係るものがある。

このため、地方財政では、これらの会計を一定の基準によって、一般行政部門と水道、交通、病院等の企業活動部門に分け、前者を「普通会計」、後者を「地方公営事業会計」として区分している。

なお、普通会計決算については、平成23年度から、通常収支分(全体の決算額から東日本大震災分を除いたもの)と東日本大震災分(東日本大震災に係る復旧・復興事業及び全国防災事業に係るもの)を区分して整理している。

(1)決算規模[資料編:第1表第5表第136表第137表

地方公共団体(47都道府県、1,718市町村、23特別区、1,189一部事務組合及び114広域連合(以下一部事務組合及び広域連合を「一部事務組合等」という。))の普通会計の純計決算額は、第1表のとおり、歳入101兆3,453億円(前年度101兆3,233億円)、歳出98兆206億円(同97兆9,984億円)で、歳入、歳出いずれも増加している。対前年度比は、歳入0.0%増(前年度0.1%減)、歳出0.0%増(同0.1%減)となっている。このうち通常収支分は歳入98兆9,763億円(前年度98兆5,152億円)、歳出95兆9,341億円(同95兆5,066億円)で、東日本大震災分は歳入2兆3,690億円(同2兆8,081億円)、歳出2兆865億円(同2兆4,918億円)となっている。

平成30年度の決算規模が前年度を上回ったのは、歳入においては、東日本大震災分について、国庫支出金や東日本大震災復興関連基金からの繰入金の減少等により、前年度と比べると15.6%減となった一方で、通常収支分について、国庫支出金が減少したものの、地方税及び地方譲与税の増加等により、前年度と比べると0.5%増となったことによるものである。また、歳出においては、東日本大震災分について、積立金や普通建設事業費の減少等により、前年度と比べると16.3%減となった一方で、通常収支分について、補助費等が減少したものの、普通建設事業費及び災害復旧事業費の増加等により、前年度と比べると0.4%増となったことによるものである。

決算規模の状況を団体区分別にみると、第2表のとおりである。都道府県の歳入及び歳出は、東日本大震災分及び通常収支分においていずれも減少し、全体として前年度を下回っている。市町村(特別区及び一部事務組合等を含む。特記がある場合を除き、以下同じ。)の歳入及び歳出は、東日本大震災分において減少した一方で、通常収支分において増加し、全体として前年度を上回っている。また、近年の決算規模の推移は、第7図のとおりである。

(2)決算収支[資料編:第7表

ア 実質収支

実質収支(形式収支(歳入歳出差引額)から明許繰越等のために翌年度に繰り越すべき財源を控除した額)の状況は、第3表のとおりである。

平成30年度の実質収支は1兆9,828億円の黒字(前年度2兆379億円の黒字)で、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支を団体区分別にみると、都道府県においては6,036億円の黒字(前年度5,983億円の黒字)であり、平成12年度以降黒字となっている。また、市町村においては1兆3,792億円の黒字(前年度1兆4,396億円の黒字)であり、昭和31年度以降黒字となっている。

実質収支が赤字である団体は、市町村1団体、一部事務組合1団体となった。

なお、近年の実質収支及び赤字団体の赤字額の推移は、第8図のとおりである。標準財政規模に対する実質収支額の割合である実質収支比率(加重平均により、市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)の推移は、第9図のとおり、平成30年度の実質収支比率は前年度と同率の3.1%となっており、都道府県においては前年度と同率の2.1%、市町村においては0.1ポイント低下の4.0%となっている。

イ 単年度収支及び実質単年度収支

平成30年度の単年度収支(実質収支から前年度の実質収支を差し引いた額)は549億円の赤字(前年度782億円の黒字)となっている。

単年度収支を団体区分別にみると、都道府県においては53億円の黒字(前年度270億円の黒字)、市町村においては603億円の赤字(同512億円の黒字)となっている。

また、実質単年度収支(単年度収支に財政調整基金への積立額及び地方債の繰上償還額を加え、財政調整基金の取崩し額を差し引いた額)は350億円の黒字(前年度908億円の赤字)となっている。

実質単年度収支を団体区分別にみると、都道府県においては2,240億円の黒字(前年度1,224億円の黒字)、市町村においては1,891億円の赤字(同2,132億円の赤字)となっている。

なお、実質収支、単年度収支及び実質単年度収支の赤字団体数の状況は、第4表のとおりである。

(3)歳入[資料編:第10表

歳入純計決算額は101兆3,453億円で、前年度と比べると220億円増加(0.0%増)している。このうち通常収支分は98兆9,763億円で、前年度と比べると4,611億円増加(0.5%増)しており、東日本大震災分は2兆3,690億円で、前年度と比べると4,391億円減少(15.6%減)している。

歳入の主な内訳をみると、第5表のとおりである。

地方税は、法人関係二税の増加等により、前年度と比べると8,470億円増加(2.1%増)している。

地方譲与税は、地方法人特別譲与税の増加等により、前年度と比べると2,456億円増加(10.2%増)している。

地方特例交付金は、前年度と比べると216億円増加(16.3%増)している。

地方交付税は、前年度と比べると2,198億円減少(1.3%減)している。

一般財源は、地方税及び地方譲与税の増加等により、前年度と比べると8,945億円増加(1.5%増)している。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額は8,457億円増加(1.3%増)している。

国庫支出金は、臨時福祉給付金に係る補助金、国民健康保険財政安定化基金の造成に係る補助金の減少等により、前年度と比べると6,352億円減少(4.1%減)している。

地方債は、臨時財政対策債の減少等により、前年度と比べると1,365億円減少(1.3%減)している。

歳入純計決算額の構成比の推移は、第10図のとおりである。

地方税の構成比は、税源移譲等により、平成19年度には44.2%まで上昇し、その後、景気の悪化や地方法人特別税の創設等に伴って低下していたが、24年度に上昇に転じ、30年度においては、前年度と比べると0.8ポイント上昇の40.2%となり、7年連続で上昇している。

地方交付税の構成比は、平成13年度以降財源不足額に関して交付税特別会計における借入金による方式に代えて、臨時財政対策債を発行し、基準財政需要額の一部を振り替えることとしたことや、三位一体の改革に伴う地方交付税の改革等により、21年度には16.1%まで低下した。その後、地方財政対策における地方交付税総額の増加等により上昇したが、24年度以降は、地方税収の増加等により低下の傾向にあり、30年度においては、前年度と比べると0.2ポイント低下の16.3%となっている。

国庫支出金の構成比は、平成15年度以降、三位一体の改革による国庫補助負担金の一般財源化、普通建設事業費支出金の減少等により、19年度には11.3%まで低下し、その後、国の経済対策の実施、東日本大震災への対応の影響等により上昇したが、30年度においては、前年度と比べると0.6ポイント低下の14.7%となっている。

地方債の構成比は、平成20年度以降、臨時財政対策債の増加等により上昇したが、その後、28年度には10.2%まで低下した。平成30年度においては、前年度と比べると0.1ポイント低下の10.4%となっている。なお、臨時財政対策債を除いた構成比は、前年度と比べると0.1ポイント低下の6.5%となっている。

一般財源の構成比は、平成18年度には62.3%まで上昇し、19年度以降、国庫支出金及び地方債等が増加する一方、地方税及び地方特例交付金の減少等により低下したが、26年度以降は上昇し、30年度においては、前年度と比べると0.9ポイント上昇の59.3%となっている。なお、一般財源に臨時財政対策債を加えた額の構成比は、前年度と比べると0.8ポイント上昇の63.2%となっている。

歳入決算額の構成比を団体区分別にみると、第11図のとおりである。

都道府県においては、地方税が最も大きな割合(40.9%)を占め、以下、地方交付税(17.0%)、国庫支出金(11.3%)の順となっている。

市町村においても、地方税が最も大きな割合(33.6%)を占め、以下、国庫支出金(15.3%)、地方交付税(13.3%)の順となっている。

(4)歳出

歳出の分類方法としては、行政目的に着目した「目的別分類」と経費の経済的な性質に着目した「性質別分類」が用いられるが、これらの分類による歳出の概要は、次のとおりである。

ア 目的別歳出

(ア)目的別歳出[資料編:第34表

地方公共団体の経費は、その行政目的によって、議会費、総務費、民生費、衛生費、労働費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、警察費、教育費、災害復旧費、公債費等に大別することができる。

歳出純計決算額は98兆206億円で、前年度と比べると222億円増加(0.0%増)している。このうち通常収支分は95兆9,341億円で、前年度と比べると4,276億円増加(0.4%増)しており、東日本大震災分は2兆865億円で、前年度と比べると4,053億円減少(16.3%減)している。

目的別歳出の構成比は、第6表のとおりであり、民生費(26.2%)、教育費(17.2%)、公債費(12.6%)、土木費(12.1%)、総務費(9.5%)の順となっている。

民生費は、国民健康保険財政安定化基金事業及び除染関連基金への積立金の減少等により、前年度と比べると3,175億円減少(1.2%減)している。

教育費は、中学校費の減少等により、前年度と比べると104億円減少(0.1%減)している。

公債費は、臨時財政対策債元利償還額が増加したものの、公共事業等債の元利償還額の減少等により、前年度と比べると3,080億円減少(2.4%減)している。

土木費は、普通建設事業費の減少等により、前年度と比べると388億円減少(0.3%減)している。

総務費は、ふるさと納税に係る経費の増加等により、前年度と比べると1,640億円増加(1.8%増)している。

目的別歳出の構成比の推移は、第7表のとおりである。民生費の構成比は、社会保障関係費の増加を背景に平成19年度以降最も大きな割合を占めている一方で、公債費、土木費の構成比は低下の傾向にある。

目的別歳出の構成比を団体区分別にみると、第12図のとおりである。

都道府県においては、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等により、教育費が最も大きな割合(20.4%)を占め、以下、民生費(15.9%)、公債費(13.9%)、土木費(11.3%)、商工費(6.3%)の順となっている。

また、市町村においては、児童福祉、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村)等の社会福祉事務の比重が高いこと等により、民生費が最も大きな割合(36.3%)を占め、以下、総務費(12.2%)、教育費(12.1%)、土木費(11.2%)、公債費(9.6%)の順となっている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第36表

一般財源の目的別歳出に対する充当状況は、第8表のとおりである。

一般財源総額(60兆1,049億円)に占める目的別歳出に対する一般財源充当額の割合をみると、民生費が最も大きな割合(24.2%)を占め、以下、教育費(18.0%)、公債費(17.0%)、総務費(10.5%)、土木費(7.5%)の順となっている。

一般財源充当額の目的別構成比の推移は、第13図のとおりである。近年、民生費充当分が上昇の傾向にある一方で、公債費充当分及び土木費充当分は低下の傾向にある。

イ 性質別歳出

(ア)性質別歳出[資料編:第73表

地方公共団体の経費は、その経済的な性質によって、義務的経費、投資的経費及びその他の経費に大別することができる。

義務的経費は、職員給等の人件費のほか、生活保護費等の扶助費及び地方債の元利償還金等の公債費からなっている。また、投資的経費は、道路、橋りょう、公園、公営住宅、学校の建設等に要する普通建設事業費のほか、災害復旧事業費及び失業対策事業費からなっている。

歳出純計決算額の主な性質別内訳をみると、第9表のとおりである。

義務的経費は、前年度と比べると2,892億円減少(0.6%減)している。これは、公債費が、公共事業等債の元利償還額の減少等により、3,084億円減少(2.4%減)したことによるものである。なお、扶助費は、臨時福祉給付金事業が減少したものの、保育所運営費の増加等により、前年度と比べると184億円増加(0.1%増)している。

投資的経費は、前年度と比べると6,383億円増加(4.2%増)している。これは、東京都の築地市場跡地取得事業等により、普通建設事業費が4,438億円増加(3.1%増)したこと、平成30年度の7月豪雨、台風第21号、北海道胆振東部地震等の対応により、災害復旧事業費が1,944億円増加(23.0%増)したこと等によるものである。

また、その他の経費は、前年度と比べると3,268億円減少(1.0%減)している。これは、国民健康保険制度の改正等に伴い繰出金が6,318億円増加(11.8%増)した一方で、同改正に伴う国民健康保険財政調整交付金の減少等により補助費等が5,268億円減少(5.4%減)したことに加え、基金への積立金の減少等により積立金が3,026億円減少(9.7%減)したこと等によるものである。

平成20年度以降のこれらの経費の増減額の推移は、第14図のとおりである。

次に、性質別歳出の構成比の推移は、第15図のとおりである。

義務的経費の構成比は、平成10年度以降上昇の傾向にあり19年度には52.1%となったが、20年度に低下に転じた。平成22年度においては子ども手当の創設に伴う扶助費の増加等により上昇し、23年度においてはその他の経費の増加等の影響により低下した。平成26年度以降はやや上昇の傾向となっていたが、30年度においては、前年度と比べると0.3ポイント低下し、50.1%となっている。義務的経費の構成比の内訳をみると、人件費は、平成20年度以降低下の傾向にあるが、30年度においては前年度と同率の22.9%となっている。扶助費は、社会保障関係費の増加を背景に上昇の傾向にあるが、平成30年度においては前年度と同率の14.6%となっている。公債費は、平成18年度以降低下の傾向にあり、30年度においては前年度と比べると0.3ポイント低下の12.6%となっている。

投資的経費の構成比は、平成23年度まで低下の傾向にあったが、24年度に上昇に転じた。平成30年度においては普通建設事業費、災害復旧事業費の増加等により、前年度と比べると0.6ポイント上昇の16.1%となっている。

その他の経費の構成比は、補助費等、繰出金の増加等により、平成23年度まで上昇の傾向にあったが、24年度に低下に転じ、30年度においては前年度と比べると0.3ポイント低下の33.8%となっている。

性質別歳出決算額の構成比を団体区分別にみると、第16図のとおりである。

人件費の構成比は、都道府県において、政令指定都市を除く市町村立義務教育諸学校教職員の人件費を負担していること等から、都道府県(25.7%)が市町村(17.1%)を上回っている。また、扶助費の構成比は、市町村において、児童手当の支給、生活保護に関する事務(町村については、福祉事務所を設置している町村)等の社会福祉関係事務が行われていること等から、市町村(22.8%)が都道府県(2.2%)を上回っている。

普通建設事業費のうち、補助事業費の構成比は、都道府県(8.1%)が市町村(5.7%)を上回る一方、単独事業費の構成比は、市町村(7.1%)が都道府県(6.5%)を上回っている。

その他の経費のうち、補助費等の構成比は、都道府県(27.0%)が市町村(7.3%)を上回る一方、繰出金の構成比は、市町村(8.9%)が都道府県(1.7%)を上回っている。

(イ)一般財源の充当状況[資料編:第75表

一般財源の性質別歳出に対する充当状況は、第10表のとおりである。

一般財源総額(60兆1,049億円)に占める性質別歳出に対する一般財源充当額の割合をみると、義務的経費が最も大きな割合(55.0%)を占め、以下、その他の経費(35.2%)、投資的経費(5.5%)の順となっている。なお、その他の経費の中では、補助費等が最も大きな割合(11.4%)を占めている。

一般財源充当額の性質別構成比の推移は、第17図のとおりである。

義務的経費充当分は、平成18年度までは、人件費充当分が低下の傾向にある一方で、扶助費充当分及び公債費充当分が上昇の傾向にあったことから、上昇の傾向にあった。平成21年度以降は、公債費充当分が低下の傾向に転じたことから、全体としても低下の傾向にあり、30年度においては前年度と比べると0.5ポイント低下の55.0%となっている。

投資的経費充当分は、低下の傾向にあるが、平成30年度においては前年度と比べると0.5ポイント上昇の5.5%となっている。

その他の経費充当分は、上昇の傾向にあるが、平成30年度においては前年度と同率の35.2%となっている。

(5)財政構造の弾力性[資料編:第8表

ア 経常収支比率

地方公共団体が社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくためには、財政構造の弾力性が確保されなければならない。財政構造の弾力性の度合いを判断する指標の一つが、経常収支比率である。

経常収支比率は、経常経費充当一般財源(人件費、扶助費、公債費等のように毎年度経常的に支出される経費に充当された一般財源)の、経常一般財源(一般財源総額のうち地方税、普通交付税等のように毎年度経常的に収入される一般財源)、減収補填債特例分及び臨時財政対策債の合計額に対する割合である。

平成30年度の経常収支比率(加重平均により、市町村分は特別区及び一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.5ポイント低下の93.0%となった。主な内訳をみると、人件費充当分が30.9%(前年度31.1%)、公債費充当分が19.3%(同19.9%)となっている。なお、減収補填債特例分及び臨時財政対策債を経常収支比率算出上の分母から除いた場合の経常収支比率は、99.7%(前年度100.7%)となっている。また、経常収支比率の推移は第11表のとおりである。

また、経常収支比率を構成する分子及び分母の状況としては、分子である経常経費充当一般財源は、主に扶助費等が増加したことにより、前年度と比べると0.3%増となっている。また、分母である経常一般財源等は、地方税、地方譲与税等が増加したことにより、前年度と比べると0.8%増となっている。

分子及び分母の推移は、第18図のとおりである。分子である経常経費充当一般財源については、扶助費等が増加の傾向にあることから、全体としても増加の傾向にある。分母である経常一般財源等については、平成23年度以降地方税が増加の傾向にあったことから、全体としても増加の傾向にあり、30年度も地方税及び地方譲与税の増加等により、引き続き全体として増加した。なお、分子及び分母を10年前(平成20年度)と比べるとそれぞれ7.2%増、7.0%増となっており、分子の増加率が分母の増加率を上回っている。

経常収支比率を団体区分別にみると、都道府県においては前年度と比べると1.2ポイント低下の93.0%、市町村においては前年度と比べると0.2ポイント上昇の93.0%となっている。

経常収支比率の段階別分布状況をみると、第12表のとおりである。経常収支比率が80%以上の団体数は、都道府県においては46団体(前年度47団体)、市町村においては全体の94.5%を占める1,624団体(同1,594団体)となっている。また、経常収支比率が100%以上の団体は、都道府県においては1団体(前年度1団体)、市町村においては全体の3.0%を占める51団体(同41団体)となっている。

イ 実質公債費比率及び公債費負担比率

地方債の元利償還金等の公債費は、義務的経費の中でも特に弾力性に乏しい経費であることから、財政構造の弾力性をみる場合、その動向には常に留意する必要がある。その公債費に係る負担の度合いを判断するための指標が、実質公債費比率及び公債費負担比率である。

実質公債費比率は、当該地方公共団体の標準財政規模(普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)に対する、一般会計等が負担する元利償還金及び公営企業債の償還に対する繰出金などの元利償還金に準ずるもの(充当された特定財源及び普通交付税の算定において基準財政需要額に算入された公債費等を除く。)の割合であり、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(平成19年法律第94号。以下「地方公共団体財政健全化法」という。)において、財政の早期健全化等の必要性を判断する健全化判断比率の一つとして位置付けられている。

平成30年度の実質公債費比率(加重平均により、市町村分は一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.4ポイント低下の8.4%となっている。

公債費負担比率は、公債費充当一般財源の一般財源総額に対する割合である。

平成30年度の公債費負担比率(加重平均により、市町村分は一部事務組合等を除く。)は、前年度と比べると0.5ポイント低下の16.9%となっている。

近年の実質公債費比率及び公債費負担比率の推移は、第19図のとおりである。

実質公債費比率は、初めて算定された平成17年度以降低下してきている。

公債費負担比率は、純計については平成3年度以降上昇し、15年度に19.4%に達した後、おおむね横ばいの傾向にあり、21年度に低下に転じた後、再び横ばいの傾向にあったが、26年度以降再度低下している。

(6)将来の財政負担

地方公共団体の財政状況をみるには、単年度の収支状況のみならず、地方債、債務負担行為等のように将来の財政負担となるものや、財政調整基金等の積立金のように年度間の財源調整を図り将来における弾力的な財政運営に資するために財源を留保するものの状況についても、併せて把握する必要がある。これらの状況は、次のとおりである。

ア 地方債現在高[資料編:第100表

平成30年度末における地方債現在高は143兆6,549億円で、前年度末と比べると、0.4%減(前年度0.4%減)となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高は89兆6,757億円で、前年度末と比べると、1.7%減(前年度1.9%減)となっている。

地方債現在高の歳入総額に対する割合及び一般財源総額に対する割合の推移は、それぞれ第20図のとおりである。

地方債現在高は、昭和50年度末では歳入総額の0.44倍、一般財源総額の0.88倍であったが、地方税収等の落込みへの対応や減税に伴う減収の補填のため、また、経済対策に伴う公共投資の追加等により、地方債が急増したことに伴い、それぞれの割合は平成4年度末以降急増し、さらに、13年度からの臨時財政対策債の発行等があったことにより、高い水準で推移している。平成30年度末では歳入総額の1.42倍、一般財源総額の2.39倍となっている。

近年の地方債現在高の目的別構成比及び借入先別構成比の推移は、第21図のとおりである。地方債現在高の目的別構成比は、臨時財政対策債(37.6%)、一般単独事業債(24.4%)の順となっている。前年度と比べると、臨時財政対策債が0.8ポイント上昇する一方、一般単独事業債が0.4ポイント低下している。地方債現在高の借入先別の構成比は、市場公募債(32.4%)、市中銀行資金(26.8%)、政府資金(21.3%)の順となっている。前年度末と比べると、近年の市場における地方債資金の調達の推進及び公的資金の縮減等に伴い、市場公募債は0.2ポイント上昇する一方、政府資金が0.5ポイント低下している。

地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては87兆3,578億円、市町村においては56兆2,971億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.7%減、0.0%減となっている。また、臨時財政対策債を除いた地方債現在高を団体区分別にみると、都道府県においては54兆2,406億円、市町村においては35兆4,351億円で、前年度末と比べるとそれぞれ2.0%減、1.1%減となっている。

なお、地方財政状況調査においては、満期一括償還地方債の元金償還に充てるための減債基金への積立額は歳出の公債費に計上するとともに、地方債現在高から当該積立額相当分を控除する扱いとしているが、控除しない場合における地方債現在高は154兆7,042億円となっている。

イ 債務負担行為額[資料編:第101表

地方公共団体は、将来の支出を約束するために、債務負担行為を行うことができる。

この債務負担行為は、数年度にわたる建設工事、土地の購入等の場合のように翌年度以降の経費支出が予定されているものと、債務保証又は損失補償のように第三者の債務不履行等の一定の事実が発生したときに支出されるものとに大別することができる。

これらの債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額をみると、平成30年度末では16兆4,699億円で、前年度末と比べると0.3%増となっている。

翌年度以降の支出予定額を目的別にみると、第22図のとおりである。

翌年度以降の支出予定額を団体区分別にみると、都道府県においては5兆4,110億円、市町村においては11兆589億円で、前年度末と比べるとそれぞれ8.1%減、5.0%増となっている。

ウ 積立金現在高[資料編:第102表

地方公共団体の積立金現在高の状況は、第13表のとおりである。

平成30年度末における積立金現在高は23兆2,607億円で、前年度末と比べると1.0%減となっている。

その内訳をみると、年度間の財源調整を行うために積み立てられている財政調整基金は、前年度末と比べると2.0%増、地方債の将来の償還費に充てるために積み立てられている減債基金(満期一括償還地方債に係るものを除く。)は、4.3%減、将来の特定の財政需要に備えて積み立てられているその他特定目的基金は、2.1%減となっている。

積立金現在高を団体区分別にみると、都道府県においては7兆4,534億円、市町村においては15兆8,073億円で、前年度末と比べるとそれぞれ3.5%減、0.2%増となっている。

エ 地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担

地方債現在高に債務負担行為に基づく翌年度以降の支出予定額を加え、積立金現在高を差し引いた地方公共団体の地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担の推移は、第23図のとおりである。

平成30年度末における地方債及び債務負担行為による実質的な将来の財政負担は136兆8,642億円で、前年度末と比べると0.2%減となっている。

団体区分別にみると、都道府県においては85兆3,154億円、市町村においては51兆5,488億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.9%減、0.9%増となっている。

オ 普通会計が負担すべき借入金残高

普通会計が将来にわたって負担すべき借入金という観点からは、地方債現在高のほか、交付税特別会計借入金及び地方公営企業において償還する企業債のうち、経費負担区分の原則等に基づき、普通会計がその償還財源を負担するものについても併せて考慮する必要がある。

この観点から、地方債現在高に交付税特別会計借入金残高と企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものを加えた普通会計が負担すべき借入金残高の推移をみると、第24図のとおりである。

これをみると、平成30年度末における普通会計が負担すべき借入金残高は193兆6,146億円で、前年度末と比べると1.0%減となっている。

また、その内訳は、地方債現在高が143兆6,549億円、交付税特別会計借入金残高が31兆6,173億円、企業債現在高のうち普通会計が負担することとなるものが18兆3,424億円で、前年度末と比べるとそれぞれ0.4%減、1.2%減、5.1%減となっている。

(7)決算の背景

ア 平成30年度の経済見通しと国の予算

(ア)経済見通しと経済財政運営の基本的態度

「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」は、平成29年12月19日に閣議了解、30年1月22日に閣議決定された。その主な内容は、以下のとおりであった。

a 平成29年度の経済動向

平成29年度の我が国経済をみると、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境の改善が続く中で、緩やかに回復している。海外経済が回復する下で、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、個人消費や民間設備投資が持ち直すなど民需が改善し、経済の好循環が実現しつつある。

政府は、持続的な経済成長の実現に向け、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、平成29年12月8日に「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。あわせて、追加的財政需要に適切に対処するため、平成29年12月22日に平成29年度補正予算を閣議決定した。雇用・所得環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、景気は緩やかな回復が続くことが見込まれる。

物価の動向をみると、原油価格の上昇の影響等により、消費者物価(総合)は前年比で上昇している。

この結果、平成29年度の実質国内総生産(実質GDP)成長率は1.9%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は2.0%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は0.7%程度の上昇と見込まれる。

b 平成30年度の経済見通し

平成30年度の我が国経済は、海外経済の回復が続く下、「平成30年度の経済財政運営の基本的態度」に示された政策の効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、民需を中心とした景気回復が見込まれる。

物価については、景気回復により、需給が引き締まる中で上昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。

この結果、平成30年度の実質GDP成長率は1.8%程度、名目GDP成長率は2.5%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.1%程度の上昇と見込まれる。

なお、先行きのリスクとしては、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。

c 平成30年度の経済財政運営の基本的態度

今後の経済財政運営に当たっては、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、600兆円経済の実現を目指す。

少子高齢化という最大の壁に立ち向かうため、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として、2020年に向けて取り組んでいく。世界に胎動する「生産性革命」を牽引し、これを世界に先駆けて実現することを、2020年度までの最重要課題と位置づけ、3年間を集中投資期間として期限を区切り、その実現に取り組む。また、「人づくり革命」は長期的な課題であるが、2020年度までの間に、これまでの制度や慣行にとらわれない新しい仕組みづくりに向けた基礎を築く。

成長と分配の好循環により、国民全体が成長を享受できる。「全世代型」の社会保障制度により、子育てや介護に対する不安なしに、誰にでも活躍の場があり、お年寄りも若者も安心して暮らすことができる社会を目指す。

財政健全化については、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すという目標を堅持し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、平成30年の「経済財政運営と改革の基本方針」において、プライマリーバランスの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を示す。平成30年度予算は、「基本方針2015」に盛り込まれた「経済・財政再生計画」における集中改革期間の最終年度であり、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行する。

日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。

(イ)国の予算

政府は、「平成30年度予算編成の基本方針」(平成29年12月8日閣議決定)及び「平成30年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に基づいて平成29年12月22日、平成30年度当初予算案を閣議決定した。

平成30年度予算は、以下のような基本的な考え方により編成された。

a 基本的考え方

(a)安倍内閣は、長く続いたデフレからの脱却を目指し、経済の再生を最優先課題と位置付け、アベノミクス「三本の矢」を推進してきた。平成27年10月からはアベノミクスの第2ステージに移り、一億総活躍社会の実現を目指し、「三本の矢」を強化して「新・三本の矢」(戦後最大の名目GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロ)を放ち、少子高齢化という構造問題に正面から立ち向かい、成長と分配の好循環の実現に向け取り組んでいる。

(b)これまでのアベノミクスによる施策の実施により、政権発足前に比べ、GDPは名目、実質ともに増加しており、企業収益は過去最高を記録するとともに、就業者数の増加、賃上げなど、雇用・所得環境は大きく改善し、経済の好循環が実現しつつある。

(c)他方、経済の先行きについては、緩やかに回復していくことが期待されるものの、海外経済の不確実性や、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。あわせて、アベノミクスの成果を十分に実感できていない地域の隅々までその効果を波及させ、経済の好循環を更に加速させるように、施策を実施していく必要がある。

(d)また、我が国財政は、国・地方の債務残高がGDPの2倍程度に膨らみ、なおも更なる累増が見込まれ、また、国債費が毎年度の一般会計歳出総額の2割以上を占めるなど、引き続き、厳しい状況にある。

(e)政府は、引き続き、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、600兆円経済の実現を目指す。このため、「生産性革命」と「人づくり革命」を車の両輪として少子高齢化という最大の壁に立ち向かっていく。「新しい経済政策パッケージ」を推進するとともに、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すという目標を堅持し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、プライマリーバランスの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を併せて示す。

(f)誰もが生きがいを持って充実した生活を送ることができる一億総活躍社会の実現に向け、アベノミクス「新・三本の矢」に沿った施策を推進する。

第一の矢である「戦後最大の名目GDP600兆円」に向けては、地方創生、国土強靱化、女性の活躍、働き方改革も含め、あらゆる政策を総動員することにより、デフレ脱却を確実なものとしつつ、経済の好循環をより確かなものとする。第二の矢である「希望出生率1.8」、第三の矢である「介護離職ゼロ」に向けては、子育て・介護の環境整備等の取組を進め、国民一人ひとりの希望の実現を支え、将来不安を払拭し、少子高齢化社会を乗り越えるための潜在成長率を向上させる。

(g)「新・三本の矢」はそれぞれ相互に密接に関連しており、それらを一体的に推進することで、成長と分配の好循環を確立し、日本経済全体の持続的拡大均衡を目指す。

b 予算の編成についての考え方

(a)平成30年度予算編成に向けては、これまでにも増して、構造改革は無論として、金融政策に成長指向の財政政策をうまく組み合わせることに留意する必要がある。

財政健全化への着実な取組を進める一方、上記の基本的考え方に沿って、「子育て安心プラン」を踏まえた保育の受け皿整備など「人づくり革命」の推進や「生産性革命」の実現に向けた企業による設備や人材への力強い投資、研究開発・イノベーションの促進など重要な政策課題について、必要な予算措置を講じるなど、メリハリの効いた予算編成を目指す。

(b)誰もが自分の夢を追求できる、誰もが自分の能力を伸ばしていく、誰にも居場所があって頑張っていける、そういう気持ちになれる日本を創りあげるため、アベノミクス「新・三本の矢」に沿って、一億総活躍社会実現の取組を加速する。

また、東日本大震災、熊本地震をはじめ、各地の災害からの復興や防災対応の強化を着実に進める。

(c)平成30年度予算は、「経済・財政再生計画」における集中改革期間の最終年度であり、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行する。改革工程表を十分踏まえて歳出改革を着実に推進するとの基本的考え方に立ち、その取組を的確に予算に反映する。

また、予算編成に当たっては、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める。

(d)歳出改革は、経済再生と財政健全化に資するよう、政策効果が乏しい歳出は徹底して削減し、政策効果の高い歳出に転換する考え方に立って、「公的サービスの産業化」、「インセンティブ改革」、IT化などの「公共サービスのイノベーション」という3つの取組を中心に着実に推進する。引き続き、行政事業レビュー等を通じて各府省の取組を後押しするとともに、地方自治体も含めた「見える化」の徹底・拡大や優良事例の全国展開に取り組む。また、PDCAサイクルの実効性を高めるため、証拠に基づく政策立案(EBPM,Evidence-based Policymaking)の視点を踏まえ、点検、評価自体の質を高める取組が重要であり、指標や分析のオープンデータ化を積極的に進めるとともに、政策効果の測定につながる統計等の充実や早期公表に努める。経済・財政一体改革推進委員会においては、改革工程表に沿った諸改革の進捗状況を検証する。

平成30年度予算は、以上のような方針により編成され、平成30年1月22日に第196回通常国会に提出され、3月28日に成立した。

平成30年度の一般会計予算の規模は97兆7,128億円で、前年度当初予算と比べると2,581億円増加(0.3%増)となった。

また、東日本大震災復興特別会計予算の規模は2兆3,593億円で、前年度当初予算と比べると3,303億円減少(12.3%減)となった。

財政投融資計画の規模は14兆4,631億円で、前年度計画額と比べると6,651億円減少(4.4%減)となった。

イ 地方財政計画

平成30年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、子ども・子育て支援や地方創生、公共施設等の適正管理に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととした。また、歳入面においては、「基本方針2015」で示された「経済・財政再生計画」を踏まえ、交付団体をはじめ安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、平成29年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生ずることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとした。

また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとした。

なお、地方財政審議会からは、平成29年5月31日に「未来につながる地域社会に向けた地方税財政改革についての意見」及び12月12日に「今後目指すべき地方財政の姿と平成30年度の地方財政への対応についての意見」(附属資料参照)が提出された。

以上を踏まえ、次の方針に基づき平成30年度の地方財政計画を策定した。

(ア)通常収支分

a 地方税制については、平成30年度地方税制改正では、地方消費税の清算基準について抜本的な見直しを行うほか、土地に係る固定資産税等の負担調整措置の延長、個人住民税の基礎控除等の見直し、たばこ税の税率の引上げ等の税制上の措置を講じることとしている。また、わが国の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税の創設を決定している。

b 財源不足見込額については、地方財政の運営に支障が生じることのないよう、次の措置を講じることとする。

(a)財源不足のうち建設地方債(財源対策債)の増発等により対処することとした残余については、平成29年度に講じた令和元年度までの制度改正に基づき、国と地方が折半して補填することとし、国負担分については、国の一般会計からの加算により、地方負担分については、地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)により補填措置を講じる。臨時財政対策債の元利償還金相当額については、その全額を後年度地方交付税の基準財政需要額に算入する。

(b)これに基づき、平成30年度の財源不足見込額6兆1,783億円については、次により補填する。

<1>地方交付税については、平成28年度分の精算による2,245億円の減額を繰り延べるほか、国の一般会計加算により7,022億円(地方交付税法附則第4条の2第2項の加算額3,367億円、平成22年12月22日付け総務・財務両大臣覚書第3項(2)及び平成28年12月19日付け総務・財務両大臣覚書第8項に定める平成30年度における「乖離是正分加算額」2,000億円並びに臨時財政対策特例加算額1,655億円)増額する。

また、交付税特別会計剰余金750億円を活用するとともに、地方公共団体金融機構法附則第14条の規定により財政投融資特別会計に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金4,000億円を財政投融資特別会計から交付税特別会計に繰り入れる。

<2>地方財政法第5条の特例となる地方債(臨時財政対策債)を3兆9,865億円発行する。

<3>建設地方債(財源対策債)を7,900億円増発する。

(c)上記の結果、平成30年度の地方交付税については、16兆85億円(前年度比3,213億円減、2.0%減)を確保する。

(d)交付税特別会計の借入金については、「特別会計に関する法律」(平成19年法律第23号)附則第4条第1項に基づき、4,000億円の償還を実施する。

c 地方債については、引き続き厳しい地方財政の状況の下で、地方財源の不足に対処するための措置を講じ、また、地方団体が公共施設等の適正管理、防災・減災対策及び地域の活性化への取組を着実に推進できるよう、所要の地方債資金を確保する。

この結果、地方債計画(通常収支分)の規模は、11兆6,456億円(普通会計分9兆2,186億円及び公営企業会計等分2兆4,270億円)とする。

d 地方創生の推進、個性と活力ある地域社会の構築、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安心安全なまちづくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図ることとし、財源の重点的配分を行う。

(a)「まち・ひと・しごと創生事業費」については、引き続き1兆円(前年度同額)を計上する。

(b)投資的経費に係る地方単独事業費については、公共施設等の老朽化対策をはじめ適正管理を推進するため、「公共施設等適正管理推進事業費」について、内容を拡充し4,800億円(前年度比1,300億円増)に増額するとともに、引き続き喫緊の課題である防災・減災対策に取り組めるよう「緊急防災・減災事業費」を5,000億円(前年度同額)確保することとし、全体で前年度に比し3.2%増額し、引き続き、地域の自立や活性化につながる基盤整備を重点的・効率的に推進する。

(c)「重点課題対応分」については、引き続き2,500億円(前年度同額)を計上する。

(d)社会保障・税一体改革による「社会保障の充実」として、子ども・子育て支援、医療・介護サービスの提供体制改革、医療・介護保険制度改革等に係る措置を講じることとし、当該措置に係る地方負担について所要の財政措置を講じる。

(e)一般行政経費に係る地方単独事業費については、社会保障関係費の増等を適切に反映した計上を行うことにより、財源の重点的配分を図るとともに、地域において必要な行政課題に対して適切に対処する。

(f)消防力の充実、防災・減災対策等の推進及び治安維持対策等住民生活の安心安全を確保するための施策に対し所要の財政措置を講じる。

(g)過疎地域の自立促進のための施策等に対し所要の財政措置を講じる。

e 地方公営企業の経営基盤の強化を図るとともに、上・下水道、交通、病院等住民生活に密接に関連した社会資本整備の推進、公立病院における医療の提供体制の整備をはじめとする社会経済情勢の変化に対応した事業の展開等を図るため、経費負担区分等に基づき、一般会計から公営企業会計に対し所要の繰出しを行うこととする。

f 地方行財政運営の合理化を図ることとし、職員数の純減、事務事業の見直しや民間委託など引き続き行財政運営全般にわたる改革を推進する。

(イ)東日本大震災分

a 復旧・復興事業

(a)東日本大震災に係る復旧・復興事業等の実施のための特別の財政需要等を考慮して交付することとしている震災復興特別交付税については、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置するため、4,227億円を確保する。また、一般財源充当分として77億円を計上する。

(b)地方債については、復旧・復興事業を円滑に推進できるよう、所要額についてその全額を公的資金で確保する。

この結果、地方債計画(東日本大震災分)における復旧・復興事業の規模は、53億円(普通会計分32億円、公営企業会計等分21億円)とする。

(c)直轄事業負担金及び補助事業費、「地方自治法」(昭和22年法律第67号)に基づく職員の派遣、投資単独事業等の地方単独事業費並びに「地方税法」(昭和25年法律第226号)等に基づく特例措置分等の地方税等の減収分見合い歳出等について所要の事業費1兆1,079億円を計上する。

b 全国防災事業

全国防災事業については、地方税の臨時的な税制上の措置(平成25年度〜令和5年度)による地方税の収入見込額として728億円を計上するとともに、一般財源充当分として306億円を計上する。

以上のような方針に基づいて策定した平成30年度の地方財政計画の規模は、通常収支分は86兆8,973億円で、前年度と比べると2,775億円増加(0.3%増)となり、東日本大震災分は、復旧・復興事業が1兆1,079億円で、前年度と比べると1,763億円減少(13.7%減)、全国防災事業が1,035億円で、前年度と比べると89億円増加(9.4%増)となった。

通常収支分についてみると、歳入では、地方税は39兆4,294億円で、前年度と比べると3,631億円増加(0.9%増)(道府県税1.7%減、市町村税3.2%増)、地方譲与税は2兆5,754億円で、前年度と比べると390億円増加(1.5%増)、地方特例交付金は1,544億円で、前年度と比べると216億円増加(16.3%増)、地方交付税は16兆85億円で、前年度と比べると3,213億円減少(2.0%減)、国庫支出金は13兆6,512億円で、前年度と比べると1,126億円増加(0.8%増)、地方債(普通会計分)は9兆2,186億円で、前年度と比べると279億円増加(0.3%増)となった。

歳出では、給与関係経費は20兆3,144億円で、前年度と比べると65億円減少(0.0%減)となった。なお、地方財政計画における職員数については、84人の純減としている。一般行政経費は37兆522億円で、前年度と比べると4,932億円増加(1.3%増)となり、このうち一般行政経費に係る地方単独事業費は14兆614億円で、前年度と比べると401億円増加(0.3%増)となった。公債費は12兆2,064億円で、前年度と比べると3,838億円減少(3.0%減)、投資的経費は11兆6,180億円で、前年度と比べると2,610億円増加(2.3%増)となった。なお、投資的経費に係る地方単独事業費は5兆8,076億円で、前年度と比べると1,779億円増加(3.2%増)となった。

東日本大震災分(復旧・復興事業)についてみると、歳入では、震災復興特別交付税は4,227億円で、前年度と比べると276億円減少(6.1%減)、国庫支出金は6,688億円で、前年度と比べると1,371億円減少(17.0%減)などとなった。歳出では、一般行政経費は2,950億円で、前年度と比べると1,250億円減少(29.8%減)、投資的経費は7,810億円で、前年度と比べると531億円減少(6.4%減)などとなった。

東日本大震災分(全国防災事業)についてみると、歳入では、地方税は728億円で、前年度と比べると8億円増加(1.1%増)などとなった。歳出では、公債費は1,035億円で、前年度と比べると89億円増加(9.4%増)となった。

また、平成30年度の地方債計画の規模は、通常収支分が11兆6,456億円(普通会計分9兆2,186億円、公営企業会計等分2兆4,270億円)で、前年度と比べると199億円増加(0.2%増)となった。東日本大震災分は、復旧・復興事業が53億円(普通会計分32億円、公営企業会計等分21億円)で、前年度と比べると135億円減少(71.8%減)となった。

ウ 財政運営の経過

(ア)「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」に基づく予備費の使用(第一弾)とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

平成30年7月豪雨による被災地の生活の再建と生業の再建に向け、緊急に対応すべき施策が「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」(平成30年8月2日平成30年7月豪雨非常災害対策本部会議)として取りまとめられ、速やかに予備費等で対応を進めていくこととされ、平成30年度一般会計の予備費の使用が平成30年8月3日に閣議決定された。

この予備費の使用においては、生活の再建関連経費162億円、生業の再建関連経費611億円、災害応急復旧関連経費16億円、災害救助関連経費269億円が計上された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、以下のとおり地方財政措置を講じることとした。

(a)一般会計の予備費の使用により追加されることとなる投資的経費等に係る地方負担額については、以下のとおり措置する。

<a>災害復旧事業債

i 補助災害復旧事業債

地方負担額の100%まで補助災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

ii 災害対策債

中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業及び災害廃棄物処理事業について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては、地方負担額の100%まで地方債を発行できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。また、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体においては、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

iii 一般単独災害復旧事業債

地方負担額の100%まで一般単独災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、47.5〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<b>公共事業等債

地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<c>一般事業債

災害援護貸付金について、資金手当として地方負担額の100%まで一般事業債を充当できることとする。

(b)一般会計の予備費の使用により追加されることとなる災害救助費及び災害弔慰金等に係る地方負担額については、所要の特別交付税措置を講じる。

(イ)「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」に基づく予備費の使用(第二弾)とそれに伴う地方財政措置

a 予備費の使用

「平成30年7月豪雨 生活・生業再建支援パッケージ」に基づく予備費第二弾として、平成30年度一般会計の予備費の使用が平成30年9月7日に閣議決定された。

この予備費の使用においては、生活の再建関連経費4億円、生業の再建関連経費19億円、災害応急復旧関連経費593億円が計上された。

b 予備費の使用に係る地方財政措置

この予備費の使用においては、歳出の追加に伴う地方負担が生じることから、これに対しては以下のとおり地方財政措置を講じることとした。

(a)一般会計の予備費の使用により追加されることとなる投資的経費に係る地方負担額については、以下のとおり措置する。

i 補助災害復旧事業債

地方負担額の100%まで補助災害復旧事業債を充当できることとし、後年度における元利償還金の95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

ii 公共事業等債

地方負担額の100%まで地方債を充当できることとし、後年度における元利償還金の80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(b)一般会計の予備費の使用により追加されることとなる被災農業者向け経営体育成支援事業に係る地方負担額については、その70%(施設の撤去に係るものについては80%)を特別交付税により措置する。

(ウ)平成30年度補正予算(第1号)とそれに伴う地方財政措置

a 補正予算(第1号)

平成30年度補正予算(第1号)は、平成30年10月15日に閣議決定、平成30年10月24日に第197回臨時国会に提出され、11月7日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、平成30年7月豪雨への対応5,034億円、平成30年北海道胆振東部地震への対応1,188億円、台風第21号、大阪北部地震等への対応1,053億円、熱中症対策としてのエアコン設置822億円、倒壊の危険性のあるブロック塀対応259億円等が追加計上された。また、歳入面で、公債金(建設公債)6,950億円、税外収入42億円、前年度剰余金受入2,364億円が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成30年度当初予算に対し、9,356億円増加し、98兆6,484億円となった。

b 補正予算(第1号)に係る地方財政措置

この補正予算においては、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じることから、以下のとおり地方財政措置を講じることとした。なお、東日本大震災分については、地方負担の追加は生じない。

(a)この補正予算により平成30年度に追加されることとなる投資的経費に係る地方負担額等については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、以下に掲げるものを除き、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<a>災害復旧事業債

i 補助災害復旧事業債

補助災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

ii 災害対策債

(i)平成30年7月豪雨による災害に係る事業

中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業及び災害廃棄物処理事業に係る災害対策債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。なお、災害対策債の発行要件を満たさない地方公共団体については、地方負担額の95%を特別交付税により措置する。

(ii)上記(i)以外の事業

災害廃棄物処理事業について、地方負担額の80%を特別交付税により措置した上で、残余について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては災害対策債を充当できることとし、後年度における元利償還金の57%を特別交付税により措置する。

iii 一般単独災害復旧事業債

一般単独災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5%〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

iv 地方公営企業災害復旧事業債

地方公営企業災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、一般会計からの繰出額に応じ、その最大50%までを特別交付税により措置する。

<b>平成30年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債

平成30年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<c>ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金事業に係る補正予算債

ブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金事業に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その60%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

<d>一般事業債

災害援護貸付金について、資金手当として一般事業債を充当できることとする。

(b)この補正予算により平成30年度に追加されることとなる地方債の対象とならない経費については、以下のとおり措置する。

<a>災害救助費及び災害弔慰金等

災害救助費及び災害弔慰金等に要する経費に対して、所要の特別交付税措置を講じる。

<b>国宝重要文化財等保存整備事業

地方負担額の80%を特別交付税により措置する。

<c>被災農業者向け経営体育成支援事業

地方負担額の70%(施設の撤去に係るものについては80%)を特別交付税により措置する。

(エ)平成30年度補正予算(第2号)とそれに伴う地方財政措置

a 補正予算(第2号)

平成30年度補正予算(第2号)は、平成30年12月21日に閣議決定、平成31年1月28日に第198回通常国会に提出され、2月7日に成立した。

この補正予算においては、歳出面で、防災・減災、国土強靱化1兆723億円、TPP協定の早期発効に対応するための農林水産業の強化策等3,256億円、中小企業・小規模事業者に対する支援2,068億円、国民生活の安全・安心の確保7,512億円、災害復旧等2,136億円、地方交付税交付金5,108億円等を追加計上するほか、既定経費の減額1兆2,909億円の修正減少額が計上された。また、歳入面で、税収8,490億円、税外収入1,393億円、前年度剰余金受入7,131億円、公債金1兆82億円が追加計上された。

この結果、一般会計予算の規模は、歳入歳出とも平成30年度補正予算(第1号)による補正後予算に対し、2兆7,097億円増加し、101兆3,581億円となった。

b 補正予算(第2号)に係る地方財政措置

この補正予算においては、国税収入の補正等に伴い地方交付税が増額されるとともに、歳出の追加に伴う地方負担の増加が生じることから、以下のとおり地方財政措置を講じることとした。なお、東日本大震災分については、地方負担の追加は生じない。

(a)地方交付税

この補正予算において、地方交付税法第6条第2項の規定に基づき増額される平成30年度分の地方交付税の額5,311億円(平成29年度国税決算に伴う地方交付税法定率分の増額2,684億円(うち地方法人税分100億円)、平成30年度国税収入の補正に伴う地方交付税法定率分の増額2,627億円(うち地方法人税分103億円)については、平成30年度において、普通交付税の調整額の復活に要する額396億円を地方公共団体に交付するとともに、平成30年度の災害の発生状況等にかんがみ、700億円を特別交付税の総額に加算することとしたうえで、残余の額4,215億円について令和元年度の地方交付税の総額に加算する措置を講じる。

(b)追加の財政需要

<a>この補正予算により平成30年度に追加されることとなる投資的経費等に係る地方負担額については、原則として、その100%まで地方債を充当できることとし、以下に掲げるものを除き、後年度における元利償還金の50%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

i 災害復旧事業債

(i)補助災害復旧事業債

補助災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(ii)災害対策債

中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業に係る災害対策債の後年度における元利償還金については、その95%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

災害廃棄物処理事業について、地方負担額の80%を特別交付税により措置した上で、残余について、災害対策債の発行要件を満たす地方公共団体においては災害対策債を充当できることとし、後年度における元利償還金の57%を特別交付税により措置する。

(iii)一般単独災害復旧事業債

一般単独災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、地方公共団体の財政力に応じ、その47.5%〜85.5%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

(iv)地方公営企業災害復旧事業債

地方公営企業災害復旧事業債の後年度における元利償還金については、一般会計からの繰出額に応じ、その最大50%までを特別交付税により措置する。

ii 熊本地震及び平成30年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債

熊本地震及び平成30年7月豪雨への対応に伴う投資的経費(災害復旧事業を除く)に係る補正予算債の後年度における元利償還金については、その80%を公債費方式により基準財政需要額に算入する。

iii 公営企業債

当初における一般会計からの繰出額の一部に対する算定と同様の方式により措置する。

<b>この補正予算により平成30年度に追加されることとなる地方債の対象とならない経費については、地方財政計画に計上された追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応する。

(オ)地方公務員の給与改定

平成30年の国家公務員の給与改定については、国の給与関係法の公布及び施行(平成30年11月30日)に伴い、その取扱いが決定されたが、地方公務員の給与改定については、「地方公務員法」(昭和25年法律第261号)の趣旨に沿って適切に対応されるよう「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」(平成30年11月6日付け総務副大臣通知)で通知した。

なお、当該給与改定に係る一般財源所要額については、地方財政計画上の追加財政需要額(4,200億円)の一部により対応することとした。

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