北海道総合通信局は、3月30日、札幌市内において「自治体ホームページを活用した防災情報等の発信に関する調査検討会」(以下、「調査検討会」という)の報告会を開催しました。
救援物資が欲しくても電話が通じない。被災し孤立していることすら伝えられない。東日本大震災ではこのような状況が広範囲で発生しました。
多くの被災者が安否情報、避難情報、救援物資の情報など多種多様な情報の提供を必要としましたが、そのような中、自治体ホームページが貴重な情報の提供手段となったケースが多々見受けられました。
調査検討会の検討結果は震災前の3月3日に報告書として取りまとめられましたが、そこで示唆された内容は今回の震災でまさに実体験として認識したことと重なるものとなりました。報告会では姉妹都市の被災情報を自らの町のホームページで発信した当別町職員の方の経験談なども交え開催しました。
はじめに、調査検討会座長の深田氏から検討結果の報告がありました。多種多様大量の情報を発信できる自治体のホームページが、安否情報など災害発生後の情報提供に有効であり、今回の震災でもその実力が発揮されたケースがあったことや、「情報収集面」をはじめとする利活用モデルを実現するための6つのアプローチ、緊急の場合などにどのような情報提供が必要か、普段から関係者で定期的に連絡会を開催し検討しておくことが重要である等の3つの推進方策について報告がありました(
利活用モデル
参照)。
続いて、事務局の依田氏から、調査検討会で道内自治体を対象に実施したアンケート調査及びヒアリング調査の結果についての報告がありました。自治体職員は厳しい予算の中でも何とか情報発信したいと頑張っている。そして、公的機関として誤った内容を掲載できないというプレッシャーとも戦っている。一担当者の熱意、個人依存の傾向があるなどの実態が浮かび上がり、「組織的な取組」、「外の情報をうまく取り込むこと」、「リスクの認識などの重要性」が述べられました。また、電話でどんなに説明を重ねても伝わらなかった災害発生場所の位置情報が、地図にメモを手書きしてホームページに掲載することで一気に伝わったケースから、情報の出し方を整理しておくことの大切さなど、ホームページ活用へのヒントが紹介されました。
また、姉妹都市である宮城県大崎市からの要請を受け、当別町のホームページで大崎市の被災情報を発信した当別町職員の乗木氏から、その経緯等をお話しいただきました。大崎市の情報は、衛星電話やg-mail、個人の携帯電話などその時々で使用可能なあらゆる手段を駆使して提供され、3月11日18時には被災状況を当別町のホームページに代理掲載、その後も当別町職員が協力して更新を続けたことや、自らは3月17日から大崎市へ現地入りしてホームページの環境整備にあたったことなど、サーバー復旧に至るまでの詳細な経過が紹介されました。
最後に、調査検討会構成員の富樫氏から、「自治体の情報発信におけるインターネットメディアの活用」と題し講演いただき、SEO対策の重要性、ツイッターの有効性や欠点を踏まえた上での活用、ホームページのアクセス解析データを活用した効果検証方法など、インターネットメディア活用への様々な具体策が紹介されました。