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令和2年版
地方財政白書
(平成30年度決算)

7 地方自治をめぐる動向

(1)地方自治制度の見直し等

ア 第32次地方制度調査会について

地方自治制度の見直しについては、平成30年7月5日に第32次地方制度調査会が発足しており、内閣総理大臣から人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について、調査審議が求められている。

我が国の総人口は、2008年の1億2,808万人をピークに減少が続いており、国立社会保障・人口問題研究所の出生中位・死亡中位推計(平成29年推計)によれば、2040年には1億1,092万人になると見込まれている。また、生産年齢人口が6,000万人を下回り、2015年の7,700万人から1,750万人も減少する。その一方で、高齢者人口は、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2042年にピークを迎えて3,900万人強となり、高齢化率は36.1%に上ると見込まれている。

高齢化や人口減少などの人口構造の変化は、地方公共団体の税収や行政需要にも大きな影響を与えることになるが、住民の暮らしや地域経済を守るため、医療、介護、インフラ整備などの住民サービスを地方公共団体が持続可能な形で提供し続けることが不可欠と考えられる。

平成30年12月18日に開催された同調査会の第2回総会において、まずは「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題とその対応」に係る審議を進めていくこととされ、令和元年7月31日に開催された第3回総会において、「2040年頃から逆算し顕在化する地方行政の諸課題とその対応方策についての中間報告」がとりまとめられた。また、同年10月25日に開催された第4回総会において、「市町村合併についての今後の対応方策に関する答申」がとりまとめられた。これを受けて、現行法の期限を10年間延長するため、「市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案」を第201回通常国会に提出している。

現在、人口減少社会に対応するために必要な地方行政体制のあり方について、調査審議が進められている。

イ 地方公共団体間の広域連携について

人口減少社会を迎える中で、持続可能な形で行政サービスを提供していくため、連携中枢都市圏構想や定住自立圏構想をはじめとする、地方公共団体間の広域連携を推進する。

(ア)連携中枢都市圏構想の推進

「連携中枢都市圏構想」とは、人口減少・少子高齢社会にあっても、地域を活性化し経済を持続可能なものとし、国民が安心して快適な暮らしを営んでいけるようにするために、地域において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市が近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化により「経済成長のけん引」、「高次都市機能の集積・強化」及び「生活関連機能サービスの向上」を行うことにより、人口減少・少子高齢社会においても一定の圏域人口を有し活力ある社会経済を維持するための拠点を形成する政策である。本構想は、第30次地方制度調査会「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」を踏まえて制度化したものであり、平成26年度から全国展開を行っている。

令和2年1月現在では、36市が中心都市として圏域を形成する意思を宣言し、32の圏域(延べ304市町村)が形成されるなど、全国で着実に連携中枢都市圏構想による取組が進んでいる。また、平成28年度に創設した「複眼型連携中枢都市圏」を活用した圏域や県境を越えた圏域が形成されるなど、多様な形態の圏域が形成されている。

今後も、連携中枢都市圏構想を推進するため、圏域での取組に対して、引き続き地方財政措置を講じ、圏域全体の経済成長のけん引や高次都市機能の集積・強化を図る取組等を支援することとしている。

(イ)定住自立圏構想の推進

「定住自立圏構想」とは、地方圏において安心して暮らせる地域を各地に形成し、地方圏から三大都市圏への人口流出を食い止めるため、人口5万人程度以上の中心市と近隣市町村が連携・協力し、「生活機能の強化」「結びつきやネットワークの強化」及び「圏域のマネジメント能力の強化」を行うことにより、圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策であり、平成21年度から全国展開を行っている。

令和元年11月現在では、138市が中心市として圏域を形成する意思を宣言し、126の圏域(533市町村)が形成されるなど、全国で着実に定住自立圏構想による取組が進んでいる。

今後も、定住自立圏構想を推進するため、圏域での取組に対して、引き続き地方財政措置を講じ、地域住民の生活実態やニーズに応じ、生活に必要な機能の確保を支援することとしている。

(2)会計年度任用職員制度の施行への対応

臨時・非常勤職員制度の見直しについては、「地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律」(平成29年法律第29号。以下「改正法」という。)が平成29年5月17日に公布され、令和2年4月1日より施行される。改正法は、地方公共団体によっては、制度の趣旨に沿わない任用が行われており労働者性の高い者であっても特別職として任用され地方公務員法に基づく守秘義務などの規定が適用されていないことや一般職非常勤職員について採用方法等が明確に定められていないこと、労働者性の高い非常勤職員に期末手当の支給ができないことなどの課題に対応するため、臨時・非常勤職員制度の見直しを提言した「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会報告書」や地方公共団体からの意見などを踏まえたものである。

改正法においては、<1>特別職の範囲が「専門的な知識経験等に基づき、助言、調査等を行う者」に、臨時的任用の対象が国と同様に「常勤職員に欠員を生じた場合」に厳格化されるとともに、<2>一般職の非常勤職員である「会計年度任用職員」に関する規定が設けられ、その採用方法や任期等が明確化された。また、<3>会計年度任用職員について、期末手当の支給等が可能となるよう、給付に関する規定が整備された。

改正法の施行に向け、各地方公共団体において条例・規則の制定等必要な準備も整い、新制度への円滑な移行が進められている。また、期末手当の支給等に要する経費については、令和2年度の地方財政計画に1,738億円計上し、地方交付税措置を講じることとしている。

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